自称ぼっちの彼は。   作:如月の夢

5 / 5
お久しぶりです!しずねは最かわっ☆です。
車の路上練習怖いよね!
今回は特別編だよ!


【特別編?】バレンタインデーの混乱

2月14日と言えば、聖人ヴァレンタインの命日である。

そう、その道の信者であれば黙祷する様なものである。

だから、チョコレートを含めクッキーなど、特別な思いを込めたものを異性へ送る日ではない。

最近では、友チョコなどと称し同姓へ送ることも珍しくなくなった。

ちなみに、現代におけるバレンタインデーのその行為はヴァレンタインにはなにも関係ないものである。

だから、お菓子業者が儲かる日である。

まぁしかし、想い人に近づくきっかけ作りには丁度いいのだろう。

未だに、この文化が衰退しない理由も納得がいく。

まぁ、もらえない俺には関係ないんだがな。

よって結論、戸塚から友チョコが欲しい。

 

……いや、本命がいい。

 

 

 

 

 

 

どうもモブ子Aです!

え?もうモブじゃないだろう?

まぁまぁ、恒例じゃないですか。

とにかく、今日は待ちに待ったヴァレンタイン!

いや、待ってるのは私じゃなくて男の子だよね。

ちなみに私は、比企谷くんの分しか作ってきてません!

え?本命?そんなわけないよ。

やだなぁ好きみたいじゃないですか。

……じゃないよね?

 

三年と言うこともあり、本来は家庭学習の期間に入ってるはずなのですが、タイミングのいいことに登校日なのです!

そして私の想い人は、現在机に突っ伏しております!

…想い人?

まぁいいや。

とりあえず起こそう。

 

「比企谷くん。」

ちょんちょんと肩をつつく。

すると、いかにも不機嫌ですと言うような顔の比企谷くんと目が合う。

「なんだよ屋宮。」

「比企谷くん今日はなんの日か知っt「聖人ヴァレンタインの命日」……いやそうだけどさ。」

「それからチョコレート業者が喜ぶ日。」

「卑屈すぎ!」

間違ったことは言っていない、と反論を続ける比企谷くん。

「もう!そんなことはどうでもいいの!

比企谷くん、勿論もらってないよね?」

「その勿論はどういう意味ですかね?俺だってしっかりm「妹はカウントしないからね?」貰ってないです。」

「ん、素直でよろしい。」

ん、と某ト○ロのキャラクターのようにラッピングされた箱を押し付ける。

「なにこれ新しいいじめ?」

「なんでそうなるの!?」

「いや、だって……」

「そ、そんなに嫌?」

「い、嫌じゃないぞ。むしろ踊るくらい嬉しい。」

「それはやめておいた方がいいと思うよ。」

「そ、そうだな。」

 

 

 

「んで?なんで突っ伏してたの?」

見た時から疑問に思ってたことを口にする。

いつも静かにしている比企谷くんだか、今日は最初から伏せていた。

「あぁ、それは…」

なんかとても言いにくそうだな。

大丈夫かな…ここは話でも。

「何かあったの?話聞くよ?」

「…それがだな。」

比企谷くんが素直に話すことに危機感を覚える。

そんな異常と思えるほどの事なのだろうか。

緊張が伝わる。

そして彼は、

「小町がチョコをくれなかったんだ、どうしよう、俺何かしたんだろうか。」

………………

「今年は私のはなくてもいいよね!何て言われて……」

………………

「もうどうしたらいいんだ……」

スッ

「ん?え?まって早くない?え、ちょちょっとやめt」

スパンッ

 

 

小町ちゃんがチョコをくれなかった理由。

私のは、と言うキーワード。

そこから導き出されるのはやはり。

「ヒ、ヒッキー」

「ん?どうした?」

「そ、そそそそのね?」

「落ち着けアホ。」

「なんでそんな冷静なんだし!」

誰かが慌てるの見るとかえって落ち着くことあるよね。

「って、ヒッキー!はいこれ!」

それはやはり、チョコレートだった。

貰った比企谷くんは嬉s……ゑ?

