ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結> 作:MS-Type-GUNDAM_Frame
ということで話のネタがひらめいたところを少し煮詰めて執筆。
次回、オリジナル武装が出ますがお許しください・・・(今更だけど)
砂漠での初戦闘は勝利したものの、刹那のジンが動かなくなってしまった。
「あー、フレームが一気に歪んじまってますぜ」
マードックの診断によると、重力下であり得ない動きをしたせいで一気にフレームの負担が増加し、回路が焼き切れたのではないかということだった。
「規格外だとは思っていたけどここまでとはね。コーディネーター以上の反応速度なんて、益々コーディネーターとは思えないわ。ジョージグレンも銀メダリストだし。」
マリューもジンのOSのログを見ているのだが、動きをシミュレータで再現させても冗談としか思えない。
「ねえ曹長、この時何があったのかしら?」
「・・・ミサイルの弾幕を凌いだ時だ」
まず弾幕は刀剣で凌ぐものではない。
「それで重斬刀が焦げてるのね・・・」
マリューは考えることを放棄したが、それで機体が動くようになるわけではない。
そんな時、整備室に呼び出しがかかった。
『ラミアス大尉、ヤマト少尉、ソラン曹長は至急ブリッジへ』
とりあえず、力なく笑っているマリューを引いて、機体の応急修理をマードックに任せ、刹那とキラはブリッジへ本日三回目の登壇を果たした。
そんな三人を待っていたのは、通信画面に映る色黒で壮年の恰幅が良い男性だった。
『揃ったのか?』
「ええ、主要メンバーはこれで全員です」
『じゃあ改めて自己紹介しようか。おれはサイーブ・アシュマン、レジスタンス組織「明けの砂漠」のリーダーをしている。それで、共同戦線を張らせて欲しいという打診だったんだが、こっちも手土産を持って行こうと思ってな。あんたらの上司の准将から聞いてたもんは持ってきたんだが・・・』
「追加で何か必要なものはあるかということです」
サイーブの言葉を艦長が引き継いだ。
『あんまり大したもんはねぇが・・・そうだな、鹵獲したMSやら』
「MS!?」
『おう、虎の基地を襲撃した時にな、ジンオーカーをほぼ完品で頂いたんだ。操縦できるやつもいないから遊んでいたんだが・・・必要か?』
「ええ、実は曹長のMSがもう限界で・・・」
まさに渡りに船とはこのことか。
「では、今日の夜にこちらから出向きます。その時に引き渡しをしましょう」
『了解だ。では、また後で会おう』
通信は切れた。
マリューはとてもほっとしたというような気の抜けた顔をしている。
「曹長のMSはそんなにひどい状態なのですか?」
先ほどのやり取りを見ていなかった艦長は疑問を呈するが、キラ、マリューの二人は激しく同意する。
「ジンオーカーってジンの強化型ですよね?」
「ええ。砂漠用だし、地上で運用するためのMSだからフレームも堅牢よ」
「OSは今のを移植できますよね・・・」
キラとマリューは機体の改修を目指して二人の世界(技術者は参入可)に入ってしまった。
「とりあえず、夜までに目標地点まで航行せねばな」
今は昼だが、夜までには目的地に辿り着いて身を隠す必要がある。
三人が来るまでに、明けの砂漠はアークエンジェルが隠れることのできる岩山を紹介してくれていた。
通常なら航行は危険だが、艦長が操縦士の腕を信じると運用が決まった拠点ポイントである。
余談だが、現在アークエンジェルはベージュの布をブリッジに被せ、なるべく姿勢を低くして航行中だ。
これも、サイーブ・アシュマンの入れ知恵である。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ようこそ、明けの砂漠へ」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
岩屋の中に作られた明けの砂漠のアジトで、艦長とサイーブ・アシュマンが握手を交わしている。
現在、岩屋の中にはサイーブ・アシュマンとその仲間二人、刹那とムウ、艦長がいる。
「しかし、この兄ちゃんがパイロットかい」
「ええ、うちのエースです」
サイーブは刹那をじっと見る。
「コーディネーターじゃねぇな」
「分かるんですか!?」
艦長が驚いて尋ねるが、サイーブはいたずらっぽく笑った。
「今までに中東出身のコーディネーターには会ったことが無くてな。それに、連中はみんなヨーロッパ系の容姿にしたがる。イタリア系じゃなけりゃあ、耐日光用のコーディネートをしてるからみんな肌が白い」
驚きが止まない艦長とムウに、サイーブが続ける。
「これでも昔は大学の教授でね。見識は有る方さ」
「そんな貴方が、何故レジスタンスのリーダーを?」
尋ねた刹那に、サイーブは豪快に笑って答える。
「そんな鬼気迫った顔で聞くな!・・・家族のためさ。俺も大学の教授にまでなった。ほんの恩返しだ」
「そうか・・・すまない、大尉のところへ行ってくる」
