シスコン・ブラコン・マザコンという言葉はおかしいと思う。
・・・・・存在自体がありえねぇ。
誰が好き好んで身内と結婚してぇんだよ。
・・・・何つってる俺も実は昨日まで、そのシスコンだったわけだが・・・。
今考えるだけで鳥肌もんだぜ・・・・。
朝、学校にいる俺は教室でいつもと変わらない一日を送っていた。
休み時間には小説を読んで時間を潰す。それ以外にすることもねぇしな。
・・・・何読んでんのかって?
恋愛小説に決まってんだろ?
このうさぎ系女子って可愛いな・・・、寂しがり屋で年中発情期って・・・。
「・・・・・・・本当に居んのかよ」
んな疑問は必要ねぇ。大事なのは恋をすることだからな、美少女との恋愛。アリキタリかもしれねぇけど、おもしれぇからそんなことは気にしねぇ。
「・・・・・・井久」
「何だ、俺は読書中だぞ?」
・・・・ったく、晴臣かよ。
ん?いつもの爽やかな笑顔はどうしたんだ?鬱陶しいぐらいに眩しい、テメェのトレードマークはどこにやったんだ??
「・・・俺は、井久自身が幸せな人生を送る道を選んだのなら何も言うことはないが、それによって悲しむ人間が居ることは分かっているのか?」
「テメェの言いたい意味が分かんねぇな」
どうせ、美玖のこと言ってんだろうけどな。
「井久が姉をどう思っているかは知らないが―――――――」
「わかった、美玖はどこにいるんだ?」
ったく、面倒くせぇな。現実にゃフリダシに戻す機能がねぇから厄介だよなぁ。
「井久・・・・?」
「シラミ潰しに探すか・・・・面倒くせぇ・・」
とりあえず心当たりがありそうな人間から当たるか。
「晴臣」
「・・・・何だ?」
「言っとくけどよ、俺はもう―――――――」
「―――――――シスコンじゃあねぇよ」
■
「さて、アイツは教室にいねぇ・・・・っと」
まぁこういうとき、決まって屋上にいるよなぁ。一応解放されてっけど、屋上の何がいいのかねぇ・・・、風は強いし、鳥の糞が多いし、最悪な場所だろうに。
「・・・・行ってみる価値はあるな」
長い付き合いだが、昨日の台詞はまずかったよなぁ・・・・。いくら俺がシスコンだったからって友人を無くすような発言だったよな・・・あれは。
付き合う以前に嫌われるよなぁ・・・・。
「・・・・井久さん?」
「おう、日野じゃねぇか」
もしかするとコイツは美玖の居場所を知ってるかもな。屋上は最終手段ってことにしよう。
「・・・あ・・・・えっと、何・・・しているんですか・・・?」
「美玖を探してんだ、知らねぇか?」
つか、何でそんなにモジモジしてんだ。それに顔赤ぇし、熱でもあんのか?
何てベタな考えはしねぇよ。考えてみりゃわかんだろ?俺はどこぞのハーレム主人公みてぇに鈍くねぇんだ。
この仕草は好きな奴の前で見せる行動・・・・・・って―――――――
「―――――――っ」
んだよ・・・、今まで他人に興味持ってなかったから気づかなかったが日野ってメチャクチャ可愛くね??
ポニーテールとか可愛くね??ヤバクネェカ・・・・。
「えっと・・・美玖さん・・・ですか」
「あ、ああ・・・」
意識すっと口が回らねぇ・・・・。目をみんな、顔を合わせんな、気にすんな。
「多分・・・教室にはいません・・・」
「そ、そっか。またな」
俺おかしいぞ?体が熱い、心臓が高鳴り続けてんぞ??病気か?発作か?
・・・いや、ちげぇ・・・今更になって気づいたんだ。
―――――――身近にいる異性を。
「・・・・おいおい、まさか好きになってねぇよな・・・・?」
いや、別にいいんだ。俺はシスコンじゃあねぇんだ。誰を好きになろうと構わねぇんだ。
日野だろうと、美玖だろうと、エレーナだろうと・・・・エレーナはいいや。付き合ったら命が危うい。
「・・・・・だったら―――――――」
おいおい・・・・、やべぇじゃねぇか、俺の身近には好意を持った異性がいるじゃねぇか、・・・・人生捨てたもんじゃねぇな。
「日野!!」
「ひゃっ!!は、はい!?」
可愛い悲鳴上げやがって、誘ってんのか?
「次の休みにさぁ、買い物付き合ってくれよ?」
「え?・・・ワ、ワタクシと、ですか?」
「ああ、お前以外に誰がいんだよ」
「は、はい・・・分かりました」
フッ、笑顔になりやがって・・・、週末が楽しみになってきやがったじゃねぇか。
▼
「・・・・・アリキタリな場所にいやがって」
やっぱ屋上なわけな・・・。
「おい、美玖」
「・・・・・・・・・」
「ったく、テメェは一体何がしてぇんだ?」
「・・・・・・・・・・・」
「俺が告ったら振って、今度は何年か越しに告ってきて振られたら諦める宣言」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「姉ちゃんのこと聞いたら黙るし」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「全部思い出したから来てやったってのに、テメェは俺に見向きもしねぇ」
「―――――――っ」
「・・・・・悪かったな・・・・昨日」
「・・・・・・・・・・・」
まだ許す気にはなれねぇかぁ・・・・しょうがねぇよな、我ながら酷かったしな・・・。
「心配いらねぇ、俺はもうシスコンじゃねぇから」
・・・・何が心配いらねぇんだ?口滑らせるのもいいかげんにしろよ・・・ったく。
「―――――――っ」
よしっ、やっと振り向いた。きっと泣いてたんだろうな、罪悪感で胸がいてぇよ・・・。
けどまぁ、これで仲直りできれば―――――――
「―――――――んっ」
「―――――――んんっ!!!」
何だ?この感触―――――――って、まさかキス!!?
顔近いし、唇の柔らかい感触はまさしくキス。
「―――――――っ」
「・・・・・・・・・・・」
・・・・・・行きやがった・・・・ってか・・・・これヤリ逃げじゃね??
「はっ・・・・はぁぁぁあああ!!?」
晴天の下、男女の気持ちがぶつかり合う。
決してそれが報われなかろうとも、結ばれようとも。
ぶつけた本人はきっと―――――――
―――――――気持ちは報われるだろう。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あ・・・・あぁ・・・・ああ・・・・どうすっかなぁ・・・・・・。