TASこうぐらし!(二周目)   作:鬱とはぶち破るもの

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キャラクター選択~武器入手まで

(※あくまでゲームとして出た場合のネタ作品です)


TASこうぐらし! part2

 

 

 風にのる何かが焼ける臭いと血潮の生臭さが嫌でも鼻に届き胸底になんとも言いがたい不愉快さを抱かせる中、用具ロッカーで扉を塞ぎ「かれら」の侵入を防ぎ一安心となった所へ最後に屋上へやって来た「恵飛須沢胡桃」の困惑に満ちた声が響き、ロッカーを背中で押さえドアを開かせまいとする教師の「佐倉慈」、彼女を手伝う屋上菜園で作業していた園芸部の「若狭悠里」、そして慈と共に屋上へ来ていた「丈槍由紀」の視線がそちらを、先程まで怪我をし苦しさを滲ませていた陸上部OBの「先輩」と彼に突き飛ばされた胡桃の方を見る。

 彼はフラフラと突き飛ばされ、尻餅をついている胡桃へ近付く歯を剥き出し、地面にポタポタと涎を垂らす様は胡桃が先程みたグラウンドでの事の焼き回しであり、「それ」が目的とする事も察しが付く。

 否、付いてしまった。

 

 一歩また一歩と迫る「それ」は唸りを上げ、正に胡桃を食らおうとした瞬間、咄嗟に拾い上げたシャベルが横合いから突き刺さりピタリと動きを止めその一瞬あとに血を吹き出しながら地面に倒れる。

 息を乱したまま胡桃が立ち上がり血の付着したシャベルを振りかぶり「それ」へ降り下ろす、一度。二度。三度。その度に肉が裂け骨が砕け、返り血に染まる胡桃が渾身の力で降り下ろそうとした瞬間、横から由紀が胡桃の動きを無理矢理止める。

 これ以上すれば胡桃がダメになると直感的に判断した由紀は大粒の涙を流し、ダメだよ。と何度も訴える、狂気染みた瞳の色が瞬間的に胡桃から抜け見馴れない妙な帽子を被る頭を撫でる。

 

「なんでお前が泣くんだよ…はは、変な帽子…」

 

 血生臭いその場所、死んだ町、死んだ学校で生き残った四人、後に「学園生活部」として生き抜く事となる者達が初めて集った瞬間でもあった。

 

 

~~~

 

《はいどうも、ミークンです。解説役を担当します。ちなみに本編に登場する直樹美紀ことみーくんとは別の存在です》

《ムービーが終わり一周目の場合はここから場面が飛んである程度生活が少しは安定した場面からになりますが、めぐねえ生存ルートから外れてしまいます、ので生存ルートに行く場合は一周目クリア後に解放される二周目ルートを選びましょう、その場合は「先輩」撃破後、ゆきが胡桃を止めた直後からの話になります》

《が、序盤の難易度はバリケード無し備蓄無し拠点無しなハードモードなので忙しいです。がそれを越えればめぐねえ生存ルートなので頑張りましょう、とりあえず操作キャラを選択です》

《まあ、一周目はチュートリアルと言われてる本作ですが二周目は全員から選べます、が100%クリアが目的なのでめぐねえで行きましょう》

《理由は後々説明します》

 

~~~

 

 

 日が沈みそうな茜色の空の下、黒煙が幾つも上がり日常からの剥離を嫌が応にも生き残りの彼女達へ突きつける。

 返り血に染まった胡桃は自らの状態に一旦抱き付く由紀を剥がし、備え付けの蛇口へ向かい顔と上着を洗い始める、同時に慈の背後のロッカーへの圧力が多少減り、視線をグラウンドに向ければ“帰宅”を始める“生徒と教職員”がノソノソと校門をくぐり外へ歩いて行くのが見える。

 屋上へ視線を戻せば遠くを眺める者、介錯した者を見詰める者、座り込んで自失状態の者…。

 

 自暴自棄になって泣き叫んでも可笑しくない状況でそうなっていないのは大人が居るからだ、自分が居るからまだ理性を保てているのだろう、そう察した慈は救助が来るまで生きる目的を与えるべく思考を巡らせる。

 教師になる過程で彼女は非常事態の時、救助がくるまでの間助かる為のアレコレを教育されておりまず水の確保と食料の確保が必須であり、次に僅でも余裕が出れば寝床拠点の確保が必要である事に思いあたる、後者は校内の一室を拝借するとして前者に関してはやたら品揃えの良い売店に厄介になれば良いがその後の事を考えれば何かしら外部からの調達が必要だろう。

 ともかく食料の確保は常識的な事から言えば基本であるが、忘れてはいけないのはここに居るのはあくまでも“守られるべき生徒”である事なのだ、しかし自分は満足に戦えるだろうか?

