弱ければ相手から何もかも奪えばいい。   作:旋盤

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始まり

俺こと楠木龍一は、友人は少なくもないが多くもない。運動神経は普通の人より若干高いレベルで知力は普通かそれ以下の存在だ。

そして、今この深夜の時間帯と思われる時、自分でも寝ていると思われる時に

 

「異世界に行きたいかーーー!!」

 

と、深夜に常識知らずなテンションと大声で聞かれた。

 

「………」

 

とっさのこと、ということも相まって返事が出来なかった。だが、こう言われた時に言うことは決まっている。

 

「おーーーー!!!」

 

「よし。じゃあ君も異世界行き決定ね。」

 

案外あっさり決まった。さらにそいつ君もとか言ってたから行くの俺一人じゃないぜ。

 

「軽く説明しよう。君が今いる世界に退屈していた様だからその救済措置だと思ってくれ。」

 

おっと、退屈だと思っただけで異世界へ行けるらしいぞ。

 

「そうだよ、それだけで行けちゃうんだよ。」

 

心の声が読まれただと!?

 

「神様だから当然っちゃ当然だね。」

 

粗方、予想ついてたけど心読まれると不気味だな。クラスでも、何考えてるかわからないと言われた程、仏頂面なのに。

 

「話を戻そう。君は異世界に行く。その世界へ着いた時0・01パーセントの確率で記憶と体が吹き飛ぶから気をつけてね。」

 

確率はかなり低いが死ぬという事か。

 

「その通り。そして、その世界はステータス制だから自分の状態がステータス画面を出せば確認できるよ。自分の力は向こうに着いてからのお楽しみだね。」

 

さらっとまた心の声を読みやがった。しかし、自分の力を数字で確認できるのは何気楽しみだ。

 

「向こうでは、チートスキルみたいなのがあるけど僕からあげる物は無いから。不幸な死に方をした奴が他の神からそういうのを貰うことがあるけど君達には無いから。理由は分かるよね。」

 

「ああ。異世界へ行くのは俺たちの意思とかそんなんだからな。」

 

心の声が読まれるのなら、喋っても問題ないだろう。喋るのが面倒な時は心の中で言うとしよう。

 

「手に入れたかったら特殊な条件をクリアして見てくれ。もう時間が無いからザックリ説明するけど、その世界の事はアイテムポーチの中の本に書いてある。以上。」

 

おい!最後、本に丸投げしたぞ。

 

「ああ。後向こうの世界の言語は僕の力で頭の中に適当にねじこんどくから安心してくれ。なぁに、人間の脳は130年分の事を記憶できるらしいから異世界の言語のひとつやふたつ大丈夫だよ。」

 

安心できねーー。

 

「じゃ、幸運を祈る。」

 

へ?

視界がグニャングニャンに回る。気持ち悪。酔ってきた。そして、そのまま気絶した。

 

 

…。

……。

………。

…………ハッ!

気がついたら、家の天井ではなくどこまでも広がる大きく青い青空が広がってました。周りは森、いつまでも寝ていたい気分だ。木の上に小石を持った猿が居なければ。

さぁ、逃げよう。仰向けからいつもより素早く立ち上がり、全力疾走する。猿が小石を投げてきたのと同タイミングで今までいた地面に石が当たり、粉になった。

あれ?石がどこにも無い。その瞬間、直感に任せてジグザグ走行。猿が石を投げると同時に地面に小規模のクレーターができていた。

 

「最初に出くわすレベルの敵じゃねーーー!!」

 

人知れず叫ぶ。猿から逃げる。すると猿たちは追って来ず別の方向に去って行った。

 

助かったーー!!

