ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結> 作:MS-Type-GUNDAM_Frame
大気圏突入が刹那と余裕で突入できるGシリーズが主な登場機体だったせいで初代やZほどの緊張感が出ませんでしたが、地球編ではZAFTの曲者たちとの戦闘を上手く書ければと思います。
では大気圏突入前のキラたちの様子から。
22話:砂の洗礼
『キラ!聞こえるか?早く甲板に乗れ!』
ソラン・イブラヒムの、珍しく焦ったような声がスピーカーから響く。
現在、大気圏に突入して薄赤く染まったアークエンジェルのすぐ近くを、ストライクが飛んでいる。
地球の重力に引かれ、ストライクの装甲もまた赤い。
しかし、キラは落ち着いて姿勢を安定させ、ストライクはふわりと甲板に着陸した。
「大丈夫ですよ。いま着艦しました。」
ストライクが甲板に接触するとほぼ同時に、アークエンジェルのブリッジではシャッターが下りた。
そして、直前に着艦を確認したのか、艦長から通信が入る。
『聞こえるか、少尉』
「はい、なんとか突入前に着艦できました」
『ああ、指示通りだ。よくやった。現在、大気圏突入中で収容はできないが、降下が終わればすぐにでも戻ってこい』
既に刹那やムウは収容されており、キラだけがぎりぎりでアークエンジェルの外部に取り残されていた。
ストライクを残してハッチを閉じるというのは艦長としても苦肉の決断ではあったが、結果的に全員無事なのだから称賛されるべきだろう。
整備室では、あの状況で生還したキラに歓声が沸いているほどだ。
程無くして視界は赤から黒に変わり、夜の砂漠が視界に入る。
『よし、収容可能になった。すぐに戻って整備を受けろ』
「了解」
すぐに、ストライクは収容された。
コクピットから出ると、マードックが待ち構えていた。
「良く帰ってきたなキラ。勲章モンだぜ」
「はい、ありがとうございます・・・ソランさんたちはどこですか?」
コクピットから這い出ても、この状況で真っ先に出てきそうなムウやそれに続きそうな刹那がいない。
「ああ、あの二人ならブリッジだ。何でも着陸予想地点にZAFTが張ってるらしくてな」
「僕も呼ばれてますよね?」
「そういやぁそうだったな」
「早く言ってくださいよ!」
コクピットのロープを使って素早く降りたキラは、そのまま走ってブリッジへと向かった。
一方、マリューはジンの整備をしながら顔をしかめていた。
「フレームの負荷がそろそろ騙せなくなってきたわね・・・」
ジンのフレームはそこそこ丈夫に出来ているのだが、流石にコーディネーターを上回る反応速度で振り回されることは想定されていない。
しかも、整備班とキラの手によってソフトウェアから出力上限が限界まで引き出されているも同然なため、回路系の消耗も激しい。
新しく外付けされているスラスターの接合部の劣化も激しかった。
「地球での戦闘で不具合が起きるのは確実ね・・・」
新しく完全な状態のジンを鹵獲できればいいのだが、それは望み薄かもしれない。
とりあえず、整備長はどうやってジンを持たせればいいのか頭を捻るのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ブリッジでは、作戦会議が開かれていた。
というよりは、作戦が決まりつつあった。
「では、上空から奇襲を掛けるということで良いのか?」
「ああ。俺とキラでなるべく早く奇襲を掛ける。それで幾分か戦況を有利に働かせることが出来るはずだ」
遮蔽物が砂丘くらいしかない砂漠で奇襲をかけるには、想定外のことをやるしかない。
ZAFTはジンの性能を知っているからこそ、上空から襲ってくるとは思いもしないだろうということでこの作戦だ。
「では、直ちに発進しろ」
「了解」
結局キラが不在のまま作戦が決まってしまった。
作戦は、途中で刹那を見つけたキラが、パイロット控室で聞かされた。
「だ、大丈夫ですか、その作戦・・・」
「ああ、お前ならできる」
「そ、それならやってみますけど・・・」
憧れている人から認められるとなんとなくうれしくなってしまう。
現在大先輩としてキラから一身に尊敬を受けている刹那から言外に認めていると言われたキラは、あっさり納得してしまった。
「では、お前はまたランチャーパックで援護をしてくれ」
「分かりました。任せてください!」
こうして二人ともMSのコクピットへ入った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
地上では、砂漠の虎のバクゥ部隊が小隊を組んで待っていた。
「隊長、到達予想時間まで後どれくらいですか?」
「そう焦るな、あと10分は・・・どうしたんだい、ダコスタ君」
