オタク剣士が武偵校で剣技を舞う!   作:ALEX改

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第34話 作戦会議と銀の狼

 

 

 

一騒ぎがあってから数十分後、部屋にはキンジ、アリア、理子、剣護、ライカ、あかりの6人が集まりテーブルを囲んでいた。

 

理子「はあぁ〜……帰ってきて早々酷い目にあった…」

剣護「悪かったって。まさか服まで斬れてるとは思わなんだ」

アリア「女の子の服を斬るとかあんた最低ね」

あか・ライ『先輩………』

剣護「見るな……そんな目で俺を見るなぁぁぁ‼︎」

キンジ「ま、そんなことよりだ。なんで理子がここにいるんだ」

剣護「ハァッ☆」

理子「あぁ、そのことね。今回理子は司法取引して戻ってきたんだ。ほらこれ書類」

アリア「むぅ……なら今捕まえたら不当逮捕になるわけね」

理子「まあアリアのママの裁判には出てあげるから安心してよ」

アリア「それなら良いけど……」

剣護「んで、何用で戻ってきたんだよ」

理子「理子ねー、イ・ウーを退学になっちゃってさー…しかも負けたからって大事な宝物も取られたんだ……ブラドに」

アリア「ブラド…⁉︎あの『無限罪のブラド』⁉︎イ・ウーのナンバー2じゃない!」

 

『ブラド』という名を聞いてアリアの表情が驚愕から一瞬で殺気を帯びる。

 

理子「そーだよ。だからキーくん、ツッキー、アリア、あかりん、ライライ……理子と一緒にドロボーしよ?」

剣護「ごめん。多分無理」

理子「ゑ?」

 

にやっと笑顔になって言うが、剣護はそれを即答で拒否した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キンジ「………で?なんで俺らはアキバにいるんだよ」

アリア「知らないわよ。文句なら理子に言いなさいよ」

 

キンジ達は秋葉原に来ていた。もちろん理子が待ち合わせの場所に秋葉原のある店を選んだからである。

 

志乃「それで?なんで私も連れてきたんですか?」

あかり「そうですよ。なんで志乃ちゃんまで?」

剣護「この作戦での俺の代理として呼んだのさ。俺は参加できないかんな」

志乃「むぅ………」

アリア「ところで怜二はどうしたのよ?」

剣護「父親がぎっくり腰なんだとさ。それで一旦帰ってる」

アリア「あらそう」

キンジ「おい、行くぞ。案内頼む」

剣護「はいはいよっと。つってもすぐ近くだ。えーと……あぁ、あそこだ」

 

剣護が指した方向には大きな看板のメイド喫茶があった。

店に入るとメイド達が出迎えてきた。

 

メイド達『おかえりなさいませ!ご主人様!お嬢様!』

アリア「…じ、実家と同じ挨拶だわ……」

メイド「あー!剣護さまお久しぶりですー!」

剣護「どもー」

メイド「また新作の味見してくださいね!」

剣護「はいはいよー」

アリア「え、あんた来たことあるの?」

剣護「理子に巻き込まれてな。まあここの飯美味いし」

理子「ツッキーがいくらかアイデア出したりもしてるんだよねー」

キンジ「居たのか理子」

理子「キーくん達が遅かったから待ってたんだよー。てかなんでしののんがいるの?」

剣護「それはついでに話すさ」

理子「まーとりあえず皆座って座って」

 

理子に促され各自席につき、それぞれ注文を入れる。

 

キンジ「で、一緒に泥棒をするってどういうことだよ」

理子「んー?そのままの意味だよ。アリアの裁判に出るかわりに理子の宝物を取り返すのを手伝って欲しいの」

アリア「それで取り返す物は何よ?」

理子「…お母様がくれたロザリオ……」

アリア「ふざけんじゃないわよ!!!!」

剣護「店内で騒ぐんじゃありません」

アリア「あだだだだだ⁉︎」

 

目をカッと開き立ち上がるアリアを剣護はアイアンクローで黙らせる。

 

剣護「ちったあ黙って話聞けぃ」

アリア「あががが!わ、わかったから離して!」

理子「……アリアはいいよね…アリアのママは生きてるから」

5人『………………っ』

剣護「………………………」

理子「…理子にはお父様もお母様も…もういない。理子は2人が年を召されてからできた子なの…2人とも理子が8歳になる頃に亡くなっちゃった……」

 

その場にいる全員が目を見開き、あるいは視線を逸らしていた。

 

