「ディ・モールト、ディ・モールト(非常に、非常に) マズイ!!」
「・・・ったく、騒がしいな」
せっかくの休日に、姉の叫び声で目を覚ますなんて・・・厄日だぜ。
「どうしよう!ちょ、ヤバイんですけどぉ!!」
「うるせぇな・・・」
「井久、どうするゥ!?俺ァどーーすりゃぁぁいぃぃ!!!?」
「取り敢えず語尾を伸ばすな・・・耳障りだ」
「WRYYYYYYYYーーー!!」
「奇声もあげるな」
ったく、何だってこいつは朝からこんなテンション高いんだ。耳が痛くてしょうが
ねぇ。
「・・・で?何がどうしたんだ?」
「あれが、これで、あぁなんだよぉぉ!!」
「意味がわかんねぇよ・・・一旦、深呼吸して落ち着け」
「コォォォォオオオ!!!」
「『波紋』の呼吸法してんじゃねぇよ!」
分かっちまう俺もどうかと思うけどな・・・・。
「で?どうしたんだよ」
「大切にとっておいたのに!」
「何を?」
「こうならないようにしっかり管理しておいたのに!!」
「だから何を?」
「くっっそぉぉぉ!!」
「人の話を聞けよ!」
「なに?イックン居たの?」
「存在すら認識してなかったのかよ!」
・・・ったく、これならもう部屋に戻って二度寝しようかな。
「実は・・・」
「やっと話す気になったのかよ」
「実は・・・・」
「そのままなにも言わねオチはいらねぇからな?」
「チッ」
する気だったのかよ。
「何もねぇなら俺は戻るぞ?」
「ちょいと待ちな!」
今度は何なんだ。
「俺はお節介焼きの荒峰夜弥、アマちゃんのあんたに一つ忠告しとくぜ!!」
「・・・・」
「臭うぜ!こりゃア、ゲロ以下の臭いがプンプンしてやがる!!」
「おやすみ」
「ちょっ!ちょちょちょぉぉおおおおっっっと待ったーーーーーー!!」
「んだよ!!俺はテメェの茶番に付き合うほど暇じゃねぇんだよ!!」
「ちょっとヘルプミー!」
「今度ふざけたら二度と助けねぇからな!!つか、服を掴むな!みっともねぇ
!」
「うん、分かったから!助けて!!」
・・・ったく、世話の焼ける姉だぜ。これだから実姉は・・・。
「で?何があったんだ?」
「実は・・・消えた」
「何が?」
「・・・・」
「何が消えたんだよ?」
「・・・・データ」
データ??
ゲームのことか?
「小まめにセーブすんのが定石だろうが・・・」
こればっかりは俺にも手助けはできねぇな。
「全クリして二周目した気分でやりゃいいじゃねぇか?そういうのは開き直るのが
一番だぜ?」
「・・・・・じゃなくて」
「改めて最初からすんのは、意外と新鮮なもんだぜ」
「だがら・・・・・じゃなくて」
「あん?」
「だがら・・・・・ゲーム・・・・じゃ、なくて・・・」
ん??ゲームじゃねぇ?
携帯の画像とかか?それとも動画とかか?
まぁ、女の趣向はわかんねぇが、俺も携帯の画像とかが消えちまったら嫌だも
「・・・・会社の・・・データ」
「・・・・・・・・は?」
「・・・・・・」
今、あいつは何て言った?
あの、俺の目の前にいる馬鹿野郎は何つった?
「わ、悪りぃ・・・・もう一回言ってくれ」
「だから、・・・仕事のデータが消えた」
「」
「井久?」
「」
「・・・イック~~ン?」
「・・・どうすんだ?」
「どうするって、・・・どうすんの?」
「それはコッチの台詞だ!!」
「まぁ、それは嘘なんだけ――――――」
「やべぇんじゃねぇのか!?仕事のデータってのはよ!!」
「・・・・あれ?」
消えた経緯はこの際置いとくとしてもだな。流石に上司とかに、データが消え
ました、じゃシャレになんねぇよな。
「おい、内容は覚えてねぇのか!?」
「え?・・・え、えっと~・・・」
「少しでもいいんだよ!」
「ま、まぁ~ある程度は・・・」
よし、夜弥姉のことだから全部暗記してたとしても不思議じゃねぇな。
「ちなみに、データってのは報告書とか、原稿なんだよな?」
「え・・・えと、ま、まぁそんなとこかな・・・・?」
「ならいい!行くぞ!!」
「え?行くって・・・?」
なに、こいつはキョトンとしてやがんだ。自分自身のことだってのに呑気にしや
がって。
「決まってんだろ?もう一回作んだよ、―――データを!」
休日。
学業から一旦離れ、思い思いの休みを謳歌する中、荒峰井久は、大好き
なあ・・・大嫌いで心底どうでもいい姉のピンチを打開するべく、奮闘するのだっ
た。
「言っとくが!俺は決して!!姉の為にやってんじゃねぇ!!!
どうしようもねぇ、馬鹿野郎に『後悔先に立たず』っつーモンを教える為にやっ
てんだからな!!!」
「はいはい、ツンデレ乙」
「て・・・んめぇ・・・手伝わねぇぞコラっ!」
「分かった分かった、手伝ってぇ~弟くーん」
「・・・ったく、世話が焼けるぜ・・・・」
ジョジョは3部からが面白い!!