無自覚な吸血鬼の王   作:トイレの紙が無い時の絶望を司る神

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紅魔館に異変の依頼を出したゆかりんは、次は霊夢を焚き付けに行くようです。


紅霧異変:巫女、発進

「異変?」

 

「えぇ、異変よ」

 

手元に置いてあったお茶を啜る。

今、私の目の前に居るのは博麗霊夢。

歴代博麗の中でも最高の資質と才能を持った私の最高傑作であり、私の家族の1人。

本人は嫌みたいだが、家族なのよ。

 

「.....そういえばつい最近、紅い霧で太陽が隠れて体調を崩す人間が続出しているから、元を断って欲しいって依頼があったわね......でも霧なんて見えないわよ?」

 

「まだ出てきたばかりみたいだから、ここまでは来てないのね」

 

このお茶美味しいわね。

貢物か妖怪退治の依頼のお礼かしら?

 

「なんで私がわざわざそんな物の為に......」

 

「この霧で結構犠牲者が出てるのよ?野菜も枯れて来てるし、人も倒れている。しかも大勢ね」

 

「それが?私は対価がなければ動かないのよー」

 

「はぁ、貴女って本当に思考放棄が激しいわねぇ」

 

「......何よ。馬鹿だって言いたいの?」

 

あ、霊夢が膨れている。可愛い。

イジリ過ぎたわね。少し拗ねてしまったみたい。

 

「そうじゃなくて、考えてみなさい」

 

「......何をよ」

 

興味を示したわね。

よしよし。こうなればあと一押しね。

 

「大勢が困っているってことは、貴女が動けば大勢が助かるわよね?」

 

「まぁそうね。私、強いもん」

 

「つまり救ったぶん感謝されるわよね?」

 

「受けるわ」

 

えぇ!?一瞬で理解した!?さっきまでのダラけた頭の回転の遅さはなんだったの!?

まぁいいわ。これで全ての準備が整ったわね。

 

霊夢が出れば異変はすぐにでも解決するとは思うけど.....。

アレが出てきたりしたら......。

 

『アレ』とは勿論、ロミオ・スカーレットのこと。

霊夢はおろか、私ですら勝てるかわからない化け物。

いや、本来負ける筈が無いのだ。

私の能力はそういう能力で、勝つのが当たり前の能力。

上には上が居るが、少なくとも幻想郷には霊夢以外に私に勝てる相手はそうそういない筈。

 

まぁそれは霊夢の能力が規格外なだけなのだけれど......。

 

だがアレは、初見で2度も私の能力を見破っている。

1度目はバレただけだったが、2度目は手痛いカウンターを食らってしまっている。

私の能力だって全能ではない。全能に近いだけだ。

咄嗟のことには反応しきれないし、予想外のことに遭えば動揺もする。

 

私にとっての『予想外のこと』とは、今はアレである。

だが、霊夢の能力なら勝てないことはないだろう。

あれは想像力と応用力で使い勝手が激変するタイプの能力だ。

鬼の萃香の能力と似ている部分もある。

だからこそ、その爆発力は決して油断できない。

 

アレが出てこないことを祈る他無いが、今回は多分出てこないだろうと私は踏んでいる。

アレも馬鹿ではない。むしろ逆だろう。

上手くこの異変が解決されるように動いてくれるだろうという、自分でもわからない謎の信頼があるから。

アレの『雰囲気』のせいだろうか。

 

ともかく、霊夢には頑張ってもらいたい。

初めての異変。何事もスタートが大事なのだから。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

「.....クシュン!!」

 

あれ、急にくしゃみが。

誰かが私の噂でもしているのだろうか。

もしそうなら綺麗な美人さんだと嬉しいです。

 

「ロミオ様、大丈夫でしょうか!?」

 

咲夜ちゃんが心配してくれた。

ありがとね。でも大丈夫だよ。

 

「あぁ、気にしないでいい。誰かが噂しているんだろう」

 

「そ、そうでございますか......。出過ぎたマネをどうかお許しください」

 

え、なんで急に謝られたの私。

なんだろう。この子、私のこと上に見すぎている節がある。

もっと......なんだろうな......相談相手とでも思ってくれたらいいのに。

 

「良い。咲夜も連日の仕事で疲れているだろう。もう下がっても良い」

 

咲夜ちゃん、最近疲れた顔してるからね。

普段の仕事にパチュリーちゃんの介抱、パチュリーちゃんの代わりに霧の管理に、霧の魔力と、普段とは違う『異変』という非日常が起きたせいでテンションが上がって若干活発化している妖精達の起こす問題の処理。

 

ココ最近あまり寝てないんじゃないだろうか。

いや、時間を止めて寝てはいるのか?

どちらにせよいつも以上に疲れているだろう。

 

恐らく咲夜ちゃんは博麗の巫女を妨害するだろうから、疲れていたら動きに支障が出るだろう。

そうなるのは可哀想だからね。やるなら全力で気持ち良く。

イヤラシイ意味はないよ。

 

「は、はい。失礼します」

 

いつもみたいに綺麗なお辞儀をしてフラフラと去っていく咲夜ちゃん。

.....休め、もう休むんだ!!

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

「.........クシュン!!」

 

ロミオ様がクシャミ.....!?可愛い.......。

じゃなくて、まさか何か病気を患って!?

 

「ロミオ様、大丈夫でしょうか!?」

 

『あぁ、気にしないでいい。誰かが噂しているんだろう』

 

瞬間、体の中で何かが折れた。

ロミオ様のらしくないクシャミに動揺して、気が抜けていたのでしょう。

別段、気にせずに声を出しただけで、こうも易々と私の心をその重圧でへし折った。

やはり、この方の重圧は人間には重すぎる。

レミリア様やパチュリー様など、人間から外れている方達であれば、自分より上だと思うだけでしょう。

だが人間相手なら、一瞬で廃人にしてしまう。

 

「そ、そうでございますか.....。出過ぎたマネをどうかお許しください」

 

私は、長らくここで過ごしているおかげかなんとか耐えられた。

 

『良い。咲夜も連日の仕事で疲れているだろう。もう下がっても良い』

 

そんな私の様子に気付いたのか、心做しか気遣う言葉を掛けてくださるロミオ様。

私は言われた通り、一言と礼をしてフラフラと部屋を出ていった。




うちの咲夜ちゃんが少し不憫な気がする
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