ガンダムSEED×00~異世界にイノベイターは何を思う?~<完結>   作:MS-Type-GUNDAM_Frame

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ストライクにも市街地戦用の改良が入ります。これは帰りの電車で六時間という割りと何かやらないと気が狂いそうな時間で考えた思い付きですが、それなりに効果はあるんじゃないかなぁ~と信じたい。

次回が出来ちゃったので本日投稿となりました。ボーナスみたいなものだと思っていただけると幸いです。次回はちゃんと今週の日曜日に出します。


35話:最大効率

ワンオフ機体、エクシア・アストレイと並行して、ストライクにもアップグレードが施されていた。まず、出力の大容量化。新型バッテリー、パワーエクステンダー2つの併設で最大電力が数倍に向上し、モータや配線の容量も強化された。そして、脚部の全体的な設計変更。これは刹那からの助言もあってのことなのだが、そもそもキラと刹那の戦闘指向の違いが発端だ。

刹那は、元々のテロリストとして教育されていた時代の白兵戦技術とMS戦闘の技術を異なる技術として脳内に持っている。だが、キラにとっては戦闘というのはMSに依るものが全てなのだ。そこへ対人戦闘の技術も入る余地はあるのだが、いかんせんMSと人体では違う部分が多すぎるのだ。

その最たるものが脚部である。もちろん大まかな構造は同じだが、人体をトレースしようとすれば当然関節の可動域の差から再現が不可能な姿勢が現れる。

そこで、脚部をより人体の関節に近づける。爪先に関節を追加し、足首を横にも曲がるよう軸を通して膝に軟骨のようなクッション機構を備え、脚全体からの衝撃を人体そのままに上半身へ流す。

関節が増えた弊害は、世界最高の生きた情報処理装置、キラが全て吸収する。関節の追加によって可能になった動きをパターン化し、体重移動と関連付けて本体の姿勢制御プログラムに直結する。

こうした様々なスペシャリストの協力のもと、世界で最も人体を再現したMSが完成した。

中国武術、軽身功の応用で、90度近い壁に機体制御のみで座っているストライクを見て、シモンズ主任は呟いた。

 

「これまでのわが社の数年を遥かに上回る発展だわ。やっぱり分業って大事ね、アストナージくん」

「仕事してください主任」

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

本日の日程が全て完了し、キラはカガリに市街地へ引っ張ってこられていた。ちなみに原因はこうだ。

 

「お前、私服とか持ってないのか?」

 

思えばストライクのパイロットになってからずっと軍服で、モルゲンレーテにいる間は支給された作業服だ。ちなみに私服を持っていないのも本当で、ストライクに乗ったあの日着ていた服はどうしようもないほど血まみれだったので捨ててしまった。

なるほど、では買いにいこうとカガリが言い出し、あれよあれよという間に許可が出され、半笑いのモルゲンレーテ所属運転手に送られて現在オーブ本島である。

お金は、と言い出しそうになったキラだったが、カガリの財布にちらりと見えた黒光りするカードを見て考えるのをやめた。

まず大きなショッピングモールで服を買い漁り(キラは何度もダメ出しされた)、同様に買い物に来ていたトールに盛大にいじられ(トールはカガリに殴られ感激したキラがカガリに抱きついて大騒ぎになった)、夕食を食べに二人で料理店に入った。

材料の唐辛子の量をゼロが二つ三つ間違っているのではないかと思われるほど赤い麻婆豆腐を平然と掻き込んだ後、カガリが話を切り出した。

 

「なあ、私はどうやったらお前らに着いていけると思う?」

 

それは、トールを一撃で気絶させた時とは打って変わって消沈した様子だった。キラも、先ほどブティックで再登場した黒いカードからそれなりに良い家の子供だということは想像がついていた。実際はそれなり、どころではなく最上位なのだが、ともかくかなり親から大事に思われているということも確かなのだ。そして、カガリも大切に思われていることをわかっている。だからこそのこの悩みの打ち明けなのだろうが、キラには答えが出なかった。そもそもキラが今アークエンジェルに乗っているのは緊急時の判断の結果だ。

