はしゃぐのはいいが人に迷惑は掛けるなよ、と実玖に念押ししておいたし・・・・
俺が休憩がてらベンチに腰掛けたところから話は始まる。
「ったく、よくこんな炎天下の中ではしゃげるもんだ・・・・」
「疲れたんですか?まだここに来てそんなに時間は経っていませんよ?」
えっと・・・・日野・・明美だっけか。女性の名前を忘れることはそれすなわち死を意味するからな。株大暴落みたいな。
「え?今なんと・・・?」
「いや、気にすんな空耳アワーだ」
「クスッ・・・・え?」
おい、今笑わなかったか?このネタ美玖にも晴臣にも通じねぇんだぞ?
いやいや、俺のほうが空耳だったのかもな。
「あぁ・・・何だ?あれだ。この年になると移動だけで疲れんだよ・・・」
「お年寄りですかっ!」
「最近油もんも受け付けなくてなぁ」
「お年寄りですかっっ」
「物忘れも酷いし・・・」
「だからお年寄りですかっ!!」
・・・なんだよ、綺麗にツッコむじゃねぇか。
「いいんだよ、俺のことは構うな。遊んでこい。」
「二児の父気取りですか?ワタクシは貴方にお話があるんです」
「告白か?」
「実は・・・ワタクシ・・・井久さんのことが―――って何させるのですか!」
お前が勝手にやったんだろ・・・・。にしても可愛い顔して笑いを知ってるとはなかなかどうして見込みがあるな・・・。
「コホン。それでは―――」
「―――ここで馬鹿馬鹿しい話を一つ」
「実ァこの間、蕎麦屋に行ったんでぃ―――って落語ですか!!!」
ほほぉ、落語ネタもアリか・・・。美玖の親友って言うからどんなぶりっ子かと思えば・・・・。
「芸人かよ」
「・・・・くっ・・!!」
「真面目に聞いてください」
しょうがねぇ、流石に話が進まねぇしな。
「美玖さんには晴臣さんのような明るい方が似合うとは思いませんか?」
「リア充だしな」
「もし二人が付き合うことになればきっと幸せな未来が待ってると思うんです」
「リア充だしな」
「それに井久さんも御二人の応援をしているようですし」
「リアじゅ―――」
「会話のボキャブラリー貧困すぎでしょっ!?」
・・・・・・・・・やべぇ、コイツおもしれぇ。ボケを拾ってくれるやつが俺の周りのいるとは・・・。世界は広ぇなぁ。
「わかったわかった。要するに協力してキュウピットやろうってことだろ?」
「話が早くて助かります」
まぁ俺としては、ツッコミ役がいてくれると楽し―――ゴホンゴホン―――嬉しいからな。
「では早速」
「・・・・・・・ん?どうした?携帯なんか出して」
「メールアドレスを交換しようと・・・」
ああ!!そういうことか!!メアド交換とか久しくやってねぇからなぁ・・・。
「・・・・・」
「・・・・・」
―――――ピピッ
「では登録させていただきます。」
こうして二人のキュウピットは手を組んだ。目標はただ一つ。晴臣と美玖を恋人にすること。
―――――ピピッピッピピピ・・・・
「先程から何をしているのですか?」
「ん?」
「―――――メアド変更」
「地味な嫌がらせはやめて下さい!!!!!!」
前途多難な共同戦線は幕を上げた。
「井久の奴、ずっとベンチにいるな」
「そ、そだね・・・」
「・・・・あれは?」
「・・・・明美?」
「ふむ、これなら井久も明美さんも心配はいらないな」
「け、けどっ、二人は初対面だし・・・・・」
「いや、そうでもないみたいだ。ほら?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・―――
・・・・・・・・・・・・!?
「楽しそうに笑っているじゃないか」
「・・・・・・・・・・そう、だね」
「大丈夫?」
「・・・・・・・・」
「じゃあ俺たちも楽しんでるところを見せつけてやろう!!」
「―――ふぇ!?あ、え、えっと、、、、か、肩が―――」
「よし!お化け屋敷にでも入って、思い切り叫ぼう!!!」
「そして、心のモヤごと叫びまくろう!!」
「・・・・あ・・・え、えっと・・・」
「ね?」
「・・・・・・・うん!」