弱ければ相手から何もかも奪えばいい。   作:旋盤

22 / 43
小説がどれくらい読まれているか気になって見たら、6000を超えていることに驚いた。この作品がそんなに読まれている事を素直に嬉しく思っております。面白く書けるよう努力します。
最後までゆっくり見ていってください。


出発。その前に……

「よっす。遅れてすまん」

 

そう言って、ミコトがやってきた。

もう、昼が近いが今から出発するか、それとも、昼を食べていくか。俺は後者だが、二人はどうだろう?

 

「もう昼が近いしここでご飯を食べていくか?」

 

「それがいい。ミコトの奢りで」

 

「なんで!?」

 

涼しい顔でミコトにとっては無視できない事を言う。それを、どうしてだ!という顔で見るミコト。

 

「自分の心に聞いてみれば早いぞ」

 

俺はそう言って、カウンターの方に向かった。

無論、俺は自分の分は自分で払う予定だ。仲が良いと言える間柄かもしれないが、払わせようとは思わない。

なぜかって?俺もわからん。ただ、その方が俺らしいし格好いいと思う。

そして、俺は昨日とは違うものを頼んだ。ちゃんと自分で金を出して。

 

「あれ?ミコトに払わせないの?」

 

「お前はそうすればいい。俺はそういうのは遠慮する」

 

「助かった…」

 

助かったって、俺は別にいいが、シルヴィアはお前に払わせる満々だぞ。

金に困っているのか?まぁ、ギルドではCランクからが、一人前と評価されているので、金の巡りが悪い仕事をしているのだろうか?

というか、ここの世界では一年間過ごすのに、どれくらいの金が必要なんだ?

まぁ、どうでもいいかな。そんな事を考えていると、二人が注文を終えたようだ。

シルヴィアは、ご機嫌のようだが、ミコトは、

 

「ハ、ハハハ……」

 

何があった!?乾いた笑みを浮かべながら歩いているんだけど。

少し怖いよ。どっちがかって?二人ともだよ。

 

「何をしたんだ…」

 

「ん?別に?普通に食べる量を注文して奢らせただけだよ」

 

え。この子見た目に似合わず大食い?それなのにこの身長……

 

「何か失礼な事を考えた?」

 

「そんな事は無い」

 

エスパーか!こっちが思った事を読まれているんだけど。なんだ、読心系のスキルがあるのか。

欲しいな。そんなスキル。手に入れて見るか。

どうやってかって?……気合い?

そんな無駄な事を考えていると、料理が届いた。

見た感じを言うと、辛そう。赤いのだ。尋常じゃなく。どうやったら、こんな色になるのか聞きたい。

 

「チャレンジャーだね。それ、誰も食べようとしないよ。罰ゲーム以外で」

 

「なんでそんなものがあるんだ……」

 

「わかってて注文をしたんじゃ無さそうだね。どれ、久しぶりにどれくらいの辛さなのか味見してみるか」

 

「どうぞ」

 

シルヴィアが赤い物体を掬う。それを一口。

 

「っ!!!???」

 

言葉とも悲鳴とも言えない絶叫が聞こえた気がする。

水を慌てて飲み。それでも足りないのか、水を汲みに行き、そこからしばらくは、水汲み場から戻らなかった。

 

「どんだけ辛いんだよ」

 

それを見て、呆れるしかなかった。ミコトは、腹を抱えて笑っている。

これは覚悟を決める必要がありそうだ。これから襲い来る、辛さに。

 

「いただきます」

 

覚悟決め、赤い何かを掬い、口に入れる。

その瞬間、カッと目を見開き、襲い来る辛さに耐えた。

ただ、辛さは耐えられるほどではあった。

味は、辛過ぎるのを除けば、美味しいと思う。前の世界で食べた激辛メニューの方がまだ辛い。

 

「へー。普通に食べられるんだ。どれ、子供が耐えられなかった辛さはどんなものかな」

 

シルヴィアがいたら、怒られて、ひどい目にあっているだろう一言を呟き、一口食べた。

 

「ッ!!!???」

 

被害者第2号の誕生の瞬間であった。シルヴィアの時と全く同じで、水を一気に飲み、水汲み場に一直線に向かった。

 

「そんなに辛いか?」

 

そんな事を言って、もう一口食べる。何度食べても、耐えられるほど程度の辛さでしか無い。

周りの人がこっちをありえないような目で見ているが、気にしない。

 

「おい、あれ食べて平然としているぞ。」

「化け物か」

「いや、辛さが弱くなっている可能性が……」

「あれ見てみろ……」

「「「化け物だ」」」

 

なんて会話が聞こえたが、気のせいだろう。

世の中には気にしたら、自分が普通ではなく、化け物呼ばわりされる事になるのだ。

今呼ばれているって?気のせいだよ……。

しばらく、食べ進めていくと

 

「あれ?シルヴィアさんとミコトちゃんは?」

 

と、料理を運んできた人に言われたので、

 

「これを食べて、向こうにいます」

 

それを聞くと

 

「ああ…」

 

と言って、納得した。

 

「お料理の方はこちらにおいて大丈夫でしょうか?」

 

「別に構わないと思いますよ」

 

「では失礼します」

 

そして、色とりどりの、俺の食べている赤一色しか見ない料理とは違う。

コトッコトッ

どれも美味しそうで、食欲をそそられるな。

コトッコトッ

食欲を……

コトッコトッ

量……多く無いですか?

