「昨日の不穏な電話から一日が過ぎて、今現在、学校の門の前にいるんだが。」
「時刻は七時半、いろんな生徒が門を潜っていくが未だ『姉』だという人物には会えていない。もしかするとあの電話は嘘だったのかもしれない・・・。」
「そんな不安を残しつつ俺は身だしなみを整えている。特別緊張しているわけではない。いくら身内だとは言え、汚い格好で迎えるのは失礼だ。」
親しき仲に礼儀ありってな。
「念のため発声練習でもしておこう」
・・・あーあー・・・ん゛っコホン・・・・あーあーあーテステス・・・・
お姉さん、お姉ちゃん・・・お姉さま?・・・姉ちゃん・・?・・・姉さん?姉貴?姉御・・・・?○○姉ぇ?
「イックン・・・、何やってんの?」
あーあー・・・何って、発声練習に決まってんだろ
「そう応えながら喉の調子を確かめる」
「・・・あの、セリフと呟きが逆になってるよ?」
「―――――っ!!別に緊張してんじゃねぇからな!!」
「話が掴めないから疑いようもないんだけど・・・・」
「・・・今からある人が来んだよ」
「ある人って?」
「・・・・・・・姉ちゃん」
「うそっ!!?」
「は?」
「・・・・・・帰ってきたんだ」
おいおい・・・・んだよそれ、マジな方で詐欺じゃねぇのか?俺に姉・・・・。
嘘だろ?疑ってた俺は一体・・・・。
「テメェは知ってんのか?」
「懐かしいなぁ・・・・元気かなぁ・・・」
「待て、勝手に感傷にふけってんじゃねぇ!わかるように説明しやがれっ!!」
「え?どゆこと?」
「いや、それ俺のセリフ」
「まさか忘れたの?実の姉の存在を」
「記憶にねぇぞ・・・、俺はシスコンだからそんなバラ色な記憶を忘れるわけねぇし」
「それもそうか・・・、イックン―――――」
「そこまでだ!!!」
「誰!?」
ヒーロー漫画かよ・・・。つかそんなのに反応すんなよ。
「ここからは私が相手だっ!!」
「ああっ!!!」
変な奴が来やがったぞ、おい・・・。しかもジョジョ立ち・・・・って。
「・・・・まさか、テメェが・・・?」
「その通り!!ここからは私、荒峰夜弥《ヤミ》が相手だ!!!」
「久しぶり~~」
「・・・・・・・」
「ミクちゃんおひさ~~」
「帰ってきたんだ?」
「そ、お姉ちゃん帰ってきの~」
「もしかして、イックンに会いに?」
「ちょっと待てよ・・・・、テメェら一体どうゆう関係なんだ」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「なに黙ってんだ!?」
「積もる話は場所変えてしようか、弟よ」
「はぁ!?」
「ミクちゃ~ん、先生に井久の欠席を伝えといて~」
「はぁ!!?」
「わかった~」
「テメェも納得すんなよ!!」
「それじゃあ行こう!ファミレスへ!!」
「引っ張んなよ!!」
ったく何なんだよこれはぁぁぁああ!!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
これが俺の姉・・・。似てるとは思えねぇけどな・・・。
「井久さぁ」
「ミクちゃんと付き合ってんの?」
「第一声がそれかよ・・・」
もっと重要なのがあんだろうが。近況報告とか。
「それもそうね、私の名前は―――」
「そんな初歩的なところじゃねぇ!!」
「・・・・・・・・」
「お姉ちゃんだピョンっ」
「おちょくってんのか・・・・?」
「さすが弟!相手を突き放すような言動ッそこにシビれる!あこがれるゥ!」
ダメだ・・・。俺から本題に行こう。
「アンタ誰だ・・・?俺の姉ってんなら、証拠があるのか?」
「血液」
「どうやって計んだよ・・・・」
「何と!ここに妙な液体の入った注射器が!?」
「拾わねぇぞ・・・。何で俺の記憶にテメェが居ねぇんだ?」
「波紋を使って記憶を消し―――」
「ふざけんな」
「はぁ・・・・わかった・・・・・つまんないなぁ」
本当に血が繋がってんのかよ・・・。いや、父さんとノリが似てるしな。
「本当は、スタンドを使いました」
「まだジョジョネタ引っ張るかよ・・・・」
「で?何が聞きたい??」
「・・・じゃあ、何で俺にアンタの記憶がねぇんだ?」
「それ聞くゥ??」
「何かまずいのかよ」
「いや、もっと根本的なこと聞くのかと思ってさァ」
「根本だろうが・・・。シスコンの俺が姉ちゃんの存在を忘れるはずねぇだろ」
「そっかぁ・・・シスコンか」
「シスコンってことは、結婚したいの?」
「そりゃもう!!」
「へぇ~」
なんだよ、その冷め切った目は!?
