緋弾のアリア・黒銀の武偵   作:残夏

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嵐の前の静けさ

「武さん起きてください、朝ですよ」

「ん!?」

夢で聞こえた声に慌てて目を覚ますと目の前にレキの顔があり一瞬夢の続きかと思ったが、周りが見慣れた自分の部屋である事に気づき夢でないことに胸をおろす。

「はぁ…おはようレキ…へ!?」

俺に跨るレキがゆっくりと起き上がるふと目線を下げると彼女の姿に完全に眠気が消え去った。

「な…な…なんて格好してんだ!?」

首からかけた銀色のドックタグが鈍く光る。そしてレキは下着すら身につけず大きめのワイシャツだけを着て、俺に体を見られても全く同様している様子がない。

「今触りたいって思いましたね?」

「まさか!?また俺の心をよんだのか!?」

「いえ、それだけ見つめていれば色金の力をつかわなくてもわかります」

「うぐっ…」

男のサガである、そう男のサガなのである。

「触りたくないんですか?」

「いや…そんな事ないが…」

「いいですよ好きにして下さい、私はもう貴方の彼女なんですから」

「ッ〜…やっぱりダメだ!!」

誘惑を押しのけレキから目を逸らす。

「私の胸では不満ですか?…」

むぅとした顔で自分の十分すぎる大きさの胸を触る。

「違う!そう言う事じゃないんだ…その…レキは初めての彼女だから…色々と大切にしたいんだよ…」

「フフ…それ程私の事を考えてるって事ですか?」

無言で頷く。

「武さん…」

「ん?…ッ!!」

レキに名を呼ばれ反らせていた目を再び彼女へと向けるとすっと顔を近づけ、俺の唇とレキの唇が重なり合う。

「これくらいなら…大目に見てくれますよね?あ、そろそろ起きましょうか?」

「あ…あぁ、起きるか…今日はカグラとソフィアが食事当番だからもう出来上がってる頃だろ。さぁ着替えて朝飯にしよう、レキも何時までもそんな格好してないで着替えた着替えた」

「わかりました、あ…武さん」

ベッドから立ち上がりクローゼットからワイシャツを出そうとした時、レキに服の袖を引かれた。

「ん、どうした?って着替えはやッ!?」

ワイシャツのみを着ていたレキだが、何時の間にか武偵校の制服に身を包んでいた。

そして何か白いモノを差し出してきた。

「これ…俺のワイシャツ?…もしかしてレキが着ていた?…」

レキからまだ暖かいワイシャツを受け取ると、少し赤面して微笑んだ。

「ワイシャツ温めておきました」

「信長の草履を温めてた豊臣秀吉か!?…これを着るのか?」

「私のニオイ…嫌ですか?」

「いや…そう言う訳じゃあ…」

身長差で上目遣いになるレキに言い寄られ、言葉に困る。

(良く考えろ!宮本武!!幾ら彼女だからと言って素肌に触れていたこのワイシャツを着てしまっていいのか!?人としていいのか!?)

「嫌…ですか?…」

「くっ…」

「嫌ですか?」

「うんんん〜」

悩みに悩んだ結果。

「あ…レキのニオイがする…」

人間を辞め、彼女のニオイに包まれていた。

「そう言えば…どうやって俺の部屋に入って来たんだ?、昨日は用事があるって部屋に来なかったのに?…」

襟足を整えているとふとした疑問が頭をよぎる。

「それは…」

「…なぁ薊…今更だけど大丈夫?…バレたら主様にこっぴどく怒られるんよ?」

「…大丈夫だって!今頃旦那はレキさんとあんな事やムフフ!!」

「あぁ、そう言う事か…」

部屋の外から聞こえてくる薊や日和の小声話でどうやってレキが自分の部屋に居たのか、誰が招き入れたのか全て理解できた。

「…ほら日和早く早く!旦那が大人の階段を登ると」

「誰が階段を登るってぇ?」

『ひっ!?』

部屋を覗かれる前にドアを開け二人の目の前に出ると、顔が真っ青になっていった。

「会話が丸聞こえだぞ、お前達がレキを俺の部屋に入れたんだな?」

「だ…旦那!!こ…これには訳が…」

「そ…そうなんよ…一旦落ち着くんよ!!」

「問答無用!!天誅!!」

『ぎゃあああっ』

 

 

「薊達なかなか戻ってきませんね?」

料理当番であるカグラとソフィーが朝食の準備を終え、テーブルに並べていくが武達がなかなか起きて来ない。

「あの二人に起こしに行かせたのが間違いだったんだよ、レキさんをわざわざ呼んでたし絶対何か企んでるよ?」

「さて…困りましたね…朝食が冷めてしまいます…」

『ぎゃあああっ』

「カグラ!今の声って?」

「薊と日和ですね、はぁ…やはりあの二人に任せてしまったのが間違いでしたね…ちょっと様子を見てきます…先に食べてますか?」

「うんん待ってる、皆で食べた方が美味しいから」

「そうですか、朝食が冷めてしまう前に見てきますね」

とりあえず様子を確かめる為に武の部屋に通じる廊下に出ようとした時ドアが開き、レキと頭に大きな瘤が出来た薊と日和の後ろ襟を掴み引きずった武が立っていた。

「これはおはようございます武様、レキ様、薊達に起こしに行ってもらったのですが…一体何があったんですか?」

「朝の特訓してたんだ悪いな遅れて」

「そうですか、朝食の準備は出来ていますので冷めないうちにレキ様もお召し上がりください」

「ありがとう」

「ありがとうございます」

 

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