なんでそんな絶望した顔?

「お前……これ手作りか?」

「う、うん。」

さらに絶望する比企谷くん。

「今日が俺の命日か……バレンタインデー恐るべし。」

「どういう意味だし!」

そういえば、料理は絶望的だったね……

私は彼の肩に手を置き、

「安心して、骨は拾ってあげるよ。」

「安心できねぇ!」

「どういう意味だ!?」

 

 

 

 

そんな事がありつつも、一個目を手にいれた比企谷。

じゃあね、とグループに去っていく結衣ちゃん。

はぁ、とてつもなく嫌な予感がするわけですよ。

そんな予想は期待を裏切ることはないらしく。

現在は昼休み。

葉山くんにチョコをあげに来る生徒は、後を絶たない。

しかし、どれも受け取らない。

比企谷君曰く、みんなの葉山でいるためには受け取らないことが一番らしい。なにそれめんどくさい。

そんな中、自然災害の如く突然それはやってくる。

見えたのは2年生のグループ。

と言うか、いろはちゃんがいる。

あぁ、これは…………

失礼しますと言って教室へ入る四人。

「相変わらずだな、あいつもよく頑張る。」

と何故か嬉しそうな比企谷君。

「本当に葉山が好きなんだな。」

こ、こいつ……

まぁ、この後面白くなりそうだから叩くのはやめておこう。

「「葉山先輩!受け取ってください!」」

「ありがとう、気持ちは嬉しいよ。ただそれは受けとれないんだ、ごめんな。」

「「そうですよね。」」

最早、形式美みたいになってきている。

「ん?いろはちゃん達は渡さないの?」

と、葉山君に渡さないことに疑問を思った彼女達。

「うん、私は別の人。」

「え、誰々。」

「きっと驚くけど、騒がしくしないでね?先輩そういうの嫌いだから。」

「「え?うん。」」

あ、来るんですね理解しました。

流石に比企谷君も気づいて…

「なんでた?」

よし、放課後絶対叩いてやる。

とてとて、なんて効果音が聞こえてくるような音で近づいてくるいろはちゃん。

比企谷の前に回り込み、

「せんぱーい!」

「「あざとい、やり直し。」」

はっ!思わず言ってしまった。

「酷いです、これでもかなり緊張してるのに。」

「何に緊張してるかしらんが、嘘はつくなよ。

しっかり生徒会長として成長出来たお前が、今さら他学年の教室に入る位で緊張するわけないだろ。」

「なんですかそれ……はっ!お前のことはよく見てるから俺にはわかるって言う特別アピールですか、正直今の緊張と合わさって倒れちゃうんで、また後日日を改めて二人きりの時にしてください、ごめんなさい。」

