弱ければ相手から何もかも奪えばいい。 作:旋盤
また、ノープランでまったりやる感じで。
ゆっくり見ていってください。
もはや、子供がイタズラをされて怒っているような光景を見ながら、四人と俺は笑う。
「君は一体誰なんだい?」
唐突に若い剣使いから聞かれた。
「誰?と聞かれても、答えに困るのだが。」
この質問地味に困るんだが。名前を聞かれる方がマシだよ。
「質問を間違えたな。君は一体何者なんだい。」
変わってねぇよ!!
心の中で突っ込んで、口には出さなかった。
「その質問も解答に困るのだが。」
そしたら、思案顔をして、
「では、どう聞けばいいんだ?」
名前を聞けよ。
これは、言って良かったが、言う前に
「そんなの簡単でしょ。ガツンと一発強めに聞けばいいのよ。」
そんなんでどうにかなる訳無いだろ。
そして、こいつらは馬鹿か。
若い強気な女魔法使いがそんな事を言って、
「そんな事を言ってはダメですよ。」
優しく諭しているのは、こちらも、若い女シスターと言った方がしっくりくる装いをした女だ
「そうだぞ!初対面の相手にはまず、自分から名乗らねばな!」
豪快な声を出しながら言ったのは、見た目四十代くらいの斧使いだった。
「そうか。確かそうだったな。」
こいつは天然か。
「名乗り遅れました。私はアルブ・サークルと申します。」
丁寧に名乗っているが、名乗るまでに数分かかったからな。
礼儀として名乗り返すか。ゼギアノスの名前は避けて。
「俺はマグナという。」
手短に答えた。
「私はセシリー・クリスタと申します」
優しそうな雰囲気を持った女シスターが丁寧に名乗った。
「ワシはザルガ・ディラという!よろしくな!」
豪快な声を出しながら、大きな声を出して名乗った。
結構、耳にくる。はっきり言うと、うるさい。
「私はルシア・ヒューネス。まぁ、よろしく」
強気な女魔法使いがそう名乗った。
おおよそ、四人パーティーなのだろう。
剣使いが遊撃手か盾役、斧使いが壁役か威力の高い一撃を叩き込む役割、魔法使いが敵の撹乱と遊撃、回復役が傷を負った者の回復。
それぞれの役割がこなせていれば、相手が多少強くても太刀打ちできるだろう。
「それにしても」
呟きながら、どんどん遠くなって行く、ギルドマスターとミコトを見る。
ギルドマスターの行動に少しばっかり引っかかりを覚えるのだ。
普通に考えれば、俺が入った所で何が変わる訳でも無い。
それなのに、ギルドマスターはミコトを追いかけ回している。意味のよくわからない怒りをぶつけて。
いや、どちらかというと楽しんでる気がする。
俺達が戦った後を振り返り、観察する。
地面はえぐれ、草は焼け、辺りに亀裂がはしった地面を見ながら、思う。
(やっぱり俺、化け者だよな)
弁解のしようが無い。
それと、この後処理をどうしようか。
多分、騎士達がやってくれるはずだ。
そこまで考えがおよび、この先の事、といっても、数分後くらいに訪れそうな未来を考えてしまう。
まずは、騎士達が来るだろう。そして、この荒れ果てた大地を見て、どう思うだろう。
というか、後処理を手伝えと言ってきそうだ。
正直に言うと、面倒だ。
この考えに至った瞬間に、地面を傷付けないように配慮して、〈跳躍〉で空中を全力で蹴り、森へと突撃した。
辺りに暴風が起こったが、気にしない。
森を進みながら、あの四人組とその前方に、騎士達が大勢集まっている。
二者が出会って、話し合い、というか、言い争っているように見える。
結局、四人組は騎士達に連れられる様な形で、後処理を行なっていた。
予想的中。どうにか、免れた。あの四人組には悪いが、犠牲になってもらおう。
そんな事を考えながら、城門の前にたどり着く。
さてと、適当な嘘でもつくか。
「おぉ、あの火力馬鹿娘の攻撃をくらって無傷とはすごいな」
また、全身鎧の人か。
この人に交代ってあるの?騎士団って意外とブラックなのか?
