弱ければ相手から何もかも奪えばいい。 作:旋盤
ゆっくり読んでいってください。
しばらく歩くと、妙な木造の建物があった。
「ここが、冒険者ギルドだ。」
「ここがか。」
色は木の色なのだが、看板が派手な色をしている。しかも、所々にヒビが入っている。さらに、てきとうに直された箇所が数カ所あった。
冒険者ギルドと聞いて、綺麗なイメージは無かったが、幾分か綺麗だ。だが、何か変だ。
あれだ、綺麗に見えるけど汚くも見える。見方の問題もあるんだろうが、奇妙だ。
ミコトが扉を開け、俺がその後ろをついていく。
中は静かで、人が二、三人見えるくらいで、他には見えなかった。
イメージとしては、騒がしいイメージだったのだが、そうでも無いらしい。
「今は、人がいないが、朝と夕方からは騒がしくなるぞ。」
イメージどうりらしい。今は人が少ない時に来ているようだ。
都合がいい。正直、ゴロツキみたいな奴に絡まれると面倒だから、人が少ないうちに、登録を済ませよう。
「どこで登録すればいいんだ?」
「あそこだ。」
そう言って指差した先には、一つのカウンターがあった。そこには、一人の若い女性がいた。
やっぱり、受付には若い女性がいるんだな。それは、前の世界でもよく見た光景だ。
俺はその近くまで行き、
「冒険者登録をしたいんだが。」
要件を伝えた。
「あ、はい。冒険者登録ですね。かしこまりました。」
そして、机の引き出しを開け、何かを探し始める。
こちらからは引き出しの中は見えないが、その中に必要な物があるのだろう。
数分後。
「やっと、見つかったー。」
「やっとか。」
つい口に出してしまった。紙を見つけるのに数分かかるって整理整頓を怠っているとしか。
「お待たせして申し訳ありませんでした。」
事務的な口調である事から、平静を装っているか、何度もした事があるかのどちらかだな。
「では、こちらにご記入をお願いします。」
この人何度もこんな事があったような感じがする。整理整頓を改めて重要だと思わせてくれる出来事だ。
さて、記入事項は名前とスキルは事前に聞いていたが、他にも出身地や職業などがある。
「これは、全て記入しなければならないんですか?」
「いえ、最低限名前だけで結構です。」
どうやら、ミコトが言っていた情報は正しかったらしい。
俺は「マグナ」とだけ書いて渡した。
「はい。マグナさんですね。発行までしばらくかかりますので、適当にお待ちください。」
そして、俺は近くにあったイスに腰をかける。
「お前文字は読めたしかけたのか?」
そうだった。野育ちとこいつには話したのだった。
「最低限の読み書きなら親に教えてもらった。」
「へぇ。マシな親に育てられたんだな。」
「ああ。そうだな。」
なんと言うか、野育ちの子の話は聞かない方がいい気がする。
「いったい何分待てばいいんだ?」
「十分くらいだったと思うぞ。」
十分か。長くも無い。短くも無い。妥当かもしれない。
暇だ。
「最初はどう言う事からやるんだ?」
これからどういう事をするのかを知っておいた方がいいだろう。
「まずは、簡単な依頼をこなす。そしたら、ランクが上がる。そしたら、難しい依頼を受けられるようになる。」
そんな感じか。
「ランクとは、どんな感じだ?」
「ランクは、低い順に、F•E•D•C•B•A•S•SSこれくらいだな。」
アルファベットなんだ。まぁ、どうでもいいか。
そうか。ならば俺は討伐系の依頼をこなして、早くランクを上げるか。
「ちなみに私のランクは、Dだ。そして、Cからが一人前と認識される。」
Cからが一人前か。どれくらいの依頼をこなせば、Cになるのだろうか。
「マグナさん。冒険者登録が完了しましたよ。」
呼ばれたか。
俺はさっきのカウンターへ向かい、冒険者登録が完了したとした証を手に入れた。
「依頼はどこで受ければいい。」
「それはあっち。」
指差した先には、別のカウンターがあった。
俺はその場所に行き、
「依頼を受けたいのだが。」
「では、冒険者登録証を見せてください。」
俺はさっき手に入れた冒険者登録証を見せた。
「ランクはFですね。それではこの中で選んでください。」
「依頼は一度に幾つまで受けられる。」
これは、聞いておきたかった。
「一度に三つまでとなっております。」
「そうか。では、これらにしよう。」
俺は差し出された依頼の中で、討伐系の依頼を三つ選んだ。
「了解しました。」
そして、依頼が書かれた紙に印が記入された。
俺はそれを手にして、外に出ようとした。
「おいおい。さっきまで森を歩き続けたんだぞ。少し休んだらどうだ。」