 

大声を出すと猿を呼んでしまうかも知れないから、心の中で叫ぶ。それから歩く事、数分。

さて、ステータス画面はどうやって出すのかわからなかった。すると、目の前に青い半透明の板が出てきた。

〈名前〉楠木龍一〈性別〉男〈職業〉無職 〈種族〉 魔族 〈Lv〉1

〈ステータス〉物理攻撃力 24 物理防御 18 魔力 21 魔法攻撃力 13 魔法防御力 14 俊敏力 31 運 50 魅力 無に等しい

〈装備〉 服 ズボン

〈スキル〉 測定

なんじゃこりゃ。職業はこの世界じゃあ仕方ないかも知れない。だが、魅力の所悪口だよね。彼女いない歴=歳の数の俺だがこれは酷くないか。

しかし、スキルを一つ持っていたのだな。測定って何を。身長か?すると、また青い半透明の板が出てきた。

〈身長〉175,3cm

本当に出た。これはおそらく、調べたいものを調べるスキルだろう。あの神様の贈り物かな。有難や。

そして、、最後にとっておいたが種族の所、何故魔族!!さっきまで人間だったじゃん!何故この世界に来て魔族!!おかしくね!?

あーだこーだ言っても仕方ない。気を取直して行こう。

数十分歩くとあの猿達が居た。俺と同じく転移した奴だろうか。誰かが襲われて居た。助けに行く前に測定を使ってみた。

 

〈種族〉 グレートモンキー 〈Lv〉143

 

は?と、一瞬目を疑うもあの小石の威力を見た後だと少し納得するが初期で出会う敵ではない。いわゆる今では勝て無い敵である。

そこまで考えを巡らせていると猿が石を投げた。それが当たったと思われる場所は体を貫通し消えていた。さらに周りに居た猿も石を一斉に投げる。すると一瞬で体が穴だらけになった。

あれは死んだ。そして勝て無い。逃げるしかない。思考がそう思うや猿とは逆方向へ逃げ出した。助けようと思いはした。だが、助ける前に死んだ。それ以前に助けに行ったとしても俺も死ぬだけだろう。

いつの間にか夜になる。幸い月が明るく足下が見える。少し先も見通せる。こんな所で野宿したら、眠るどころか、永眠するだろう。

それにこの森は早く抜けたい。その一心で体を動かし、見え無い出口を求めて動き出す。

森は出ることができた。だが見渡す限り草原のこの状況どうしようもない。

グギュルルルル。

腹が減った。食料無し、辺りに草があり、それを見て、

 

「ものは試しだ。」

 

ブチ。パク。

雑草を食べてみた。案外悪くない。それをいくつか食べていくと不味い事にきずいた。味覚が麻痺してたか。空腹って怖いね。そして、歩いていく。

数日が過ぎた。雑草を食べても味気ない。肉が食べたい。手に入れようにも、手段が分からない。

そんな事を考えていると数十メートル先の方に猿に襲われている少女を見かけた。今度は何も考えずに突っ込んだ。少女と猿の間に入って少女を庇うように猿の前に立った。測定で猿の強さを見てみる。

 

〈種族〉 グレートモンキー 〈Lv〉 86

 

まだこれ程強いとは。もしかして、この少女は見かけによらずかなり強いのか?

 

〈種族〉 人間 〈名前〉 ??? 〈Lv〉 1

 

測定を発動させたけど、そんな事は無かった。なら、取るべき手段は一つだ。

 

「逃げろ。それだけの時間は稼いでやる。」

 

少女を逃し、俺が時間を稼ぐ。正直、一秒も持ちそうにないがなるべくかわして少女から引き離す。

 

「足が、動かない。」

 

怯えた声でそう言われた。なんてこった。仲良く死ぬ道しかないのか。

相変わらずの自分の弱さに嫌気が刺してくる。なんせ、自分の身を守るのも、少女の身を守る事も出来ないのである。なんて自分は弱いんだ。

強さが欲しい。なにおも守れる強さでは無く、完膚なきまでに相手を叩きのめす強さが欲しい。

ただそう思う。人間で無くなってもいい、悪魔にだってこの身を売っていいだろう。強くありたい。誰も追いつく事のできない、文字通り最強になりたい。その時、

 

