「おっ、エレーナじゃねぇか?」
「・・・お・・・・・はよ・・う・・・ござい・・・・・・ます」
「晴臣はいねぇんだな・・・。
テメェは海の時も一番だったらしいじゃねぇか」
「・・・は・・・い」
「そんなに早く会いてぇのか?」
「・・・っ・・・!!!(ブンブン)」
「そうかよ。まぁいいんじゃねぇか?好きなように」
「荒・・・・・峰・・・さん・・・・は、・・・・どう・・・・して・・・?」
「早く来たかって?さぁな、目が覚めちまったんだ」
「・・・・・も、・・・・しか・・して」
「言っとくが、遠足の時だけ早起きする小学生じゃねぇからな。
むしろそれは晴臣だ」
「オレが何だ?」
「・・あ、・・・お、お・・はよう・・・・ござい・・・ます」
「おはよう、エレーナちゃん」
「リアルが充実してる奴をどうやって失意の底に叩き落とすかってことを話し合ってたんだ」
「だとすればあまり薦めないが、騙すといいんじゃないか?」
「・・・・・・・・真面目に答えんなよ」
「何故だ?」
「嘘に決まってんだろ・・・・・今の言葉」
「ふむ、相変わらずよくわからんな」
「ホントにテメェは、成績良いのかよ・・・・」
「成績は関係ないのではないか?」
「バカと天才は紙一重ってやつか・・・・・・」
というわけで、冬休み。
こんな寒い季節に旅行なんざ、何考えてんのかわかんねぇけど、とりあえず温泉に決まったらしい。
「初詣とかでいいんじゃねぇか、普通?」
「そうか、それもあったなっ
では、正月は皆で――――――」
「テメェがリア王になれる理由がわかった気がすんぜ・・・・」
「ん?何か言ったか?」
「べつに」
コイツのことは放っておこう、俺にゃリア充の気持ちはわかんねぇし。
そういや、エレーナはいつものことながら黙ってっけど、美玖が黙ってんのは珍しいな。それに来る順番もいつもと違って最後だったしな。
「なぁ、明美」
「な、何でしょう?」
ここは一つ、身近な人間にでも。
「お前今日は集合時間の三十分に来たよな。
眠れなかったのか?」
「小学生ですかっ」
「おやつは三百円までだぞ?」
「だから、小学生ですかっ!!」
「バナナはおやつに入らねぇからな」
「小学生ですかっ、っていうより遠足じゃないですかっ」
やり取りには無反応か・・・・。さりげなく名前で呼んでみたんだがな。
「それを言うなら、井久さんだって早く来たじゃないですか?」
「俺は、・・・アレだ・・・・・」
「何ですか?眠れなかったんですか?」
うぐっ・・・、別にこれといって理由がねぇからなぁ・・・。
「俺は、謂わば太古の昔から言い伝えられる『戒め』と言う名の伝承に抗えず、覚醒と言う方法を取らざるを得なかったのだ」
「中二病っぽく言ってますが、要するに目が覚めてしまったんですね」
的確なところを突いてきやがる・・・・侮れんな。
そんなこんなで目的地に着いたわけだが、只一つ電車の中で美玖だけが蚊帳の外だったのが目に入ってしょうがなかったな・・・・。
「うむ、やはり宿泊施設はこういうレトロなものの方がいいな」
「何だか・・・・幽霊が出そう・・・ですね」
「よく見つけたな・・・・こんなとこ」
まぁ、こういうのに限って中が綺麗だったりすんだよな。それに期待しよう、うん、そうしよう。
「・・・イックン」
「あ?」
「私さ、ダメだったよ・・・・」
「は?何言ってんだ?」
「やっぱりダメなのっ!!!」
「おい、何キレてんだよ・・・・」
「分かんないよ!!!イックンのこと諦めようと思ってるのに、気持ちを切り替えようとしてるのに!!顔を見るたびにイライラして!!」
イライラするって・・・・。
「キスを最後に、終わりにしようって決めてたのにっ!!!
気持ちが全然収まらないよっ!!!!」
「「――――――っ!!」」
「イックンはシスコンじゃ無くなったって言ってるけど!!
じゃあ夜弥姉はどうなの!!?」
「は!?意味分かんねぇぞ?どういうことだ?」
「シスコンじゃないなら今ここで証明して見せてよ!!!」
「証明・・・・って」
そんなもん見せたら・・・・・・後戻りできねぇだろ。
「ねぇ!!!?」
「・・・・・・・」
「証明してよっ!!!!!!」
「・・・・・できるわけねぇだろ、馬鹿か?」
「・・・・・・っ!!!」
「美玖ちゃん!?」
ったく、何がしてぇんだ・・・・・。
「追わなくていいのか、井久?」
「何で俺が?」
「ワタクシが美玖さんとお話をしてきます。
なので先に部屋へ行っておいてください」
「後で部屋番号メールしとくわ」
「お願いします」
「井久、いいのか?」
「さっさと行くぞ」
「・・・・・は、・・・・るお・・・み・・・・さん」
「・・・・・・・・・わかった」
おいおい、初日からシリアスムードかよ・・・・。
・・・・・勘弁してくれ。
「美玖さん・・・・」
「・・・・・・・・」
「どうしたんですか、急に?」
「明美ちゃんはイックンのこと好き?」
「何ですか、急に!?」
「好きなんでしょ!?だったらどうして、告白しないの!!?」
「・・・・・・・」
「そうすれば・・・・・・そうしてくれれば・・・・・」
「こんな気持ちに苦しまなくて済むのに!!!」
―――――――――パシッ
「だから、あの場で証明しろと言ったんですか?
だとすればそれは、只の美玖さんの我侭です」
「・・・・・・・・っ」
「確かにワタクシは井久さんのことが好きなのかもしれません
ですが、それが恋愛に繋がるかは分からないんです」
「自分の気持ちが、一体何なのか分かっていないんです。
ワタクシがこんなに探そうとしているのに、貴方はそれを放棄したんです」
「美玖さんは合法的にズルをしたんです」
「―――――――――っ!!」
「あの場で井久さんが証明してみせたとして、
――――――それで満たされるんですか?」
「・・・・・・え・・・・・?」
「そんな無理矢理で、いいんですか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「美玖さん」
「・・・・・・」
「正々堂々、とは言いませんが、先程のような行動はワタクシ個人嫌いです。
どう思われても別段気にしませんが」
「・・・・・・・・・・・ごめん・・・・」
「もっと正直に生きてはどうですか?
―――――――――以前の彼のように」
「―――――――――っ」
「ワタクシはもう戻ります。
部屋番号は202号室だそうです」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・はぁ・・・・・・」