ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結> 作:MS-Type-GUNDAM_Frame
このインスピレーションはきっと貴志祐介の新世界を読んだから。
刹那のジンは、先ほど仕留めたジンを予備パーツとして使うため、回収していた。
先ほどは、おそらく散弾を使うだろうと判断し、近くにあったデブリを囮に使って、自身は他のデブリを蹴って三角飛びの要領でバスターの背後へと回り、キックでの加速とスラスターでの加速を上乗せしたライダーキックをバスターへ見舞っていた。
PS装甲が衝撃を吸収できない欠点を見抜いていた刹那は、中のパイロットを気絶させるつもりで蹴りを二回、装甲の隙間を狙って腕を切断、とどめに一発殴ってコクピットを揺らし、見事パイロットを気絶させたのだ。
装甲の隙間さえ狙えば、フレームが切断できることは、刹那にとって大きな発見だった。
残念ながら邪魔が入ったのでバスターの鹵獲は叶わなかったが、これでほかの三機にも対応することが出来るだろう。
また、バスターの修復にはしばらくかかるはずだ。
それに、
「なかなかの使い心地だ。良いものを作ってもらったな」
ジン・メビウスも、十分にガンダムに対抗できることが分かった。
マリューへの報告を心の中でまとめながら、刹那はアークエンジェルへ戻っていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アークエンジェルのドックは、戦闘終了後の喧騒に包まれていた。
そんな中、実働部隊の代表としてマードックがキラたちに近づいてくる。
「坊主!無事か!」
「やめてくださいよその呼び方」
「おっとこりゃ失礼、しょ、う、い」
「ボウズでいいです・・・」
そんなやり取りをしている内に、ムウと刹那が帰ってくる。
ムウは愚痴を溢していた。
「あーやりきれねー。逃げられちまったぜ」
「キラの活躍有ってのものだ。そういうな」
「お前はいいよなー、バスターの腕ぶった切ったんだろ?」
実はムウがZAFT艦に接近する間に撤退が始まってしまい、ムウは戦果を挙げることが出来なかったのだ。傍から見ればいい年した大人が拗ねているだけなのだが、刹那はそれをあやしている。
シュールさに輪をかけている・・・
「その・・・ごめんなさい・・・」
「いいって。無事か?」
「はい」
キラに声をかけられて、ムウが苦笑いになる。
しかし、急に真剣な顔になって刹那とキラに言った。
「おまえらの、特にストライクのOS、ロックかけとけ」
「アルテミスはユーラシアの所属、だったか」
「察しが早いねぇ」
「どういうことですか?」
キラは刹那ほど察しがよくない。そこで、ムウが補足を入れる。
「連合も一枚岩じゃないのさ。今連合は、MSが無いせいでZAFTに押されてる。そんなとこに、敵をバッタバッタ倒せる新型持って行ったら・・・わかるだろ?」
「急いでやります!」
「たのんだぜ・・・」
刹那に、自分がやろうか、と話しかけながらストライクの方へ行くキラを、ムウは何とも言えない目で見送っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
キラが刹那のジンと自分のストライクのOSにロック(ペンタゴンの十倍くらいの強度)をかけ終わった頃、二人をトールとミリアリア、サイ、カズィが訪ねてきた。
「キラ!どうだった?」
「うん、やっぱり、ユニウスセブンでお母さんが亡くなってたみたいで・・・」
「なんの話?」
「ああ、実はな・・・」
トールがアスランの話をして、みんながキラの心配をしたり、アスランを詰ったりしているのを、キラは嬉しそうに眺めていた。
少なくともここに、ナチュラルだから、コーディネーターだからと馬鹿なことを考える人はいない。
それどころか、なぜ自分たちには相談しなかったのかと怒り出す始末だ。
アルテミスに着くまで、キラは普通で、何よりうれしい時間を堪能した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
戦闘から5時間ほどが経過した。
アークエンジェルは、アルテミスへ入港を完了した。しかし、問題が発生していた。
現在、アークエンジェルは銃を構えたアルテミスの兵士に包囲されている。
先ほど、代表としてバジルールが連行されていったが、身分の照会にしばらくはかかるだろう。
しかし、艦内ですべてのメンバーが銃を向けられ、動けなくされてしまっている。
そんな中、事件が起きた。
