「・・・・・・・・お、・・・・はよ・・・・う・・・・」
「うむ、おはよう。今回はすまないな、急だっただろう?」
「・・・・・・・・・・・き、・・に・・・・しない・・・・で」
「しかし意外だ。エレーナちゃんが了承するなんて」
「・・・・・・・・・・・・・だ、・・・だ・・・・って・・・・・・」
「ん?」
「・・・・・・・海、・・・・・・・いき・・・・・・た・・・かった」
「そうか、オレも行きたいと思っていた」
「・・・・・・・え・・・・・・?」
「エレーナちゃんと親睦を深めたい気持ちもあるが」
「・・・・・・・・・・・・・・・ホワァ・・・・・・」
「井久に元気になってもらいたいんだ」
「・・・・・・・・・・・・?」
「アイツとは中学の頃からの付き合いだが、まともに遊んだことがないんだ」
「だから・・・・・・」
「・・・・・・・オレの自己満足かもしれないな・・・・・」
「・・・・・・・・・・し、・・・しみ・・・ず・・・・さん?」
「お!他も集まってきたな!!」
「お~~~い!!!こっちだ~~!!!」
今日も元気な太陽さんだなぁ・・・。俺の頭を容赦なく焼きやがるぜっ。もぉ、お天とさんめぇ、いたずらっ子だなぁ。
「太陽なんて消し飛べばいいのに・・・・・」
「・・・・突然物騒なこと言わないでください」
「・・・・どうした?いつものツッコミに覇気がねぇぞ・・・・・」
「井久さんこそ・・・、いつもよりボケが・・・・・・」
「・・・・・・・ボケがなんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・おい」
「・・・・・すいません、意識が・・・」
「馬鹿・・・・、水飲め・・・!!」
「・・・・・・・そうですね」
何で脱水症状起こす寸前まで何も飲まねぇんだよ。っつか、今日は本気でおかしいぞ。
今は、文化祭も終わって秋に入ろうかって時だぜ?最高気温が七月と変わんねぇって狂ってるだろ。
まぁそのへんは異常気象で済ましゃいいけどな。
今の季節に海にいるこの状況はシュールだな。よりにもよって、ここがフランチェスカ一家の所有地ってんだから、世の中わからねぇぜ。
「井久さんもおかしくなったんですか?さっきから独り言が激しいですよ?」
「気にすんな・・・・・俺の・・・・癖だ・・・」
「ボケるの忘れてますね」
「・・・・・うるせぇ・・・頭が働かねぇんだ・・・」
「だったら、泳いでくればいいじゃないですか。人なんてワタクシ達しかいませんよ?」
「いやぁ・・・・海には入ってはいけない病が・・・」
「それ、臆病って言うんですよ」
「泳げねぇんじゃねぇよ。ただ、美玖とかエレーナが水着着てっから、襲いかねねぇだろ?」
「最低ですね」
「そういえばお前の水着、可愛いな」
「へっ!!な、なな何をいきなり!!」
「いや、実際可愛いよ。水玉なんて」
「ほ、・・・・本当ですか・・・?」
「子供っぽいと思う。体形とか―――グボハッ!!!」
「さ、最低ですねっ!!」
・・・・いい拳じゃねぇか。世界ぐらい狙えんじゃねぇか?
「今のは冗談として。俺はもっと地味なやつかと思ったんだ」
「・・・・・例えば?」
「ふんどしとか?」
「ワタクシは相撲取りですかっ!!いや、相撲取りでも水着を着ますよっ!!」
「・・・・ふぅ・・・満足満足」
「・・・・ワタクシは貴方の一体何なんですか・・・・」
何なんだと聞かれて、素直に答えるかよ。世の中そんなに甘くねぇぜ?覚えときな、お嬢ちゃん?
「・・・・・・井久さん」
「なんだ。トイレか?」
「・・・・・・・敢えて何も言いませんよ。。。井久さんは好きな人はいますか?」
「いねぇ。何で、んな事訊くんだ」
「・・・・・・・」
・・・・・はぁ、苦手なシリアスに入っちまうな。何とかしねぇと。いっそのこと、海に飛び込むか?
「質問を変えます。どうして―――」
「さって!海にでも入るか!干からびちまうしな!!」
よしっ!!これで回避したぜ?フラグなんて片っ端からへし折ってやる。
「待ってください!!」
・・・・・・・くっ、腕を掴むとは。・・・卑怯じゃねぇか。
「どうして・・・・彼女を作らないんですか?」
「・・・・・美玖のこと言ってんのか?」
「そうです」
「・・・・・・・・・どうせ聞いてたんだろ?」
「・・・・・何を・・・・ですか?」
「花火大会の日だ」
「・・・・・・・・・・・」
「俺の気持ちを省きゃ、・・・そういうことだ」
「ですがそれは・・・」
「俺はいらねぇんだ。美玖も俺を諦めるって言ったしな」
「・・・・・・・・」
「これでいいんだ。恋愛アンチなんかじゃねぇ・・・・」
「ただの・・・・シスコンだ」
「おいっ!!リア王!!俺も混ぜやがれっ!!!」
「うむ!!喜んでいれるぞ!!」
「イックン、バレーできるの?」
「見くびるなよ。俺のコントロールさばきは全国三位だぜっ!」
「・・・・・・・・・そ、・・・れ・・・・ゲー・・・ム・・?」
「なんだ、ゲームか。一瞬本当なのかと」
ありえねぇだろ・・・。気づけよ普通に。くそっ、やっぱツッコミはいねぇな。・・・日野じゃねぇと勤まんねぇ。
「うっし、俺からサーブな!」
「ああ」
「オッケ~」
「・・・・・・・ど、・・・うぞ」
最高気温三十一度の猛暑、もとい残暑の中。海水浴を楽しむ五人。
二泊三日、祭日をはさんだ旅行は、波乱を読んだ・・・・・のかもしれない。
「井久さん・・・ワタクシ・・貴方のこと・・・・・」
少女のつぶやきは、海のザザ波に消えてゆく。