亜人ちゃんとカタルシス   作:社畜系ホタテ

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ハロー亜人ちゃん

 

 サキュバス、バンパイア、デュラハンなどなど、この世の中には「亜人」と呼ばれる特別な性質を持つ人間がいるらしい。神話やおとぎ話のモチーフになっているほとんどがこの「亜人」という人々みたい。

 

 俺の幼馴染の小鳥遊ひかりもこの「亜人」に該当するみたい。幼馴染ではあったが、今の今まで知らなかったのは俺だけの秘密である。

 

 そんな小鳥遊ひかりには双子の妹がいる。

 

 名前は小鳥遊ひまり。

 

 姉のひかりとは正反対で成績優秀で礼儀正しい評判が良い、よく出来た妹。そして、しっかり者という言葉を擬人化させたらひまりになるのではないのかと、昔ひかりと話した覚えがあるぐらい、小鳥遊ひまりはしっかり者なのである。

 

 そのうえ、面倒見がいいというか、いや、あいつの場合は姉思いなだけか。

 

 ずぼらで寝坊助なひかりのお世話を口では嫌々言いながらやっていたりするし、生まれつき金髪のひかりに合わせてひまりも髪を明るくしていることからもかなりの姉思いなのが察せることだろう。

 

 おい姉。もうちょっとしっかりしろよ。

 

 あのひかりの特徴的な髪型も毎日のようにひまりがセットしたりするのだが、あれってどうやってやっているのだろうか。すごく不思議です。

 ちなみに、「亜人」であるひかりとは違い、ひまりは普通の人間だったりするのだが、ぶっちゃけそんな大差ないのでどうでもよかったりもする。

 

 さて、そんな小鳥遊ひまりは、俺の幼馴染の一人である。まぁ、当たり前のことだ。ひかりが幼馴染なら自動的にひまりも幼馴染になるのだから。

 

 しっかし、なー。

 

「お前とひまりって双子なのに全然似てないよな」

「えー、そんなことないよ」

 

 休日のおやつ時。

 

 ひかりがジョジョ読みたい! と俺の部屋に突貫してきたので二人してダラダラ漫画を読んでいたんだが、億泰・形兆の兄弟を見てふと思ったことを口にしてみた。

 

「どこが似てるんだよ。性格とか全然違うじゃん」

「いやいや。どっちも優秀な美人姉妹じゃん」

「ははっ、ワロス」

 

 え、これ冗談だよな。そうじゃなかったら寝言は寝て言ってほしいものである。

 

 妄想に囚われている悲しい幼馴染に現実を教えてやろうかと思ったが、ひかりは、ちっちっちっと人差し指を立ててジェスチャーをした。なんだこれ、ものすごい腹が立つんだけど。

 

「能ある鷹は爪を隠す。つまり私はただ本気を出さないだけでやればできる子なの」

「それできない人の常套句……あっ」

「かわいそうな子を見るような目で見るなー!」

 

 やめろーと言いながら、俺の視線を受けておこ状態になったひかりはポコポコと殴ってきた。痛くはないため、ダメージ0なので視線を継続。

 だって俺はエアーリーディング検定2級。つまり、めっちゃ空気を読めるので自然と察してしまったのだ。本当に仕方がない。

 

 ある程度殴って満足したのかポコポコぱんちを辞め、

 

「まぁ確かに私たちは似てないかもね」

「性格真逆だし全然似てない。こんな姉のお世話を毎日とかひまり大変だろ」

「いやいや。優秀な妹がいる姉っていうのは非常に大変なんだよ。わからないかなー、この苦労が」

「どこも大変そうに見えない件」

 

 ひかりは、やれやれだぜ、と空条丈太郎並みのスタイリッシュポーズを決めながら肩をすくめているが、ぶっちゃけお前そんなこと気にしたことないだろうに。

 

 というか、そのポーズどうやっているのか詳しく。スタンド使いを目指す身として、見よう見まねでやってみるが、なかなかできない。バランスが取れなく、難しい。

 

「ふっふっふ、一筋縄ではできないっしょ。体幹を鍛えないと体幹を」

「お前陰で練習してやがったな」

 

 これから毎日、長友式体幹&ヨガで鍛えねば。スタンド使いへの道のりは長い。

 とりあえず、ドヤ顔が非常にむかついたのでお前はもう死んでいるといった勢いでひかりのおでこを指一本で押してみた。

 

 ひかりは、うっひゃあ、と女子高生が普段出さないような叫び声を上げ、そのまま後頭部から倒れていった。が、倒れた先は俺のベッド。

 午前中に干しておいたため、太陽パワーでふっかふかになっている布団にひかりはダイブしていった。

 

「サンサンの太陽に干された布団。つまり今俺のベッドには波紋のエネルギーが流れていると同様」

「な、なんだってー」

 

 ひかりは波紋擬きの布団に包まれ、ふにゃんと顔を緩めた。

 

「はっはっはー、そのまま浄化されるがいい」

「私、良いバンパイアだから浄化する必要ないよ」

 

 なんだよ、良いバンパイヤって。俺の疑問をよそに、ひかりはそのまま、顔だけこちらに向けて、似てる似てないっていえばさー、と口にする。

 

「似てる似てないっていえば、本当に同じ双子っていないと思うんだよね」

「そうか?」

 

 ちょっとーちょっとちょっとさんとか、手品ーにゃとか本当に同じといっても過言ではないぐらいシンクロしていると思うんだけどな。

 

 しかし、ひかりはそうだよー、と続けた。

 

「クローンじゃないんだからさ。顔とか体格とか似たような双子もそうじゃない双子も、好きなものや嫌いなものの大体は似通っていたりするけど、根本的なものは違うと思うんだよね。だから私は私で、ひまりはひまり」

 

 みんな違うからみんな良い、そうひかりは言った。ふむ、一理ある。なんか良いこと言ってるみたいになってる感じだし、一理あるのだが。

 

「だからと言って、お前がずぼらな性格のままで良いって訳ではないんだけんな」

「みんな違うからみんな良い!」

 

 おい、それで通せると思うなよ。

 

 

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