ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結> 作:MS-Type-GUNDAM_Frame
納得がいくまで文章を考えることが難しい難しい
コーディネーターとして強化された聴覚が、背後の収音マイクが拾った足音を脳へ送る。
型は味方機だが、この認識番号は・・・
「MIA・・・はっ!ナチュラルの鹵獲機体ってか!操縦もできないくせに!」
崩れ落ちた新型を前にして、ミゲルのジンはゆっくりと向き直った。
何を思って背後にいきなり出てきたのかは知らないが、黄昏の魔弾の二つ名は伊達でないことを教えてやる必要がある。
「不意打ちの一つもできないとはたかが知れるなぁ!」
ジンは、通常スラスターで回避飛行を行いながら銃撃をかわし、モビルアーマーメビウスよりもはるかに射角の広い銃撃で敵機を沈めるのが基本戦術だ。だが、この敵機は立ち止まっている。満足に動かせもしない機体をここまで引っ張ってきた努力は認めないでもないが、今ここで無駄になる。
こちらがアサルトライフルを構えると、敵機と思しいジンは重斬刀を引き抜き、熱源反応から判断するにスラスターをチャージしている。
「ナチュラルがコーディネーターに勝てるかよ!」
ジンの装甲はアサルトライフルの数発には耐えるが、連続で当たれば衝撃や装甲強度の限界でコーディネーターでもダウンする。ダウンさせた後は、接射を行うなり鹵獲するなりすればいい。
その初撃の命中率こそが、黄昏の魔弾の由来だ。
相手が予想より少し早く動き始めた時点で、右手が正確にレバーを動かし偏差を修正。親指のトリガーをいつも通りレバーが微動だにしないように固定してから押し込む。
勝った!
発砲よりも先に、ミゲルの頭には蹂躙の暴力的快感が満たされつつあった。しかし、目の前の光景の異常に頭が急速に切り替わる。
今敵は、重斬刀の腹で誰もいない方向に銃弾を流した!いくらコーディネーターでも直接銃弾が目でとらえられるわけではないが、トリガーを押した直後の火花と無傷でこちらへ突進するジンがそれを証明していた。先ほどまでの勝利の予感は消え去り、背筋を濡らす冷たい汗が手を震えさせる。
「なんだよ・・・何者だよてめぇは!」
◇◇◇◇◇◇
発砲の意志は相手のパイロットから鮮烈に放たれていたため、狙いを発射前の数瞬に予想し射線を脳内から現実に仮想的に投影する。後は、発砲タイミングから予想される弾道の位置に重斬刀を、現在乗っている機体の反応速度を考慮しながら置いておくだけでいい。銃弾を逸らす方向は発射される弾丸の一つ一つに合わせて変えれば良い。
その程度の演算は、純粋種の力に加えELSと融合した刹那ならまだまだ余裕がある。
無事に弾丸が人間が存在しない方向に流れたことを確認し、歩いて突進していた機体をスラスター出力で一気に押し込む。狙いはコクピットではない。重斬刀を構えてチャージし、コクピット狙いだと判断したのだろうか。相手はAMBACで腕を振り子にし、本体を重斬刀が刺さらない方向へ持っていこうとするが、狙いはその右手に持っているアサルトライフルだ。
これ以上周囲に被害を出すわけにもいかないため、アサルトライフルの銃身を突進の威力で砕き、停止のために踏ん張った左足を軸に残った勢いを乗せた右足で足払いをかける。急な回避で崩れていた姿勢は、体重の乗った回し蹴りで勢いよく倒れた。一般の人間ならここで気絶するはずなのだが、相手はアレルヤのように遺伝子調整で身体強化されている。
はたして、コクピットがゆっくり開いたと思えば勢いよく中からパイロットが飛び出し、小型のブースターで離脱していった。これは、おそらく証拠隠滅用の自爆だと当たりをつけ、急いで後退しながらキラたちの乗る新型へオープンチャンネルで連絡を入れる。
