東方紅月録   作:黒薔薇ノ夢@吸血鬼好き

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前半→前回の続き。

後半→新しいお話。


これは記憶に過ぎないのか? Memories 5

 ~リリエラ視点~

 

 

うん、お母様の寝室から行けばよかったんだね。

 

お母様の部屋からメイドさんにお願いして連れてって貰いました。

 

よく考えればお母様の近くにメイドさんがいるのは当たり前で、

しかも手が空いてる人が一人はいるわけだから、その人に頼めばよかったんだよ。

 

「なんか、時間かかったね~」

 

ルリアさん、貴方が原因です。

なんて、言えるわけもなく。

 

大図書館にようやく到着です、物凄く時間かかりましたわ。

 

 ぎぃぃぃっ

 

不協和音を奏でながらドアを開ける。

 

「あ、リリエラとルリアだ!」

 

フランお姉さまが走ってきた。

 

「二人とも、こっちこっち!」

 

お姉さまについていくと、お父様とレミリアお姉さまがお勉強していた。

 

「お父様、二人が来たわよ!」

 

「あぁ、レミリア、ここをやっておいてくれ。」

 

「えぇ。お父様!」

 

お父様がこっちに歩いてくる。

私たちもお父様に近づく。

 

今更だけれども、お父様はとても大きい翼をお持ちだ。

漆黒の翼。

私のあこがれでもある。

 

「二人とも、迷子になっていたのだろう?大丈夫か?」

 

「ええ、大丈夫!とっても楽しかったもの!」

 

楽しかったなら私もよかったと思えます…。

 

なんてったって、ルリアの為だもんね!

 

「お父様、みんなでお勉強しましょうよ!」

 

「あ、フランお姉さま、お父様はそんなにたくさんいませんから。」

 

「そうだよ、フランお姉さま!」

 

妹二人の言葉はよく聞くんですよ。

 

「いや、私は大丈夫だ。さあ、フランはあの言葉を読めるようにしておいで。」

 

「んー、今行きまーす。」

 

フランお姉さまは机に向かって行って、少し高い椅子に座る。

 

お父様は、今度はこっちを向いた。

 

「二人にはこの文字を読めるようにしておいてもらおうか。」

 

そういって、羊皮紙を渡された。

きれいな字が並んでいる。

 

「げ、ナニコレ。」

 

「ルリア、読めるようにするんだよ?」

 

「えええぇぇぇっ!?」

 

驚き方…。

これを読めないと本は読めないということだろう。

さて、私もこれを読みますか…

 

って、んん~?

普通にわかるよ!?

なんでこれを読めなんて言ったんだろう?

 

「あの、お父様。」

 

今度はレミリアお姉さまのところに行っていたお父様を

呼び止める。

 

「なんだ、リリエラ?」

 

「あの、これ、全部普通に読めます。」

 

「……え?」

 

ルリアがこっちを向いて、

なにか恐ろしいものを見たかのようにかたまってしまった。

 

「リリエラ、読んでみなさい。」

 

お父様が震えながらこう言った。

 

内容はこうだった。

 

『差し込む窓の外に浮かぶ真円の紅い月。

映り込む格子の影は窓辺に座る私を十字に割く。

触れるだけで崩れゆく儚い時間()でも。

確かなものであれ、進み続けるのだ。』

 

シーンとした大図書館。

え、何か間違っていた?

 

レミリアお姉さまが走ってきた。

 

「リリエラ、それ、私が読むのに三ヵ月かかったやつよ!?」

 

お父様が真っ青だ。

 

「リリエラが五分もしないうちに読めてしまうとは…」

 

 

フランお姉さまに後ろから捕まえられた。

 

「リリエラ、私の本を一緒に読みましょう、まったくわからないのよ…」

 

 

本の整理をしていたのだろうメイドさんたちも走ってきた。

 

「リリエラお嬢様があの鍵を握るものなのですね…」

 

鍵って何だろう?まぁいいか。

 

 

「お父様、私にもフランお姉さまのような本をください。」

 

「あ、あぁ、いいだろう、メイドよ、例の本を。」

 

 

メイドさんが目をキラキラさせて走っていったと思えば、

何やら大きなものを抱えてきた。

 

「はい、こちらでございます。」

 

 

なになに~?

