弱ければ相手から何もかも奪えばいい。 作:旋盤
そして、現実に戻ろうとスキル〈無限の世界〉を発動しようとすると。
「ちょっと待ったーー!!」
もう俺以外誰もいない世界に俺をこの世界に送り込んだ神の声が聞こえた。
そして、目の前に金髪の髪をした女性が現れた。
「あ。僕の事を女性と認めてくれたね。いやー、嬉しいねー」
「違う。細かい事を深く考えるのはやめにしただけだ」
あって早々に挨拶もせず、こちらの思った事を読んできたのは初めて会った神だ。女性だから女神か?
「そうそう。僕は女神だよ。さあ崇めたまえー」
辺り一面に当然の事ながら俺以外の人の気配は無い。辺りになんとも言い難い静寂が流れる。
一面の白銀世界に冷たい風が一つ吹く。
「うお。寒いね。この世界」
「景色は見ての通りだ。当たり前だろ?」
というか、こいつが用も無く俺の目の前に現れる事が無いから、多分何かあるんだろうな。
「ああ!忘れるところだった!君に少し用があったんだった!」
忘れかけたのかよ。ていうか、あって数分も経ってないよな?そんな短時間で忘れるってこいつ大丈夫か?
「大丈夫だよ。これでも神としては位は高い方だから」
神にも位があったのか。
まあ、今はどうでもいいか。
「んで、俺に用事って何の用だ?」
その言葉に目の前の女神が何か思い出すような仕草をした後に、あっ。と思い出したようだ。
「そうそう。君の事についてわかったからその報告に来たんだ!」
「俺の事についてか。それは気になるな」
俺の事か。大分自分の事についてかわかってきたが、それでもわからない事がある。それを知れればこの女神に会えて良かっただろう。
「会えて嬉しいなんて。照れるな〜」
「嬉しいなんて一言も言ってないし、思ってもねえよ」
「ちょっとは思ってくれてもバチは当たらないよ?」
「思うわけないだろ」
その言葉に少し残念そうにしているが、大して気にする事無いだろう。
「ちょっとは気にして欲しかったよ」
呆れた声でそんな事を言ってきた。
「それじゃ、本題は?」
またズレそうだった道を本題へと修正する。
「そうだね。それじゃ教えよう。実はね、君はね…………この世界の人間だったのさ!!」
「ああ。知ってるよ」
「マジで!?」
その時、また一つの寒風が吹いた。
「……冷え込むな」
俺が話題をちょっと切り替えるための言葉を放つ。
「…………そうだね」
そして、会話が途絶えた。
「……お前が来たのはそれだけを言うためか?」
その言葉にバッと顔を上げて、
「そんな訳ないじゃ無いか!」
さっきまでの暗い表情とは打って変わって、自慢げな表情をしている。
「そうか。それじゃそれを教えてもらおうか」
「まっかせてよ!」
また忘れるのでは無いか?と不安は少しあるが静かに聞いておくようにしよう。
「君はね、神たちの悪戯で別の世界に放り込まれたのさ。そしたら、この世界にも元いた世界にも異変が生じるようになる。そんな事を無視してね」
「で、今はこの世界もあっちの世界も修復しようと躍起になっている。主にやらかした神達の後輩が」
そこでちょっとした疑問が生じた。
「そのやらかした神達はどうした?そいつらに修復を押し付ければいいんじゃ無いのか?」
その言葉に笑顔に見えない笑顔を浮かべて。
「その神達なら、責任を取って貰ったよ。勿論、その時の上司だった私なりの方法で」
ものすごい気迫でそれを言ってきたので俺は頷く事しかできなかった。
「話を戻そう。今はこの世界も修復中だから何が起こるかわからない。邪神が現れたり、天変地異が起こってもおかしくないかも」
「おいおい。それってかなりやばいんじゃないのか?」
神の言葉に少し驚きを感じる。今までのように面白がって言っている感じではないのだ。
「ヤバイって問題じゃないね。下手すれば世界が滅びる。最悪の結末は二つの世界が滅ぶ事。最良の結末は二つの世界がこのまま回り続ける事。だね」
かなりマズイ事になっているようだ。それこそ世界規模の大きな問題が。
「向こうの神と連携して事に当たるけど、それでも手の回らない事がある。その時は君の出番だ」
そして、いつに無く真剣な眼差しで俺を見つめてくる。
「元々私たち神が悪い事は分かっている。自分勝手な事を言って悪いけど、頼まれてくれるかい?」
そんな真剣に言われて、世界が滅ぶなんて言われたら、断るなんてできないだろ。
「わかった。その時が来たら任せろ。力だけは強いからな」
「助かるよ。それじゃ。私はもう戻ろうかな!仕事はいっぱい残ってるし。何かあったら僕が報告するからその時はよろしくね!」
いつものような感じの神に戻った。
俺は溜息を一つ吐いて。
「そん時は任せとけ」
そして、女神が歩き出す。俺の横を通り過ぎる時に、
「巻き込んですまない」
と、謝罪の言葉を言った。その言葉に驚き、振り返った時には女神はいなかった。
「この世界は気に入っているんだ。言われなくても助けたっての」
と独り言を呟いて、まだ見ぬ強敵の事を考えながら、俺は現実へと戻るのであった。
面白ければ幸いです。