機動戦士ガンダム0079 Universal Stories 泥に沈む薬莢 作:Aurelia7000
第十八章
ザクの群れがジャンプを繰り返し、接近してくるのが見える。RCT3の対MS特技兵を指揮するクォン大尉は部下の特技兵たちによく引きつけるよう指示を出した。
「距離千五百!」
彼らの射点はサービスエリアの手前に広がる農場跡に構築されていた。侵入するMSを迎え撃つことのできる位置である。開けた農場跡であれば、密林と違ってリジーナの照準器でMSをよく狙えるはずだ。
「モビルスーツの推進剤は無限じゃない。ご丁寧に同時弾着は狙わんでよし。各分隊で別の目標を狙え」
クォン大尉は構成された有線通信網を通じて各分隊を指揮する。歩兵一個中隊につき一基しかないリジーナを有効活用するために、彼の指揮下には連隊内のすべての対MS特技兵分隊が集められていた。
「先行する中隊が来ます。奴ら、やっぱりサービスエリアが狙いだ」
特技兵中隊の先任下士官、ファウジ曹長が報告する。農場の端に並び、偽装を施した射撃陣地に潜む各分隊は、足音が適切な距離に近づくのを待った。
対するMS第三中隊指揮官、ダルビニャン大尉は敵の防衛線を崩壊させるべく、密林内の歩兵を無視して突撃を続けていた。密林から密林へと跳んで移動するザクにとって、植生に視界を奪われる歩兵は大した脅威ではなかった。
古い農場とその周囲の二次林は樹高も低く、鬱蒼としたジャングルという地形における例外的スポットがSAまで続いている。敵が一級道路を攻撃するのにも適した地形であり、彼女の部隊はそこへ突入して連邦軍の防御計画を瓦解させるのが狙いだった。
「油断するんじゃないよ!」
農場跡に踏み込んだ彼女は、最後の警告を発してせいぜい数メートルの高さしかない木が生えたエリアを見渡す。ジャンプの繰り返しでノーマルスーツに締め付けられた皮膚が弛むのと同時に、夜間戦闘の緊張感が刺すように増していた。
―警告! メインモニターに広がる視界の奥で次々と鈍い光が走ったと思うと、ザクのOSがミサイル接近音を響かせる。ダルビニャンは反射的にフットペダルを踏み込み、ザクのスラスターに再び火を入れた。
全力噴射で空中に飛び上がった指揮官機は、斜め方向に突き抜けて着地姿勢に入る。ダルビニャンの部下達もミサイルの発射を検知したザクの回避機動を実行していた。
「よし! 奴らやっぱりコンピューターだ!」
クォン大尉は次々に飛び上がったザクが向かった先を見届けるまでもなく、既に部下達を撤収させていた。三脚で地面に固定し、キャニスターを装填して発射する対MS重誘導弾。嵩張るために陣地転換が間に合わず被害を出し続けた兵器だったが、彼らには秘策があった。
敵が推進剤を節約していたり、よほど開けた地形でもなければ、初弾の命中率は低い。教範では各分隊による別部位への攻撃を同時弾着で行うことになっているが、クォンはこの場所でそれを再現するのは不可能だと考えていた。
「曹長! 首尾の連絡は来たか?」
「いいえ! クソ粒子で無線が使えませんで!」
林縁内に逃げ込みながら彼は叫ぶ。背後に残ったザクからの射撃が迫っていたが、放棄した陣地への制圧射撃は逃げ出した彼らに無害だった。
東側で爆音が響く。ザクが飛び込んだ方向だ。
クォンはこれまでに感じたことのない高揚感を得ながら、ジャングルを走っていた。部下達は分解したリジーナを抱えて必死に彼を追っている。
「いい気分だ! 早く結果を知りたいな!」
クォンの計画は単純であった。命中まで誘導を続ける有線ミサイルでザクの中隊を相手にするなど馬鹿げている。だから彼は、自らの手でザクを撃破することを捨てたのだ。
モビルスーツはレーダーに頼らない宇宙戦闘機。あの頭にある巨大な光学機器がその証拠だ。宇宙空間でセイバーフィッシュやサラミスの相手をしている化け物からすれば、重力下で発射されるミサイルなど大した速度ではない。
「大尉の予想通りでしたな!」
戦訓から言えば、ザクのコンピュータは発射されたミサイルを光学で検知し、回避機動を行う。その回避機動はパイロットではなく、ザクの機体制御によるところが大きいはずだった。一斉に発射されたミサイルは発射炎ですぐにザクの脅威検知に乗り、それが自機に向かう脅威であれば適切な回避機動をパイロットにとらせるだろう。