 

『魔法入門 Ⅰ 』

え、魔法!?魔法できるの!?

 

 

「リリエラ、やる気はあるか?」

 

答えは一択だろう。

 

 

「もちろん、やらせていただきます!」

 

「リリエラ…凄すぎっしょ…」

 

あ、ルリアのを先に手伝わなきゃ。

 

 

フランお姉さまが目をキラキラさせる。

「これでリリエラも魔法少女だね!」

 

そうか、魔法少女か。

なんか、これからが楽しみ!

 

 

 

 

 

 

 

と、思っていた時期がありました。

 

もう二年はやってるんだけどなぁ

 

 

魔法ってあのキラキラーってしてるやつだと思ったら大間違い!

無駄に長い文章を読んだりとか、

魔法陣描いて、そこに滅茶苦茶なくらい細かい字書いたり…

私には根気が足りなかった。

 

 

 

 

 

大図書館から帰る途中。

 

 

 

「ふぃ~つかれたぁ~」

 

 

そんなことを言っていると、ルリアが血相を変えて走ってきた。

 

 

「リリエラ!大変、人間がたくさん来たわ!お母様が、部屋で待っていなさい、

だって!」

 

え?館の中に人間?

そんなはずがないでしょ?!

人間が来たとしても門の前で止まるはず!

 

だって、門のところにはあんなにたくさん術式がかかっているのだから!

 

「魔術師がいるらしいの!お姉さまたちのところに行きましょう!」

 

あ、そうゆーことね。

いや、やばいじゃん。

 

お父様の高度な魔術を解除できるってことは、お父様と同等かそれ以上!

 

 

「ちょ、やばい、早く部屋に行こう。」

 

「だからさっきからそう言ってるでしょ!」

 

 

  コンコン

 

「はーい!あ、リリエラとルリ、ふぐっ!」

 

「レミリアお姉さま、人間よ、お母様が隠れていなさいだって!」

 

「あ~私が言おうと思ってたのに~!」

 

ルリア、それどころじゃないんだから黙っててほしい。

 

「え?!人間?!隠れましょう!」

 

「だからそういいに来たんだってばぁ…」

 

 我が家では人間が攻めてきたとき、狙われやすいのが一番幼い者だから、

 私たち子どもは隠れていないといけない。

 

 

「そういえばフランは?フランはどこにいるの!?」

 

 

 フランお姉さまは部屋にはいない、大図書館にもいなかった、

 ルリアがお母様の部屋にいたときにもフランお姉さまはいなかった、

 なぜなら、お母様がルリア一人で返すはずがないから!

 

 なら、答えは一つだ。

 

 

「「フラン(お姉さま)はお父様の部屋(ね)!」」

 

 なんと、レミリアお姉さまも同じことを考えていたらしい。

 

「え?え?どゆこと?」

 

「今説明してる時間はないわ!二人はここで待っていなさい!」

 

 そういってレミリアお姉さまは走り出す。

 

 

 出窓部分に座り、外を見てみる。

 門の方から火が見える。

 人間が持っているものだろう。

 やはり、館の中に入ってきているのだ。

 

まて、何かおかしい。

なぜこんな夜中に、私たちの有利な時間に人間がくるんだ?

しかも今日は月がでてる…は、ず?

 

「月が、ない?そんな、まさか!」

 

 そう、今日は新月。夜でも一番力が弱まる日。

 

「リリエラ、落ち着いて、深呼吸。顔が怖いよ?」

 

「う、うん、ありがと」

 

 

 吸ってはいてを数回繰り返す。

 もう一度考え直そ…

 

 ゾワァ

 

「「お姉さまが危ないっ!」」

 

 一瞬顔を見合わせ、ドアをあけ放つ。

 

 するとそこには数分前にはなかった

 ひどい光景が広がっていた。

 

「う、そ?でしょ?」

 

 ルリアが固まる。その横顔に一筋の涙が伝う。

 

 

 廊下にはたくさんの人が倒れている。

 ナイフで刺された者、何かで殴られた者。

 いたるところに血がついている。

 

 私たちについていたメイドさんや執事さんたちだった。

 

 

「ルリア、行くよ。」

 

 お父様のお部屋へ向かう。

 あと少しのところで、お父様の部屋から悲鳴が響いた。

 

