弱ければ相手から何もかも奪えばいい。   作:旋盤

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しっかりとこれから先の事を考えなければ。
ゆっくり見ていってください。


新たな仲間

ヒビ割れた箇所を修復しながら、城とはどういう物なのかを聞いておく。

 

「お前はどういう城を想像しているんだ?」

 

〈ドライアド〉は暫く考えると、

 

「取り敢えずは、広く、大きなもの、としか考えておりません」

 

随分ザックリだな…。

 

「じゃあ、最初はどんな城にするか決めるか」

 

「はい」

 

それから、暫くの間意見を交換しあい、設計案はこんな感じとなった。

・外壁は黒く。

・素材は、魔力を帯びた物を使用する。

・取り敢えず広く。

・周囲から見えなくする魔法を施す。

・部屋数もできるだけ多く。

・王の間を作りたい。

・魔物の特訓場を設けたい。

・空間を歪ませて、迷宮にしたい。

などの案が出て来た。

無論、できるだけ設計案通りに作りたいが、具体的なものが出て来てない上に、空間を歪ませて迷宮って、何がしたいの?

しかも、完成したものを想像したら、RPGとかに出てくる魔王城じゃん!

俺も魔王だが、そこまで魔王らしくなくていいんだけど。

魔王と勇者が共闘して巨悪を倒すくらいがちょうどいいんだけど。

まぁ、愚痴っても仕方ないか。

 

「んで、素材はどうするんだ?」

 

俺は石材や鋼材、その他建築に使われそうな材料を知らない。

それすら魔法で作るのか。はたまた、自分達で集めに行くのか。

前者ならば、この場でできる。

後者ならば、時間がかかりそうなので、ミコトと冒険者の依頼をこなしながら集めよう。

時間は腐る程あるんだ。焦らずに地道にやっていこう。

 

「魔法で作る部分もありますが、集める必要がある物もあります」

 

両方か。面倒ではあるが、不可能ではないだろう。

 

「どういう素材を集めればいい?」

 

単純に考えるならば、石材や鋼材だろう?

だが、それらは魔法で作れそうな気がする。多分。

 

「そうですね………。魔石と武器と人材。それくらいでしょうか」

 

そうか。………全くわからん。

何をしようとしているのか皆目見当もつかない。

 

「それで何を作る気だ?」

 

「魔石は〈インビジブル〉を広範囲に使用する装置を。武器は迷宮で罠として。人材は魔物を束ねる事ができる者が、もしくは、知能が高い魔物が欲しいところですね」

 

なるほど、確かに一つ目と三つ目は必要かもしれない。

 

「魔石は俺が持っている物を使えばいいだろう。しかし、人材か…。魔物を束ねる物好きはいないだろうから、必然的に知能の高い魔物になるだろう」

 

「そうですね。ですが……」

 

その無言で察する。知能の高い魔物は少ないのだろう。

まぁ、それもそうか。ここの魔物はレベル999だけど、集団で行動する事しかできない。

あれ?以外に知能あるんじゃね?

 

「ここの魔物の知能は他と比べてどんな感じだ?」

 

暫く考え込むと。

 

「少し高いですが、足りませんね。〈種族〉関係なく集団で行動していますが、十数体程。二十、三十数体規模を束ねるのと、連携ができそうに無いので、足りません」

 

やはりか。

このエリアの魔物が知能が高い部類である事を知って少し嬉しかったが、解決にはならない。

 

「何人ほど必要なんだ?」

 

「三名ほどかと。私を含めると、二名となります」

 

「そこに俺を入れてあと一人か……」

 

「それはできません」

 

何で!?

速攻で否定されたんだけど。何でできないの?

 

「主人様はこの森の魔物を全て束ねる御方。ので、一部隊では無く、全ての部隊を束ねて頂く必要があります」

 

「俺が全ての部隊を束ねるのか?」

 

「左様でございます」

 

これも魔王になった運命か。

頭が痛くなってくる。

一ヶ月ほど前は普通の高校生だったのに、今となっては魔王だ。

向こうでの友達は元気にしているのかな?元気だといいな。

今の現状から逃げても仕方がない

 

「理解した。〈魔物創造〉で俺が魔物を作り出せば、知能が高い魔物は創れるか?」

 

「主人様が創り出せば、確実に創り出せます」

 

即答ですか。

俺を買い被りすぎ……でもない様な、買い被りすぎている気がする様な。微妙な感じだ。

 

「どんな魔物がいいんだ?」

 

「知能が高そうな魔物を、人型でも問題ないはずです」

 

人型の魔物。

目の前にいる〈ドライアド〉もその一種なのか?