 

「あの、すみません」

 

「はい。なんでしょうか?」

 

あっ。普通に返されたと言う事は、これが普通なのかな。

 

「ギルマスはいつもこんな量の食事を?」

 

「いえ、自分がお金を払う時は普通の量ですが、他人が払うとなると……」

 

「わかりました。すみません。気になったものですから」

 

「いえいえ。お気になさらず」

 

そう言って、去っていった。

並べられた料理の量を見てみると、成人男性が限界まで食べられる量の五倍近くはあった。

 

「これをあいつ一人で食べるのか?」

 

そう言って、赤い何かを食べた。

 

 

数分後……

 

「辛かったー」

 

「舌が……舌が痛い」

 

二人が戻ってきた。その間に俺はあれを食べ上げていた。

かなり汗を掻いてしまったが別に大丈夫だ。

 

「あれを平気で食べるって、味覚が狂っているとしか言えない」

 

どうとでも言うがいい。周りの小言が予想以上に俺に聞こえてきたので、言われ慣れた。

 

「早く食べないといけないね」

 

と、遠慮なしに料理を口に次々と運んでいる。そして、表情を見ただけで、美味しいとわかる表情をする。それを見て、可愛いと思う。

俺はロリコンでは無い。子供を見て、可愛いと思うのは、普通のことだと思う。

 

「何か私に対して、失礼な事を思った?」

 

「そんなわけない」

 

しかし、ここまで美味しそうに食べてもらっていると、作った人は嬉しいだろうな。

 

「まずい。夜までに食料を集めなければ!」

 

嬉しい以前に今日の営業の問題があった。

これを奢った奴は、

 

「これからどうやって生計を……」ブツブツ

 

何か食べながら小言を言っている。同情するよ。

 

「はい。これ。デザートです」

 

「え?頼んでないぞ」

 

「サービスですよ。あれを頼んで美味しそうに食べる人がいなかったから、お礼ですよ」

 

「いや、頼んで無いからいいですよ」

 

「いえ、あれの発案者である私からのお礼ですから、受け取ってください」

 

あれを発案したのこの人だったんだー。驚きがかなりある。

しかし、これは引き下がりそうに無いな。

 

「わかった。ありがとう」

 

「はい。どういたしまして」

 

出されたデザートは……

見事に赤一色で統一された、パンケーキのようなものだった。

 

「これは、デザートなのか?」

 

それを切り、口に入れると、甘酸っぱく、パンケーキのようなふわふわした食感があった。

そして、それをぶち壊すように、辛かった。

これはデザートでは無い!!別の何かだ。

主食といっても通用する。朝に食べようとは思わない。パンケーキの形をした何かだ。

ただ、これも、耐えられるほどの辛さでしかない。

慣れれば美味しいものだ。ただ、味覚がグチャグチャになっていきそうで、少し恐怖した。

 

「フゥ、久しぶりに辛いものを食べた」

 

俺は全て平らげた。

 

「ごちそうさまでした」

 

ミコトも食べ上げたようだ。

残るは一人。まだ、ガツガツと食べている。どこにあの量が入るかはわからない。

もう、7割型食べ終えている。すごい食欲だ。そして、微笑ましい。

美味しそうに食べている上に、見た目が子供みたいだから、かなり微笑ましい。

決して、俺はロリコンでは無い。強いて言うなら、子供を見て、微笑ましいと思う年寄り的な感じだ。

 

「また失礼な事を…」

 

「何を思っていませんよ」

 

こちらを睨んできたきたので、視線を外した。

そんなこんなで、全員が食べ終えた。

 

「さて、最終確認だ。俺がお前達に支援魔法を使う、だが、それでは心許ないので俺が守りながら、進む。これでいいか?」

 

自分で言っといてなんだが、この作戦大分、いや全部俺任せな気がする。

 

「支援魔法をかける意味はあるのか?」

 

「流れ弾が当たっても即死はしない程度には強くなれる」

 

それを聞いて、ミコトが黙った。

 

「全部君任せな作戦だけど、大丈夫かい?」

 

「問題ない。いざとなったら、周囲を全て凍らせる」

 

「それは怖い」

 

そう言って、黙った。

 

「よし。これでいいか。では、出発するか」

 

「よっしゃ。魔境はどんなところか楽しみだ」

 

「そんな楽しそうな場所ではなさそうだけど、緊張するよりかはましかな」

 

そして、三人はギルドを出て、魔境へと向かった。




面白ければ幸いです。次回には魔境に着くよう考えなければ。執筆って、難しいけど、存外楽しくもありますね。
ご意見、ご感想、ご指摘お願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。