「失礼します」
「あ、武さん」
通信科が活動する通信室に入ると既に数人の教務科と通信科の生徒が無人偵察機を飛ばし、バスジャックの状況が大型モニターに映し出されていた。
「美咲、キンジ達は?」
眼鏡をかけた前髪が目にかかった黒髪ロングの少女の隣に立、大型モニターの映像をみる。
「まだバスまで辿り着けてないみたいです」
「はぁ?」
「銃付きの無人車数台に邪魔されているんですよ」
「流石依頼ランクAだな…」
「用意周到ですね、武偵殺しの模倣犯は」
「いや、これは模倣犯じゃなくて武偵殺し本人だよ」
「え?…でも武偵殺しは逮捕されたんじゃ?」
「世間ではね、説明すると長くなっちゃうから後でするね」
「は…はい」
「武様お待たせ致しました」
「頼まれた資料持ってきたよ、マスター」
「おぅ、ありがとう」
通信室に入ってきたカグラとソフィアから茶色の封筒を受け取り中に入った資料に目を通すと、隣にいる美咲が横から資料を覗いてくる。
「武さんそれは?」
「武偵殺しの資料だよ」
「カージャックにバイクジャック…最近のだとキンジさんの自転車に爆弾が仕掛けられたチャリジャック…」
「それと今回のバスジャック…本当にこれだけで済んでればいいが」
「え?どう言う事で…」
「おーい旦那!あったぞ!!」
「主様の言った通りだったんよ」
「ありがとう、はぁ…本当どうして嫌な方に感が当たるかな…」
薊から資料を受け取り再び美咲と目を通す。
「武さんこれって?…」
「あぁ…表向きはクルーズ船アンデリーヌ号の爆発事故ってなってるが、薊達に可能性事件つまり本当は武偵殺しの仕業でも何者かの手によって隠蔽工作され、武偵殺しとは関係がないかのようにされているがこれは立派なシージャックだ」
「隠蔽工作って…」
資料を読み進めていき最後の一枚を読んでいると、この事件の唯一の犠牲者の名前に目を疑った。
「遠山…金一…」
「遠山って…」
「キンジの兄貴だ、ランクはS…しかもこの時だけ武偵殺しが使っていた爆弾の遠隔起爆スイッチの電波が傍受されていない」
「つ…つまり…」
察した美咲が恐怖で震え始める。
「爆弾を遠隔操作する必要がなかった、武偵殺し自身がクルーズ船アンデリーヌ号にいてSランクの武偵を殺したんだ」
「そんな…Sランクの武偵を倒したなんて…」
「わざわざ武偵を狙ってんだ、その位の実力を持っていても不思議じゃないさ…」
「キンジさん達大丈夫ですかね…もしかしたらバスに犯人が乗っているかもしれないのに」
美咲は恐怖のあまり胸の谷間からドッグタグを抜き出し、両手で強く握りしめた。
「武偵殺しの狙いが上位ランク武偵だったら、もしかしたらバスにいて直接対決をする可能性もあるしな…俺達もバスに行くぞ」
資料を机に置きカグラ達とキンジの応援に向かおうとした時、また緊急メールを受信した事を告げるアラームが鳴り響く。
「こんな時にかよ!!」
教務科を含めその場にいた全員がメールを確認する。
(武偵校緊急メール。8時25分に武偵校の生徒のスマホに東京モノレール、東京ドーム、東京駅に爆弾を仕掛けたと言うメールが届きました。これをバスジャック事件と同一犯である可能性が高く、至急爆弾の調査及び解除を依頼します。依頼ランクはA。依頼を受ける武偵は至急武偵校校長の縁松まで連絡を。)
「同時に三箇所だと!?」
「しかも今度は明らかに無差別…」
「クソッ武偵殺しの目的は一体なんだってんだよ!」
「武様、どうしますか?」
「過去にSランク武偵を殺した相手だ、俺達で請け負うぞ!!悪いが美咲はオペレーターを頼んでもいいか?」
「はい!協力させてください!」
「ではこの依頼は宮本さん達が受けられるのですね?」
「宍戸先生」
ロングスカートを揺らしながら教務科で、ステルス数秘術使い(ヌメロロジーマスター)の宍戸留美がこちらに近寄ってきた。
「はい、この依頼は俺達が請け負います」
「わかりました校長先生には私から伝えておきます、気を付けてくださいね」
「よろしくお願いします、行くぞ!カグラ、薊、日和、ソフィア!」
『了解!!』