ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結>   作:MS-Type-GUNDAM_Frame

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来週は休みます。
ホントです。
テストやばいです。
お盆までには新作が書けたらなぁと思います。
つまり最大お盆までは休むと思います。


27話:砂漠戦

「一応地雷は埋めてみたが、多分バレてるだろうな」

 

サイーブ・アシュマンは、渋い顔で戦闘準備の報告をしていた。

 

「では、必然的に我々が戦闘を行うことになりますが」

 

バジルール艦長は、分かっていたことだと落ち着いて話している。結局、現在の戦場ではMSが有るか無いかが大きな差となっている。バジルール艦長はそう感じていた。今までの戦場も、MSが無ければたとえ「エンデュミオンの鷹」がいても突破は難しかっただろうと。

 

「因縁のある相手も降下してきたとのことでしたし」

 

また、第八艦隊の観測隊から投下された通信用カプセルが朝に回収された。文章には、「クルーゼ隊からGが二機が降下、注意されたし」とあった。しかし、バジルール艦長には信じることが出来た。

 

「彼らなら、やってくれますよ」

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「一応、あっちの地雷原焼き払っとこうか」

 

ZAFT地上艦、レセップスの主砲が、明けの砂漠のメンバーが作った地雷原を正確に捉え、砂漠の只中で爆炎が上がる。

 

まさかこれで終わりとも思えないな、とバルトフェルドはバクゥ部隊に出撃を命じる。そして、自室にいるアイシャを呼びに行く。

 

「さて、アイシャ、準備は・・・」

 

悲し気な笑顔を向けられて、バルトフェルドは言葉に詰まった。

 

「あの子たちと戦うのね」

「僕だって気分は良くないさ」

 

バルトフェルドの悩みは見透かされていたようだ。だが、悩みがあっても目的のためには止まらないのがこのバルトフェルドの良いところだ。

 

「それでもね、やらなくちゃいけないんだよ」

 

そう、笑いながら言ってバルトフェルドは扉を開けて外に出た。エレベーターに二人で乗り、新型の指揮官用MS、ラゴゥに乗り込む。

 

「アンドリュー・バルトフェルド、」

「アイシャ」

「「ラゴゥ、出る!」」

 

そうして、砂を巻き上げながらオレンジの機体が発進する。

戦場に出てすぐに、アイシャが敵を発見した。

 

「早い!」

 

そのジン・オーカーは恐らくは増設されたスラスターの出力を全開にしているのだろう。直線のみではあるが、バクゥですら出せないほどの速度で砂漠を滑走している。

だが、そのような速攻は予想できた事だと口の端を釣り上げる。この時のために、何度も陳情に来た彼らをそこに配置した意味がある。

 

「ディアッカ君!」

 

レセップスの艦上で、バスターが砲を構える。

 

『直線しか進まない敵なんて怖くないね!・・・!?』

 

バスターが砲を構えたその瞬間。ジン・オーカーのスラスター光が消え、次の瞬間にはジン・オーカー自体も照準の中から消えた。

その瞬間を、バルトフェルドはしっかりと見ていた。今明らかに、あのジン・オーカーは《横に》高速で移動した。背面に焼き付けられただけのスラスターでどうやって、と機体の正面を敵に向けながら考える。敵艦の攻撃に向かわせなかったバクゥにジン・オーカーを包囲させ、アイシャがビームライフルのトリガーを引いた。

 

「また!」

 

またもや、バクゥ以上の急加速でビームを避けた。しかも、しゃがみながら砂を巻き上げて即席の煙幕を張った。

 

『どこに・・・・ぐぁぁぁぁぁ!』

 

通信で聞こえた断末魔の声に、バクゥのパイロットがやられたことを悟る。

 

「全機下がれ!」

 

あの砂煙の中では一方的にこちらがやられてしまうと、バクゥ部隊に牽制射撃をさせながら後退、散開させる。

砂を巻き上げただけの煙幕はすぐに晴れ、ジン・オーカーが再びその姿を現した。その腕には大きな装置が取り付けられ、足には巨大なクローラーが接続されている。

 

「どうにも優秀なメカニックがいるらしいね」

 

あれほどの速度で格闘戦をこなされると、バクゥの有利な点は射撃ができる点くらいしかなくなる。あのクローラーはおそらくバクゥの物を移植し、継戦性をかなぐり捨てて速度に特化させているのだろう。これ以上、こちらがやられれば防衛線すら張れなくなる。

