「うん、何でもお姉さんと話があるんだって」
「お姉さん?井久さんは一人っ子なのでは?」
「ううん、イックンには姉がいるよ」
「ですが本人は一人っ子だと・・・」
「あ~・・・・いろいろあってね、忘れてるんだよ」
「シスコンなのにですか?」
「イックンがシスコンになる前の話だから」
「ん?井久がどうかしたのか?彼が休んだ理由か?」
「えっと・・・・」
「井久さん、お姉さんと出かけたようです」
「ふむ、では休んだのも納得がいくな。しかし井久は一人っ子だろ?」
「その・・・・」
「何か理由があって自分を一人っ子だと思い込んでいたみたいです」
「思い込みか・・・・、シスコンになったのが小学校ぐらいと言っていたしな。
・・・・だとすると思い込んだのはそれより前・・・・」
「あのさ!その話やめようっ!?」
「何故だ?」
「だって、本人のいないところでそういう話はよくないでしょ」
「確かにそうですね」
「では、続きは井久がいるときに」
「え?」
「そうですね、それでしたら美玖さんも気楽に話せるでしょう」
「・・・・え?」
「・・・・・ホントに来やがった」
んだよ、俺の姉は有言実行タイプかよ・・・・。マジで血ぃ繋がってんのか?まぁ戸籍では姉弟になってたし、嘘じゃねぇんだろうけど。
でも、いくら同僚の娘に会いたいからって弟の学校に行くか、普通?
「わざわざ気を効かせて放課後に来てやったでしょ?
お姉ちゃんの計らい、グッジョブっ!」
「グッジョブじゃねぇよ・・・ったく」
「それでぇ、どの子がロバートの娘さん?」
・・・・知らねぇのかよ。
「見りゃ一発で分かんぞ、外人顔ってやつ」
「英国顔のカワイ子ちゃんねぇ・・・」
実感がねぇな・・・・。今、目の前に俺の憧れた『姉』がいるってのに妙に冷静なんだもんな・・・。本能的に『近親相姦』ってのを防いでんのか?
だったら、まずはその間違った幻想をぶち殺そうか・・・・。
「姉ちゃん?」
「どした?カワイ子ちゃん見つかった?」
「姉ちゃんの好きなもんって何」
「エ○メスのバッグ」
「セレブかっ!!もっとこう・・・何か・・」
「何が言いたいの?あっ!イケメンはっけーん!!」
「なんつーか・・・もらって嬉しいもんとかさぁ」
「じゃあ、愛と勇気」
「・・・・・いらねぇだろ、絶対」
・・・・・ふざけてやがる。いや、おちょっくてるな・・・。
「あれ?井久はシスコンじゃないの?愛くれないの?」
「じゃ、じゃあ俺が姉ちゃんに愛をやったら、もらってくれんのか?」
「状況と心境次第では」
・・・・・・何だ?この感覚・・・、俺、振り回されてんのか?だとしたら・・・。
「俺、頑張りますっ!!」
「ねぇ、井久、あのイケメン誰?」
イケメン?俺の知る限りじゃ一人しかいねぇけど・・・・・って、テメェか。
いつものことながら、眩しい笑顔で颯爽と歩いてんじゃねぇよこのリア王が・・・。
「アイツは・・・・リア王だ」
「リア王!?」
「ああ、リア充の頂点に君臨するリア充だ」
「ってことは・・・・一夫多妻・・・?」
「裏ではそうかもな・・・けど表じゃ」
「独り身のフリ?」
「しかし、その実態は・・・・」
「・・・・・その実態は?」
「・・・・・ゲイだ」
「な、何!?」
「そうまさに!!」
「一夫多夫!!?」
「井久?」
「晴臣!!?」
「何で姉ちゃん知ってんだよ!!」
「そちらが井久のお姉さんか?」
「荒峰夜弥です。通称、夜弥たん、よろしく」
「通称はいらねぇっての」
「清水晴臣です」
「んでハルくんさぁ?」
・・・・・早速あだ名で呼ぶのかよ。
「彼氏いんの?」
・・・・おいおい、マジで信じてんのかよ・・・。ってか本人に直かよ。
「彼氏はいないが・・・?」
「晴臣、姉ちゃん相手に真面目に取り合うな」
「ん?つまり今のは冗談か?」
コイツもコイツで、本気にしてたのかよ・・・。冗談以外であり得るかよ。
「ハルくんさぁ、フランチェスカって人知らない?」
「フランチェスカ・・・・?エレーナちゃんか」
「そうそう、そのエレーナちゃんを連れてきてくんない?」
「まぁ構わないが・・・・」
こいつはオレオレ詐欺に引っかかるタイプだな・・・。目を覚ませ、誘導されてることに気づけよ?
「しかし、何故か理由を聞きたい」
「会いたいから」
「知り合いなのか?」
「会わせてもらえればわかる」
「いくら井久の姉とは言え、見ず知らずの人間に
友人を会わせるわけには行かないな」
なかなか食い下がるじゃねぇか、さっきの言葉を撤回させてもらうぜ。
「じゃあ本人に、お父さんの知り合いが来たって言って?」
「・・・・・分かった」
「いやぁ、なかなか頑固なイケメンねぇ」
「いや、最初から知り合いだって言えばよかったじゃねぇか」
「・・・それもそうか」
・・・・・・・・ったく何考えてんだか。
「・・・・・・・・・・・だ、・・・・・れ?」
「エレーナちゃ~んっ!!」
――――――――――ギュッッ!!
「・・・・・・・・・っ・・・」
「井久、本当に知り合いなのか?」
「いや、実際は会ったことねぇんだと」
「だが・・・」
「エレーナの父さんと知り合いなんだと」
「まさか、同僚か?」
――――――――――ギュゥッ!!!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ」
「そのまさかだ・・・」
「・・・・井久の姉はすごい人なんだな」
「......It so cute(・・・・カワイイなぁ)」
「しかし美玖ちゃんから聞いたが
何故井久は姉の存在を忘れていたんだ?」
「知らねぇよ・・・。そんなもん・・・・俺が聞きてぇぐらいだ」
――――――――――ギュゥゥゥゥゥゥゥ
「いつまで抱きついてんだよ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・気絶してんぞ」
ご愁傷様。後で晴臣にでも介抱してやろう・・・。