東方紅月録   作:黒薔薇ノ夢@吸血鬼好き

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一日遅れまして。

まぁ、フランちゃん主役です。


望めば望むほど、願えば願うほど。

 ~璃々視点~

 

 一月一日。今日は元日、幻想郷life八日目の朝。

 

 昔のままだった部屋を掃除してもらって、久々の自分の部屋だったけど、まあまあ慣れてきた。

 昨日はここにきて初めて友達、というか研究仲間ができて、その二人とパチェと話しあったりした。魔理沙は見た目通り、アリスは見た目よりも気さくで話しやすかった。私が敬語になるのはまぁ、置いておいて。

 

「璃々ー起きてるー?」

 

 今日も瑠璃がやってきた。

 

「うん、はいっていいよ」

 

「おはよう、璃々。朝ご飯食べよ!」

 

 返事を返して椅子から立ち上がる。

 

 まだ日記を読み終えてないけど、今日一日くらい、許してもらおう。

 

 広い廊下に出て歩く。

 

「ねぇ、璃々。()()、大丈夫かなぁ」

 

 そう、一月一日は本当なら暁の本家に行く日。

 でも、今幻想郷だし。知らんな。

 

「まぁ、大丈夫でしょ。お父様もお母様もきっといないし」

 

「そうだといいけど。でも、青空くんとかましゅちゃんとか来るんじゃなかった?」

 

「あー。まぁ怜が何とかしてくれるって」

 

 ごめん怜!と心の中で謝りながら歩いていると、向かい側から咲夜さんが歩いてくる。

 咲夜さんは、私たちがいなくなってからかなりたってからこの館に仕えに来たらしい。どうせあのレミリアお姉さまのことだ。きっと自分の能力がどうだとか言って、運命だどうとか言ってさらってきたんじゃないか。

 …だとしたらお姉さま怖いな。

 

「おはようございます、お二人とも。あけましておめでとうございます」

 

「うん、咲夜さんおはよう。あけましておめでとうございます」

 

「おはようございます、あけましておめでとうございます。咲夜さん、何か手伝えることはありますか?」

 

 挨拶はリリエラ時代でも暁家でも散々言われたので大丈夫。

 それより、いつもやってもらってばかりだから、少しくらい咲夜さんを手伝わないと。

 

「いえ、大丈夫です。お二人は先に大広間へ行ってくださいね」

 

「うん、わかった」

 

 瑠璃が先に歩き出したので私も歩き出そうとしてもう一度咲夜さんの方を見上げる。

 

 …目が怖い、私ナニカしたかしら。

 

「璃々?まだ?」

 

 もう廊下の突当りまで進んでしまっていた瑠璃に追いつくため、早歩き。

 

「どうしたの?まだ眠い?」

 

「いや、なんでもない、って、璃々行き過ぎ、ここだってば」

 

「あ、ほんとだ」

 

「もう、まったく。開けるよ?」

 

「うん、お願い」

 

 昔は重くて動かせなかった古い扉は、この数百年で新しいものに変えられていた。

 この前起こした異変で荒されたとかで、傷だらけだけど。

 

「お姉さま、あけましておめでとうございます」

「あけましておめでとーございます!」

 

 私と瑠璃でそう言いながら大広間に入る、すると。

 

「うーん、帯がきついわねこれ、あ、リリィ、ルリィ、おはよう」

 

 上が着物、下がスカートみたいな感じの、いわゆる着物ワンピとやらを着て椅子に座っているレミリアお姉さまとその後ろでほほ笑む咲夜さんがいた。

 

 あれ、咲夜さんさっきすれ違ったのになぁ。

 

「お姉さま、私も来たわよ」

 

 後ろからフラン姉さま。珍しく地下から出てきたらしい。

 

「おはよう、みんな。今さっき起きたばかりで眠いわ、早く朝食食べましょうよ」

 

「あ、ええ、そうね。さぁ、みんな座って。咲夜、美鈴呼んできてちょうだい」

 

「はい、かしこまりました。」

 

 そういって咲夜さんは大広間から出ていく。

 

「フランお姉さま、あけましておめでとうございます」

 

「あけまして?何それ」

 

「日本の文化です。一年の初めの日を祝う言葉みたいな感じだと思いますけど…」

 

「ふぅん。あけましておめでとうございます、リリィ」

 

「うん、そんな感じ」

 

 フラン姉さまははにかみ、嬉しそうに言う。

 

「面白いわね、それよりお姉さまはなんでそんな恰好をしているの?」

 

「咲夜に着せられたのよ。これ見た目より締め付けてくるのね…」

 

「あ、パチェ、おはよう」

 

「あら、フラン、おはよう。璃々と瑠璃も」

 

 パチェとそのしもべみたいな感じになってるこあだった。

 こあに最初に会ったとき、「パチュリー様!こんな人私知りませんよ!誰ですか!」と言われ傷ついたりしたりもあったけど、意外に仲良くやれている。

 

「私は!?」

 

「だってレミィ、あなたさっき廊下で会ったじゃない」

 

 

 そんな話をしていると、咲夜さんが美鈴を連れて戻ってきた。

 

「連れてきましたよ、お嬢様」

 

「えへへ、おはようございます」

 

 昨日瑠璃から聞いたはなしだけど、どうやら美鈴は咲夜さんという完璧な存在に負けて門番になったらしい。

 それと、門番と言ってもほとんどの客が門以外から入るからいる意味がなく、大体は昼寝してるとか。

 

「美鈴、おはよう!今日は大丈夫?」

 

「あ、瑠璃さん、大丈夫ですよ。いつもの時間に」

 

「うん、ありがとう!」

 

 瑠璃さん!?