 先程の“戦闘”で頭部が弱点になり得るのは判ったがそれは噛まれ感染する事と隣り合わせになることに他ならず、一対一では何とかなってもそれ以上になれば恐らく無理である。

 何せ運動に秀でておりそれなりに広く逃げる事ができるであろうグラウンドから生きて避難できたのが胡桃だけなのだ、囲まれればその時点で運命は決するだろう、だがこれだけの惨事なのに、一向に聞こえてこないサイレン、繋がらない電話、遠くから響く唸り声は先程よりも増えた印象がある。

 

 対処をしなければならない、教師として、大人として。

 

 グッと拳を握りながら、課せられる責務を果たすべく重苦しい空気に支配され誰も話そうとしない屋上で、一歩前にでて両手をパンパンと鳴らし、注目を集め三人の視線が集中した所で当面の目標を発表する。

 

「みんなちょっと聞いて。こんな事態になった以上…助けが来るまで時間が掛かると思うわ。だからそれまでは私達自身で衣食住を用意する必要があるわ」

 

 普段より真剣味を帯びた慈の様子に生存者の三人は固唾を飲む、と同時に異常事態に夕方を過ぎており空腹が思い出したかのように自己主張し始めた。

 更に今日の寝る場所も無いことに気付かされた、現状安全に眠れるのは屋上しかないのである。

 かなり辛い状況にあるという指摘に屋上の空気の重さが倍ほどになるが、縋る瞳が3人分それを真正面から見つめ返す姿に何とか生きる為の希望を持たせる。

 

「だけど先生だけじゃ力不足だから、色々お願いする。…だけどとりあえず、“彼”をどうにかしないとね」

「胡桃さん」

 

「…ッ!」

 

 痛みを伴った指摘にビクンと体が揺れる、これからを考えるばかりに「彼」を忘れていた。

 否、あの“感覚”を何とか忘れようとしていた胡桃は側で倒れている“それ”を視界に収めすぐに目を綴じる、直視し続ければ精神の平穏を保てる気がしない…そんな気がした為である。

 そんな胡桃へ慈は状況からの推測ではあるが罪悪感を少しでも減らす為に優しげなトーンで告げる。

 

「…彼は貴女に生きて欲しがった…と思うわ、彼は貴女を突き飛ばしたでしょ?噛み付くのなら掴みかかった方がいいのに」

 

「あっ…」

 

「グラウンドでの事を見たなら彼は貴女を襲って…同じにするのを嫌がったのね、結果貴女は無事。彼も二度と貴女を傷付けずに済んだのだから…彼を救った、と考えて良いんじゃないかしら?」

 

「……そうっなのっ…かなぁ…?せん…ぱ…いぃぃ…」

 

 当然言葉だけで心の整理がつく筈もないし、今となってはそれが真実であるのか確かめる術もなく、やはりあの“感覚”を忘れることも出来そうにないが、それでも多少なり心を救われたのも事実であり知らずに溜まっていた涙を俯き流す、悠里が側によりなにも言わず肩を貸し、背中を撫でてそれを受け止める。

 彼女の沈痛な嗚咽が静かな屋上に響く…

 

 

~~~

 

「はい、会話イベントでした」

「このあと“メンタルダメージ”への解説や回復についての説明がありますが当然スキップです」

「要約するなら、ショッキングな事や常識的に不味いだろう、と思われる行動や選択肢を選ぶとメンタルダメージが入り、状態異常になります」

「めぐねえプレイ…だけではないですがそういった庇護対象たる生徒(兼仲間)三人のメンタル状態に気を配らなければなりませんので通常プレイだと安定するまではギリギリの生活になるでしょう」

「ちなみにプレイする上でじわじわながら一番効いてくるのはかれらを介錯する行為です、かつてはクラスメートだったかもしれない存在を倒すんです、そりゃ心にきます」

「めぐねえ自身の戦闘能力はゆきよりはマシ(ゆきが戦えないと言うわけではない)程度なので最前線に立つのは厳しいです、なので自然と最前線に立ち向かえる胡桃がメンタルダメージを受けて、回復しないと発狂→バッドエンドのコンボをくらいます」

「一応一人までの発狂ならバッドエンドにはなりませんが、一人が発狂により行動不能となるとなし崩し的に他メンバーの負担が増えてメンタルダメージが増大するので結果的にはもう一人発狂でバッドエンドです」

「ちなみに一周目(原作モード)ゆきのは“特殊発狂”扱いらしく、残りのメンバーへの負荷はそこまで増えません」

「それでは操作可能になりますので武器を入手しに行きましょう」

 

