ブラウセン帝国 皇帝居室
突然の皇帝の申し出に困惑しながらも、2人は皇帝についていった。
「皇帝陛下・・・そのミーナの無礼に関しましては・・・」
「それは別に咎めるに値せぬし、これから頼もうとしていることに比べればな・・・」
そこでジークフリートは、皇帝の部屋に相応しくない2つの武器に気が付いた。
「皇帝陛下・・・この武器は・・・」
「そうか、話してなかったな。これは我がブラウセン帝国に伝わる魔導宝具なのだよ。私も使えなくてな。この国では戴冠の証とされている。」
その言葉にミーナは反応した。
「陛下!その宝具は・・・」
「そうか、貴官は魔導将校だったな。ならば聞いたことはあろうが宝剣《ブラウセン》と宝鎗《ラウエン》だ。」
その皇帝の言葉に彼女はめまいがしたようにのけぞった。
「皇帝陛下、宝具を見せたということはまさか!?」
その彼女の言葉に皇帝は笑みを見せながら言った。
「その通りだ。貴官が聞いている通り、また私に嫡子がいないこともあり、君たちに継いでもらおうと思ってな。」
困惑した彼は皇帝に尋ねた。
「どういう意味です?」
「それは・・・」
その彼と皇帝のやり取りに少女は言いにくそうに言った。
「魔導将校以外も士官学校で聞いてると思うけど・・・皇帝への戴冠の証である宝具はそのまま戴冠の際まで現皇帝しか見ることは出来ないの。それが見れるのは、退位する皇帝と次代の皇帝のみ・・・」
ミーナの言葉にジークは狼狽した。
「陛下。では、私に皇帝代理を、ミーナを皇帝妃代理にするとおっしゃるのですか!?」
少年の言葉に皇帝は首肯し、告げた。
「無論、甥であるフリードリヒ・アウグスト・フォン・ブラウセンが継ぐ方法もあったがね。」
その言葉に少年と少女は異口同音に皇帝に同意を申し立てた。
しかし、皇帝は首を横にし、そうしない理由を2人に告げた。
「しかし、国民議会を名乗るものが跳梁跋扈している以上、現皇帝とその血筋では内戦が繰り返されるだけだ。それよりはと、すでに我々皇室と主な諸侯で決めている。ならばこそ、若き皇帝代理と皇帝妃代理を補佐しようとね。」
ジークとミーナはその言葉に先ほどから現皇帝が述べていて、自分たちも感じていた不安を口にした。
「しかし、我ら貴族は国民と同じく陛下に従うものです。ならばこそ貴族階級のまだ高い方でなく、我々なのですか。」
「そうです。ジークのいう通り、我々は一貴族の嫡子に過ぎません!!」
その言葉に皇帝は、決定していることだと再度告げる。
「それに、卿らが思っている皇帝相続問題については、甥が引き続いて親衛隊大将の地位にある以上は問題ないだろう。私も死ぬわけではない。1人の人間として隠居するだけだ。」
その皇帝の言葉は2人に安心感を与えるとともに前途の多難さを表していた。