無自覚な吸血鬼の王   作:トイレの紙が無い時の絶望を司る神

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少しスランプな作者です。
なので思いついた作品を少し添えてみることにします。
こちらはたまにふらっと現れては姿を消す様な作品になるかもです。

この回は、どうでもいい回です。飛ばしても問題はありません。


王者の朝は遅い

私は十六夜咲夜。ここ、紅魔館のメイド長をしている。

 

私の主であるお嬢様を起こし、寝ぼけている間に時を止めて撫で回した後に、そそくさと仕事をするのが日課だ。

あぁ、今日も1日が始まる。

それはそれは素晴らしいことだ。

素晴らしいことなのだが......。

 

 

瞬間、館は圧倒的な存在感に包まれる。

 

 

お嬢様から本当にたまに感じられる『カリスマ』と俗に言われる物とは別種の、『風格』と呼ばれる物。

普通なら、そんなのが館を覆えば、パニックになること間違いなしなのだが......。

実はそれはいつものことなのだ。

その風格が溢れる大元の元へ時を止めて急いで向かう。

少し、遅れてしまった。

ドアを開け、そのお方が普段寝ているベッドに視線を移す。

体を起こし、外を眺めている様だ。

整った容姿、全てを見通すかのような眼差し、そして隙だらけの体。

ただ勘違いしてもらいたくないのだが、隙だらけなのは、一に王者の余裕と言うものだろうと思う。

 

「おはようございます、『ロミオ』様」

 

能力を解除し、僭越ながらこのお方の名を口にする。

最初は口にするだけで体が固まったが、長らく紅魔館に仕えてきたせいか、失礼ながら慣れてしまった。

 

『.....あぁ、咲夜か』

 

穏やかに、しかし重みを持って言葉を発する。

まるで言葉自体が質量を持ってるかのように。

 

『おはよう。随分と、遅くなってしまったようだね』

 

このお方は、起きた時に私が傍に居なかった事を疑問に思った様だった。

いつもなら起きる前に傍らに身を置くことが普通になっていたから。

 

『咲夜にもそういう時があるのだな......』

 

「も、も、申し訳、ありません.....」

 

遠回しに遅れたことを責められる。

あぁ、視界が眩む。

私はここで死ぬのだろうか。

 

 

『いや、良いんだ。こちらにも、非はある』

 

それは、自分がメイドの育て方を失敗したと言うことだろうか.....。

 

――私は、このお方に愛想を尽かれてしまったかもしれない――

 

そんな考えが頭を過ぎり、顔から血の気が引いていく。

 

『何を顔を白くしているんだい?具合でも悪いのかい?』

 

「わ、私は....貴方様を起こさなければならないのに.....遅れて....!!」

 

『.....失敗なんて誰にでもある。私もたまにするよ?気にしなくてもいい』

 

お許しをもらった。

血の気が戻っていく。

許しをもらった安堵で、その場に倒れ込みそうになるのを歯を食いしばって堪える。

お許しをもらったのだ。イジイジしていてはそれこそ無礼な行為だ。

時を再度止め、朝食を持ってくる。

 

「お待たせさせてしまい申し訳ありません。遅ればせながら、朝食をどうぞ」

 

『あぁ、すまないな』

 

従者に礼を言う変わった王。

以前、ここ紅魔館で騒ぎがあった。

なんとこのお方は、自分の扱いは普通でいいと言い出したのだ。

お嬢さまはそれに対して反論した。

 

 

『私はここに住まわせてもらっている身だ。あまり、特別扱いはしなくていいのだが......』

 

『ダメよ!!貴方を蔑ろにするだなんて、想像もしたくないわ!!』

 

 

こうしてお嬢様との口論の末、根負けして、特別扱いを渋々受けている。

しかし、特別扱いに異議を唱えるお方は居なかった。

逆に、「こんなんじゃ足りないわよ!!!!」と文句を言うお方はいた。

主にお嬢様だが.....。

特別扱いというのは、お嬢様への命令権を持っていることだ。

お嬢様が「貴方は、そこに居るだけで良いのよ。それだけで十分よ。いや、本当に。」と言ったことで再度口論となり、またもやこのお方が折れ、この扱いに収まったのだ。

考え事をしているうちに、お食事が終わったようだ。

 

『ありがとう。今日も美味しかったよ。あとは着替えるだけだから、レミリアの所にでも行ってあげてくれないかい?』

 

「お手伝いします」

 

『1人で着替えられるよ』

 

「......かしこまりました」

 

失礼しますと言って、外に出る。

お着替えのお手伝いをしようとするといつもこう言われ、外に出される。

お嬢様は「さくやぁ、ふく〜」と寝惚け眼でせがんで来るというのに.....。

 

「はぁ、疲れた......」

 

そう小さく呟く。

部屋に出るとあのお方の風格が少し薄れ、体が楽になる。

さて、言われた通り、お嬢様の所へ紅茶でもお持ちしよう。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

私の名前はロミオ・スカーレット。

レミリア達の親戚だ。

年齢は華の700歳。ピチピチの吸血鬼だ。

最近レミリアが朝に起きるので、私も朝に起きているのだが......いかんせん朝に弱い。吸血鬼だから当たり前だが。

私はここに住まわせてもらっている身だ。本来は、誰よりも早く起きて掃除でもしないといけないのだろうが、優しいレミリアは以前私が朝早くから掃除していると、『貴方は寝ていれば良いの!!っていうか寝ていてちょうだい!!』と言って私を部屋に押し込んでしまった。

あくまでも私をお客様扱いしたいのだろう。

窓から外を見ると、もうお昼近くみたいだ。

......寝すぎたな。

 

「おはようございます。ロミオ様」

 

咲夜ちゃんがそう言って部屋に現れる。

 

「あぁ、咲夜か」

 

そう言って綺麗なお辞儀をしてくる咲夜ちゃん。

......正直言って、自分より格上の強さを持つ咲夜ちゃんに様付けされるにはどうも慣れない。

私は、確かに普通の人間と比べれば言うまでもなく強いが、所詮普通の吸血鬼程の強さしか持っていない。

だが回復力と再生力だけは吸血鬼の中でも高いと自負している。

だがそれだけだ。咲夜ちゃんに滅多刺しにされてしまえば呆気なく死ぬだろう。

 

「おはよう。随分と、(起きるのが)遅くなってしまったようだね」

 

そう言うと、起こすのが遅くなってしまったのが悪いと思ったのか、謝ってくる。

気にしないでいいと、こちらにも非があると言うと、更に顔を白くしてしまった。

.....働き詰めで疲れているのだろう。

心配すると、嬉しそうな顔をした。それも泣かんばかりの笑顔で。

.....これは、レミリアに言って休暇をあげなければ。

 

咲夜ちゃんの料理は今日も美味しい。

メイドの性からか、着替えも手伝おうとする咲夜ちゃん。

恐らくレミリア辺りが朝にでも手伝ってもらっているのだろう。

.....まだフランちゃんの方がしっかりしてるよ。




上手く書けたか心配です。
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