無自覚な吸血鬼の王   作:トイレの紙が無い時の絶望を司る神

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亀更新だと言ったな?あれは嘘だ。


番外編 もしも主人公が一人しかいない系の妖怪だったら 中編

あれから.....どれほどの年月がたっただろうか.....。

 

300?500?

 

いや.....恐らくはその何倍もたったのだろう。

毎年のように行われては、どんどん規模を大きくして言った祭事は、ある時から縮小していった。

祭りのように騒いでいたのが、今や小さな祠のみだ。

お供えも、ある時からパタリと無くなった。

今やこの祠の存在を知っている人間も少ないのだろう。

 

人間達によって森は大いに削られ、家が建ち、今では立派な集落だ。

この土地は良い土地なのか、祭事が行われなくなっても良い作物がなる土地らしい。

 

動物達も数を減らし、番を見つけられずに死んでいく子達も増えてしまった。

この森と深く関わったからか、普段いる大きな木の根元でじっとしていても、この森で消えゆく命のようなものを感じ取れてしまう。

特に最近は、動物達の声がめっきり聞こえなくなってしまった.....。

 

そんな風にやさぐれていたある日、森で行き倒れている人間を見つけた。

偶然見つけた俺は、急いで近付いた。

少女だった。まだ歳も幼い子だった。

 

とりあえず水を飲ませてあげた。

周りを見ると寝にくい場所しかなさそうだったので、仕方なく......仕方なく!!!!俺が抱きしめて休ませた。仕方なくだ。仕方なく。

 

 

 

 

 

 

あれ......?私は.......たしか、村の子達と森を探検してて.......迷子になって.......。

なんだか、とっても温かい.......お布団の中みたい.......。フワフワしてて.......安心して........ウトウトしちゃう........。誰かが私を見てる......でも、悪い感じしないから.......大丈夫か........。

 

気がつくと、森の入口で倒れていた。村の子達が私の周りで泣いていた。私が見たのはなんだったのかな。

夢?........たぶん夢じゃないんだと思う。あのフワフワした温かい感触が、まだ少し残ってる気がするから......。

 

 

 

 

 

 

 

 

【速報】森に暮らしてウン百年(ウン千年?)、姿を消せることが判明。

え、俺気付くの遅くない?

 

あと女の子抱きしめてるとなんだか......こう......体に力がみなぎるというか......滾るというか.......しっくり来たと言うか。それが俺の妖怪としてのあり方なのかな。

妖怪は妖怪として存在するためのあり方があるというのは知っているが、俺のあり方って「人を抱きしめて元気になる」ことなの?不審者じゃん。やべーよ。捕まるよ。

でもそれがあり方なら仕方ないよね......うん......。仕方ない。

 

 

 

 

1300年から1400年代.....鎌倉時代終期から室町時代初期までの書物に、ある奇妙な妖怪が描かれている。ある森の周囲で、女や男の童などが、何かに抱きつかれているような感触を覚えたという。抱きつかれた者は病気や不調が良くなり、家にも幸運をまくという。

 

『抱鬼(だっき)』『抱きつ鬼』

 

そう表された妖怪は、土地神のような面もあり、周囲の村の作物は差があれど毎年豊作だったという。

 

【古今日本妖怪読本より抜粋】

 

 

 

 

 

 

自分のあり方や力がわかってからはや100年ほど。俺はあれから毎日がルンルンだった。可愛い女の子や活発でイキイキした少年を思いっきり抱きしめれる日々というのは何者にも変え難い物だった。

色々オープンになってるかもしれないが、まぁ気にしなくて良い。

森の自分の子供とも言える動物達も抱きしめてあげるようになった。

 

最初は可愛い子供しか抱きしめることはなかった。だがいつからか、人間はおろか動物達や、この森によってくる妖怪なんかも抱きしめるようになった。

趣味に合った子を抱きしめるのが趣味だったのが、今では誰かを抱きしめるのが趣味のハグ魔になっていた。

なんだろうか。生きているだけでそれが綺麗に見えて、なんとも愛らしく感じてしまうのだ。

そんな幸せな日々を過ごしていた時、俺の人生を変える出会いがあった。

 

「こんにちわ......キャアッ!?」

 

「紫様!?貴様ぁ!!」

 

少し胡散臭い雰囲気を漂わせた金髪の美女が、どこからともなく湧いて出てきた。

手癖で抱きしめてしまった。初対面で失礼しました。

近くにいたこれまたキッチリした雰囲気の美人に怒鳴られながら蹴られてしまった。痛い。

 

「紫様!!大丈夫ですか!?お持ちしていてください!!今すぐこの汚らしい男を八つ裂きにして差し上げます!!」

 

「待って!!藍待って!?今回の取引相手がそのおとk「天誅うううううううう!!!!!」らあああああん!!!???」

 

御札片手に殴り掛かってくる女性をよく見ると尻尾とか耳とかが出ている。この人も妖怪か?

何はともあれ.....。

 

「そりゃ!!」

 

「ひゃん!?こ、このぉ!?」

 

話は抱きついてからだ。殴り掛かる手をとりあえず避けて体の方を抱きしめる。

すぐに離れられたが。

 

「ちぇぇすとおおお!!!」

 

「よいしょ!!」

 

「ぐはっ!?き、貴様.....!!」

 

蹴ってきたところを避けてもう一度抱きしめた。今度は抜け出さないように足を絡めたりして固定したりした。

それでもまだ暴れるので......ふんっ!!

 

バキッ!!

 

「あがっ!?!?腰が......腰が......!?」

 

バキッ!!ビキッ!?

 

「ア゙ア゙ッ!?やめ、やめろ.......!!」

 

「暴れられたら困る。まだ抱きしめ終わってない」

 

「そもそも抱きしめるってなんだ!?」

 

鯖折りがかなり聞いたらしく、立っていられなくなったのか膝を折ってしまった女性を、支える形で抱きしめる。

 

「ゆかり、さま........毒牙にかかる、前に......お、お逃げ.......ください.......」

 

「.......何を見せられているのかしら私」

 

呆れた雰囲気を出した女性が咳払いをして、自己紹介を始めた。

 

「こほん。私は八雲紫。幻想郷と呼ばれる場所の管理人のようなものです。ソレは.......私の式の八雲藍ですわ」

 

「これはご丁寧にどうも。俺は......名前無いです」

 

「ぐぅ......いっそ殺せ......」

 

「あの......そろそろ離しても.......いやそんな『あげないもん』みたいな顔しないで......一応私の式ですから.....」

 

名残惜しいが離すことにした。

 

「藍、あなた大丈夫?」

 

「ゆかりさまぁ.....汚されてしまいましたぁ.......もうゆかりさまのお嫁にいけません.......」

 

「大丈夫じゃないわね。特に頭が」

 

そういえこの2人はなんでここに来たんだろう。

いきなり現れては殴られたし。

 

「あの、今日は何をしにここへ.....?ここには森しかないですよ?」

 

「単刀直入に伝えさせてもらいますと、あなたを幻想郷に勧誘しに来ましたの」

 

幻想郷.......だと!?

 

 

 

なにそれ。

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