―結果は彼の予想通りだった。間隔を空けて並んだ十基以上のリジーナが一斉に発射されると、ザクは示し合わせたかのように慌てて飛び跳ねてみせる。後方は密林。前方は遮蔽物のない農園。代わりにコンピュータが選定したのが東側に存在した、適切すぎるいくつかのキャノピーの穴だった。
クォンが林内の予備陣地に滑り込み、有線電話を手に取る。通信の相手は、東側でザクのために用意した着地地点に待ち伏せていた兵士達だ。
「どうだ! 俺の言った通りだったろう?」
『まさか本当に来やがるとは思いませんでしたよ大尉! 私の小隊で二機、擱座させてやりました!』
「他は?」
『全部が全部って訳にはいかないようで。ザクが来なかった分隊、仕留める前にSマインで全滅した分隊もあります』
「分かった。今の陣地は放棄して次へ移動しろ」
クォンは電話機を置く。塹壕に辿りついた部下達を点呼させると、彼は有効と分かった戦術を続けるために再び次の陣地を目指した。
「油断するなと言った!」
ダルビニャンは擱座した部下のパイロットを無線で叱り飛ばしながら、自機を移動させた。彼女が着地した位置には、ご丁寧に迫撃砲弾まで降り注いでいる。
発射されたミサイルが誘導を中断するのを見た彼女は、既に着地に向かっていたザクで空中から120ミリ弾を掃射した。その判断力と操縦技能のおかげで無事だったが、彼女の部下は脚部に無反動砲を撃ち込まれたり地雷を踏んだりと、まんまと敵の思惑に乗せられた形で数機が被害を受けていた。
「読まれた機動は静止と変わらん! 地上でも同じことだ! 奴らは同じ手を使うぞ。小隊ごとに密林内を浸透しろ!」
中隊長である彼女は第一小隊の小隊指揮官でもある。二機のMS-06Jbを率いて、彼女は視界の悪いジャングルを進むことにした。120ミリザク・マシンガンのマガジンを外すと薬室内の榴弾を抜弾し、新たな弾倉に交換する。フレシェット対人散弾が込められたマガジンだ。
連隊戦闘団の歩兵部隊と第一旅団が死闘を繰り広げる街道から、およそ十数キロ。連邦東南アジア方面軍第八師団から派遣された砲兵は、そこで射撃を継続していた。
無限軌道を備えた車体に巨大な砲身が生えた閉鎖戦闘室。一個大隊からなる砲兵隊は、中隊ごとに構築された陣地でRCTの本隊と有線通信を構成している。
ウィボウォ連隊長の指揮を受けて砲兵大隊の指揮車は各中隊による全力射撃を命じ、見事に敵の先頭集団を壊滅させていた。
第三砲兵中隊の装備する180ミリ自走榴弾砲が再び砲口から火を吹き、ジャングルに光源を作り出す。ミノフスキー粒子によって無線での間接照準は封じられたものの、有線での代替と対砲兵射撃を警戒した頻繁な陣地転換が不要になったことで、彼らはむしろ高い火力を発揮できた。
『赤警報! 敵AHが接近中!』
このままRCTの防御計画に沿って連邦一級道路を進軍する敵機甲部隊を漸減すると思われた砲兵隊であったが、突如としてジオン公国軍の攻撃ヘリが姿を見せた。偽装網はかけられているものの、射撃を継続すれば発射炎で正確な位置を割り出され、空からの攻撃に晒されるだろう。
『撃ち方待て!』
「射点を見られたか。全車撃ち方やめ。林内に身を隠せ!」
第三中隊長のメンドーザ大尉は言うと、指揮するバッテリーに射撃の中断を命じた。中隊ごとに分散し対空ミサイルを装備したMANPADS分隊が分遣されているが、戦闘ヘリは天敵のようなものだ。
砲弾を対砲迫レーダーで捕捉して射点を特定することは不可能になった現代戦でも、空中から光学的に発射炎を監視することはできる。
彼らは広大な土地を舐めるように監視し続け、その大口径レンズで、射撃を続ける砲兵中隊が放つ閃光を捕捉したのだ。GFAS―地上火器発砲捕捉システム―を搭載したヘリは、好条件であれば十キロ近い距離の可視光、赤外線から発射炎を検出、照合できた。
ミノフスキー粒子によって砲兵の修正射撃に有線通信網が必須となった都合上、防御側と攻撃側で砲兵射撃に大きな格差が生じる。攻撃側は有線通信網を構築しながら前進するわけにはいかないからだ。
ジオン公国軍は侵攻作戦における野戦砲兵の非対称性を痛感し、戦闘ヘリによるサーチ・アンド・デストロイとMSによる射撃の誘引という答えを出した。