 

「お前は魔物の一種なのか?それとも、人に属するのか?」

 

「そういえば、私の〈種族〉を言っていませんでした」

 

そういえば、そんな事を前に言っていたな。魔王になったりしていたから忘れてた。

 

「〈ニンフ〉それが私の〈種族〉でございます。魔物に属していると思われます」

 

〈ニンフ〉か。聞いた事がないな。

というか、この世界の〈種族〉について知らないんだけど。

 

「〈ニンフ〉についての情報はあるのか?」

 

〈ニンフ〉についての情報は知っておいた方がいいと思ったのだが、

 

「いいえ。私も長年生きておりますが、この様な〈種族〉は聞いた事もありません」

 

知らないか…。

稀少な〈種族〉という事か。

進化的なものが起こったという事か。この人、人?魔物が知らなかった様だし、これが一番有力だろう。

話を戻そう。

俺が〈魔物創造〉を使えば、一つの問題を解消できるそうだ。

 

「話を戻すが、創り出す魔物は二体でいいのか?」

 

「はい。その数であれば、この森の魔物を効率よく統率できると思います」

 

効率よくか。

俺には勿体無いくらい、できる女性の様だ。

そんな部下を持てて、俺は幸せ者です。いや、この世界に来れただけで幸せ者か。

 

「じゃあ、始めるぞ」

 

目の前に魔法陣があらわれる。

想像するは、二人の人間。

知能が高く、魔物を統率できる才能を持った人間。

それ以外の想像はいらないだろう。

魔法陣が一層輝きを増す。

そろそろだな。

そして、目も開けられない程眩しく光る。

 

目を開けると、目の前に二人の人影が現れていた。

一人は、浅黒い肌に長い白髪。鋭い眼光は肉食獣を彷彿とさせる。その顔付きから男だと思う。

もう一人は、燻んだ短い白髪、不敵に笑っている口元、顔付きから女だと思う。

 

「お前が俺を生み出し者か」

 

「貴方が私を生み出した者ですか?」

 

二者二様の言葉を聞く。

どうやら、男女の感覚はあっていた様だ。

間違っていたら、驚きが隠せなかっただろうけど。

 

「俺がお前達を生み出した者であっている。。まぁ、よろしくな」

 

「そうか。俺はお前の牙だ。お前の前に出て来る敵は、俺が引き裂いてやる」

 

そう言って立ち上がった。

 

「頼もしい限りだ。よろしく頼むぞ」

 

そう言って、手を差し出した。

 

「?」

 

どうやら意味がわからないらしい。

 

「握手だ。手を握り合うだけだ。出会った時や、歓迎する時にする行為の一つだ」

 

それで納得した様で、差し出した手を握り合う。

 

「改めて、よろしくな」

 

「こちらこそ。それで、俺は何をすればいい」

 

握手を解き、単刀直入に聞いてきた。

遠慮が感じられないので、こちらとしては、話しやすい限りだ。

 

「魔物を二十数体〜三十数体を束ねてもらいたい」

 

「楽勝だな」

 

そう言って、自信に溢れた笑みを浮かべる。

どうやら、心配しなくて良さそうだ。

んで、もう一人は、

 

「…………」

 

目を閉じて、両手を顔の前で合わせていて、何かに祈っている様な姿勢をしているのですが、大丈夫でしょうか?

魔物……魔物?の宗教なんて聞いた事ないし、この世界にどんな宗教があるかなんて俺は知らない。

すると、目を静かに開けた。

 

「終わりましたね。私は、貴方を神と思ってもよろしいでしょうか?」

 

………なんだろう。この、人の話を聞いてくれなさそうなオーラは?

 

「沈黙を肯定と受け取ります」

 

「待ってほしい!いきなり神と言われても困るし、俺は神では無い」

 

その言葉を言うと、

 

「貴方は神ですよ。なぜなら、私達はきわめて人に近い形で現れました。本来魔物とは、人ならざるもの。人に近い魔物はいても、見えなかったりするのが普通ですから」

 

〈ニンフ〉になる前の彼女がいい例だろう。

〈魔物創造〉でも、人型に近い魔物を創るのは、難しいだけで、できない訳では無い気がするのは、俺だけだろうか?