『〈強欲Lv0〉を獲得しました。』

 

そんな声が響いた。

 

『レベルを上げるには運のステータスを10捧げて下さい。』

 

無機質な声であったが、考えるまでも無く、運を10捧げた。

 

『〈強欲Lv0〉が〈強欲Lv1〉になりました。スキル〈略奪〉を獲得しました。』

 

そんな声がした。〈略奪〉の説明を求めると青い半透明の板が出てきた。

 

『〈略奪〉触れた相手のステータスやスキル、レベル、魔法、ドロップアイテムを奪う事が出来る。(運のステータスは百分の一に落とされる。)ただし、一つづつしか奪えない。』

 

少し顔がにやける。強さを手に入れるために奪うと。そういう事か。

なら、話が早い。猿に近付く。

そして、猿が動き出し、こちらに向かって、殴りかかってきた。あの森の猿が投げていた石ほどの速度ではないにしろ、速かった。

それを、直感だけで回避する。自慢では無いが、感は鋭いのだ。

避けたついでに猿を掴み、逃げないように俊敏力を奪う。次に物理攻撃力を奪おうとしたが、強引に振りほどかれた。

少し距離が開く。猿がまた殴りかかってくる。だが、その速さはさっきまでと比べられない程遅かった。そして、俺はさっきまでとは比べ物にならない程の速さで猿を掴む。

先程奪い損ねた、物理攻撃力を奪う。すると猿は振りほどこうとするが物理攻撃力を奪われれば幼子がただ叩いている程度にしかかんじない。

後は一方的だ。順調に全てのステータスを奪う。後はスキル、魔法、ドロップアイテムを奪うだけだ。

 

『スキル〈神速〉を獲得しました。スキル〈全能力超向上〉を獲得しました。スキル〈完全耐性〉を獲得しました。』

 

次に足元に宝箱が落ちてくる。4つ程落ちて止まった。これ以上なにも奪えなかった。後は、殺すだけだ。その猿を全力で地面に叩きつける。

 

「ウギャ!!」

 

グギバキボキ

 

猿の悲鳴と骨がいくつも折れる音がして猿が消えた。成る程、モンスターを倒すと消えるのか。と思った。そして、我に返って、しまったと思った。子供の目の前で、猿の残虐な殺し方をしてしまった。

 

「大丈夫か。怪我はないか?」

 

さっきの殺し方を忘れたように少女の心配をする。怖がられるか?その心配をする。流石に子供から怖がられると少しへこむ。

 

「ありがとうございます。」

 

礼を言われた。正直、怖がられると思った。こういう事は普通なのか?

 

「無事で何よりだ。」

 

この世界に来て初めての笑顔を浮かべられたと思う。

 

「あの、あなたのお名前はなんというのでしょうか?」

 

この子、見た目によらずしっかりしてる。

少し驚くが、そんな事は置いといて。名前か。本名はある。だが、異世界に来たんだ。別の名前を名乗ってもいいだろう。決まっているのかって?愚問だな。

 

「俺の名前は『マグナ』だ。」

 

すると、

 

『名前が「マグナ」に変更されました。』

 

嘘だろ。本名になっちゃったよ。まぁ、カッコいいと思うからいいんだけどさ。

 

「マグナさんですね。助けていただき、ありがとうございます。」

 

この子、かなりしっかりしてる。

何この子。異世界だから、貴族の子供か何か?だとしてもスゴイよ。

 

「私の名前は、レオナ・ルーンです。」

 

わぁ、名前が異世界っぽい。異世界だから当然だけど。

 

「そうか。では、何故このような場所にいる?」

 

その質問に

 

「家出です。」

 

即答された。しかも、家出って貴族の線が少し濃くなったぞ。嘘だろ?こんなモンスターが強い場所に出てくるって、自殺志願者位のもんだろ。俺みたいな奴を除くがな。

 