親に認められて軍に入った訳ではもちろんないし、なんだったら父も母も自分を軍から抜けられるように尽力さえするだろう。それでもキラはアークエンジェルの乗員たちに絆されているし、自分でも分かっていてだからこそ何もかもから降りず此所にいる。オーブにいるというのに二人に連絡すらしないのは事が拗れるのを恐れているからだ。

それでも、なにも答えないだけでは相談された甲斐がない。だから、一番妥当だと思われる回答をひねり出す。

 

「ムウさんは、敵は一番弱いところから切り崩せって言っていたけど、これもそうなんじゃないかな。例えばお父さんの部下とか、家のお手伝いさんとか」

 

攻略しやすい部分から攻略するというのは考えれば通常当然なのだが、いざというときに人間は忘れやすい。ムウの教えは本人の思わぬところで役立ち、本人の知らぬところで株が上がった。

 

「みんな反対しそうなんだけど」

 

口でなんと言おうとも、外部から観測される結果は「戦争に行く」、である。カガリが思うに、父、ウズミは物事の本質がしっかりと見え、かつ生半可な言葉に騙されない人間である。民主主義が広く知られた現代で実質の独裁を行っている人間が、部下の言葉などに耳を貸すだろうか?

ウズミ・ナラ・アスハは一つの論理武装された城である。では、城を越えて父に届くものとは何か?

 

「父さまは・・・いくら言い方を変えても物事の見方は変えないと思う。あれでも政治家だけど、本質しか見ない人間なんだ。逆に、私がお前らに着いていって私が居なくなる以上のメリットがあれば説き伏せられるかも知れない。ほら、国益なら娘一人より優先されなきゃ政治家失格だろ?

生き方は変えない人だから、そこを突けばどうにか説き伏せられるかも・・・」

「でも国全体の利益になるほどのメリットなんて・・・」

 

そこで、カガリがガバッと立ち上がった。目には強い光が宿り、顔全体に喜悦の色が広がっている。

 

「お前、国籍はオーブだよな!?」

「そうだけど・・・・・・?」

 

キラには全く話が見えないのだが、カガリは我が意を得たりと言わんばかりにガッツポーズを決めている。

 

「キラ、お前は今日から私のものになれ!いや、戦争が終わってからでもいい!」

「・・・えぇ?」

 

嬉しい、確かに嬉しいのだが、キラの頭には圧倒的な困惑がクエスチョンマークを撒き散らしていた。

あー、頭使ったらお腹減ったなー、などと言いながら先程の辛さの限界に挑む人間用の麻婆豆腐をもう一杯頼んだカガリと自分も一緒に同じものを頼み、とりあえず説明を要求する。

 

「その話は、そのー、色々ほら、な?」

 

モルゲンレーテから外出時に渡された端末を指差されながら言われて、キラも察した。国防の機密に絡むことらしい。さすがに聞きたい放題のこの料理店では不味いだろう。新しく届いた麻婆豆腐をペロリと平らげ、帰りの待ち合わせ場所まで公共の無料バスで戻る。

送りとは違い、帰りの車を運転していたのは刹那だった。

 

「ソランさん!どうして・・・」

「キラ、少し遅刻だ。艦長が直接連れてこいと言っていた」

 

ムウからプレゼントだ、と渡された反省文の書類を見て、現実は非情だと実感した。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

二時間後、キラの部屋にて

 

「それで、夕食の時のことなんだけどな」

「はい」

 

艦長から、一時間正座でいかに危険な状況に陥るかという軍隊教育も交えた理路整然としたお叱りの言葉を受けていたために痺れた脚をベットの上で伸ばしながら、机を挟んで胡座で座っているカガリの言葉を待つ。

 