「キラ!衝撃に備えろ!爆発するぞ!」
ジンの装甲に使われている材質と電子機器から、爆弾の規模を大まかに想定し足を止める。数秒後、爆炎が上がり辺りにはジンの残骸が散らばった。
◇◇◇◇◇◇
「キラ、無事か?」
倒れ伏したストライクをジンでゆっくりあお向けに転がし、コクピットを開けさせる。コクピットを開ける直前に女性の声が響いた。
『装甲は・・・まだ・・・電流が・・』
先に装甲が灰色になり、キラのどうぞ、という声が聞こえると改めてストライクのコクピット前に降りた。
『今開けます・・・』
キラを連れて一緒に新型へ乗り込んだ女性は、過度の疲労とストレスからか水分不足に陥っているらしい。キラに抱えられ、発熱して唸っていた。
「水を飲ませろ。それと、医療用パックのようなものはないか?」
少なくとも元居た世界では、コクピットの中に最低限物資を積み込んでおくのは常識だった。キラは自分の上着を枕にして女性を寝かせ、コクピットの中を漁る。
どうやらすぐに見つかったらしく、飲料の入ったパウチと赤い十字の書かれた箱を持って出てきた。
女性を起こして水を飲ませる。それと同時に、肩の治療の許可を取る。
上着を脱がせ、下に来ていたシャツを肩の部分で切り取る。少し肩を持ち上げて銃弾が貫通していることを確認し、消毒と圧迫止血をしてから包帯を巻く。最後に解熱剤と鎮痛剤を飲ませて一旦治療を打ち切り、上着をもう一度着せる。
本当なら病院に連れていくべきだが、現在コロニーは危険度が最大に設定され住民の全てがシェルターに避難している。ここも、今が静かなだけだ。
一息ついた俺に話しかけにくいのか、キラは沈黙している。だが、意を決したように口を開いた。
「ソランさんは」
「キラ!ここにいたのか!」
丁度良いタイミングで駆けてきたのは、トールと本人の口から出た特徴と照らし合わせれば恐らくミリアリア、そしてよく知らない誰かだった。
「みんなどうして・・・」
当然だがキラはかなり驚いている。面識のない男性から質問を受け、今までのことをかみ砕いて説明する。話の途中の紹介によると、同じゼミの先輩なのだそうだ。元傭兵だということや、戦闘でジンを使いこなしたという客観的に見れば怪しいことこの上ないであろう俺に握手を持ちかけてくるあたり、このサイという人間は良い人物なのだろう。逆にトールのこの状況で質問攻めというのもどうなのか。
一般的な生活を送れていなかった俺には判断がつかない。常識の有る無いで言えばティエリアといい勝負だ。
説明の終わったキラに、なぜという言葉の返事は心配だったから。
それは中立国で戦争の現実を知らない人間だからこそだろうか?それとも純粋にリスクよりも友人を取ったのか?論理的に考えれば前者なのだろうが、後者であってほしいというのが感情的には思ってしまう。
ここで、先ほどの女性士官が目を覚ました。
最初との人数の違いに驚き、戦場の認識が甘いなどと怒るあたりは軍人らしいが、そこで無事でよかったと溢すあたりは人間らしさが見える。
女性士官、マリュー・ラミアス大尉によると、ストライクには追加武装があるらしく、それをもって同時に開発していた新型戦艦まで行けば友軍と通信をつなぐなりの試みができると言う。
また、この新型機体の成果をもって可能ならアラスカの連合軍本部へと向かわなければならないという。
「では、キラはどうする?ストライクはキラがいなければ動かせない。だが、モビルスーツなしで地球までというのは・・・」
「ええ、自殺行為ね。だから私はキラ君。あなたをスカウトするわ」
キラの驚いた表情を見ながら、それは機密保持のためにと銃を突き付けて脅すよりは良い判断だと感じた。
キラは、ラミアスを助けたとはいえ勝手にストライクの内部を書き換えたことで機密保持から逃げられないと心の内では理解している。