 

『ば、化け物だ・・・』

「うろたえるな!」

 

怖気づいた部下に一括して、攻略法を探る。そして、気づいた。

 

「いいか、確かに敵は驚異的な機動力を持っている。だが、装甲自体は通常のジン・オーカーと変わらん!一発当てれば致命傷だ!一発だ!一発で良いから命中させるぞ!」

 

その言葉に、訓練されたバルトフェルド隊の面々は、はい!と返事をして一斉にジン・オーカーに向けて背中のウェポンコンテナからミサイルや滑空砲の弾を放つ。

《そんな策が通じればいいが》。バルトフェルドは苦い顔で射撃を命じた。

バルトフェルドは報告を聞いて知っている。実際に見てもいる。あのジン・オーカーは一度バクゥ数機からの弾幕を食らって全て凌いでいると。

それでも、現状ではこのジン・オーカーを落とすにはこれしか最善手がないのも確かである。

 

最初の一機が撃った滑空砲の弾が、前屈したジン・オーカーに全て躱される。誘導が効いたミサイルが、マニピュレータで腹を押されて軌道を変え、重斬刀で叩き落されて届く前に爆発し、後からのミサイルは強く巻き上げられた砂のカーテンで遮られて届かない。

フォーメーションを変えて次々と撃ちつづけても、同じ様に対応され全く攻撃が届かない。レセップス艦上のバスターやデュエルも射撃を行うが、虚しく砂埃を巻き上げるだけだった。

 

『あれは!ストライクゥ!!!』

 

不意に、イザークが狂喜の声をあげてレセップスから飛び降りた。整備士たちの徹夜に続く徹夜でデュエルは砂漠を歩くことが可能となっていた。

段々慣れてきたのか、歩行スピードが上がっていき、遂には走ってストライクへ向かっていく。

 

ざくざくと砂漠を踏みしめながら、他の何も眼に入っていないのか、コンソールに響くバルトフェルドの声をものともせずにデュエルはストライクの方へジン・オーカーを横切っていこうとした。

だが、当然ジン・オーカーのパイロットは不用意に近づく敵を看過しない。

 

流石に攻撃されれば気が付いたようで、ビームサーベルで重斬刀を持った手に斬りつける。

 

『邪魔をするな!』

「囮だ!避けろ!」

 

バルトフェルドの声が聞き届けられるよりも、イザークが沈黙する方が早かった。

囮の右腕でデュエルの機体をつかみ寄せ、左腕の装置をコクピットに突き付ける。

高速で射出された鋼材が、デュエルのコクピットに叩きつけられた。周囲に甲高い金属音が鳴り響く。後ろ向きに吹き飛ばされたデュエルは、倒れたままピクリとも動かない。

通信音声で僅かに聞こえる息遣いの音で、まだ死んでいないことは分かる。だが、時間の問題だ。

バルトフェルドは一旦通信を切った。

 

「僕に地獄の底まで付いて来てくれるかい?」

「もちろんよ、アンディ」

 

当然のことを聞かないで頂戴、とアイシャが笑う。バルトフェルドもつられて少し笑ったが、すぐに表情を引き戻して通信を再びONにする。

 

「諸君、撤退だ。基地へ戻る。殿は僕が努めよう」

 

そう言って、ラゴゥをデュエルの前に割り込ませる。

 

「君とはもっとケバブの話をしたかったがね」

 

デュエルが回収されたことを確認して、アイシャがビームを放つ。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

恐らく彼は降伏などしないだろう。誇りや大切なもののために死を選ぶ。プラントを憂うといっていたバルトフェルドの顔は確かにあの時の言葉が真実だと物語っていた。

刹那にプラントの権利をどうこうする権力が無い以上、彼がこちらへ来ることは無い。

 

ゆっくりと光り始めた銃口の打ち手の意思を、感じて、狙われた位置からジン・オーカーを動かして躱す。同時に放ったアーマーシュナイダーは、口元で発振したビームサーベルに切り払われた。

 

どうにも、一筋縄ではいかないようだ。




次回はアークエンジェル組視点から描くと思います。

ああ、眠い・・・・

7/30追記
鋼材が叩きつけられた、と表現を変更しました。

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