2日後 ヴィルヘルム宮殿
そこには、共和派軍人を見事奇策で乗り切った2人の少年少女の姿があった。
「まったく、あんたのせいで偉い目にあったわ。」
ミーナはそう言って彼の肩を強くたたいた後、次の段階に向けて緊張していた。
「そうはいっても、ミーナのおかげでなんとか皇帝陛下の宮殿までこれたし、この後は衛兵か親衛隊の人を探して謁見しないとね。」
その時、2人に近づく1人の男の姿があった。
「誰か知らないけど、私はブランデンブルク伯爵領魔導中尉、ヴィルヘルミーナ・フォン・ブランデンブルクよ。皇帝陛下へ謁見したいのだけど。」
「ミーナ、いきなり誰かわからないのに敬語も使わないのは・・・」
「何よ。私たちは敵地から命からがら出てきたのよ。衛兵なんて・・・」
その時、近づいてきた人の素性を知っている2人は青ざめた。
そこにいたのは、皇帝陛下自身だったからである。
「これは皇帝陛下、無礼をお許しください。」「お許しください。」
その2人の恐縮ぶりに皇帝は笑顔で答えた。
「何、ここには今誰もいない。国民議会とやらとの戦線の再構築中でね。」
「それは・・・申し訳ありません。我々が奮戦していれば別だったのですが。」
少年の謝罪に皇帝は首を横に振って応じた。
「いや、どちらにしろこの私自身を持つ帝政という政治制度に彼らは不満を抱いている。あるいは周辺国での暴動に見られるように、とある国家の勢力が蠢動している結果かもしれない。 それよりもここに君たち2人しかいないということはまさか・・・」
その皇帝の言葉に、少女は下げた頭がさらに下がっていた。
少年は、少女に心の中で謝りつつ、皇帝に報告した。
「おそらく、フリードリヒ・ブラウヒッツ・フォン・ブランデンブルク歩兵大将閣下、ハイドリヒ・フォン・ライン工兵大将の両名は戦死したものと考えます。」
その言葉を聞き、皇帝は項垂れた。
「そうか、ブラウヒッツ、ハイドリヒ。この私を置いて逝ったのか。
ただ、君たちを残したくれたことには感謝するべきだな。」
そういって皇帝は2人に対し、膝を折り謝罪した。
「済まなかった。と言って済ませられないのはわかっているんだがね。せめてもの謝罪と2人にお願いがあるのだが、いいだろうか。」
それに対し、2人は最敬礼で答えた。
「わかりました。」「了解しました。」
そして、皇帝と2人の中尉は皇帝居室へと消えていった。
この国はどうなっていくのだろうかと思わずにはいられない少年だった。