―――――――ビクッ
「うっそぉ、アタシは―――――――好きだなぁ」
―――――――ビクッ
「バカ、―――――――勘違いだっての」
―――――――ギクッ
「―――――――思い込んでんじゃねぇよ」
―――――――ギクギクッ
・・・・・くそ、昨日から俺は変になってやがる。
あの姉ちゃんの発言から―――――――。
「だって井久、私のこと―――――――大嫌いじゃん?」
「・・・・・・は?」
・・・・んだよ、このしっくりくる感じは。
嘘だろ?俺はシスコンだぜ?お姉ちゃん大好きっ子だぜ?妹もイける近親相姦野郎だぜ?
何で、確信持って否定できねぇんだ・・・・?ギャルゲもシスコンものしか持ってねぇし、一番最初に攻略対象に入れるのも、まずは姉からだ。
―――――なのに・・・何で。
「そうじゃん?昔は一度も口なんて聞いてくんなかったし」
「んなわけねぇだろっ!?だって俺は―――――」
「じゃあ何話したか覚えてる?」
「―――――――っ」
そういえば、姉ちゃんの存在なんて今の今まで記憶になかったんだもんな。変な話だぜ。
姉弟だってのに顔すら思い出せねぇんだからな。
「覚えてないよね。だって私も―――――――弟が嫌いだもん」
「・・・・・そうだ、思い出した」
俺は姉ちゃんのことが嫌いだった。仕事ばかりに打ち込んで一切相手をしてくれなかった嫌な姉。
「最初は意地張って無視してたんだ・・・・相手してくんねぇから・・・・」
「そうだっけ?」
「そしたら姉ちゃんは美玖と仲良くし出して・・・・
そのことに段々腹が立ってきたんだ」
「それで告ったんだよねぇ」
おいおい、蓋を開けてみりゃ何だそれって感じだな・・・。記憶から抹消するぐらい嫌いだったんだな・・・・。
「・・・んだよそれ、笑えてくるな」
「そう?私は思い出して欲しくなかったけどなぁ・・・・。
お姉ちゃんのことをチヤホヤして欲しかったのにぃ」
「うっせぇな、酔っ払い。さっさと俺の前から消えてくんねぇかな」
俺は何でこんな姉に夢見てたんだろうな、馬鹿らしいぜ。
「泥棒猫は、大人しくゴミ箱のもんでも漁ってろよ」
「はぁ!?何だって?」
「人のモンを取るような奴はさっさと独房にでも入ってろよ」
「・・・・・・」
今こそウザってぇ姉に積年の恨みを晴らしてやっか。
「聞こえねぇのか?このビッチやろ―――――――」
「―――――――なんつった?」
あ、アイアンクロー!?しかも男みてぇに握力が―――――
「イデデデデデデッッ!!あ、頭が割れる!!壊れるぅ~~~!!!」
「貧弱貧弱ぅ!!」
ヤベェホントに女かよっ!!こんな奴と結婚した旦那の顔が見てみてぇよ。
「放っせっって!!」
はぁ~~やっと解放された・・・。頭蓋骨陥没してんだろこれ・・・、明日にでも医者に診てもらったほうがいいな・・・。
「やっぱ、弟は嫌いだわぁ」
「俺だって姉が嫌いだ!!」
恥ずかしいぜ、今までシスコンだなんて言いまわってた自分によ。
「ったく、さっさと仕事にでも行きやがれ」
「ふ~ん、またされたいんだぁ・・・」
「―――――――なっ」
「・・・・まったく、昔に戻った気分」
「昔に戻ってたまるかっ!」
「またミクちゃん取られるから?」
「は?どういう―――――」
そうか、俺は今までシスコンだったから他人なんてどうでもよかったけど、今はもうシスコンじゃねぇんだ・・・。
「どうすんの、井久?」
美玖は・・・・・・俺に好意が・・・・あんのか?
いやいや文化祭で諦めるとか言ってたしな、ありえねぇよな。
だとすると・・・。
「・・・・・・・日野」
そうだ、アイツも何かヤベェんじゃ・・・・・。
「部屋で考えてくればぁ?」
「・・・・・そ、そうする」
真実を知った者は、過去を振り返り困惑した。
自分の気持ちは一体どう振り向いているのか。どう決定づけるのか。
シスコンの物語は、今、変革を迎える。