 まぁ、多分瑠璃が「今の私はルリアじゃない!」とか言って美鈴に瑠璃で呼んでもらうことになったんだろうけど。

 そういえば、庭の花はほぼ全部美鈴が育てたとか言ってたな。凄いな美鈴。

 

「美鈴も咲夜も席について、食べましょ。」

 

 食卓に目をやると、定番のおせちから、ローストビーフ、大きなパンなど、たくさん並んでいる。豪華だな、食べきれるのか。

 

「はい、いただきます」

 

「「「「「「「いただきます」」」」」」」

 

 おせちの中身をのぞいてみると、いたって普通…じゃなかった。

 

「咲夜さん、これは?」

 

「幻想郷でのおせちです。霊夢の作っているところを見て、ちょっと作り方を盗み見てきたんですけど…」

 

 瑠璃が不思議そうな顔をして聞く。

 

「幻想郷には魚とかいないの?」

 

 そこか。盗み見てきたあたりじゃないのか。

 

「いえ、魚はいますが、海がないので大きなものはなくて…」

 

「鯛とかエビがないのはそういうことなのか」

 

「すみません、お肉で我慢していただけると…」

 

「咲夜さん、瑠璃は魚とかは苦手なので内心喜んでいるんで大丈夫です」

 

「そうだったんですか。」

 

「別に私苦手ってわけじゃ…ないし」

 

 ちょっと瑠璃がふくれている。ごめん瑠璃。

 

「それより、レミィはなぜそんな格好しているの?」

 

 そうだ、パチェはその話が終わってから来たから知らないのか

 

「咲夜が用意したのよ。あ、一応フランとリリィとルリィの分もあるけど。」

 

「着ないわよ」

「着ませんからね」

 

 フラン姉さまは私と同じ意見だったが、瑠璃だけ違った。

 

「レミリアお姉さまと同じの?着る着る!」

 

「「は?」」

 

「よくいったわねルリィ!咲夜、食べ終わったら持って来てちょうだい!」

 

「はい、かしこまりました」

 

 

 その後、一日、レミリアお姉さまの着せ替え人形になった瑠璃であった。

 

 

 

 ~フランドール視点~

 

 朝食を食べ終え、また地下室に戻る。

 食べなくても生きていけるし、食べる必要なんてないけど、またくだらない一年が始まるんだから、最初の一日くらい、みんなといっしょにいても許されると思った。

 

 やっぱり。やっぱりそうだった。

 

「リリィは、あんなんじゃないよね」

 

 今日はどうやら来ないようだ。

 あの番人いつでも暇なくせに、自分だけ暇つぶしして、私がなにか言ってやりたいときにいないんだから。

 

「ほんっと、勝手なんだから。」

 

「フラン姉さまー?いるー?」

 

 上の方から声がする。

 

「いるわよ、今行くわ」

 

 こんな薄暗いところに入れるわけにいかない。

 一応偽物であっても顔立ちも声もリリィそのものだから。

 

「ううん、私が下りるわ」

 

 扉を開くとリリィが入ってくる。

 

「お邪魔しまーす、わ、何も変わってない」

 

「ええ、埃っぽいけどね」

 

「あのね、姉さま、話があって」

 

「なに?あ、ここに座って」

 

 埃をかぶっていたソファを魔法で綺麗にして座らせる。

 

「あのね、私、リリィ…リリエラじゃないの。まだ完全じゃないの」

 

 まさか、リリィの方からそのことを言ってくると思わなかった。

 

「うん、知ってるよ」

 

「だから、リリィ、って呼ばないで。まだ終わってないから。璃々、って呼んでほしい」

 

 なんで。

 アナタはリリィそのもの。顔も、声も。癖も何も変わってはいない。外側だけならリリィでしょう。

 

「うん、わかった」

 

 ありがとう、と言ってリリィ、いや、璃々は部屋を出て行った。

 扉へ歩いて行って、鍵を閉める。

 

 また、素直になれない自分がいることに気付いて怒りがこみあげてくる。

 それと同時に、すごく悲しくて寂しい気持ち。

 

 誰か、こんな私を救ってちょうだい

 お願い。救ってほしいの。

 

 でも、そう願うときに、番人は来ない。

 あいつが来るのは、私が不安定なとき。

 

 

 あれ、もしかして。

 

 番人は、私?

 

 

「そんな、わけないものね。昔、リリィと地下を探検したときにいたあの小さな子供のようなあいつが番人なんだもの」

 




次回は再来週になりそうなので
四月二十日辺りになるかなって感じです

いつも読んでくださる方、ほんと感謝です。
至らない点もあるとは思いますが、今後ともよろしくお願いいたします

誤字、脱字、その他諸々苦情等ありましたらご報告お願いします。
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