 

「それを貴方は、断片的な想像だけで私達を生み出した。さらに、人を生み出したのは神だとすれば、私達の神は貴方です」

 

笑みを浮かべながらそう述べられた。

その笑みは、裏がありそうなだと思わせるほどの何かを感じさせた。

 

「何か違う気がするが、まぁ、よろしく」

 

「ええ。こちらこそよろしくお願いします。我が神よ」

 

神は他にいるんだけどな。

俺をこの世界に連れてきたあの神様が。

そういえば、ミコト達は大丈夫かな?

 

 

 

 

 

時は少し遡り、魔境〈哀しみの森〉が遠くに見える場所。

 

「おいおい。なんだよ今の……」

 

ミコトが魔境の方角を見ながら、冷や汗を流しながら言った。

 

「彼が力を使ったんだろうけど……。やっぱり隠していたね」

 

さも当然だろう。という感じで言っているが、その声は少し震えていた。

それも当然だろう。遠目であるが、地獄を見ているも同じ光景を見ていたのだから。

いや、天変地異を思わせるそれは、世界を崩壊させんとするが如く、巻き起こった超常の威力の魔法の数々。

それが一人の手によって引き起こされたのであれば、畏怖するのは当然だと言えた。

 

「異常すぎる。なんであんな化け物が今まで人目に付かなかったのかが知りたいものだね?ねぇ、ギルドマスター」

 

「それは、私も知りたいよ」

 

二人がそんな会話をしながら、森の中を歩いていた。

とある場所を目指して。

 

「ここが例の場所だな」

 

そこは、いたって普通の森だった。

 

「ここが、君達が盗賊に襲われた場所なんだね?」

 

「ああ。確かこの辺りだった」

 

その場所は、マグナとミコト、レオナが盗賊に襲われかけた場所だった。

そこをしばらく歩いていく。

 

「血が大量に流れているけど、魔法は使ったかい?」

 

「使ったと思うけど」

 

「種類は?」

 

「氷属性だと思うぞ。いきなり冷え込んだから」

 

それを聞いた途端、シルヴィアの顔が険しい顔に変わった。

 

「おかしい。死体が燃やされたでもなく消えた。という事かい?これは」

 

「火属性は使われていないと思う。明かりが見えなかったし」

 

「思う。じゃなくて、もっとはっきりしてもらいたいんだけど」

 

それを聞いてミコトは、困った顔をして

 

「仕方ないだろ。あいつが私に見えない様に使っていた可能性があるんだから」

 

「それもそうか」

 

それを聞いて、シルヴィアも素早く手を引く。

理由は単純で、マグナならやれそう。と思ったからである。

 

「彼は、なんらかの手段を使って死体を消した。という事がわかったよ」

 

「いやいや。待ってくれよ。奴はその後、火葬したんだぞ。だから、消えている様に思えるんだって」

 

それを聞いて、シルヴィアは溜息を吐いて。

 

「これだけの血が流れた死体を引きずったなら、跡が残るはずだよ。それとも、火は複数起こったのかい?辺りを焼き尽くすほど大きかったかい?」

 

それを聞いてミコトは黙ることしかできなくなった。

 

「君がやる事は彼の監視だよ。いざとなったら、その大剣で背中から思いっきり切れ」

 

「でもなー。あいつが無闇に人を殺す奴には見えないんだけどなー」

 

「そうとも言い切れない現実があるんだから、用心するに越した事はないよ」

 

「わかったよ」

 

それを言って、帰ろうと踵を返す。

だが、その時

 

「期待してるよ。〈太陽の剣姫〉さん」

 

それを聞いた途端、ミコトが一瞬で大剣を抜き、シルヴィアの首筋に大剣を当てていた。

その早技にシルヴィアもついていけなかった。

 

「その名で私を呼ぶな」

 

その気迫は並みの者ならば、気絶してもおかしくは無いレベルだった。

 

「これからは呼ばないよ。ミコトちゃん」

 

両手を上げながら、そう言った。

 

「ならばいい」

 

その姿は、先ほどまでの飄々とした雰囲気は無かった。

変わりに、他を圧倒する殺気が漏れ出ていた。

大剣を背負い直し、街の方角へと戻っていくのであった。

シルヴィアは首筋にできた切り傷を撫でながら、

 

「危なかった。本気で殺されるかと思った」

 

そんな事を言って、ミコトの後に続くのであった。




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