「なんで振られたんだ今。」

スパンッ

「痛い!なんで、まて屋宮なんでだ。」

「いや、ちょっとね」

「ちょっとね、なんて理由で叩くなよ。」

「なに?もう一発欲しい?」

「なんでもないです。」

「ねぇ先輩、聞いてくださいよ!」

「あ?どうした、葉山は向こうだ。」

「「は?」」

「え?」

「「はぁ。」」

ため息が止まらない……

「下手に緊張してたことがアホらしくなりましたよ。

はい、先輩これ。」

綺麗にラッピングされたそれは、やはり手作りなんだろうな。

「は?なんで俺。」

いろはちゃんに付いてきた子も、それぞれ疑問をうかべている。

「まぁ、先輩にはお世話になってますし?そのお礼ですよ。」

「そう思うのなら自重してくれませんかね。」

よく駆り出されるもんね。

しかし、そんな言い訳は友達は騙せないようで。

「え?いろはちゃん、今年はそれしか作っtふも!」

「ちょーっと?なんて言おうとしてたのかなぁ?」

「なんでもないです。」

「とにかく!それはお礼です。受け取ってください。」

「お、おう。」

そんな中、一人だけ緊張ぎみに下を向いている知らない子。

あ、これあかんやつ。

意を決したその子は顔をあげると。

「比企谷先輩、あ、あのこれを。」

「ん?お前は……あぁ、あのプリントの時の。」

「覚えてくれていたんですか?」

「まぁ、ぼっちは記憶力が高いからな。」

「ふっ、なんですかそれ。でも凄く嬉しいです。」

「そ、そうか、俺なんかに渡していいのか?」

「先輩に渡したいんですよ。」

「そうか、ありがとう。」

なにこれ!ラブコメになりかけてる。

あ、これラブコメだった。

…………いや、だめだめだめだめ。

「ふに!」

とへんな声を出す、比企谷くん。

と言うか、後ろに回ったいろはちゃんが、頬を引っ張ったのだ。

「お、おひ、いっひき、やへろ」(おい一色やめろ。)

「他の女の子にデレデレしてた先輩の言うことなんか、聞きたくないです。」

いろはちゃん、それもう大好きアピールなんだけど……

顔が赤い比企谷君。

気づいたのかな?

……あ、当たってんのか位置的に…いや、当てられてるのか。

いろはちゃん、恐るべし。

 

 

そろそろ時間だと帰るまで、いろはちゃんは体勢を変えなかった。

比企谷君はというと、それにやられてか現在は朝と同じ気力切れで机に突っ伏している。

しかし、それにお構いなしにと新たな客が。

「比企谷、はいこれ。」

それは川崎さんだった……え?

「あ?チョコ?」

「そうだよ、けーちゃんがどうしてもってね。」

「それは頂かなくてはな。お礼はどうしたらいい?」

「さぁね、あの子なら、あんたが遊んでくれりゃあ満足するんじゃない?」

「なるほどな、じゃあまた後日伺うわ。」

「あんた、ほんとそういうことになると行動早いね。」

「けーちゃんのためだしな。」

「わかってるよ。」

……え?

「え?けーちゃんって?」

「こいつの妹のことだよ。」

人の妹まで落としてるの……

「そ、それと」

と急に緊張しだす川崎さん。

………………またか。

「これは、大志とかけーちゃんがお世話になっているお礼。」

「ん?あぁ、サンキュー。」

「じゃあね。」

直ぐ踵を返す川崎さんの顔は赤かった。

まじかよ。

 

にしても、凄い貰うね比企谷くん。

まぁ、川崎さんは例外としても、これ以上増えることは……

 

スタスタスタ

 

ありそう……

その人物は、きれいな箱を机に叩きつけるとこう一言。

「ひ、ヒキタニ、こ、これあまりだから、他意はないから!」

言い切り走って帰っていく………………相模さん。

「ど、毒とか入ってないよな?」

「だ、大丈夫だと思うよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は変わって放課後、私の推測が正しいのなら波乱が……