だから、下手に出られれば心が揺れてしまう。戦争を垣間見てしかいないのも大きい。そして、俺はキラを止めるわけにはいかない。俺ができるのはキラに戦場の悲惨さを伝えることだけで、機密保持という道理からは逃げられないからだ。だが、責任は取る。キラが行くというのなら・・・
「僕は・・・コーディネーターですよ?」
「さっきのでわかったわ」
「訓練も受けてません」
「ストライクで戦えれば十分よ」
「友達が・・・トールたちが・・・」
「ストライクが守る最新戦艦ならそこらのコロニーより安全なはずよ」
キラは、断る理由を探していくうちに気が付いてしまった。この女性は、なにがなんでも自分を陣営に引き込みたい。おそらく、今思いつくような材料では断るだけの答えが出せないのだ。なにより、ZAFTが兵器開発をしていたとはいえ中立国のコロニーを襲うのを見てしまったのだ。
今はシェルターに住民が避難しているが、もしコロニーが壊滅的な被害を受けていればシェルターは射出され、暗い宇宙を本国の避難船が来るまで待ち続けなくてはならなかった。この人の話では、ZAFTはもう一度攻めてくる。
ソランさんもその意見には肯定的だった。トールたちをこの事実を知ってしまってからでもシェルターに押し込めるか?そもそもシェルターはまだ空いているのか?
わからないことが多すぎる
確実なことを考えよう。ZAFTが来たということは外に母艦がいる。ソランさんが敵機を撃破したので、当然残った新型をどうにかしようとするだろう。もう一度モビルスーツか?戦艦でコロニーを砲撃してすべて抹消するか?
シェルターは役に立つのか?
戦闘宙域はシェルターが漂う場所になる確率が高い。ああ、そういえばあの子もシェルターにいるんだ。
今になって後悔するが今更どうしようもない。僕が今から戦争に行って発生するメリットデメリットだけを抽出するんだ。
メリット、シェルターよりも安全な場所にトールたちを連れて行ける。ただししばらく戦闘にさらされる。
デメリット、人を殺してしまうかもしれない。敵にアスランがいる、きっと強い。
ああ、どうにもこれでは、友人と一緒に座って死を待つか、友人と一緒に九死に一生を得るかだ。それではもう答えは決まってるようなものだ。戦場を走って探してくれた友人を見殺しにする?
ならやることは一つ。
「やります。僕がパイロットになります」
「では、俺も同行しよう」
キラが行くなら、俺も同行しよう。おそらく力になれる。冷静に戦力評価すれば、先ほどの敵が末端レベルとして二個小隊くらいまでならキラがいなくても問題ない。キラが驚いた顔をしている。
「意外か?」
「あんまり戦いが好きな人には見えなかったので」
知った人間に死んでほしくない。それだけでも戦う理由には十分だ。
「俺も戦いが好きなわけではない。だが、戦わねばどうにもならない時があるのも確かだ」
「まあ機体がある以上パイロットが多いに越したことはないけど」
キラの友人たちが勝手に決めるな等と言って頭をぽかぽかと叩いているが、大尉に急かされて残された物資の積まれたトレーラーを前方から運転してきた。このままトレーラーで宇宙港まで荷物を運べればよかったのだが、うまくいかないものだ。急いでジンのコクピットへ戻る。ジンのスピーカーがつぶやきを拡大して外へ流す。
「敵だ。強いな」
上方には、ZAFTの最新鋭機、シグーが浮かんでいた。
なんとか完成4話。
なんとなくキラが戦争に参加する理由が自主では難しい。
刹那も同様。
今回は道理に合わないことができない二人の倫理に訴える感じで考えてはみましたが説得力があるかは・・・うーん。
ともかく、これで旧版の4話までは来ましたね。
圧倒的に文字数が違って・・・