刹那は表情こそあまり変わらなかったが、普段に比べるといそいそと、礼をして外へ出ていった。
「あの兄ちゃん、なんかあったのか?」
「いえ、彼の出自はあまりよくわからないので・・・」
戸籍情報では、刹那はある時期にオーブへ移住し、ヘリオポリスへ昇っている。
オーブの法律で、それ以前の経歴は見ることが出来ない。
「そうか」
「すみません、代わりに来ました」
そんなところへ、キラが入れ替わりで訪れる。
それをみたサイーブが、思い出したように言った。
「ああ、艦長、ちょうどいいからこれからのことについて話しておきたい。そこのストライクのパイロットにも多少関係がある」
そういって部下の一人にハンドサインを送ると、部下の一人が退出する。
「俺たちがあんたらに共同戦線を張った理由は三つある。一つはハルバートンに頼まれたから。一応旧知の中でね。二つ目に、俺たちもレジスタンス活動に限界を感じていたからだ。連合の新型MSが丁度あるし、負けなし。しかも良いパイロットまでいる。それで三つめが・・・」
三つ目を言おうとしたところで、岩屋の奥側の扉が開いた。
「リーダー?アシュメドが来いって・・・お前!?」
「あの時の!?」
「こいつを連れて行って欲しいんだ。オーブ迄な・・・・知り合いだったのか?」
サイーブの目の前で、キラは肩に組みつかれている。
「まさかお前がストライクのパイロットなのか!?」
肩をつかまれてグラグラと首を揺らされながらも、なんとか口から漏れた空気を言葉にする。
「き、みは・・ヘリオポリスにい、た・・・・」
「おい、そろそろ止めてやれ、落ちるぞ」
我に帰ったのか、やっとキラは解放された。
「あー、すまない。おい、挨拶しろ」
「・・・カガリだ。ごめん・・・」
気まずそうにふらふらしているキラに謝るカガリ。
なんとかしゃんとしたキラは、返事をする。
「うん、大丈夫・・・それで、確かにストライクのパイロットは僕だけど・・・」
「そっか・・・見せてもらっていいか?」
キラが、連れて行ってもいいかという風にたった今登場したタンクトップの男とサイーブに目をやると、二人とも頷いた。
「じゃあ、こっちに来て」
二人は、岩屋からアークエンジェルが停泊している広場へ歩き出した。
「しっかしお前、なんか体格良くなってないか?」
「すごくハードで・・・ハードで・・・うん。ハードだったんだ」
「そ、そうか」
過去のことを思い出せば出すほど目から光が無くなっていくキラを見て、カガリが顔を青くして笑う。
「でも、よく無事だったな。お前なんだか弱そうだったのに」
「うん、僕は弱かったけど、助けてくれた人がいたんだ」
砂漠の夜は冷える。
さっきまで暖かい岩屋にいたカガリに、キラが上着を差し出した。
「上着忘れちゃったの?」
「ありがと。そうだな、ストライクのパイロットがいるって聞いて焦ってさ」
そこで、カガリがはっとした顔をする。
「そういや、お前、名前なんて言うんだよ」
「キラ。キラ・ヤマトだよ」
「ふーん・・・じゃあキラでいいか?」
「・・・いいけど・・・あ、あそこに・・・ストライク・・・が・・・」
そこでは、ジンとバクゥがバラバラにされていた。
「え?」
「これジンと・・・バクゥだよな?」
見ると、マリューとマードック、その他整備班が、嬉々とした顔でジンのフレームを切り出し、装甲を加工していた。
「あら、キラ君。そちらのお嬢さんは?」
「あ、えっと・・・」
「カガリで良い」
「カガリはオーブまで同行するらしくって・・・」
「ボウズ、手が早いな」
「そんなんじゃないですって・・・」
そこへ、刹那が顔を出した。
「ソランさん、これどうしたんですか?」
「新しいジンが入ったからな。古いジンのフレームを使って武器を作ってもらっている」
「新しい武器、ですか?」
「ああ、対PS装甲用の武器だ。それと・・・」
そんなキラを、カガリが引っ張る。
「おい!ストライク見るんだろ!?」
「すみませんソランさん、また後で!カガリ、こっちだって・・・」
整備班の何人かはにやにやと、若い何人かは奥歯をぎりぎりと噛みしめてキラとカガリを見ていたが、刹那は全く違う視点で二人を見ていた。
(脳量子波が似ている・・・?)
余談だが、この後キラはトールに見つかった。
実はSEED因子を持っているカガリさん。
Destinyでも発揮すればインパルスに勝てたのでは・・・(たぶん却本の都合)
個人的に、ヒロインは強くていいと思います。
むしろ主人公より強くていいと思うんです。
つまり、パイロットランクが
刹那>超えられない壁>カガリ>=キラ
でもいいよね?
え、ヒロインはフレイ?
いや、濡れ場は要らないんで・・・
え、マリューさん?
すいません、薄い本で探す方向でお願いします
今作のヒロインはカガリなんじゃァ!
(ちゃんとオーブでキラとの関係は出ますし不健全にもなりません)
作中に出てきた設定なんですが、
・ハルバートンさんとサイーブさんが旧友
・ジンオーカーをかっぱらった
・コーディネーターはヨーロッパ系
というのは独自解釈です。