「失礼します。」

来ました。

今日一番にざわつく教室。

それもそうだ、だって教室に来たのは

「やぁ、どうしたの?雪ノ下さん」

そう、雪ノ下さんだった。

「あら、貴方に用はないわ葉山くん。」

あら、振られちゃった。

心なしか比企谷君笑っている。

けど、比企谷君、たぶん君がターゲットだよ。

取り敢えず比企谷君の方に歩み寄る。

「はは、そんなにはっきり言われると、辛いな。」

「安心して、そのつもりで言ったのだから。」

「あいつならあそこだよ。」

そう目線を送る葉山くんは、此方を捉えていた。

「そう、ありがとう。」

「あぁ」

やっぱりこっちですか。

「こんにちは、比企谷くん。」

「どうした?わざわざ教室まで。

にしても、視線がやばいんだが。」

「それはそうでしょう、私が来ているのだもの。」

「否定はせんがそこまではっきり言うか。」

「あら、当然じゃない。約2年貴方はしっかり私を見ていたのかしら。」

「まぁ、お前はそういうやつだったよな。」

「えぇ、そう言うことよ。」

「で、なんのようだ?今日は部活はないはずだが。」

「そんなの決まってるじゃない。」

そういって取り出した箱に周りは驚愕する。

当たり前だ、校内で葉山君に次ぐ有名人が比企谷君にチョコを送っているのだ。

「はい、比企谷君。」

「お、おう。なんつーかサンキューな。」

「えぇ、当然よ、では帰るわ。」

と教室のドアへ向かう、そして敷居を跨ぐ直前、振り返り一言。

「去年は少し違ったのだけれど、今年は"それ"しか作ってないのだから。」

その瞬間何人か倒れた。

「隼人?隼人!」

 

 

 

 

 

「にしても、たくさん貰ったね。」

「あぁ、そうだな。」

あれから放課後になり、私からの願いで一緒に帰っている。

最初は渋っていたが、無理やり通した。

「8個って、相当だよ?」

「八万だけに八万個貰ってみたいな。」

「それはダメ」

「どうしてだ?」

勢いで言ってしまった。

だが、それは本心だった。

これって、やっぱりそういうことだよね。

「い、言えない。」

「?」

言えるわけない。

とにかく、と話題を変える。

「それ食べきれる?」

「まぁ、なんとか食べるわ。」

「今からでも食べとけば?」

「まぁ、確かに小腹がすいてるしな。」

そういって取り出したのは。

「な、なんで私の?」

「ん?あぁ、まぁなんだ最近はお前といることが多かったからな、お前のなら安心して食えそうと言うか。」

「そ、そうなんだ。」

なにこれ恥ずかしい!

けど本当に嬉しい。

「ね、ねぇ、比企谷君?」

これは、伝えた方がいいのだろうか。

でも……

「あ、八幡!」

ん?

「ん?あぁ、戸塚か。」

「これ友チョコだよ!朝忙しくて渡せなかったんだ、これからもよろしくね。」

「結婚しよう。」

「も、もう!からかわないでよ。」

「本気だぞ。」

「はいはい。まぁ、お邪魔してるみたいだし、僕は帰るね。」

…………………………

「おう。」

…………………………

「いやぁ、戸塚かわいいなこれ。」

…………………………

「ん、屋宮?どうした。」

 

もう、知らない、こうなったら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!屋宮なにして。」

「えへへ、これは比企谷君が悪いんだからね!

あと、しっかり箱を見ることそれじゃあね。」

「ちょ、ちょっと待て。」

「嫌だよー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま。」

「お帰り、お兄ちゃん。」

「あぁ、」

「わぁ!凄いこんなに貰ったの?」

「あぁ」

「モテ期到来だね、小町は嬉しいよ。」

「そうだな。」

「もう、反応が悪いよ!」

「すまん。」

「本当にどうしたの?あれ?これだけ開けてある…」

そして、その箱の蓋の部分をひっくり返す。

「お、お兄ちゃん……」

「言いたいことはわかってる。」

「うん。」

「ちょっと一人にしてくれ。」

「ご飯は作るから起きててよね?」

「わかってる。」

部屋を出ていく兄の背中を見て、妹はこう呟く。

「千郷さんねぇ、お兄ちゃん、もう逃げられないよ。

たぶんこれ全員そうだよね。

きっと難しい問題になるけど、小町は応援するよ。

頑張ってね。

よし、お兄ちゃんの好物でも作ってあげよう。」

 




さぁ、これにて本文は終わりです。
5000字越えたのは初めてです。
特別編?
と言うことにしたのは訳がありまして。
本文を読まずにあとがきだけ読んでいる特殊な方を覗いて、薄々お気づきの方はいると思います。
これほぼクライマックス雰囲気です。
なので、多分最終話前にこの話を入れる感じになると思います。
まぁ、頑張っていきますよ!
感想は……こえぇな。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。