「そうだな、ウチのテストパイロット3人がいるだろ?」

「アストレイの?」

「そ、あいつらだ。あいつら、防衛軍のパイロットでどのくらいだと思う?」

 

MSは、ZAFTが数ヵ月前に初めて実践配備した超最新兵器である。それで、オーブは時間の問題ではあるがまだテスト中である。つまり、

 

「トップ、かな?」

「そ、あれでトップ」

 

キラは言葉節があまり強くないためそこまで言及しなかったが、確かに現状のままでは的でしかないだろう。

 

「そこでお前だ!実戦経験なら多分世界一と言っても良いくらいだろ!?」

 

それは、間違いではない。但し書きとしてZAFTを除く(さらに言うと刹那を除く)、となるが、MSパイロットとしての戦闘経験でキラは世界一だ。

 

「しかも、開発も一流!そんなお前がウチの所属になれば、正に国益じゃないか!大丈夫、連合との交渉は上手いこと言わなくてもやってくれるさ」

 

此所で言うウチ、とはつまりアスハ家のことである。オーブの内政を司っているとは言え、戦闘用コーディネーターの双子を持つサハク家などに比べれば保有する戦力は無いも同然。カガリはそこまで考えていないが、政治的な札とも成りうる。単機の戦闘能力、世界トップクラスのソフトウェア開発能力、世界に名の知れたエースと軍事の名門から現在教育を受けている指揮官の視点、一つを持っているだけでも、軍隊から見れば喉から手が出るほど人材だ。

そして何より

 

「これからもずっと一緒にいられるだろ?」

「それは嬉しいけど」

 

そういうプロポーズめいた言葉は普通男の人から言うんじゃないかなと思いはした。それと、スケールが大きすぎて実感が湧かないがよくよく考えればカガリのヒモと言えなくもない。が、それがカガリの望む事なら助けになりたい。

 

「そうだね、じゃあ戦争が終わったら僕はカガリの物だ」

「よし!シモンズにプレゼン手伝ってもらってくる!」

 

最大の関門、キラ本人の承諾がとれ、カガリは意気揚々と主任の執務室へ向かっていった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「若いわねぇ」

 

言って自分でそんな年でもないか、と笑ったが、一児の母ではあるためそれなりなのだろう。

彼女の溌剌とした行動は、十代に特有のエネルギーに溢れていた。そして、何よりナチュラルと結婚したコーディネーターの自分に被るのだ。

一応、出来る限りの手伝いはしたつもりだ。後はご息女の成長次第。とはいえ、心配は無用だろう。父に反発して出ていったあの時に比べて、本当に同じ人間かと思うほどの変わりぶりだ。

 

「まあ、ウチとの連携もしてくれるらしいし、駆け引きが上手になったわねー」

 

アストレイの本日の改良点をリスト化しながら、眉間を揉んだ。アストレイの改良も、そろそろ望まれた水準に迫る。つまり、アークエンジェル出港の日は近い。




カガリさん、マジ男前。
勢いでレストランでプロポーズするぐらい男前。そしてキラくん永久就職おめでとう。まあ働くだろうからヒモではないよ。給料が旦那さん(カガリ)の懐から出てるだけで。
来週は完全に存在が忘れられていたザラ隊と、カガリVSウズミの話です。いやー、新幹線で執筆が捗る捗る。
もうひとつこの調子で書けたら今週は二作突っ込むかもしれません。

受けがいいので作者のFGO近況報告も入れておきます。
タブー感があるのでガチャが当たったみたいなのは話題にしませんが。
ようやくブレイヴエリザが宝具レベル5!あとは再臨素材が金貨ワンセット分です。
あとアンデルセンとダビデがレベル80になりました。やつらはレア度の割にスキルやら宝具やらが自重してないので強いですよね。そういうとこすごく好きです。(10/2 17:30現在)

同日追記
勢いって大事ね。書き上がっちゃったからね。

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