理子「ロザリオはお母様が、理子の5歳の誕生日に下さった命の次に大切な形見……ブラドのヤツはそれを分かってて取り上げて屋敷の厳重な場所に隠しやがった………ちくしょう………」

剣護「………………」

キンジ「お、おい剣護……漏れてる漏れてる…」

剣護「あ?……おっと危ない危ない…スー…ハー……で、キンジ達は屋敷に忍び込んでロザリオを盗むってことか」

理子「グスッ………まあそうだね…ってツッキー本当に無理なの?」

剣護「あぁ、だから代わりに志乃を連れてきた」

志乃「代わるのは良いとして…先輩はその間何をなさるので?」

剣護「俺は………修行だ」

アリア「はぁ?何言ってんのよ!あんただけ逃げる気⁉︎」

剣護「白雪先生に呼び出し食らいました」

キンジ「白雪から?何かあったのか?」

剣護「常世の神子のことで……ネ?」

アリア「あー……」

キンジ「そういやそのことでキレてたっけか…」

理子「……ま、ツッキーが無理ならしののんにお願いしようかな」

キンジ「それで?どうするんだ?」

理子「ふっふっふ……キーくん達には屋敷でメイドか執事をやってもらいます!」

全員『………………は?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キンジ「……どうしてこうなった」

武藤「なんだよキンジ。一緒に覗きしにきた仲じゃねえか」

キンジ「違うに決まってんだろ」

 

キンジと武藤の2人は救護科(アンビュラス)棟の第7保健室のロッカーの中に隠れていた。

何故この2人がそんな所に隠れているのかというとキンジは理子に呼び出された場所がこの保健室で女子達の声が聞こえてきたのでロッカーに隠れ、そこに何故か先客として武藤が入っていたということである。

 

キンジ「はぁ………こんなことになるとはな」

武藤「おい、キンジ」

キンジ「どうした?」

武藤「……レキがこっち見てるんだが」

キンジ「え?」

 

キンジが隙間から見るとレキがキンジと武藤の入ってるロッカーを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

救護科生「うん、傷は大体塞がりましたね。もう無茶ばかりしないでくださいよ?」

剣護「へーい。ありがとございましたっと」

 

キンジ達のいる保健室とは別の保健室から出てきた剣護はブラブラと救護科棟を歩いていた。

 

剣護「どうしようかな…あかりとライカは身体検査だし……」

 

その時、ガッシャアアアアアアン‼︎と割れる音が響いて、同時に女子達の悲鳴も聞こえた。

 

剣護(悲鳴…!第7保健室からか!)

 

すぐさま剣護は階段を降りると真っ先に保健室まで駆けつけると扉に向けて拳を構えた。

 

剣護「月島流拳技……鉄鋼強打ぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

武藤「ウッソだろ………?」

 

コルトパイソンを構える武藤だが目の前の相手に周りにいた全員が目を奪われていた。

そこにいたのは銀色の体毛の包まれた巨大な狼だったのである。

 

キンジ「お前ら、早く逃げろ!」

狼「ぐるぁ‼︎」

キンジ「フッ‼︎」

 

女子達に叫ぶと飛びかかってきた狼をキンジはハイキックで蹴り落とす。

 

キンジ「おぉ……らぁ‼︎」

狼「ぐるっ!」

 

落とした狼を掴むとキンジは扉に向けて投げ飛ばす。が、狼は軽い身のこなしで床に着地した。

 

武藤「逃がすなキンジ!」

キンジ「あぁ、今だ!剣護‼︎」

剣護「月島流拳技‼︎鉄鋼強打ぁ!!!」

 

キンジが扉に向けて叫んだ次の瞬間、轟音と共に扉と狼が吹き飛ばされた。

 

キン・武藤『危なっ⁉︎』

剣護「俺が来たのがよくわかったな。キンジ」

キンジ「まあね……」

剣護「………てめぇ何ヒスってやがる」

キンジ「君の彼女は見てないから安心してくれ」

剣護「ふん……後で血祭りに上げてやる」

キンジ「やっぱりかー……」

狼「グルルアアァ‼︎」

剣護「やるかい……?犬っころが……」

狼「グルゥ⁉︎」

 

剣護が拳を鳴らしつつ威嚇すると鳴き声を上げて狼が後ろに退く。

 

 

狼「グ…グルォン!」

小夜鳴「ぐわっ!」

 

狼は小夜鳴先生を体当たりで吹っ飛ばすと自分が入ってきた窓から飛び出していった。

 