俺を心配しているらしい。
あの程度の事で疲れる事が無い。これが、ステータスがもたらしている事なのか。それとも、別の何かが関係しているのかは、わからないが、今は全く疲れていない。
「大丈夫だ。俺もすぐDまで上がる。お前は休んでいろ。」
そう言って、俺は冒険者ギルドを出ていった。
受けた依頼は、近くにいた、ゴブリンとブラッドベアー、スライムを各5体ずつだ。
ゴブリンとブラッドベアーはいいが、スライムは見たことが無い。まぁ、探せばいいか。
城門の前まで来て、全身鎧が
「あ。お前はあの時の。」
どうやら、交代の時間はまだらしい。全身鎧だから誰かはわからないんだ。
「今回は冒険者登録証を持っているぞ。」
「どうやら、本物のようだな。」
そう言って、通してくれた。
さっきの話からすれば、偽の冒険者登録証があるらしい。
「まぁ、どうでもいいか。」
そう言って、俺は〈完全偽装〉にて変更したステータスの全力を出した。
にしても、ここら辺の魔物と俺の強さを比較したら、馬鹿に思える。
スライムがいた。以外に近くにいた。では、〈職業〉によって手に入れた〈スキル〉を試そう。
「まずは、〈掌破〉」
俺は、スライムに触れる寸前で、〈スキル〉を発動させた。
すると、スライムが一瞬にしてスライムが四散した。
〈掌破〉 衝撃を発生させる。衝撃を与える位置を調整することができる。
使い方を考えれば、切り札にもなる技だとは、思っている。
まぁ、スライムではあまりわからなかったが。周りに大体、7体いるので、実験すればいいか。
一体目、中央に集中させて放ったら、スライムの中央だけが、消し飛び、スライムが消えた。
二体目、横一直線に出るように調整して、放ったら、上と下で分断されて、消えた。
三体目、縦一直線に出るように調整して、放ったら、今度は左右で分断された。
四体目、スライムの形通りに放ったら、消し飛んだ。
これで、五体目。依頼は、終わった。
そういえば、スライムを倒したと、どうやって、証明しよう?
依頼の紙を取り出し確認すると、討伐数と書いていて、5/5となっていた。これならば、大丈夫だろう。
〈掌破〉をスライムで試すのは、やめておこう。どうやって、使おうかは生物で試した方がわかりやすいだろう。
森に入る。もちろん、手加減した全力を出しながら。
もちろん、周りに人がいない事を確認しながら。
ブラッドベアーがいた。こちらを見つけるなり突進して来たが、〈掌破〉を使い、頭部を吹き飛ばした。
そして、消えた。一つだけわかった事だが、魔物はある程度強くないと、金貨や銀貨を落とさないらしい。
それと、他のドロップアイテムも落とさない。
まぁ、どうでもいい事だが。
〈索敵〉では、気配で九体いるが、それらで、試そう。
一体目、ブラッドベアーだった。振り上げた腕に向かって、縦一直線に放つ。そしたら、腕が、一直線に切り裂かれたようになった。そして、最後は頭部に中央に穴をあける形で倒した。
二体目、これもブラッドベアーだった。振り上げた腕に向かって横一直線に放った。すると、腕が切断された。一応で、別のスキル〈手刀〉を使い、首を落とした。
三体目、ゴブリンだった。体が小さいので、調整にはもってこいの相手だ。〈掌破〉を使い、胸に穴をあける。
四体目、ブラッドベアーだった。突進して来たが頭から背中の中程まで穴をあけた。
五体目、ゴブリンだった。頭部を消しとばす。
六体目、ゴブリン。頭部をクラッシュ。
七体目、ゴブリン、胴体をスパーキング!!
八体目、ブラッドベアー。割愛。
九体目、ゴブリン。もはや、蹴り飛ばす。
「フゥ。これで、各5体達成。」
途中から、目的を考えずに目の前にいる敵を倒す一方的なものだったが、スキルの使い勝手は良かった。
あっという間に、城門の前にたどり着く。
「かなり早かったな。」
全身鎧から驚かれてしまった。
「そうか?あの程度なら、もう一度こなせるぞ。」
「マジかよ。」
そんな言葉を交わして、城門をくぐる。
冒険者ギルドで、依頼の報告をした。
「依頼を終わらせたのだが。」
すると、受付嬢が驚いた顔をして
「報酬はこちらになります。」
そう言って、銅貨十五枚を渡された。
魔物一体につき、銅貨一枚か。手に入らないよりかはマシか。
「あと、ギルドマスターを呼んで来ますので、しばらく、お待ちください。」
へ?ギルドマスター?俺、何かやらかしたか?
また、字数がいつもより少ない?これが、この小説の普通の字数になる日もそう遠くない。
ご意見、ご感想、ご指摘ありがとうございます。
ご指摘を下さった方、ありがとうございます。