ミノフスキー粒子の影響を受ける赤外線への依存度合いはあるものの対砲兵空中監視自体は連邦軍にも存在する。対策として射撃部隊の切り替えと陣地転換で隠蔽を図ったが、この時、他に光源のほとんど存在しない夜間のジャングルという状況が狩人の側に有利に働いた。
有線通信ケーブルを引きずった自走砲が、射撃陣地から近くの森に突っ込む。背の高い草の中を、樹木に阻まれるまで進んだ。
MANPADS―個人携行可能な対空ミサイルシステム―を装備した特技兵が、林縁で三脚付き発射筒を空に向けて据えた。ミノフスキー粒子下でも誘導が可能な、レーザー・ビーム・ライディング方式の対空ミサイルだ。照準器が放つレーザー光線に従って、飛び出したミサイルが飛翔する。
ブースターの閃光が煌めき、小さな誘導弾が空へ向かっていく。飛来した攻撃ヘリを射手が捉え続けることでミサイルは盲目のまま目標に直進した。
「ミサイル。回避、回避」
《ゲラルス・スリー》の操縦手が射撃手に警告しながら回避機動を取る。ミノフスキー粒子がミサイル側の性能を下げたことで、ヘリ側の回避可能性に期待が持て、ジオンは機動性に優れる二重反転ローターを戦闘ヘリコプターに採用した。
―しかし、常に回避できるとは限らない。レーザー誘導により正確に目標へと接近し、レーザー近接信管の測距光が《ゲラルス・スリー》の機体下部で反射する。
即座に加害距離内と判断したミサイルは信管を起動させ、爆発とともに弾頭内の三千発以上のタングステン球が機体に殺到した。バスタブのような装甲板に守られたコックピットは貫通を免れたものの、エンジンがスポンジのように穴だらけになる。
ろくな装甲を持たないヘリは急速に制御を失い始め、自らローターブレードを吹き飛ばして緊急脱出装置を作動させた。
森に追突したヘリの機体が燃料爆発を起こした直後、対空ミサイルの射手がいた地点と射撃陣地にロケット弾が殺到する。
「くそっ!」
別の射手が放った対空ミサイルはミノフスキー粒子で近接信管の集積回路が作動せず外れた。間髪入れずに彼を20ミリ機関砲の掃射が襲う。
《ゲラルス》隊と《クレスモダ》隊の戦闘ヘリは捕捉した砲兵陣地を襲撃すると、すぐさま高度を下げて次の陣地へ向かった。防空ユニットと構成した有線通信網が破壊されたものの肝心の自走砲は見過ごされたように見える。
「謀られたぞ!」
だが、中隊長のメンドーザには敵の意図が分かっていた。事前に用意した射撃陣地でしか前線との通信を確保できない部隊にはもう用がないのだ。代わりに射撃を継続している第一中隊に向かったに違いない。
戦闘ヘリの攻撃を警戒して前M粒子時代のように分散し射撃することもできるが、射撃の効果は著しく下がるだろう。次の陣地に向かったとて、またすぐに発射炎で見つかる。頭上を飛び回る蜂の羽音が聞こえなくなると、彼は指揮車の中で机に拳を叩きつけた。
マゼラ・トップとの接続装置が本来であれば取り付けられる位置に、APC型マゼラベースのキューポラが存在している。そこから上半身を出して双眼鏡を覗き込んだペレイラは、炎の明るさが残る街道の先を見ていた。
砲撃がまばらになってきている。サバンナの大移動のように車列を成した第一旅団の前方集団が突入する頃には、敵砲兵の射撃は抑止されている―そういう説明があったにもかかわらず、最前面のA戦闘団は甚大な被害を受けて後退した。ペレイラが含まれるB戦闘団が代わりを務める手筈だ。
だが前進するしかない彼女らにとって、それは自殺のように思えていた。
―赤の信号弾。
中隊長がピストル型の信号弾から放った赤い光を背中に受け、ペレイラは車内に戻った。
「前進用意。車間距離を保ちつつ戦車小隊に後続する。小隊前進!」
重厚なエンジン音が響き、車両が動き始めた。ペリスコープの外は赤い信号弾だけが光源だ。暗視眼鏡を外したのでよく見えない。主に頼れるのは視察装置だった。
「降車し、工兵の援護を行う。路外の敵を制圧。戦車小隊が障害を抜けたら乗車して続行する」
走り出したマゼラ・ベースの後部兵員室に収まる十名の兵士達と、小隊無線を聞く小隊の122、123号車にペレイラは方針を伝える。ミノフスキー粒子のために中隊無線は不安定で、小隊指揮官の責任は大きい。