「じゃあ姉である証拠はねぇのか?」
「それだったらこれどうぞ」
ん?なんだこれ、・・・・・戸籍謄本?・・・・母さんの名前に父さんの名前・・・・俺も・・・・。
「荒峰・・・・やみ・・・・」
「どう?信じる?偽造じゃないんだけど」
疑うもなにも戸籍の偽造って・・・、見分け方知らねぇし。
「・・・・わかった」
まぁ色々親戚の名前とか書いてあったけど、とりあえず血縁なのは理解できた。
「私は人間をやめるぞ!井久ーーー!
わたしは人間を超越するッ!井久、お前の血でだァーーーー!!!」
「うるせぇよ・・・・、客に迷惑かかんだろ」
「つまんないなぁ・・・」
はぁ・・・姉っていうからもっと大人っぽいのかと思ったら・・・。こんなガキっぽいとは。やっぱ現実ってのはこんなもんか・・・・。
「んで?俺に記憶がねぇのは何なんだ?」
「さぁ?多分一緒に遊ばなかったから?」
「何で疑問系なんだよ・・・・」
「さぁ?私ミクちゃんの方が素直で好きだった、とか?」
「だから何で疑問系なんだよ・・・・」
「実際、仕事が忙しかったのよねぇ」
「仕事?姉ちゃん年幾つ?」
「十万とんで二十四歳」
「二十四か・・・・・っていつから仕事してんだよ?」
「十歳」
「そこ十万入れねぇのかよ・・・・。つか十歳!?」
ってことは俺が三歳の時には仕事してたって!?何の仕事だよ・・・。
「ちなみに闇会社じゃないからね?」
「だろうな」
「だって・・・・お姉ちゃん・・・まだ処女だもんっ」
「マジ―――――だ、だからなんだよっ!!」
「うわぁ・・・・ホントにシスコンだよこの人・・・」
くっ・・・俺のバカ野郎、反応してんじゃねぇよ!!
「けどっ!俺はシスコンってことに誇りもってんだ!!」
誰がなんと言おうとも貫き通す!!
「まぁ、今までほっといたんだし・・・・仕方ないか・・・」
「・・・・姉ちゃん」
「私も井久のこと大好きよ、愛してる」
「・・・・あ・・・・ほ、・・・本当に?」
「うんっ、恋愛感情として」
おいおい、何かの冗談か?それとも夢か?だったら覚めないでくれぇぇぇええ。
「結婚してるけど」
「俺の純情を返せぇぇェエエ!!!さっきまでのトキメキごと返せェェエエ!!」
「欲しいなら奪ってみたら?」
「・・・・グスッ・・・どういう意味だ」
「今旦那と別居中で少なからずフリーよ?」
「リトライのチャンスを申込みますっ!!」
ファミレスの窓際の席で一人の少年が再戦を申し込んだ。
お客の迷惑も気にせず、叫んだ。
唐突に現れた姉・夜弥。
果たして今後の展開はいかに・・・。
「ミクちゃんはいいの?イックンの事好きだと思うけどなぁ」
「いいんだよ・・・アイツは。だってさ、姉ちゃん」
「俺は、―――――シスコンなんだから」
「ん?今何の仕事してるかって?」
「・・・・いや、訊いてねぇし」
「今ねぇ~~ソ○ーで商品開発部やってる」
「いつも!お世話になってますっっ!!!」
「いやいやぁどもども」
「ちなみに姉ちゃんが造ったのって?」
「あ~・・・・今ので言うと・・・・薄型系?」
「ますます世話になってます!!!」
「いやいやぁ、開発部って言っても何もしないし」
「それでもすごいだろ・・・」
「そうそう、同じ部署にロバート・フランチェスカってのがいてさぁ。
その人がまたすごい人でさぁ~」
「ふ・・・・・フランチェスカ・・・?」
「そ、イギリス人。で、その人がさぁ録画機能ってのを提案した人でさぁ」
「その人って・・・娘いない?」
「確か・・・・そんなこと言ってたような」
「・・・・そういう繋がりがあんのかよ」
「どゆこと?娘さん知ってるの?」
「・・・クラスメートだ」
「ホントにぃ!!?じゃあ学校行こう!!」
「行かねぇよ・・・」
「ふるえるぞハート!燃えつきるほどヒート!
おおおおおっ!刻むぞ血液のビート!」
「・・・・もういいって」