「おい、女がいるじゃねぇか」
「ちょっとこっち来いよ」
「いやよ!」
「ちっ、下手に出とけばよぉ!」
「なんだおまブッ」
「ミリーに触るな!」
ミリアリアが手を出されそうになり、トールがアルテミスの兵士を気絶させてしまったのだ。当然、他の兵士がトールに銃を向けるが、
「がっ・・」
その隙をついて、刹那が他の兵士を気絶させる。動揺する兵士たちを、監視されていたメンバーたちが、結局全員気絶させてしまった。
そこへ、一人の男が現れた。
「アルテミス所属、アレン中尉だ。抵抗をやめて欲しい。部下が勝手なことをしたことは謝ろう。だが、こちらとしても犠牲者が出ることは好ましくない」
「銃を向けられていては信用できないな」
「では、見張りをつけ、歩兵部隊には下がらせよう。気絶した連中をこっちに渡してくれないか」
「わかったよ・・・」
結局、待遇は少し改善されたが、見張りがついている。
銃を突きつけられているよりはマシだが。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一時間ほど待っていると、艦長たちが帰ってきた。
「一騒ぎ起こしたらしいな?おかげで拘留時間が30分も伸びてしまったぞ」
「すいません・・・」
「まあ、全員無事ならいい。次から気を付けろ。それでは今から、今後の説明をする」
艦長と一緒に帰ってきたムウから、トールに向けてアイコンタクトが飛ばされ、トールもアイコンタクトで返していた。
「残念ながらここでは最低限の物資補給しかできない。それと、ストライクを調べさせろとのことだったが、問題ないか?」
「はい、ロックが掛けてあります。多分、クラッキングするのに一か月は掛かると思います」
「そうか。では、こちらのハンガーで調べさせて、向こうが根を上げたタイミングで交代し、なるべく時間を稼げ。本艦は第八艦隊と合流する必要がある」
詳しい説明を聞いてみると、どうやら艦長は、一先ず下手に出ておいて、油断させてからアルテミスを強引に脱出する作戦を採るようだ。
「そういえば、ZAFTはどうなんですか?」
「曹長がバスターの腕を切断したほか、少尉もデュエルに損傷を与えている。しばらく、およそ一週間は持つと考えていいだろう」
「じゃあ脱出は」
「ああ、5日後を予定している」
実際、まだアークエンジェルはミサイルなどの実体火器が足りなかったため、最低限でも補給はありがたい。
「では五日後、各自上手くやれ」
「「「「はい!」」」」
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時間は少し戻ってヴェサリウスでは、作戦会議が行われていた。
ただし、ディアッカとイザークは負傷のため欠席している。
「まさか取り逃がすとはな」
「「「「申し訳ありません」」」
アスランたちは、クルーゼへ一斉に頭を下げるが、クルーゼはそう怒っているようにも見えない。
「いや、ザフトレッドの君たちがしくじったのだ。誰も文句は言うまい。それだけ敵が強力だったということだ」
「しかし、敵はアルテミスへ入ってしまいましたが」
「僕に考えがあります」
そういって挙手をしたのはニコルだった。
「なにかな?」
「僕のブリッツ、面白い機能を持っています。それの実験にもなると思うのですが」
ニコルの解説を聞くと、なるほど、確かに面白い機能だ、とアスランも思った。
クルーゼも同様だったようで、おもしろい、やってみろと許可を出した。
決行は補給などの時間も考えて、二日後となった。
しかし、ブリーフィングが終わるとアスランは、キラのことで考え込んでしまっていた。
しかし、クルーゼが声をかけてくる。
「結局、鹵獲は失敗したか」
「俺は・・・撃てませんでした」
「ふっ、素直なのは君の美点だな、アスラン。しかし、撃たねば次撃たれるのは君かもしれんぞ」
そう言い残して、クルーゼは自分の部屋へと帰っていった。
クルーゼがいなくなってもしばらく、アスランは立ち尽くしていた。
別れ際に銃口を自分に向け、それでも撃つことを躊躇っていた元親友の姿を頭から振り払うことが出来なかった。
うーん出来てしまった連続三話
やっとアルテミス編まで参りました。
実はプロットが砂漠の虎編までは出来ているので、今後も可能な限りたくさん書けたらなぁと思います。
MHXXにハマっているんですが、こちらをおろそかにはしない・・・・つもりです
ISとガンダム00のクロスを読んでるんですが・・・
あれ?太陽炉って半永久機関だったような・・・
勝てなくね?
9/8追記
ヴェザリウス→ヴェサリウス