「それにしても、すごい轟音だったな。後処理がすごく大変そうだ」
それに対して
「ここの騎士達は優秀そうだから、後処理もすぐに終わらせそうだ」
という言葉で返した。勿論、そんな事微塵も思っていない。
「そうだろうなー。毎回、冒険者がやらかして、後処理は俺たちだもんな」
「よかったな。何もしていない騎士団と呼ばれる事は無いじゃないか」
そんな会話を交わしながら、城門を通る。
嘘を考えなくてもよかったな。
明日から依頼を開始するか、今からするか。ミコトの戦闘力を考えて、ランクDなのだから、俺が心配することはないだろう。
明日から、ランクCだ。短かったな。
さて、当分の問題はどこで飯を食べて、どこで、寝泊まりするかだな。
こういう時は、ギルドの人に聞いた方がいいだろう。
そんな訳で、ギルドの目の前。
中に入ると、ちらほら人を見かけるような感じだ。
そんな中で、暇そうにしていた受付嬢に聞いた。
「寝泊まりできる場所と食事ができる場所を教えてもらいたいのだが」
そしたら、一瞬で
「御食事はここで取られてはどうです?あそこで、注文できますので」
角の一角を指差した。その先には、何かを受け渡しできるようなスペースがあった。
「宿泊場所でしたら、輝き亭などはどうでしょう。御値段もあまり高くないと評判ですし」
そんな場所があるのか。よし。まずは、食事にしよう。
「ありがとう」
礼を言って、その場を去った。
この世界に来ての初めてのちゃんとしたご飯だ。何があるのだろう?
カウンターは混んでおらず、すぐに頼める状態だった。
とりあえず、貼り出されているメニュー表から何かを選ぼう。
うん。馴染みがない。
まず、料理名から料理の内容を想像できない。
まあ、当然といえば、当然なのだが。
ここに、異世界と元の世界の文化の大元の違いを感じる。
とりあえず、中間より少し上の、少し金を多く使うご飯を注文しよう。
そして、注文を手っ取り早く済ませ、近場のテーブルに腰をかけた。
ミコトもここで食べるか、別の場所で食べるかによって変わるが、明日からどうするかを、話し合っておくべきだろう。
俺の方がランクが上になってしまったからね。
それにしても、俺の力はどうも規格外すぎる。ギルドマスターですら、手も足も出せなかったのだから。
これからの力の加減をどうにかしないと、マジで戦争に利用されそうで怖い。
まあ、利用されそうになったら、真っ先にこの国を潰すことも躊躇わないが。
何せ、戦争は得るものより、失う物の方が多く。さらに、人が大勢死ぬ。そんな事は俺の手でしたくはない。
そんなこんなで、力を加減しなければならない。
料理が目の前に運ばれて来た。
パンと汁物、煮込まれた肉が並べられた。
まずは、汁物からいただく。
味は、コンソメに近い。具材は、野菜が数種類とベーコンの様なものが入っている。
パンは、全世界共通であると実感した。
肉料理だが、煮込まれているだけで、嬉しく感じて、他のパンや汁物がある事に涙しそうになった俺は、末期なのだろうか?
肉は、牛肉の様な感じで、よく煮込まれていた。柔らかく、味が染み込んでいる肉は、かなり美味しかった。
料理人の腕がいいのか、俺の味覚が少しおかしくなっただけなのか、わからない。
食事を終わらせ、食器を片ずけ、俺はミコトを待っていた。
そろそろ戻って来てもいい頃だろう。
戻って来なければ、先ほど勧められた宿を探そうと思っている。
人が入ってくる気配を感じた。
「なんで私、追いかけられていたんですか!?」
非難の毛声をあげながら、ミコトが入って来た。
「ウーン。なんとなくかな。」
それをからかう様に言いながら、ギルドマスターが入って来た。
そういえば、俺たちに悟らせない様に騎士達から逃げるために利用されていたな。
向こうの話がひと段落したら、俺の方から話しかけるか。
誰かが、俺の近くの席、というか、目の前に座った。しかも二人。
なんとなく誰か理解できる。
「さて、改めて、私はここのギルドマスターをしている、シルヴィアだよ。よろしくね」
ギルドマスターはシルヴィアというらしい。
「知っていると思うが、俺はマグナという」
なんというか、今更の挨拶だな。
「お。じゃあ、私も。私の名前はミコトだ」
「「それは知ってる」」
俺とシルヴィアが言ったのがほぼ同時だった。
「ちょっ。私の時だけ冷たくない!?」
ふふふと俺は少し笑う。目の前のシルヴィアも俺と同じ様な感じだ。
「さて、大体の説明はされているから、大丈夫そうだね。」
「ああ」
「じゃあさ。君の冒険譚でも修羅の道でも、なんでもいいから聞かせてくれないかな?」
あざとく、子供の様に首を傾げて聞いてくる。
子供の可愛らしさはあるが、俺にそんなものは通用しない。だが、別に教えていいので、教えるがな。
「別に構わんが、つまらん話だぞ」
「構わないさ。君が戦って来た強者がどんなものか興味があるだけだから」
「なら別にいいのだが」
そして俺は、重要な事は省いて話し始めるのだった。
これくらいなら大体書き上げられるから、二作目を書いても問題ないかな。これが、フラグにならない事を祈ろう。
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