「何ですか・・・藪から棒に」
『いや、こういうのは女に聞いたほうがいいだろ?』
「それもそうですけど・・・・、誰に贈るんです、美玖さんですか?」
『んなわけねぇだろ、もっと身近な奴だ』
「もっと身近・・・?晴臣さんですか?」
『男にやってどうすんだ』
「だとすると・・・・もしかして!?」
『勘違いすんな、姉ちゃんにやるんだよ』
「・・・・・・・・・・・・ですよねぇ」
『で、どうなんだ?』
「ワタクシは井久さんのお姉さんをよく知らなんですけど・・・」
『ナントナクでいいから、何言われると嬉しい?』
「何が嬉しいかと言われれば・・・・お礼・・・ですかね。
日頃の感謝なんかを言えばいいのでは?」
『いや、十四年間居なかったんだけど』
「でしたら・・・井久さんはシスコンですので・・・・・
・・・・告白・・・・とか」
『・・・・・・・』
「さ、流石にないですね。適当なことを言ってしまいました、すみませ―――」
『おおぉ!!それいいな!!!』
「・・・・・・え?」
『うしっ、俺姉ちゃんに告ってくる!!』
「・・・・あの・・・・本気ですか?」
『ああ!上手くいくことを願っててくれ!!!』
―――――――ツーツー・・・
「・・・・・願えるわけ・・・・・ないじゃないですか」
「「愛娘、お帰りなさいパーティー!!!」」
―――――――パンッ!パンッ!!
「それではまずご本人からの挨拶です」
「え~、今日はお日柄も良く私の為にこんな披露宴を設けさせていただいて
ありがとうございます」
結婚式のスピーチかよ・・・・。そんなどうでもいいボケはいいんだよ。
「え~皆さんの目の前には豪勢な食事が並べられておりますが、
これも全て私のために用意させていただいたとの事で、大変恐縮です」
「・・・・スピーチ長ぇよ」
「こらっ井久、そういうこと言わないの」
「そうだよイックン、せっかくの披露宴が台無しだよ?」
・・・・・ったく、何でコイツもいんだよ。
「長話もなんなので・・・・・ここで私の昔の話などを―――――――」
「まだ続けんのかよっ!!」
「指摘が入ってところで、早速スピーチを終了して、食事に入りましょう」
ここまできて、分からねぇ奴がいるかもしれねぇから説明しとくが・・・。
今日は夜弥姉ちゃんが帰ってきたことを記念して、パーティーをしてんだ。勿論俺の家で。
・・・・一人家族じゃねぇ部外者もいるが、美玖については姉ちゃんが誘ったんだとか。
まぁんなことはどうでもいい。俺が今日やるべきことは決まっている。
姉ちゃんの好感度を上げ、告ること。
好感度は上げなくてもいいけどな、一応念のために保険を掛けておく必要があっからな。
勿論、プレゼントは忘れねぇよ?渡しながら告白すんだよ。あくまでさりげなくな。
ちなみに豪勢な食事ってのはすき焼きだ。
「ほら姉ちゃん、卵」
「あ、ありがとっ。気がきくねぇ」
「まぁな、弟だからこれくらいしねぇと」
「じゃあ注いでくれる?」
「あたぼうヨっ」
「なんでもいいからね」
よしっ、こんな感じでドンドンやってくか。
「姉ちゃん酒が無くなてるぜ?」
「あ、ホント」
「ほら、注いでやんよ」
「こりゃスマナイネェ・・・」
「イックン食べないの?」
「俺はいいんだよ」
「私、入れてあげようか?」
「気にすんな」
「そう・・・」
俺は今テメェに構ってやる暇はねぇんだ。おとなしくすき焼きでも食ってろ。
「にゃはは~、家族で食事会なんて楽しいなぁ~」
「いやぁ父さん、娘と酒を交わす日が来るのを楽しみにしてたんだ!」
「もう悔いがないとか?」
「そうだな!もう死ぬか、母さん?」
「気が早いわよ、孫の顔も見てないのに」
「それもそうか!ハッハッハーー」
さて、ここは飲んべえ達だけの空間にしてやっか。
「おい、井久もういいのか?」
「ああ、俺も酒が飲めりゃまだ居座ってたけどな。
それに姉ちゃんと積もる話もあんだろ?」
「えぇ~~、もう行っちゃうの~姉ちゃんさびしいなぁ~」
・・・心配すんな、じきにイイもんやるからな。
「―――ミクちゃんと結婚されると寂しいなぁ」
「・・・・・え?」
「―――――――は?」
何言ってんだ?酔って幻覚でもみてんのか?
「ん?どういうことだ井久?」
「結婚って、もしかして美玖ちゃんと!?」
「・・・・・え・・・・えぇ!?」
「何言ってんだよ・・・もう酔ってんのか?我が姉ながら情け―――――――」
「ミクちゃんは井久が好きっしょ?んでもって井久はミクちゃんが好きっしょ?
―――――――両思いじゃん?」
んだよ・・・・その笑み・・・・。
なんだ・・・?この感覚・・・どっかで・・・。
「やっぱりなぁ、お似合いだと思ってたんだ」
「子供の頃からずっと一緒だもんね?」
「そうそう、やっぱ幼なじみは惹かれあう運命なのかねぇ?
―――――――ねぇ、井久?」
んだよ・・・・何か頭ん中に・・・・引っかかる感じ・・・が・・・・。
「どういうこと、イックン?」
待てよ・・・・俺は・・シスコンだろ?・・・だったら・・・。
「―――――――答えなよ、井久」
「―――――俺は」
シスコンだ。そう言えばいいだろ、何渋ってんだよ・・・。言っちまえよ。
「―――――――俺は」
言えばいいだろうが・・・・・。美玖に何の感情も抱いてねぇって。
「―――――――っ」
俺はシスコンで、姉ちゃんが好きだって―――――――。
「―――――――俺はっ!!」
「―――――――言ったろ?」
「美玖の事が好きじゃねぇって・・・・言ったろ?」
・・・・何言ってんだよ、俺は・・・。
「美玖の好意を知ってて弄んでたってよぉ・・・・」
辞めろって。
「テメェを好きになることはねぇって・・・」
言いすぎだろ・・・。
「―――――――っ!!」
「へぇ~~」
「こらっ井久!!」
「追いかけなさいっ!!」
「・・・うるせぇよ」
「井久、いいの?ガールフレンドが出て行っちゃったけど」
「・・・・だいたい、アイツから振ってたんだぜ?」
俺の知ったこっちゃねぇよ・・・・。
「そういえばミクちゃん言ってたねぇ」
「イックンに告白されたって」
・・・・・フッ、ばらしてのか・・・・。
「知ってんのかよ・・・・仲がいいことで」
何口走ってんだろ・・・・俺・・・。
「何?取られる前に取っておこうってこと?」
「・・・・・・・・・」
・・・・・は?
「だよねぇ~大好きなミクちゃんが自分の嫌いな人と仲良くしてんだもんね?」
何だ?頭の中で噛み合う感覚してんぞ?
「・・・・・どういうことだ、それ?」
「だって井久、私のこと―――――――」
「―――――――大嫌いじゃん」
to be continued