ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結>   作:MS-Type-GUNDAM_Frame

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キラがおかしいことは段々明らかになってましたね本編でも。
だってそこそこ優秀なはずのイザークさんも砂漠歩けなかったし・・・

現在同時並行で再筆版を書いていますが、こちらの最新作などは再筆版が出来るまでの原稿のようなものとして読んでいただけると幸いかもしれません。


26話:普通のコーディネーター

「クルーゼ隊所属、イザーク・ジュールです」

「同じく、ディアッカ・エルスマンです」

 

高名な砂漠の虎と会うことが出来て光栄だなどと言っているイザークたちに鷹揚に頷きながら、バルトフェルドは二人の機体をしげしげと眺めていた。

 

「この機体、連合の足付きに乗っているものと意匠が似ているねぇ」

 

目の前の、憤怒の表情を隠そうともしないイザークを、内心で苦笑しながらもうひとつ尋ねる。

 

「消せる傷を消さないのは、復讐の誓いか」

「ストライクは俺がやります」

 

熱くなっては退き時も分からなくなる、とはバルトフェルドがいつも口を酸っぱくして隊の人間に言っている事なのだが、この二人は正にそれだ。

明確に敵わないだろうに、なぜ負けるのかという条件をすべてを無視して「相手が強いから」と一元的に思い込み、特攻していく。手段を選ばなければいくらでも勝てる敵だろうに。

その証拠に、このどこまで行っても砂漠で歩けない事を相手も出来なくて当然だと思っているのか、修正しようとする努力が見られない。

自分たちがこうだから、相手はそれ以下だ。あまりにも都合のいい妄想である。だが、これはコーディネーターの持病でもあった。

何故なら、どのコーディネーターも多少はこう考えている。「コーディネーターはナチュラルよりも優れている」

もちろん、例外はある。クルーゼなどその最たる例だとバルトフェルドは考えている。だが、その隊長の美点を何も受け継いでいないというのは部下として嘆かわしいことではないかと感じていた。

故に、バルトフェルドはこう命じる。

 

「君たちには、艦上から支援射撃を行ってもらう。君たちではバクゥの高速戦闘についてこれないからね」

 

二人は、屈辱を感じたのか反論しようとするが、ディアッカがイザークを押しとどめた。

ちゃんとここで成長してくれれば、あるいは。

これからをどう使うかと相談しているらしい二人を見ながら、人の部下に如何に教育を施すかと考えるバルトフェルドは正に有能な指揮官であった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

昨日はひどい目に会った・・・まさかトールに見られてるなんて。

 

今、キラは刹那のジンの改修プログラムを作成している。現在の設定では刹那の反応速度に追いつく前に回路が焼き切れてしまうからだ。

今までの戦闘データから、同じような動きをよりモータにかかる負荷が少ないように組みなおす。さらに、追加された脚部の無限軌道装置をなるべく高寿命に扱えるように設定を見直す。

ヘリオポリスを出てからと言うもの、こうしてMSのプログラムばかり作っているが、おそらく世界にキラ以上にプログラム作成が上手な人間は存在しないだろう。

何と言っても、経験値が圧倒的すぎる。まだ世に出て1年かそこらの兵器をここまで詳しくいじっているのだから当然ではあるが。

 

カタカタとシミュレーターで出来を確認しながら作業をしていると、部屋の戸がトントンとノックされた。

一瞬トールかと昨日の悲劇を思い出して疑うが、そもそも覗き見をするような人間が今更ノックをするだろうか?

 

「私だけど」

 

声からするにマリューだが、以前ボイスチェンジャーでフレイの声真似をし、いたずらしてきたトールを思い出したキラは一応インターホンの液晶を見る。

そこにいたのは本物のマリューだったので、どうぞと言ってドアを開ける。

 

「お邪魔するわね」

 

流石に軍人さんなだけあって礼儀正しいなと思った。接待などしたことは無いが、以前刹那からお茶を出されたことを思い出す。

そういえば虎に聞いてたのと同じコーヒーを偶然食堂でもらったんだった。

もらった豆をファルターに入れてコーヒーを出す。自分でも一口飲んでみたが、虎ほどおいしくは淹れることが出来なかった。

 

