楽しい海旅行も終わり、くっだらない学校生活が始まった。別に海旅行が楽しかったわけじゃねぇけど・・・、一日中授業を受けるよかいいな。
そういえば最近日野の態度が一変したんだよな・・・。
「よう、日野」
「あ、え、・・・お、おはようございますっ」
「いやぁ、俺最近さ、ゲートボールしようかと思ってんだけどさ」
「そ、そうなんですかっ」
「なんたってもうこの歳だろ?」
「は、はぁ」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
ツッコミはどうしたぁぁぁああ!!
ったく何ボーッとしてんだ!俺はテメェの鋭いツッコミを待ってんだぞ。ボケを放置してんじゃねぇぞ。
っとまぁこんな感じになっちまったわけだ。何が原因なんだと言われりゃ分からねぇわけじゃねぇんだよな・・・。
けど、ありゃ好感持てねぇだろ?アイツの中でどう変換されてんだか。
変わった事と言や、晴臣とエレーナの距離が縮まってんだよな。
やたらと最近話すようになってるし。成就するといいな。まぁリア王だし問題ねぇか。
・・・・死体として新聞に乗らなきゃいいな。
「イックン、何か今日独り言多くない?」
「気にすんなっつったろ?俺のアイデンティティーなんだからよ」
「そう?」
変わらねぇのはコイツぐらいか・・・・。
「ねぇねぇ、今暇でしょ?」
「いいや、独り言で忙しい」
「それは忙しいとは言わないよ。お客が来てるのに放置っていうのは酷いんじゃない?」
「テメェが勝手に家に来たんだろうが」
「あっ、そういうこと言うんだ?」
んだよ、客として迎えて欲しいんなら菓子折りの一つでも持ってこいってんだ。
「これ、あげないんだからねっ?」
って持ってんのかよ・・・。まぁどうせポテチとかそのへんの駄菓子か何かだろ?ビニール袋にいれて見えなくしてるつもりだろうが、テメェの考えはお見通しだっつーの―――
「―――――カステラ!!?」
「そ、おばあちゃんが長崎に行って来たんだって」
「マジかよ・・・、年寄りのくせにやるなぁ。いや亀の甲より年の功ってやつか」
「しかも長崎だから本場だよ!」
「うしっ!紅茶でも淹れてやっか」
「やった!」
たまにはこういうもんも悪くねぇな、マッタリ生きるってのも。
うん、カステラのしっとりとした生地にしつこくない甘さ。紅茶との相性は抜群だな。
特にグルメリポーター目指してねぇけど、感想を言うぐらいはいいだろ。
「お前のばぁちゃんにお礼言っといてくれ、美味かったって」
「うん、きっと喜ぶと思う」
「それより、お返しの方がいいか?」
「ううん、おばあちゃんイックンに食べさせて、って言ってたしお返しいらないんじゃない?」
「言っとくが、俺は熟女趣味はねぇぞ?」
何故か知らねぇが、コイツの祖父母に好かれんだよな・・・・。美玖がよく話すってのもあるんだろうが、初対面でかなり貰いもんがあったっけ。
「井久、電話」
「は?俺に?誰だよ」
わざわざ、家電話でかけてくる奴なんていねえだろ・・・・。
「出ればわかるわよ」
「ったく・・・」
晴臣か?いや、アイツは携帯番号しか知らねぇはずだ。じゃあ誰だ?親戚に俺と親しいやつはそんなにいねぇぞ?
「もしもし」
「あ、井久?アタシアタシ!」
「詐欺なら間に合ってます」
「ちょ!!待って切らないで!!」
「誰だよテメェは・・・」
「あ~、侵害だなぁ・・・、顔を忘れるならまだしも声を忘れるなんて」
「・・・・マジで誰?」
「イックンのお姉ちゃんだピョンっ―――――」
―――――ガチャっ
・・・・・・ったく悪質な嫌がらせだぜ。
俺には姉弟なんて居ねぇつの。まぁ架空でもお姉さんと話せただけでもいいことにしよう。
・・・今日はいい夢見れそうだ。
―――――プルルルルル
「もしも―――――」
「酷っ!!我が弟ながら酷い!!」
「俺の理想の姉像が壊れる前に、イタズラをやめとけ」
「イタズラじゃないって、もうすぐそっちに帰るから覚悟してなさい?」
「意味がわからん」
「そうだ、明日暇?」
「平日だろ?学校だ」
「じゃあファミレスで落ち合おう?」
「話聞いてんのかよ・・・・。学校だ」
「じゃあ学校で?」
「はぁ・・・・・もういいよそれで・・・」
「よし!じゃあ学校の校門前で」
「ああ・・・・わかった」
―――――ガチャっ
ったく、新手の詐欺か?まぁ詐欺にしても、学校に行くことには変わりねぇし。いないならいないで、どうでもいいか・・・。
「どうだった?お姉ちゃんとの会話は」
「あのなぁ、いい年こいてあんな安っぽい詐欺に引っ掛かんなよ・・・」
「詐欺?何言ってるの?」
「は?それはこっちのセリフだろ」
「井久、忘れたのか?お姉ちゃんのことを」
「おいおい、父さんまで何言ってんだ?もう年か?」
「そうだなぁ・・・最近物忘れもひどくて―――――ってまだ俺は四十だぞ!?」
四十にもなってノリツッコミすんなよな・・・。
「井久、本当に忘れたの?」
「だから・・・・!!」
「そんなに疑ってるなら、家系図でも渡したらどうだ、母さん?」
「それもそうね」
「・・・・待て、俺に姉が居んのか?」
「さっきからそう言ってるでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「おい、井久?」
「あら、固まっちゃった」
開いた口が塞がらない。まさにそんな状態だった。
当然の発表に井久の心は、戸惑い、焦り、迷いでいっぱ―――――
俺は、シ、シス・・・シスコ・・・・・お姉ちゃ~~ん!!!!!
そんなものは杞憂だったらしい。
「もしもし」
『もしもし?母さん?』
「あら!夜弥?久しぶりね、そっちの生活はどうなの?」
『ん~、まぁまぁかな』
「ちゃんとご飯食べてる?歯も磨いてる?お風呂とか―――――」
『母さん、超過保護になってる・・・・』
「あら、ごめんなさい」
『大丈夫、明日には帰ろうと思ってるから』
「あらそう!!迎えに行こうか?」
『いい、こっちに車あるし、免許取ったんだ』
「そう、成長したわねぇ・・・」
『おばあちゃんみたいになってるよ・・・・』
「そうそう、井久に変わるわね?」
『井久?いるの?』
「ちょっと待っててね」
『井久かぁ・・・・・・懐かしいなぁ』
『さて、どう苛めてやろうかなぁ・・・』