「おう、美―――――」
「美玖ちゃーーーーん!!!」
―――――――ギュッ
ってかまだいたのかよ・・・・。いい加減登場してくんなよ。話が進まねぇだろ。
「うっ・・・・久しぶり・・・夜弥ネェ」
「久しぶり~」
「井久さん・・・・この方って・・・?」
「何だテメェもいたんだな」
「ワタクシを勝手に影薄いキャラにしないでくださいっ」
おっ、いつものツッコミじゃねぇか。
「わりぃわりぃ、あれが俺の姉ちゃんだ」
「そうなんですか、てっきり暗い方かと思ってました。井久さんだけに」
俺がネクラだって言いてぇのか・・・・・。
「姉ちゃんはエレーナの父親と同僚なんだと」
「ということは、大企業で仕事をしているんですね?」
「まぁな」
ふっ、俺の自慢の姉だ。崇めていいぜ?讃えていいぜ?拝んでもいいぜ?さぁテメェはどうしたいんだ?
「井久さんの身内だというなら、挨拶をしなければ」
・・・・やめといたほうがいいんじゃねぇか。エレーナや美玖のことがあるし。
「あの井久さんのお姉さんですか?初めましてワタクシは―――――――」
「カワイコちゃんゲッチュ!!!」
―――――――ギュッ
「え?」
「すりすり~」
だから言わんっこっちゃねぇ・・・。
「夜弥ネェ相変わらずだね」
「俺に聞くなよ、わからねぇんだから」
「・・・・・・・・そ、そっか」
んだよ、その意味深な感じ。気になるじゃねぇか。
「テメェは知ってんだよな」
「そ、それは・・・・」
「姉ちゃんの好み」
「・・・・・・え?」
何驚いてんだよ、俺がシスコンだってのを忘れちまったのか?
「知ってんだろ?何が好きで何が嫌いか」
「・・・・ま、まぁそれなりに」
「うしっ、なら付いて来い」
「え?どこに?」
何聞いてたんだ?テメェの耳はただのピアス付けじゃねぇだろ?
「決まってんだろ?デパートだ」
「あれ?イックンデート?」
「「え!?」」
何日野まで驚いてんだ?関係ねぇだろ。
「まぁちょっくら買いもんして帰っから」
「そ、んじゃねぇ~」
「・・・・・井久さん」
「こらこら、よそ見しちゃいけないぞぉ。
そんな悪い子にはお仕置きしちゃうぞっ☆」
まぁあの辺は放っておこう。
「これなんかどうだ?」
「・・・・・えっと・・・・」
ん~俺にはセンスってもんがねぇからな。つーか、女の欲しいもんなんざ男が分かるわきゃねぇもんな。
「やっぱこれか?」
「・・・・・・・・・」
「じゃあこれだ」
「・・・・・・・・」
「・・・・・おい何黙ってんだ」
「え?いや・・・どうしてここに来たのかなって」
「は?アクセサリーってのは貰っても嬉しくねぇのか?」
だとしたら、だいぶ計算が狂うな・・・。
「じゃなくて目的は?」
「は?姉ちゃんのプレゼントだけど?」
「・・・・・・・・・・・ですよねぇ」
んだよその反応は・・・・。
「帰ってきたお祝いに何か貢―――プレゼントしてやろうってんだぜ」
「夜弥ネェ喜ぶといいね・・・・・・」
「ああ、だから選ぶの手伝ってくれ」
「・・・・・ハァ・・・わかった」
デパートに男女が二人。
デートに見えなくもない雰囲気を醸し出しながらも、一方は実の姉のためだった。
はたして、井久の思いは夜弥に届くのか。
「お前さ、こっちとこっちどれがいい?」
「え?私の好み聞いてどうするの?」
「いいから選べよ」
「・・・じゃあ・・・・こっち」
「そっか」
「・・・・・え?どうして二つ持ってくの?」
「は?何言ってんだ一個は姉ちゃんにやって、もう一個はお前のだろ?」
「・・・・・・・・え・・・?」
「付き合ってくれたお礼だ。素直に受け取っとけ」
「・・・・・・・・・・・・・うん」
「・・・・・・はわぁ・・・・」
「いつまで眺めてんだ」
「え!?あ!いやこれは・・・その・・・」
「フッ、テメェそんなもんで簡単に釣られんなよ?」
「だ、大丈夫だもんっ」
「そうかよ・・・・」
「・・・・・・・・・」
「あっ、そういや近々お前の誕生日じゃねぇか」
「・・・・・・・・あ」
「わりぃな何か安いアクセサリーなんかやっちまって」
「べ、別に・・・いいよ」
「そっか?まぁ・・・・なんだ・・・・・」
「誕生日・・・・おめでとう」
「・・・・・うん・・・・・・ありがとっ」