「どうぞ。あんまりおいしくはないですけど・・・」

「そう?気を遣わせちゃって悪いわね。いただくわ」

 

一口飲んでおいしいじゃない!と言うが、おそらく整備班のコーヒーが不味すぎるかお世辞を言っているかの二択だろう。恐らくは後者だが。

コーヒーを飲みながら、作業の進捗を聞かれたので、今日中には終わりそうだと答える。大仰にびっくりされてしまった。

今更ながら、こんなに驚かれるとなんだかやりずらい。僕も肯定するのも気が引けたので、そうですかね、とお茶を濁す。

マリューは微笑んでいたが、瞬きをするとすぐに真剣な顔に変わった。

 

「これは後回しに出来ない問題だから今言うわ」

 

カガリをオーブへ連れて行くとき、一緒に降りるかどうか。

本来、軍事機密を知ってしまった一般人を放置することはできない。だが、キラたちヘリオポリスの学生は、なし崩し的に付いて来てしまったという面も見れば、情状酌量の余地がある。

ハルバートン准将はそう言っていたそうだ。

だから、緘口令さえ守ればオーブで降りてもいい。そのための書類も準備してある。

 

かみ砕けばそういうことだ。

目の前に置かれた退役許可証を見ながら、今までの事を思い出す。

正直に言うと、いつの間にかアークエンジェルにいることは僕の中では当たり前になっていた。

命を懸けて一緒に戦っているからだろうか。整備班やその他の人々とも、いつの間にか仲良くなっていく。

名前を覚えた人が、いつか戦場で戦って死んでいるのかもしれない。ヘリオポリスで、ただ学生をやっていて、ニュースを見ていた時には実感が無かった戦場だが、今となっては心に大きなウェイトを持ってしまっていた。

 

「ずるいですよ」

 

今までの事を思い出して、そう言っていた。

 

「こんなにみんなに良くしてもらって、今更みんなを見捨てて降りれるわけ、ないじゃないですか」

 

ストライクに乗ったあの瞬間だけなら、降りることが出来たかもしれない。

でも、今はマードックやノイマン、チャンドラー二世などなど、アークエンジェルの人々の人となりを知ってしまった。

ムウさんとやった戦闘訓練、ソランさんと続けたMSの操縦訓練が、ニュースを見るたびに思い出されるのだ。

 

「きっと、戦争が終わるまで降りれませんよ」

 

僕は非情になり切れない。仲間が見捨てられない。当たり前の人間だから当然だ。

 

「そう。ごめんなさいね」

 

そういって、マリューさんはもう一枚の紙を出した。先にこっちを言うと心残りになるんじゃないかと思って。そういって、書類を出した。

書類には、ZAFTの基地周辺のここのところの動きが書かれていた。

 

「サイーブ氏の予見なんだけどね。恐らく明後日には虎と戦闘になるわ。艦長もほぼ間違いないだろうって」

 

戦闘になると言われて少し身構えてしまったが、予想戦力の欄を見て少しほっとした。バクゥの10機くらいならソランさんがいれば大きな問題じゃない。

どちらかと言うと・・・

 

「虎の戦術が厄介よ」

 

高名な戦術家なのだから、そちらがメインなんだろう。僕の方はムウさんからたまに講習を受けているくらいで、戦術はMSの操縦に比べるとからっきしだ。

 

「それと、未確定情報なんだけど、あの追撃隊のMSも降下している可能性があるわ」

 

流石に厳しいとは思うが、僕たちにはここを突破せねば進路が無い。

コーヒーごちそうさまと言って部屋を出ていくマリューさんに手を振って、再びPCと向かい合う。

僕もソランさんも、ここで死ぬわけにはいかない。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「そっか、あいつ降りないのか」

 

偶然扉の外を通ったカガリは、少し残念そうな顔をしていた。

 

「オーブであいつと会えなくなるのか」

 

私はどうしても立場上オーブで一度降りなくてはならない。だから、お父様に何と言われてももう一度アークエンジェルに乗らないと。




なんだかダメな気がする・・・
多分再筆します。
きっと再筆します。
確実に再筆します。

だって納得できない出来だし・・・
上述の通り、再筆版が出来るまでの原稿のようなものとして読んでいただけると幸いかもしれません。

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