怪盗アルセーヌの溜め息   作:アリス・リリス

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第五話~運命の日~

ミルキィホームズの活躍は、著しいもので、横浜・七大怪盗の一人、トイズ『狩人』のウェルディを捕らえるほどだった。

「おめでとう、ミルキィホームズ」

「ありがとうございます、アンリエットさん!」

「私たちは、これからも頑張って残りの大怪盗、ナディア、ジャンヌ、ギーダー、イリーシェ、シンドバット、そして、アルセーヌを捕まえます!」

 

「頼もしいですわ」

 

アンリエットは、微笑んだ。

 

(あたくしを捕まえるのは無理ですわ…)

 

また、何度もアルセーヌと対峙してきた。

 

「ミルキィホームズ、また会うことができて、嬉しいですわ。でも、あたくしは、行かなければなりませんの…。また今度会いましょう…」

 

 

「待ちなさい、アルセーヌ!」

 

「ごきげんよう…」

 

アルセーヌは、フッと消えた。

 

 

(なぜかしら、ミルキィホームズと戦えるなんて嬉しいと思うのかしら?)

 

初め、怪盗のプライドを守るため、怪盗帝国を束ねる者として捕まるまいという気持ちでミルキィホームズと戦っていたが、次第にミルキィホームズの力を認めていった。

 

そんなミルキィホームズと対決する日々が永遠に続くと、思っていた。

 

しかし、ある時崩れてしまう。

 

あの日は、確か嵐の日…。

 

アンリエットとして、彼女達が女大怪盗・トイズ『神風』のジャンヌと大怪盗・トイズ『海流』のシンドバットを捕まえた功績を讃えたあの日の夜だった。

 

夜になって、天候が変わった。

 

しかし、あの日も怪盗アルセーヌとしてミルキィホームズの目の前に舞い降りた。

 

「怪盗アルセーヌ!今日こそ、捕まえるです!」

シャロが叫んだ。

 

「シャーロック・シェリンフォード、私からこの『女神水晶(ミネルバクリスタル)』を取り返してごらんなさい!」

 

「言われなくても!」

 

「コーデリア・グラウカ、せいぜいあたくしを楽しませてほしいわ」

 

「たっ楽しませるって…」

 

「エルキュール・バートン、あたくし達は共にトイズを持つ者。だから、トイズをぶつけ合うのです」

 

「つべこべ言わないで、さっさとやろう~」

 

「そうですわね、譲崎(ゆずりざき)ネロ」

 

偵都(ていと)・ヨコハマで5つのトイズが繰り広げられた。

ゴロゴロッ!

 

雷がなり始めた。

 

「そろそろ、あたくしは行きますわ」

 

フッとアルセーヌは消えた。

 

「待てっ!」

 

ゴロゴロッ!

雷がミルキィホームズに落ちた。

 

その時、アルセーヌには何が起きたのかわからなかった。

その後、ミルキィホームズがトイズを失ったことを知った。

 

 

「トイズを失うなんて、探偵としてダメダメのダメダメですわ。屋根裏へ部屋を移させていただきますわよ。トイズが復活するまで、自室には立ち入り禁止ですわ」

 

 

アンリエット=アルセーヌは、薄笑いをした。

 


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