ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結>   作:MS-Type-GUNDAM_Frame

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7/22追記
先の話とはあまりつながりがありません

今回は仕組みがわかり難く議論が紛糾しているPS装甲を使う(予定)ので、PS装甲の原理について自己解釈を書き添えて始めたいと思います。


PS装甲:電流の流れる量に応じて硬化する装甲材から作られる。
    装甲に高周波電流を流すことにより、外側と内部で断面積あたりの電流量に差が発生す
    る。電流の分布から、外側は堅く内側は柔らかい状態となり、堅く砕け難い丈夫な装甲
    となる。
    素材が相転移を起こすため、変形や耐久力がある程度回復するが、電力の消費が多い。
    実弾攻撃でバッテリーの消費が激しいのはこの修復機能が自動で働くため。

今回は刹那さんの心の中から始まります。
それでは本編どうぞー


3話:イノベイターの仲間意識は

刹那・F・セイエイは、本質的には争いは好まない性格だと言えるだろう。

実際、アリー・アル・サーシェスの洗脳から解放された彼は、自身の親を殺したという記憶にひどく苦しめられていた。

 

一方で、彼が必要な時に躊躇なく人を撃てるというのもまた事実である。

イノベイターとして完全に覚醒しても、分り合えないと悟ったリボンズ・アルマークを、刹那は討ち取った。

 

ここで言いたいことを単純にまとめてしまえば、

 

「刹那・F・セイエイは、やるときはやるイノベイター(ニンゲン)である」

 

ということだ。

 

そして今現在、つまりCE71年1月25日、刹那は、決断を迫られていた。

 

場所はヘリオポリスカレッジの避難通路だ。

 

現在、刹那やその知り合いの住んでいたコロニー、ヘリオポリスは、ZAFT軍の襲来によって未曾有の危機を迎えている。

また、つい1時間ほど前に会ったばかりとはいえ、自身の見知った人間が危ないということも彼は認識している。

ここで普通の人間なら、避難艇でコロニーからの脱出を図るだろう。

しかし刹那は一般人ではない。

 

恐らく彼が鹵獲されたMSを奪うか、説得して借り受けて操縦すれば、戦況が傾き避難時間を稼ぐことができるかもしれない。

 

イノベイターという存在は、コーディネーターなどとは比べ物にならない戦力である。

しかしそんな刹那が紛争で一勢力に味方すれば、最悪の場合ワンサイドゲームとなりかねない。

 

それは刹那が最も望まないことであるが、彼は知り合いの危機に何もしないほど冷徹に他人を見れなかった。

 

刹那は決断に踏み切れないでいた。

 

そして、キラのことが彼を悩ませている。

キラは他の学生と共に避難せず、同じく避難通路から脱出艇でない方向へ走って行ってしまった女性について行ってしまった。刹那の方向感覚からすると、あの先はモルゲンレーテの工廠だ。ほぼ間違いなくZAFTから苛烈な攻撃を受けている真っ最中だろう。

 

キラはなぜあの女性について行ってしまったのか。

実際、キラを追って自分も走れば、ほぼ間違いなく戦いに参加してしまうだろう。

今の刹那にとって、キラを助けに行くことは連合への肩入れに等しかった。

 

このような事態となった直接の原因はつい5分前のことだった

1分前に何があったかと言えばだ。

 

 

<1分前より~>

 

カトー教授のゼミ室で、キラとその友人たちはどうやらコロニーに何らかの異変が起きているらしいことに気づいた。

 

ここで、当然キラたち一般人は避難を試みる。

 

カトーゼミから出てすぐのところに、避難艇へ通じる避難通路がある。

急いでドアを開けると、既に大勢の人が階下に向けて避難していた。

急いで自分たちも続こうとした矢先に、聞き覚えのある声がキラたちの鼓膜を揺すった。

 

