英雄譚、それは男ならだれでも一度は憧れるであろう物語
さらわれた姫をドラゴンから救いだしたり、
世界を救うために長い旅の末魔王を倒したり、
一国を救うために幾万を相手取ったり
色々あるのだが殆どに言えるのが強い、かっこいいそしてか弱く可愛いヒロインがいることだ俺もそんな英雄になるべくダンジョンでモンスターを倒す毎日を送っているのだがここ、ダンジョンでは最後のヒロイン獲得なんて出来そうにもない。
なぜなら
「そこの人!しゃがんで!」
ダンジョンにいる女の子は
「チェストーーーー!」
総じて強い
とある巨大な穴を中心に発展を遂げた迷宮都市オラリオ。そこにある穴、地下迷宮またはダンジョン。そこの五階層の一角に一人の少年がいた。
「ヴオオオオオオオオオオオオ」
「うおおおおおおおおおおおお」
ヤバい、死ぬ。俺―――エル・ロックハートは今絶賛命がけの鬼ごっこ中である。
新しい武器を買って試し切りに行こうといつも狩りをしている階層より安全な所にいたのにどうしてこうなった。
今俺を追いかけている鬼役はミノタウロス、Lv.2に相当するモンスターである。対して俺はLv.1この1の壁はとても大きく1違うとまず勝てないと言われている。
なので全力逃亡中、追いつかれたら待っているのは死、助けて貰えるまで逃げ切れれば上場だと思い俺はミノタウロスから逃げるためになりふり構わず走ってきた。しかし残念なことにここは地下迷宮、そんな右左気にせず逃げていたら―――
「っ!?」
行き止まりにでも行こうものだ。こうなってしまってはもう逃げられない、袋の鼠だ。絶体絶命のピンチだ。どうしよう。
「ヴモォ」
目の前には袋小路まで追いつめて余裕を持ったのか一歩一歩もったいぶるように距離を詰めてくるミノタウロス、後ろには壁、ごめんなさい、みなさん、神様。どうやら俺はここで死ぬようです。
「ただでやられると思うなよ!この牛野郎!」
「そこの人!しゃがんで!」
決心したのも束の間聞きなれた声で指示が飛んでくる、そしてそれに半ば条件反射で従う俺。さっきの決意はどうしたとか言わないでこの声の人はそこの牛なんか比べ物にならないくらい強いんだから
「チェストーーーー!」
その掛け声と共に飛んでくるとび蹴りをしている少女、まるで弾丸のようだ、そしてドンッという衝撃音、そしてしゃがむ、というより伏せている俺の頭上を通り過ぎて後方の壁に飛んで行くミノタウロス、そして弾丸少女
「グブゥ!」
という断末魔と共に壁に衝突した音が聞こえてくる。
「そこの人無事―?」
「はい、何とか無事です。ありがとうございますティオナさん」
「おー、エルじゃん。何してるの」
「新しい武器の試し切りしてたらミノタウロスに襲われました」
「あちゃー、ごめんねー。17階層の討ち漏らしがここまで来ちゃって」
後ろに胸部を貫かれたミノタウロスを後ろに控えた弾丸、もといティオナさんが頬をかいて申し訳なさそうな顔を浮かべている
この人はティオナ・ヒュリテ、アマゾネスの少女で【ロキ・ファミリア】に所属するLv.5の第1級冒険者だ。その戦いぶりから【大切断】という二つ名があったりする。
ちょっと前に縁があって知り合いになれた。その時もこんな風に助けてもらった訳だが
「大丈夫です。助けてもらいましたし」
「えへへ、なら良かったよ」
「それより討ち漏らしはこの一体だけですか?」
「いや、まだいるけどアイズとベトーが追ってるから大丈夫だよ」
なら良かった、本来ミノタウロスは5層なんて上層に出てくるモンスターではなく13層から出てくるモンスターだこんなところにいたら俺のような初心者冒険者は悲鳴を上げるしかやることが無いだろう。
「ヴヴォオオオオオオオオオオオオオオオ」
「ほぁおあああああああああああああああ」
そうそうこんな風に……て、へ?
「ティオナさん、二人が追ってるんじゃ……」
「そのはずなんだけど、とりあえず行こ!その斧貸して!」
「あ、あぁ良いですよ、て早!?」
ティオナさんが武器持ってったってことは俺丸腰なんですけど!?
ここで置いてかれたら非常に不味い!とりあえず追いかけなきゃ
ティオナさんを追いかけること数十秒そこにはいた、細切れになったミノタウロスと【ロキ・ファミリア】の誇る最強の一角と言われているLv.5【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインとミノタウロスの血を浴びたのか真っ赤になっている兎みたいな少年が
……あーあ、可愛そうに腰抜かしちゃってるよ。アイズさんが話しかけてるのに反応できてないし。
装備はギルドの支給品だけっぽいし完全な初心者さんだなこりゃ。まあ俺も装備は人のこと言えた義理じゃないけど
俺みたいに襲われた所を俺みたいに助けられたってところだろう。ただあっちはトマトみたいになっているのでこっちの方が幾分かましだろう。
「だああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「あ、逃げた」
「……くくっ!」
兎みたいな少年がそれこそ脱兎のごとくアイズさんから逃げ出した。そして隣にはお腹を抱えながら笑いを耐えようとしているベトーさん。まあ耐えられてないんだけど。
しかしベトーさんそこで笑うのはダメだと思う。
ほら、アイズさんに睨まれちゃったよ。
「ねえねえ、エル」
「何ですか、ティオナさん?」
「斧壊しちゃった」
「え!?あの短い間に!?それ新品なんですけど!!!!」
「ごめんねー」
そりゃ【大切断】といわれるくらいだから力は凄いんだろうけど上層のモンスターに武器が壊れるほど全力で振る必要性あったんですか!?
「……まあ、どんまいだ」
ベートさん……そこは笑えよ