え?待ってない?(^ω^)
相変わらず短いですがお許しください。
———熱い…
それは内側から燃やしていく
———熱い…
臓器を焼き、骨を焦がし、肉は溶け、内側の
———熱い…熱い…痛い…
目が溶け落ち、爪は塵となり、もはやそこにいるのは火だるまの黒炭人形。
———熱い…それでも…
右手を前に突き出す。
———崩れ落ちた。
ならばと、左腕を突き出す。
———これもまた崩れていった。
足も、体も、頭も、全てが塵となって砕けて、風に飲まれていった。
それでも…
———心臓が生きてる。
律儀にコイツは痛みを伝えてきた。
もう神経なんてどうでもいいような体してるくせに。
送る血潮もない体で、コイツは律儀に震えるように動いている。
———なら、体が動かないのは不条理だ。
まだ動く。頭はもうどっか飛んでいったかと思ったが、歯と顎がまだ残っていた。
なら地面に食らいつく。
首をがむしゃらに動かして前に突き進む。
———あるわけない瞳で前を睨む。
強烈な風が前から吹いている。風に煽られ、内側から漏れだす
黒く、黒く、黒く…
———熱い…痛い…
見えない前方をにらみ、悔しさからか、歯をギリギリと食いしばる。
———そこに見える幻影に思わず動くのをやめた。
赤い外套を翻し、赤かった髪は少し白くなっていた。そして、彼は前を見ている。
彼は決してこちらを見ない。当然だ。彼にとって俺は、
それに、彼は優しすぎる。
切り捨てた側の人間なんか見たら、彼は止まってしまう。
———なんでだ。
だから、彼は俺を見やしない。その足を前へ…
———なんでこっちを見てるんだ?
彼は体全体を振り向かせ、倒れ砕け散りそうな、今にも無くなっちゃいそうな俺を見ていた。
———なんでそんな顔で見てやがるッ!
あんたが、正義の味方がそんな…
———誰かの犠牲になれたのなら良かった。
———あなたの夢の礎になれたのなら良かった。
———誰も泣かずに済む世界の為になら良かった。
———…何よりあなたに泣いて欲しくなかった。
「…殺させてくれ…◾︎◾︎」
「なんでそンな泣きそウナ顔で俺を見ルッッ!!?◾︎ロウォォォォォォォォォッッッッ!!!!!!!!」
僕はそんな顔になって欲しくて死んだわけじゃない。
熱い…熱い…熱い…
ああ、なるほど。
これが憎悪か。これが復讐心か。
俺は、正義の味方を引き立てる復讐者。
「———さあ、掃除だ」
さよなら、シ◾︎ウ。さよなら…もう会うことはない。
仮に会うことができたとしても、そこにいるのは…
———————
「………ん…ここは…」
「あ、おはようアヴェンジャー!」
まぶたを開ける。すると目と鼻のすぐ先に綺麗な鏡のように世界を反射する大きな瞳があった。
「…綺麗だ」
「…ふぇ!?」
「…いい目を持ってるな。マスター」
「え、ああ…うん」
俺はベンチから立ち上がり、マスターに向き直る。
「行こうマスター。周回だろう?俺でも覚えるさ」
「…え!?あ!うん!行こう!マシュも待ってるし、他にも紹介したい人いるんだ!」
前をスタスタと歩いていく少女。彼女が俺のマスター。名前はまだ覚えられない。
でもそれでいい。彼女は後悔する。
俺と契約を交わしたことを。きっと…
俺は正義の敵なのだから。