「トール!キラ!無事か?」

「ソランさん!一体何が・・・」

「ZAFTのMSが攻撃してきているらしい。ここはモルゲンレーテの工廠から近い。あまり時間は無いだろう。早く避難を・・・」

 

ZAFTのMSが攻撃して来ている。その一言で、客人の目の色が変わった。

ゼミの客人は避難先の階段ではなく、カレッジから工廠へ抜ける連絡通路に向けて走り始めたのだ。

その目には、必死さが浮かんでいた。

一刻も早く避難せねばならない学生たち走ろうとしていたその人物の服の袖をつかんで、必死の説得を試みていた。

 

二人を除いて。

 

キラは、階の上部から響く鈍い音聞き、その真下にいる人物をみて、とっさに客人に向けて突進した。

同じく音を聞いていた刹那が、二人をさらに通路側へと押し込んだ。

  ――追加の一押しで、キラは客人の上に倒れこんだ。

 

数舜遅れて階段と連絡通路の間の天井が崩落し、階段と工廠側への連絡通路は寸断された。

 

土煙はすでに晴れようとしている。

 

一瞬意識がブラックアウトしていたキラは、自分の体がやけに暖かく、そして柔らかいことに気づく。

次第にはっきりする意識の中で、キラは最初に一面の金色を視界に収めていた。

目に続いて機能を取り戻した耳が、キラの左側からの音を拾う

 

  ――もい、重い!」

 

ここでキラは、自分があの客人を押し倒していたことに気づいて、慌てて立ち上がった。

そして謝ろうとしたのだが――

 

「女の子!?」

「今まで何だと思ってたんだ!」

 

自分が押し倒していたのが女性と知ったキラは、顔を熟れたトマトのように真っ赤にした。

目深にかぶっていた帽子を脱いだ彼女は、今までなぜ気づかなかったのかという程度には女性らしかった。

 

極まりの悪そうな顔で目線を下に向け座っていた彼女は、はっとした顔ではじかれたように走り出した。

キラは、大声で階段側の友人たちに無事であることと後で合流する旨を伝え、彼女を追って走り出した。

 

刹那は、一瞬で前置きの考えに思い至り、キラを追うか否かで考えを巡らせていた。

 

<~現在へ>

 

結局、自分は目の前の知り合いを見捨てることはできない。

 

短いが確かに考え出した結論を噛みしめ、まだ瓦礫の向こうで他でもない自分の心配をしているであろう学生たちに、不安を感じさせない力強い声で、キラを連れ戻すことを約束し、刹那は出口へと駆け出した。

 

刹那はおよそ2分遅れで出口にたどり着いた。

その時、危ない!というキラの声が響いた。

とっさに通路の壁に身を隠すが、自分へ敵意は向いていないことが感じられる。

どうやら下の作業ブロックで戦っていた作業員に向けての声だったようだ。

刹那は懐から拳銃を抜き、キラのもとへと駆け寄った。

 

「キラ!」

「ソランさん!」

「彼女はどこに?」

「向こうのシェルターに行かせました」

 

そこへ、下からの声が響いた。

 

「来い!!」

 

キラは、鳴り響く戦場の音に負けないように大きく叫び返す。

 

「左ブロックのシェルターにいきます!お構いなく!!」

 

どうやら、キラはちゃんと先のことを考えて行動していたようだ。

刹那はキラを逃がし、自分は工業区の女性にMSが無いか交渉をする腹積もりだった。

 

だが、その予定は続く女性の返答でその予定は崩れた。

 

「あそこはもうドアしかない!」

 

女性の言葉に気を取られ、茫然としているキラに対して、刹那の行動は素早かった。

いま自分が走ってきた通路からは、爆発音が響いている。つまり、もうここにいるわけにはいかない。

刹那は、左手でキラの手を取り、右手で拳銃を構えて走り出した。

だが、女性が呼んでいる場所へは少し遠い。そこで刹那は、キラへ確認を取ることにした。

 