~~~

 

 

 しんみりとする重い空気の中、手持ち無沙汰の由紀はぐぅと自己主張する空腹に夕食の相談を現状唯一の大人であり担任である慈にしようと近付こうとすると彼女は“ブレながら前進”し、少し遅れてカッカッカッとコンクリートを鳴らず足音が耳に届く、ふわりと舞い上がる髪が視界の端に映り込みそちらへ視線を向ければ、驚いた表情をする悠里と胡桃の目の前で倒れた「先輩」を持ち上げ小脇に抱え、慈は再び残像を産み出しながらロッカーで封鎖された扉へ近付き、ロッカーをホンの少し動かして絶対に開かない筈のない隙間から扉を開ける。

 目を擦り何があったのか確認しようとしても、物理的に開く猶予が無い筈なのに扉は開いておりその向こうに“かれら”がワラワラと詰め掛け、こちらへ手を伸ばしてくる最中、「先輩」を抱えた慈はこちらへ振り返る、焦燥もないごく普通の表情をしておりそれがまた異様な物を感じさせる。

 

「丈槍さん、若狭さん、胡桃さん。ここで待機していてね」

 

 言い終われば、“かれら”は入ってこれない隙間から慈が建物の中へ侵入し、どういうわけか行動がワンテンポ遅い“かれら”を掻き分け「先輩」を抱えたまま先程の残像を産み出す移動をしながら階段を下り始め、詰めかけていた“かれら”は慈を追いかけてノソノソと同じく下り始める。

 

「……」

「……」

「……」

 

 沈痛な空気は消滅しなんとも言えない疑問符に満ちた沈黙が屋上を支配する。

 涙が完全に引っ込んだ胡桃は小さな小さな声で「なにあれ?」と呟くように言うがそれは残りの二人も同じ様で帰ってくるのはなにか根本的に大切な物がぶち壊された、そんな喪失感であった。

 

 

~~~

 

「はい、通称ゾンデレを利用して一気に一階まで移動してめぐねえカーから武器を入手します」

「原作にはない設定ですが二周目のオマケ要素って奴です」

「本来ならば一階一階ゆっくり解放して校内を制圧後から漸く入手できる武器ですが、「先輩」がある内に手に入れる方が早いのでそうします」

「「先輩」はイベントで発症しゾンビ化、直後に胡桃により介錯されますが、内部データ的には後に出現する救助可能生存者と共通らしく、死んでますが生存者です、そして負傷扱いでもあるらしく運んでいる状態だとかれらからの攻撃がワンテンポ置いた手加減する状態、それがゾンデレです」

「かれらからの攻撃対象にもなりませんので攻撃→感染がないので扱いやすい生存者(死人)です」

「屋上から出掛ける間際の待機命令はちゃんとしましょう、でないと着いてきてしまいます。閉じ込めてもワープして悲惨なことになりますので、基本的には待機オンリーでお願いしましょう」

「それと「先輩」以外の普通の生存者は抱える事は出来ません、キチンと重さが設定されていますので例えば男性を抱えて走るゆきの姿を見ることは出来ません、ですが「先輩」は生存者兼死体兼オブジェクト(イベント進行に必要)という代物なので今回はめぐねえが小脇に抱えましたが別にゆきでもりーさんでも出来ます」

 

~~~

 

 校内は血や肉片、靴や鞄が散乱し燦々たる有り様であり、悲鳴はなく何かを貪る音、這いずり回る音、呻き声、そしてタイルをリズミカルに靴が叩く音がやけに響く。

 屋上から三階、二階、一階と下る度にかれらの姿が減っていた、これはゲーム本体の性能的に30以上のかれらを同時に動かすのは厳しいためというハード的な理由であるが、そもそも原作からしてかれらを倒す爽快感を味わうための作品では無く助け合い非日常でも平穏に生きる、と言う主題のためキャラクター達はそこまで戦闘能力は高くなくても良いためそこまで問題にならかったのだった。

 