「ああ、くそったれだ。くそ……」
狭い兵員室で向かい合って座る男たちの中、ダウダ上等兵が足を揺すりながら呟く。対面のジェンキンスが茶化すように言った。
「砲弾が落ちてくるときは仲良く一緒だぜ」
ペレイラが乗る121は第一分隊車で、分隊長は無口な男だった。兵士の無駄話に釘を刺す様子はない。フォードであれば死地に向かう車内の空気を変えてくれたかもしれないが、彼はペレイラと同時に戦死することのないよう123に乗り込んでいる。
「障害さえ突破すればいい。砲撃は止まってきてる」
ペレイラは自らにも言い聞かせるように言った。揺れるモニターの映像で、一級道路上に取り残された残骸が見える。路肩で鉄のサイの遺体が火を噴き出していた。
至近で砲弾が爆ぜ、敵の火力が彼女達にも向けられたことが分かると、彼女は前進を止めた。銃弾が車体装甲に弾かれる甲高い音が車内に響く。
「小隊、停車! 降車用意!」
僚車が無線を受け取って停車したのを確認すると、ペレイラはベルトを外した。
モーター音が鳴り、マゼラ・ベースの後部ランプが開く。マゼラ・アタックの給弾口と乗員の乗降口を兼ねて設置されたが車体の幅に対して狭く、APCとしては不評な大きさだった。
「降車! 行け行け行け!」
叫んだ分隊長が真っ先に飛び出し、兵士達が続く。装具が擦れる音、それから床板をブーツが踏み鳴らす音が騒がしくなり、車内を包んでいた緊張感が高揚に変わる。
「車長、あとは任せた。無線が聞こえなくなってもしっかりな」
ペレイラが一段高くなっている車長席から降り、前方で操縦手の隣に座っていた車長と代わると、小隊通信手が先にランプへ向かう。車外からは戦車砲の発砲音が聞こえた。
一人分の幅しかないランプを駆け降りて車体の影に入り、マゼラ・カンプと後方で同様に兵士を吐き出したマゼラ・ベースを見る。第三小隊だ。
「曹長! 聞こえるか」
『聞こえてます』
「機関銃班を展開させる。援護の指揮を頼む」
暗視装置の緑がかった映像の中に道路が続き、ガードレールの外は暗闇の森になっている。道路の先には撃破されたA戦闘団の車両や、展開を始めた友軍車両が見えた。
前方の第一小隊で爆発が起きる。アヒルのように自分について回る通信手の顔を見ると、
「接敵してるみたいです。大尉が路外を制圧しろと」
と分かりきったことを言った。中隊長も自分以上の状況は理解していないのだ。ミノフスキー粒子のせいだった。
「MG班、出るぞ!」
「はい!」
機関銃手のタヴァレスがマズラMG74を抱えて答える。車内では怯えているようだったダウダも覚悟が決まったらしい。
『前へ!』
フォードの指揮で三個分隊のライフル班が一斉に飛び出し、盛り土から見下ろせる林縁に射撃を始める。
ペレイラは各分隊のMG班を率いて路肩へ向かった。地面に尻をつけてガードレール際まで進むと、頭を出して林縁を確認する。
暗視装置越しに連邦軍の歩兵が展開しているのが見える。道路上の車列を攻撃するために肉薄してきた対戦車兵だ。
「MG準備よし!」
「林縁を掃射しろ!」
伏せたタヴァレスが構えたMG74の隣でダウダが予備弾倉を並べる。八十発が入る大型のドラムマガジンだった。
マズラMG74は、ジオン軍の歩兵分隊にとって火力の重心である。連邦軍の分隊支援火器と違い、大型で連射速度が速く、携行弾数も多い。数で劣るジオン歩兵における、その差を埋めるための大火力。分隊の矛であり盾であった。
電動工具を思わせる連続した射撃音が響き、銃口が激しく火を吹く。分散した三名の小隊機関銃手が、数秒おきに照準をずらしつつ林縁に銃弾のシャワーを吐きかけた。
「おい、車両にも手伝わせろ」
林縁の奥はナイトビジョンでもよく見えない。時折マズルフラッシュが瞬き、連邦兵の反撃が林内から続いている。通信手に命令すると、匍匐したペレイラはライフル班の動きを確認した。MG班の射撃が始まり前進した兵士達は、路肩に到達して撃ち下ろし始めている。
「弾倉交換!」
タヴァレスがフィードカバーを開く。ペレイラは上体を起こしてライフルを構えた。
照準の先に見えた人影に向かって引き金を絞り、反動を肩で受け止める。
「少尉!」