キンジ「クソッ!逃がすか!」

武藤「キンジ!これ使え!」

 

武藤が投げ渡したバイクのキーを受け取るとキンジは外へ飛び出すと茂みの中にバイクが置いてあった。

バイクに跨りエンジンをかけるとヒラリと下着姿のレキがドラグノフを背負って2人乗りしてきた。

 

レキ「私も行きます」

キンジ「え、ちょ…戻れ!防弾制服を着ろ!」

レキ「あなたでは、あの狼を探せない」

キンジ「……あぁもう、しっかり掴まってろよ!」

 

キンジはアクセルを噴かしバイクを走らせた。

 

剣護「あ、ちょ…俺もー!って無理か……」

平賀「剣護くん!これを使うのだ!」

 

項垂れる剣護に向けて平賀は緑と黄色のボードを投げ渡した。剣護はそれを受け取ると目を輝かせた。

 

剣護「こ、これって………!」

平賀「ふっふっふ……その通り…あの(・・)ターボ付きスケートボードですのだ!」

理子「なにそれ超欲しい‼︎」

 

なんと平賀が渡してきたのは某見た目は子供、頭脳は大人の名探偵が使うスケートボードだった。

 

剣護「サンキュー!平賀さん!」

 

剣護は飛び降りるとスケボーに乗り、アクセルのスイッチを踏む。ジェット機のような高音を響かせ猛烈な勢いで発進した。

 

 

 

一方でキンジとレキは市街地を走っていた。

 

レキ「人工浮島の南端、工事現場です」

キンジ「見えたのか?」

レキ「工事現場の中に足跡が見えました」

キンジ「…よくそんな物が見えたな」

剣護「おーい!キンジ!レキ!」

 

そこへ剣護がスケボーで追いついて来るとバイクと並走する。

 

キンジ「お前何乗ってんの」

剣護「某少年探偵のスケボー」

キンジ「んなもん見たらわかるわ!なんでそれに乗ってんだよ?」

剣護「いや平賀さんに渡されて…そのまま」

キンジ「あ……そう」

 

狼の足跡を追いながら工事現場の中を進んでいるとバックミラーに狼の姿が写った。

 

キンジ「しまっ…罠か!」

剣護「賢いやっちゃな」

レキ「私は1発の銃弾」

 

するとレキがドラグノフを構え呪文のようなものを唱え始めた。

 

レキ「銃弾は人の心を持たない。故に、何も考えない」

 

そんなレキを無視して狼はたんたんとジャンプして上に登っていく。

 

レキ「ただ目的に向かって飛ぶだけ」

 

レキは狙いを定めると引き金を引いた。タンッと銃声と共に放たれた銃弾は狼の背中を掠めた。

 

キンジ「外した?」

剣護「いやレキに限ってそんなことないっしょ」

レキ「もちろん外してませんよ」

 

狼の後を追って屋上へと上がると先程の狼が倒れていた。

 

レキ「脊椎と胸椎の中間、その上部を銃弾で掠めて瞬間的に圧迫しました。脊髄神経が麻痺して5分くらいは動けないでしょう」

キンジ「そ、そうだったのか…」

剣護「やりますねぇ」

キンジ「やめろバカ」

 

レキ「あと数分ほどであなたは動けるようになるでしょう。逃げたければ逃げなさい。ですが次はどこに逃げても私の矢があなたを射抜きます。こちらに向かっても剣護さんが仕留めるでしょう……主を変えなさい。今から、私に」

 

その言葉に応えるように、銀狼はヨロヨロと起き上がるとレキの元へ歩いていくとレキのふくらはぎにスリスリと擦り寄った。

 

キンジ「……すげぇな」

剣護「ああ、俺も津軽の家の近くに出た熊と戦って懐かれたことあるけどこういうのはないな…」

キンジ「え、お前の実家って熊いんの……?」

剣護「まね。そんでそのワンコはどーすんだ?」

レキ「飼います」

キンジ「か……飼う?」

剣護「いんじゃね?別に」

キンジ「いやまあレキが良いなら良いけどさ……それより」

レキ「?」

キンジ「……そろそろ服着てくれないか?」

剣護「あぁそうだそうだ。追うついでにレキの制服持ってきたんだった」

レキ「ありがとうございます」

キンジ「それじゃあ……帰るか」

剣護「そだな。約2名ぶっ飛ばさないといけねえし」

キンジ「………なけるぜ」

 

そんな話をしながら3人と1匹は武偵高へと帰っていった。

 

 

 


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