ブラウセン帝国興亡記   作:シモン0011

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4話ー戴冠の儀とこれから。

ブラウセン帝国 皇帝居室

皇帝と2人の中尉は沈黙していたが、その沈黙は長くは続かなかった。

1人の新たな訪問者が皇帝居室に現れたのである。

 「陛下!こちらにおられましたか。報告いたします。前線哨兵からの報告によりますとここヴィルヘルム宮殿より西の方角2kmに国民軍1万を確認したとのことです。」

その報告に皇帝は改めて少年少女に対し、口を開いた。

 「事ここに至っては逡巡もさせてはくれんらしい。ブランデンブルク魔導中尉、ライン中尉。ここに置いて戴冠の儀を行い、示そうではないか。新たな時代を!」

 「しかし、陛下・・・」

 「カール・アウグスト・フォン・ブラウセンは告げる!旧代の皇帝より継ぎし王冠は次代の皇帝に引き継がれた。この儀を持って皇位はジークフリート・フォン・ブラウセンに引き継がれん!」

皇帝カールが謳うように宣言すると、部屋に在った2つの宝具はそれぞれ、少年少女の手に収まった。

 「陛下!戴冠の儀とは本来、帝国貴族諸侯を集め行うものと聞いていたのですが・・・」

困惑した少年の表情の横で少女も少年と同じ表情でうなずいた。

 「それは内戦などが起きていないときだ。実際に戦争時にそんなことはしていられないだろう?だから、これで認められるのだよ。」

その皇帝の言葉に少年は困惑の表情を尚も浮かべ、皇帝に質問した。

 「陛下、その緊急の戴冠の儀の措置は今の説明で分かりましたが、今のジークフリート・フォン・ブラウセンというのは一体・・・・」

その少年の言葉に皇帝は苦笑しつつ答えた。

 「一応、帝政を目指してほしいというのが、1つの理由ではある。もう1つの理由としては、何、ありきたりなことではあるがね。宝具を継承しなければ皇帝と認められない可能性があることと、宝具はその血筋しか扱えない。だが、名前の上だけであっても可能なようだからね。君に、名を捨てろというのは酷なことかとは思ったが、フォン・ブラウセン。つまり我が帝国開闢からあるブラウセン王室に名を連ねてもらおうかと思ってね。」

その皇帝の言葉にジークは顔を青ざめた。

 「何、皇帝の名跡を残したかった。それだけだ。さて、では早速陛下。魔導にて宣言なさいませ。私の退位と御自身の即位を!時間はあまりありませんぞ!」

皇帝はまるで少年と少女に対し、けしかけるように話しかけた。

その言葉に少年は錯乱し、少女もしばし平静を欠いていたのだが、意を決した顔で少年に語り掛けた。

 「ジーク。先帝陛下がおっしゃる以上仕方ないわ。」

 「不敬じゃないか。ミーナ。陛下はまだ・・・」

 「先ほどの陛下と私の言葉を聞いてなかったかしら。このブラウセン帝国では、先代皇帝と次代の皇帝の戴冠の儀にしか宝具は見ることができず、その継承は終わった。で、ある以上次は即位を宣言しなければならない。」

そういって少女は顔をしかめ、魔導術式の詠唱を行った。

 「ジーク。伝声魔導の発動準備が出来たわ。後は発動後、声を出すだけよ。」

その少女の言葉と表情に少年は数十秒悩んだ末、少女が発動した魔導にあわせ、声を出した。

 「我はジークフリート・フォン・ブラウセンである。今日今を持って先帝カール・アウグスト・フォン・ブラウセンは退位をし、この私、ジークフリート・フォン・ブラウセンが現皇帝として帝国皇帝に即位する。そして、ここに告げる。我々帝室と貴族は国民議会との対話を望んでいる。そちらより代表者を選出し、宮殿に来訪せよ。」

かなり早口で発言し、少年の宣言伝声は終了した。

少年は安堵し、先帝との引継ぎやその他のことを気にせず、そのまま失神し後日かなり苦労することになるのである。

 

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