フォードの声が聞こえたと思うと、頭を揺さぶる衝撃が彼女を襲った。爆発が起きたらしい、と理解して次いで自分が地面に倒れていることに気づいた。
「生きてますか少尉!」
駆け寄っていたフォードに抱えられて正気を取り戻す。
「敵の空軍が来てます。怪我は?」
「ありがたく無傷みたい」
顔を上げると、第一小隊の展開するあたりの真ん中に航空爆弾が落ちたらしい穴が空いている。口に入った粉塵を吐き出すと、射撃を続けている機関銃手に向き直った。
「衛生兵!」
叫びつつジェンキンスが駆け寄る。
「足に穴が空いてるぜ兄弟。ダウダ、お前がこいつと代われ。俺が弾薬手をやる」
「金玉の感覚がねえ!」
「心配するな! そっちは無事だ! 二つもあるのにな!」
ダウダが機関銃手のタヴァレスに覆い被さると、両脇を抱えて回転する。彼をどかしてそのまま自分がMG74のグリップを握った。衛生兵が血で染まったタヴァレスの足に止血帯を巻き始める。
ペレイラは空を見上げたが、敵の航空機は見えない。代わりに森の中から空に突き刺すように放たれる大口径の軌道が見えた。
「敵機はMSがなんとかします。それより工兵は」
「戦車が前に出ます!」
「総員乗車用意! 第一分隊から! 援護しろ!」
各分隊長が呼応し、兵士達も繰り返す。後方で33ミリ連装機関砲を射撃するマゼラ・カンプと共に林縁を制圧するAPC。彼女は部下達を急かした。
「もう連中に用はない。早く戻れ!」
前方集団を孤立させないため、第三小隊が進出する。第一、第二小隊を追い越して先頭を代わろうとしているのだ。
鉄のサイに轢き殺されないよう、ペレイラ達は車列を待ってからAPCに戻った。
硝煙と煙幕で満たされた障害での戦闘がひと段落する頃、MS第三中隊のダルビニャン大尉はサービスエリアの対MS特技兵を掃討しているところだった。
SAの建物に120ミリマシンガンを連射する。開裂した弾体から散布された数千本のフレシェットが窓枠ごと潜伏した兵士達を吹き飛ばし、カラフルな建物を廃墟らしい見た目にリフォームしていく。
『敵機が再度接近中!』
第一小隊の部下が通信を入れる。彼のザクはヘビーバレルに換装したマシンガンを装備していた。
120ミリ対空砲弾にはモノアイで捉えた敵機の諸元がリアルタイムで時限信管に反映される。大型のマズルブレーキからオレンジ色の炎が吹きこぼれ、凄まじい速度で次々と120ミリ弾が放たれた。
HUDに表示された照準線を元に道路上への爆撃を続けようとしたフライマンタが、120ミリ弾に満載されたプリフォームド・フラグメントで即座にスクラップと化す。
『ザクがこんなに前に!』
「ブレイク! 肉眼で見える距離じゃ落とされるぞ! 照準ポッドを使え!」
ハードポイントに懸架された精密照準装置でジャングルを走査する。炎上するサービスエリアに熱源が見えた。MSだ。
『……が! 奴ら……ているぞ!』
「俺が一つ目のくそったれをやるぞ!」
散開した編隊の通信がミノフスキー粒子で阻害される。距離を取り直し、機首に搭載されたミサイルランチャーを指向すると、彼のコックピットごと搭載弾が爆ぜた。
対地攻撃に機首を向ける必要があり、モノアイの半分以下の小径センサーしか搭載できないフライマンタは、MSにとって最も撃墜しやすい航空機のひとつであった。
RCT3は計画通りに遅滞戦闘を実施した。それでも、主にマゼラ・アタックで編成された第十六強襲戦車大隊が連邦一級道路を前進し、ペレイラ小隊が二つ目の道路障害を突破した時刻は、彼らが希望していたよりずっと早かった。
増やして欲しい要素はなんですか?
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人間ストーリー
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戦闘シーン
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モビルスーツ
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普通兵器
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歩兵