「観測手から報告です。未確認機恐らく二機が飛んでいる、と」
その瞬間、バルトフェルドが表情を変える。
「どうやら先制攻撃をかけてきたようだな」
「しかし、連合の新兵器はともかく、一機はジンですよ?」
「いや、報告にあったパイロットの腕ならやりかねん。各機、戦闘配置につけ!」
疑問は持っていても練度は高い。
四人のパイロットはすぐにバクゥに乗り込み、起動させる。
次の瞬間、上空からロックされていると警報が鳴った。
四人とも一体どんな気狂いパイロットだと唸ったが、すぐに回避行動に入る。
すぐに、上空から青いビームが飛来する。
全機がビームを躱すと同時に、爆音が響いた。
「全員無事か?」
心のどこかであの程度の攻撃でやられるわけがないと確信しながらも、事務作業的に点呼を取る。
だが、一機からは返事がない。
恐る恐るその方向を見ると、一機のバクゥがジンに乗られている。
しかも、バクゥはモノアイが消灯しており、完全に沈黙している。
残る三機は、驚きつつも反射的に距離を取った。
『あの一瞬で!?』
『油断するな!かなりやるぞ!』
すると、ジンに続いて、データにあった連合の新兵器が砂地に着陸し・・・姿勢を崩した。
「!・・・奴らはまだ砂地で運動が出来ん!遠距離から叩くぞ!」
いち早く、ストライクが砂漠での戦闘が出来ないことに気づいた一人が、残りの二人に声をかける。
三機は三方からジンとストライクにミサイルを放った。
だが・・・
「・・・バケモノかよ・・・」
その言葉は、一体どちらに向けられたものだろうか。
煙が晴れた時、MSは二機とも健在だった。
一機は、先ほどよりも姿勢を崩しており、少し煤もついている。
もう一機は、被弾した跡すらない。
言うまでもないが、ジンはその狭い足場と重斬刀だけですべてのミサイルを凌いでいた。
効果がないとわかって怖気づいた三人の目の前で、今度はストライクが装甲の色を変化させる。
(資料にあったPS装甲のダウンか!)
「俺がストライクに接近戦をかける!お前たちはジンの動きを止めてくれ!」
「おう!」
突破口を見つけたと、口の部分のビームサーベルを展開し、突進する。
突進をかけるよりも先に、他の二機がミサイルの集中砲火をジンに浴びせている。
「さすがに、連続攻撃を受ければ援護に回れまい!」
そう確信し、一層加速したバクゥだったが、いきなりストライクが立ち上がった。
「なっ!」
バクゥの近接戦闘用OSは、急に立ち上がった目標を追尾して、体を持ち上げた。
「こうなれば!」
この至近距離では躱せまい。
そう続けようとした彼の言葉は、凄まじい衝撃に阻まれた。
一瞬の浮遊感の後、強い衝撃が走る。
いつもの状況確認で眼を遣った計器からは、ひっくり返ったことが伺える。
しかし、すでに脳が正常に働いていない。
通信用のスピーカーから、ぐわんぐわんと妙な音が響いている。
頭が下を向いているはずなのに、地面がはっきりわからない。
コクピットのディスプレイを赤い光が踊っている。
そして、次の衝撃が彼を体から引き離した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「引いたか」
二機目をキラが肘打ちで吹き飛ばした時点で、撤退の指令が下ったのだろう。
「直接指揮を執っていたとすれば、厄介な相手だろうな」
しかし、相手が撤退したのは刹那にとっても助かった。
なぜなら、二機目のバクゥにとどめを刺してから、ジンは動かなくなっていたからだ。
これはマリューに叱られるな、と思ったが、今はキラだ。
「砂漠用のプログラムを組みなおしたのか?」
『はい、なんとか動けました』
これも、PS装甲の恩恵と言えるだろうか。
ミサイルの雨に晒されてもプログラムの書き換えを行えるとは、呆れるほどの耐久性だ。
しかも、OSの再起動によるストライクのPS装甲ダウンはフェイントとなって相手をひっかけた。
しかも最後のあの動きだ。
中国拳法の本でも読んでいるのだろうか。
『最後の動きも、ムウさんから借りた本を読んで作ったんですけど、本番で上手く動いて良かったです』
どうやら本当にキラを戦場から帰せないかもしれないと思うと、刹那は少し頭が痛かった。
ストライクは
新技
「鉄山靠」を
覚えた!
そのうち
アスラン「キラぁ!」ビームサーベル構え
キラ「把子拳、寸勁、頂肘・・・猛虎硬爬山!」
アスラン「ぐほっ!?」
とか、Gガンみたいなことになったら面白いなぁ・・・
鉄血を超える肉弾戦ガンダム、
ストライク・ベオウルフ
とか、
ストライク・八極式
みたいなステゴロ型派生機に乗せるか・・・?
(創作なので調べても出ません:武装、拳とサーベルのみ)
キラってSEED覚醒で戦闘狂にも目覚めそう・・・