「まさかモンスターがあれ程強いとは思いませんでした。」

 

知らずに来ていたとは、

 

「まぁ、無事で何よりだ。」

 

すると遠くから、

 

「レオナー。何処にいるー。」

 

と言う声が聞こえる。この子の迎えが来たようだ。

 

「何が理由で家出をしたか分からないが、今のお前は弱い。こんな所に来ても死ぬだけだろう。家出したければ、もっと強くなってこい。」

 

それだけ言っておきたかった。

 

「はい。そうしておきます。」

 

これでこの子も安全だろう。

 

「あの、次会うときもこのように接してくれますか?」

 

はい、貴族確定。俺のような接し方は、珍しいのかな。

 

「いいだろう。次会うときも、このような接し方をしよう。」

 

「ありがとうございます。」

 

すると、少女は笑顔になった。今までの歳に似合わない対応が嘘に見えるくらい歳相応の笑顔だった。それに俺は微笑みながら、

 

「それじゃあな。また会おう。」

 

それを聞くと少女は声のした方にかけて行った。それを見送って

 

「さて、宝箱を開けるか。」

 

猿が落とした宝箱を開けていく。

一つ目、

 

〈グレートモンキーの肉〉 グレートモンキーの肉。焼くと独特の食感で一部の者に人気。

 

そう書いてあった。肉が数日ぶりに食えることにかなり喜ぶ。

二つ目、

 

〈グレートモンキーの大骨〉 グレートモンキーの大骨。軽くて丈夫。武器に加工も出来る。

 

おぉ、なんか、ぽいな。異世界というより、ゲームに近い。武器は作りたい。武器があるだけで、戦闘も楽にできそうだ。

三つ目、

 

〈マシラのブレスレット〉 RR装備 装備者の攻撃力を500上げる装備。

 

ゲームだな。レアリティがセットされているもん。

異世界より、ゲームの世界と言われた方がしっくりきそうだよ。だが、この装備使えそうだな。早速、腕にはめてみる。何が起こるわけでも無いが、変化はステータスを見れば分かるだろう。そこで、略奪で猿のステータスを奪ったことを思い出した。

まぁ、四つ目を確認してから、見てみよう。

四つ目、

中身は、革袋だった。中身は、金貨と銀貨だった。金貨が34枚、銀貨が6枚だった。

この世界のお金だろうか。普通に考えて、金貨が一番高価だろう。小金持ちになった気分だ。

よし、ステータスの確認だ。

 

〈名前〉 マグナ 〈性別〉 男 〈職業〉無職 〈種族〉 魔族 〈Lv〉87

〈ステータス〉 物理攻撃力 5604 物理防御力 5069 魔力 3491 魔法攻撃力 2898 魔法防御力 2540 俊敏力 6721 運 40.2 魅力 無し

〈装備〉 服 ズボン マシラのブレスレット

〈固有スキル〉 強欲 Lv1

〈スキル〉 略奪 測定 神速 能力超向上 完全耐性

 

一気に強くなってる。だが魅力の値、無しと言い切られてしまった。

悲しいぞ。泣くぞ。名前が本当に変わってるし。ステータスが大幅に上昇してるし。運の値は微妙だし。固有スキルとか出てるし。

気を取直して、新しく手に入れたスキルの確認をしようすると目の前に以下略

 

〈神速〉 誰にも捉えられない速度で一瞬動く事が出来る。

 

〈能力超向上〉全てのステータスを五分間だけ三倍に引き上げる。

 

〈完全耐性〉 全ての状態異常にならない。

 

チートだな俺の力。こんなにも強い力を奪えるなんて、略奪まじでスゴイよ。能力超向上とかチートに近い能力じゃん。このステータス多分レベルが上がったボーナスも含まれているのではないか?そうだとしたら、物凄く強くなれそうだ。

さぁ、略奪をし尽くす為に最初にいた森へと引き返そう。さらなる力を求めて。




楽しんでいただけたら、幸いです。
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