「キャーーーーーーッ!」

 

 ドアは開け放たれていた。

 

 走って部屋に入る。

 

 …状況はこうだった。

 お父様がヴァンパイアハンターと言われるものに

 殺されそうになっていたところを

 お母様が盾になることで防いだのだ。

 自らの命と引き換えに。

 

 お父様はもう手遅れとも言える状態だった。

 銀に光るナイフが体のいたるところに刺さっている。

 

 今のうちに、回復術式を組み込む。それが私のできることだ。

 

 フランお姉さまは怪我をしている。

 レミリアお姉さまはその怪我の治療をしてたようだ。

 

 叫んだのはフランお姉さまだった。

 

 家族の中で、一番お母様と一緒にいた。

 そして今も。

 お母様のそばにいたのだろう。

 

 フランお姉さまから物凄い量の殺気が放たれる。

 レミリアお姉さまからもだ。

 

「私の…私たちの…大事な…大事な…お母様を…

 よくも…よくも…」

 

 

「よくも、なんだ?」

 ヴァンパイアハンターが聞き返す。

 

 

 あーあ、お姉さま怒っちゃった。

 こうなったら気が済むまで壊しつくすまで怒りが収まらないから…

 

 

 だが、次の言葉は、予想外の場所から発せられた。

 

「よくも殺してくれたわねぇ?」

 

 後ろからだった。ルリアが、見たこともないオーラをまとっていた。

 まるで別人のように。

 

 

 その姿はまるで天使でありながらも、悪魔の眼をしている。

 彼女の隠されていた翼が現れた。

 全てを飲み込むような漆黒。

 全てを断ち切れそうな鋭利さ。

 漆黒でありながらも透かしてみえる向こう側。

 まるでガラスのようだ。

 でも…触れてはいけないと、本能がそう語る。

 

「そうねぇ、貴方は死になさい?」

 

 

 ルリアの足元から冷気が放たれる。

 

 そして、ヴァンパイアハンターへと

 ルリアが一瞬で作成した氷塊(アイス)(ハルパー)が放たれた。

 その瞬間、ヴァンパイアハンターは最期だと察したのか。

 

「いっけーーーーッ!」

 

 大量の銀のナイフをお父様に投げつけた。

 普通のヴァンパイアならもう死んでいるであろう量のナイフが刺さっていた

 お父様に、よけられるはずがない。

 

 ヴァンパイアハンターに氷の槍が刺さり、息絶えると同時に、

 お父様にナイフが刺さった。

 

 

 お父様が、最後の力を振り絞ってこう言った。

 

「わが娘たちよ、この館はお主らに託そう。

 

 レミリア、お前が当主だ。すべて守り抜け。

 いつでも未来を見るのだ。

 

 フランドール、母の…ネックレスはお前に。

 お前が困ったときに支えになるだろう。

 

 リリエラ、この指輪はお前に。

 その鍵で切り開くのだ、自らの道を。

 

 ルリア、お前には母のイヤリングを。

 お前を守ってくれるだろう。」

 

「「「「お父様、ありがとうございます。」」」」

 

 お父様は微笑み、息絶えた。

 

 

 シーンとした部屋に笑い声が響く。

 

「うふふふふ……あはハハハハハハ八!」

 

 フランお姉さまが手を開き、そして、手を握る。

 

 ヴァンパイアハンターが跡形もなく消えた。

 

 

 そして、もう一度。

 

 お父様も消えた。

 

 

 最後に一度。

 

 お母様も消えた。

 

 

 

 残ったのは、お父様の指輪と、お母様のネックレスとイヤリング。

 それと、血に塗れた子供が四人。

 

 

 

 

 …この晩、館の名は新しくなった。

 紅い血に塗れた悪魔(ヴァンパイア)の館、

 『紅魔館』と。

 

 




ちなみにこの章(記憶が語るもの)は、
リリエラの幼いころの記憶ということになっています。

お母様が部屋に隠れてろって言ったのは
ヴァンパイアハンターがいるとわかっていたからです。

話が進まないんで(今二年と3か月しか進んでません)、
お父様&お母様殺しちゃいました。
(ほんとにすいませんでしたぁぁぁっ!)

?「美鈴、入りまーす!」

次回、2月2日、0時投稿予定。
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