 しかし、100%ハッピーエンドクリアを目指す彼女はそんな事へ気を使う必要もなく無人の野を行くが如く正面玄関までを易々と突破し、正面玄関から軽く顔を出して辺りを窺い顔を引っ込め

 

 

「数が多い…車まで行けるかしら…丈槍さん。援護は任せますね」

 

「はい、任されました!」

 

 慈は彼女と彼女が抱えた死人しか居ない正面玄関とグラウンドの間、慈はさも屋上に居る筈の生徒がすぐ側に居るかのように名前を呼び、どこからか聞こえてくる声(勿論、彼女しかいない)に頷くと言う端から見れば正気を疑われる事をしていた。

 

~~~

 

「ここは本来ならば一階制圧後にやって来る場所で尚且つ仲間を連れていないと進めない様に設定されてます、なので一人だとグラウンドのかれらが多いため無理、と(勝手に)判断して武器を入手出来ないですが仲間の生存者がいると援護を任せて車まで行ける、と言うイベントなのですが」

「もちろんゆきは居ません、これは一番上の生存者枠がゆきに設定されているせいです。バグです。仕様から言えば「先輩」の名前を呼んで然るべしですが、相手は生存者設定の死人なので当然データがないのでこうなります」

「光景を想像すればかなり危険な人ですね。死体を抱えて居ない人の名前を呼んでるのですから」

「ともかく、これで車まで行けるようになりました」

「ちなみに数が多いとか言って居ますがグラウンドにはなにも居ませんみんな三階か二階でめぐねえを探しています」

 

~~~

 

 グラウンドに駐車場に誰も居ない中、慈は特に周囲の物を確認することなく分身を作りながら車まで直進、一切の妨害なく慈の所有する自車のミニクーパーまで無事到着、その場で立ち止まり突然普通に歩き出し周囲を見渡して車の影に倒れた彼らが居ないか注意深く確認、問題が無いことを確かめポケットの中に突っ込んであった車のキーを取り出しトランクを開ける。

 

「…こんな事に使う事になるなんて…本当ならいけない事、だけど…私は先生だから…守らなきゃ…」

 

 トランクスペースには木箱とジュラルミンケースが鎮座しており、慈は首に掛けられた十字架ともう一つのチェーンのジュラルミンケースの鍵を外して錠を解除しそれを開き、すぐには使えないように分解された“ウィンチェスターライフルM1873”をカスタムした代物で、細長い木製ストックにウィンチェスターの代名詞とも言えるレバーアクション機構、スラリと長く飾りっ気の無い110cmの所持する彼女とそう変わらない長さで、ずしりと感じる2500gのそれは平均的な女性である慈にはやや不釣り合いに見えるが迷いなく組み上げ、木箱の中身の金色の真鍮の弾丸を装填し真っ直ぐ正面へ構え姿は様になっており、左手でしっかりと木製グリップを握りながらループレバーを操作、30m程離れた立ち木を狙い引き金を引く。

 パァン、と軽い射撃音に衝撃を全身で受け流しもう一度レバーを操作し装填、金色の空薬莢を排出し動作に問題が無いことと狙った場所に命中したことに安堵し、白煙を引く銃口を自車の上に置いて整備に必要な物をトランクから出そうと作業を始めるがザリッと地面を踏み締める音と呻き声が静かな駐車場に響き、由紀の切羽詰まった悲鳴が慈の耳に届き視線を上げれば恐らくは教職員であったと思われる背広を着た彼らがフラフラと迫りつつあり、ライフルを急いで取り何かを庇うようにそれに銃口を向け狙いをつけ少し後ろに顔を向けて口元に微笑みを浮かべ励ますべくなるべく優しい口調で語りかける。

 

「大丈夫よ丈槍さん、先生。射撃得意なの」

 

「めぐねえ…」

 

~~~

 

「無事めぐねえ専用武器のウィンチェスターを入手しました、で先程までは何も居なかったのに突然湧きましたが射撃の的です」

「更に言えばウィンチェスターの使い方のチュートリアルなのですが勿論、スキップですさっさと脳天にぶちこんで楽にして上げましょう」

「そして居ない生徒と会話をして庇うめぐねえ…ゆきは屋上です、そこには居ません」

「あと、なんでウィンチェスターなのかと言えば威力があるでも無双しにくいレバーアクション機構、レトロな銃が似合いそう…という理由だそうです。まぁ一番は開発陣の趣味だから、でしょう」

 

「では武器を入手したところで今回はここまで、次回part3 拠点製作~校内掃除でお会いしましょう」






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