日曜日、剣護は新宿にある警察署に来ていた。尾上からアリアの母親と面会をするからお前も来いと連絡があったのだ。
警察署には入り口付近で尾上が立っており剣護を見つけるとこっちへ来いと手招きする。
剣護「尾上さん」
尾上「剣護、こっちだ」
剣護「なんで俺を?」
尾上「まあ少しな。お前が居てくれた方が良いのさ」
署内に入り、留置人面会室のドアの前に来たところでどなり声が聞こえた。
アリア『やめろ!ママに乱暴するな!』
その声を聞いて剣護の髪がゾワッと逆立ち、それを見た尾上はすぐにドアを開けた。
尾上「待て」
管理官「誰だ!……あ、あなたは公安0課の……」
アリア「け、剣護!?」
尾上「公安0課の尾上だ。神崎かなえと話がしたい。離してやれ」
管理官「し、しかし……」
剣護「…………薄いな」
管理官「……え?」
困惑する管理官を見て剣護はアクリル板を軽く叩くとそう呟き、拳を握ると思い切りぶん殴った。すると厚く固いアクリル板に大きなヒビが入り、それを見た管理官は顔を青くした。
尾上「……離してやれ」
管理官「は、はいっ」
剣護「あと出ていけ」
管理官「ひっ……!」
尾上が声を低くして話し、剣護が三白眼の如く右目を見開いて睨むと管理官はすぐさま出て行った。
かなえ「あ、ありがとうございます……」
尾上「いえ、良いんですよ。少々、荒っぽくはなりましたが」
かなえ「いえ、そんなことは……ところであなたは……?」
尾上「公安0課の尾上忠典と言います。隣に居るのはそこの2人と同じ武偵高の月島剣護です。本日はお話をお伺いしたいのですが……よろしいですか?」
かなえ「えぇ、構いません」
尾上「ありがとうございます。それではまず着せられた罪に心当たりは?」
かなえ「いえ……特には…」
尾上「それでは……あなたはご自身に罪を着せた犯人と面識がありますか?」
かなえ「……いいえ」
尾上「……なるほど、ありがとうございます」
アリア「何よ……ママを疑うの!?」
剣護「んなわけあるか。落ち着け」
尾上「それでは最後に一言」
尾上の言葉に剣護以外の3人の表情が険しくなる。
尾上「娘さんのことが心配でしょうが……ご安心ください。我々もできる限りのサポートをします」
かなえ「……はい。ありがとうございます」
尾上「それでは、我々はこのあたりで……」
かなえ「はい。娘をよろしくお願いします……」
アリア「ママ……絶対に無実を証明するから……!」
かなえ「えぇ……キンジさん、剣護さん……アリアをお願いしますね?」
キンジ「……わかりました」
剣護「……委細承知しました」
剣護達は警察署を後にすると近くのカフェに入っていった。
尾上「さて、いろいろ話したいことはあるだろうが……まずは改めて、公安0課の尾上忠典だ。よろしく頼む」
アリア「神崎・H・アリアです」
キンジ「遠山キンジです。尾上さんと剣護はどんな関係なんだ?」
剣護「ちょっとした先祖関係だよ」
アリア「そういえば、アンタについて知らないことが多いわね」
剣護「今は良いだろそんなもん。尾上さん」
尾上「あぁ、この間のバスジャックのことだが……まだ犯人が特定できなくてな……」
アリア「やっぱりね……『武偵殺し』は一筋縄じゃいかないわ」
剣護「隠蔽工作の可能性もあるというわけだ」
アリア「なるほどね……でもなんで公安0の人があたし達に協力してくれるのよ?」
尾上「あぁ、剣護に頼まれたんだ。君がパーティーを組むことに何か理由があるんじゃないかってな」
剣護「ゔっ……」
アリアとキンジの視線が剣護に集中する中で耐え切れなくなったのか剣護は叫ぶ。
剣護「ナズェミテルンディス!」
キンジ「オンドゥル語出てるぞお前」
アリア「まっ……ありがとね」
剣護「うるせえやい!」
尾上「俺もできる限りのことはする。ただ上からの圧力で動くことを限られるが……」
アリア「行動はあたし達ってことね」
尾上「そういうことになる。だがサポートなら任せてくれ」
アリア「えぇ、わかったわ。……でも」
剣・金『でも?』
アリア「あたし……明日ロンドンに帰らないといけないの……」
尾上「なるほど……向こうに呼び出されたか」
剣護「うーん……こっちの戦力減っちまうけど……どーするよキンジ」
キンジ「いや俺に言われても困る」
アリア「本当にごめん……」
剣護「なら手分けして調べれば良いだろ。アリアはロンドンで、俺らはこっちでさ」
尾上「うむ、その方が効率が良いかもしれん」
アリア「えぇ、そうね」
その時、剣護の携帯が鳴り響く。文からの電話だった。
剣護「もしもし。うん……うん……わかった」
キンジ「どうかしたか?」
剣護「ちょっと平賀さんから呼び出しが掛かった。それじゃ!」
尾上「うむ、俺も失礼するとしよう。『武偵殺し』についてもう少し洗ってみる」
アリア「ならあたし達も帰りましょうか」
キンジ「そうだな」
剣護達はカフェを後にするとそれぞれの場所に戻っていった。
剣護は装備科の倉庫に来ていた。さっきの電話のとおり文に呼び出されたからである。
平賀「あ、来た来た」
剣護「よう、平賀さん。今度はなんぞ?」
平賀「これのサイズを合わせるから来てもらったのだ」
剣護「なぁにこれぇ?」
文がゴソゴソと取り出したのは黒いアンダースーツだった。
平賀「これはTF-00用のアンダースーツなのだ。防弾防刃を兼ね備えたスーツで超高速の動きもへっちゃらなのだ!」
剣護「ほほう……超高速戦闘でも大丈夫なわけか」
平賀「でも加速し過ぎるとこれ着てても首を痛めちゃうから注意するのだ」
剣護「泊さんみたいになるわけか……」
平賀「そーなのだー!でも耐久も無限じゃないから気をつけてね」
剣護「ほむほむ……」
平賀「それじゃあ……早速取りかかるのだー!」
剣護「オーッ!って……エ?」
そう言った矢先に装備科の生徒達がメジャーや物差しなどを持って剣護を取り囲む。
剣護「ちょっこれ聞いてな……俺の側に近寄る……ウワァァァァァ!?」
この日の夕方、装備科の倉庫で1人の男子生徒の崖っ淵で尋問された挙句真っ逆さまに落とされたような断末魔が学園島に響いたそうな。