「キラ! ここからいけるか?」

「・・・はいっ!」

 

少しの迷いも見せず、キラは返答した。普通の人間には少し高いことから、疑問に思う気持ちも湧いたが、刹那はその考えを胸の内にしまい、欄干を超えて飛び降た。キラはそのあとに続いた。

 

女性は少し驚いたように見ていたが、刹那とキラをまだ安全な地帯へと誘導した。そして、移動してきた刹那に向けて、交渉を始めた。

 

「見たところ従軍経験があるようだけど」

「確かにあるが、それよりもMSはないか。俺が少しなら操縦できる」

「それじゃああなた・・・!」

「いや、俺はコーディネーターではない。少し器用なだけのナチュラルだ」

「この状況じゃ信用するしかないわね・・・向こうの倉庫に鹵獲したジンがあるわ」

「そうか。それと、こっちのキラを頼みたいのだが」

「この機体に乗せるわ。そのつもりで下に呼んだのよ」

 

彼女が指し示したそれは、連合とオーブが開発し、まだZAFTに奪取されていない2体の内の1つ、開発コード名「ストライク」だった。

 

「ここからだとコクピットへ行けない。だから、あなたがあのジンが収納されている倉庫から援護して頂戴」

「了解した」

 

刹那は、50メートルほど離れた倉庫へと走った。30メートルほど走ったところで、荷物の影から飛び出してきた赤服の男を、肩を打ち抜いて突破した。

確実に両肩を潰していたため、振り返らずに倉庫へとたどり着き、ジンを発見した。

 

入口の方から、連続した発砲音が鳴り響いている。

 

キラたちの方を見ると、違う赤服の男が、機銃を掃射しながらキラたちの行く予定の方向へ走っている。刹那は舌打ちを一つ鳴らすと、男の足元の地面へ発砲し、行き先をけん制した。

 

男は、開発されていたもう一つの機体の影へと隠れた。

 

 

 

一方キラたちは、ソランが配置につくのを待っていた。

 

何回か銃声が響いてから、倉庫から掛け声が届いた。

 

「今だ!」

 

その声を聞いて、まずマリューが先行した。だが、コクピットハッチを開けようとしたその瞬間、マリューが肩から赤い線を引かせながら倒れた。

 

キラは居ても立ってもいられずにマリューへ向けて走り出した。追撃をかけようとした男に倉庫から銃弾が飛びけん制する。

男が舌打ちをして、倉庫から影になるよう隠れた。

機を逃さずマリューのもとに走りついたキラを、信じられないものを見るような目で見る人間がいた。

 

「キラ・・・・?」

 

そのここで聞くはずのないこえを聞いたキラもまた、男の隠れている方向を見た。

 

「・・・・アスラン?」

 

続く声は同じことを同時に叫んだ。

 

「「なんでここにいるんだ!?」」

 

つかの間、戦場の空気は凍ったようだった。

だが、キラの足元のマリューが、発砲したことでアスランは再び隠れた。

その隙にマリューはコクピットハッチへキラを引きこんだ。

 

相手がMSへ乗り込んだことを確認したアスランは、足元のハッチから同様に乗り込んだ。

 

そして、牽制が不要になったことを悟った刹那もまた、MSへと乗り込むのだった。




戦闘までなかなかいけません・・・
PS装甲の設定は次回戦闘に入る以外に選択肢が無さげなので、確実に使うことでしょう。

評価の方ですが、自分の作品をお気に入り登録してくださる方々には頭が下がるばかりです。
先週は刹那さん空気やったからなんとなく物足りなかった・・・?
今週の話でアニメ1話が大体収まってますが、三話でアニメ1話分てことはこれ完結まで150話必要?

先行きに不安を覚えますが頑張る所存であります。
来週は忙しいので更新しない(つもり)です。

感想お待ちしております。

追伸
鉄血のオルフェンズ、リアルタイム視聴逃した(涙)

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