紅鳴館に動きがあった。新しい使用人がやってきたのだ
内容はキンジ、アリア、雨埼に見知らぬ女子一人
顔認証で調べると彼女は
【看破の心眼】は映像越しでは使えないためあそこに出向く必要がある
しかし、めんどくさい
諜報科にいるとなるとおそらく【気配遮断スキル】とか【光学迷彩】等のスパイみたいな能力だろう。攻撃もおそらく不意打ちとかが多いと思われる
確証はないが今は確認すべきことではない。そう判断し寝転がる
「なんか、俺・・・ダメ人間街道まっしぐらだな」
そして昼寝を始めた
理子いわく、『ドロボウ大作戦』を始めて今日で三日目。武偵高の転生者の中でも群を抜いたチート持ちと言われた【奇跡六人衆】の諜報担当の雪原鈴が満を実施て今回の作戦に参加。作業は順調だった
「こちらレイニー。クラウディ―7、聞こえるか?」
《こちら雲谷、いや、クラウディ―。感度良好》
紅鳴館が見渡せる近くのマンションに拠点を構える狙撃科Sランクの雲谷咲が答える
「大丈夫か?不安なんだが・・・」
《大丈夫大丈夫。私ともう一人、【月光】がついてるから》
【月光】とは夜戦を得意とする転生者で、雲谷に次ぐ狙撃の腕を持つ男だ
どうやら昼間は雲谷が見張り夜は【月光】に見張らせてるようだ
「わかったよ。引き続き監視を頼む。オーバー」
携帯をたたみ袖に仕込んだ小型無線の電源を切る
「・・・仕事するか」
ピンポーン
「・・・ぅあ」
ピンポーン
「・・・後五時間」
ピンポーンピンポーン
「・・・留守でーす」
ピンポンピンポンピンポピンポンピンポンピンポポーン
「・・・ド●キ?」
ピンピンポーンピンピンポーンピンピンピンピンピンピンピンポーン
「・・・・・」
ピピピピピピピピポーーン
「うぜぇーーーーー!!!」
扉を蹴りあけ怒鳴る
「誰だよ!?インターホンで三三七拍子とかエイトビート刻むキチガイは!?」
視線を下ろすとそこには
「やあ、久しぶりだね、五月雨刹那。いや、ジョンスミス君?」
「・・・シャーロック?」
そこにいたのはイ・ウーの現統領のシャーロック・ホームズ本人だ
「鼻ぶった?」
「したたかに。めっちゃ痛い」
「そ、人んちのインターホン玩具にするからだ」
「上がっていいかね?」
「どうぞ」
シャーロックとは小説でいう【四つの署名事件】で知り合った仲でシャーロックがライヘンバッハの滝に落ちてからもイ・ウーの統領になってからもたまに会う高校の同級生のような関係だ
「久しぶりだな、最後に会ったのは・・・」
「1863年。ゲティスバーグで会ったきりだ。これ、お土産」
そこでシャーロックが一本のワイン瓶マッツェイ・フォンテリトール・バディオラの瓶を懐から取り出す
「わかってるねぇー」
「いつもこれを飲んでたからな」
キッチンからワイングラスを二つ用意しグラスに注ぐ
「乾杯」
グラスをチン、と軽く合わせ一口飲む
「・・・さて、さっそく本題に入ろうか」
「遊びに来た訳じゃないと」
「ああ、ここのとこ僕の推理がハズレっぱなしでね、参ってるんだ」
「ほぉ、一ヵ月先の株価を予想していたあんたが推理を、外す」
「ああ、理子君のハイジャックにも予定外の武偵が乗り込んでたし、ジャンヌ君の事件もまるっきり大外れ、まいったもんだよ」
ワインを傾けながら拗ねたような顔で呟くシャーロック
「そうかそうか、大変だな」
どうやら転生者が暴れすぎたようで史実が狂ってきてるようだ
「どういうことか、なにか知らないか?」
「ふぅむ・・・」
一口ワインを傾け考える
転生者の事を言うべきか、否か
言ってもなんの問題も無いように思えるが、それでどうこうなるわけでもない
「なあ、シャーロック。次に倒れるイ・ウーのメンバーは誰だと思う?」
「ヴラドかな?」
「それは正解だ。ヴラドはあと一週間以内に捕まる。それは
「ああ・・・しかし、その倒される瞬間しか推理できないんだよ。武偵高の情報を何度見直しても、どれほど深く思考を巡らせようとも、まっっったく、読めない。まるで神の意志が働いてるようだよ」
「案外いい勘してるな」
「え、マジで?」
「・・・よし、ここにUSBがある。これにはお前の【条理予知】を外れた人間が何人か載っている」
「つまり、このUSBに名のある人間に【条理予知】は効かない?外れてもおかしくないってことかい?」
「ああ、もちろん、俺も入ってる。そして、このメンバーリスト以外にもあと五人、該当者がいる。うち一人はお前んとこの調律部隊のフランソワ・プレラティーだ」
「マジかよ、ショックだなぁー」
シャーロックが頭を抱える
「後の四人は解らん。だか、これで大幅に有利になるだろ」
「うん、これで推理がはかどるよ、ありがとう」
「これで南北戦争の借りは無しだぞ」
「ああ、そうだ!頼まれてた人工知能が完成したよ」
シャーロックが取り出したのは一個のノートパソコン
「ああ、例の自立起動単独操作AI?」
「そう、名前は
『よろしくお願いいたします。マイマスター』
愛らしい女の子の声がパソコンから響いた
「よろしくアール」
「君が近年、人民軍から無人機のパーツや世界各地から攻撃機のパーツを買い集めてるのは聞いてるよ。アールを大事にしてやってくれ」
「ああ、もちろん」
「あと、もう一つ。この街にバチカンの極東派遣群が来るそうだよ」
「規模は?」
「人数は一個小隊。けど戦力は大隊レベルだよ」
「なんで?」
「これは僕がヴラドが負けると推理した理由でもあるんだけどね。
「【聖騎士】か・・・」
【聖騎士】とは、バチカンお抱えの対化け物戦闘のプロで昔からヴラドや俺などをしつこく狙ってきた狂人の集まりだ
「今回はなんと【狂信のアデル】と【滅魔のコーネリア】が出張ってくるからね。ヴラドじゃあキツイ、いや、負けるね」
「ほぉ、大変だな」
「君も他人事じゃないよ。噂じゃヴラドはついで。第一目標は君だそうだ」
「マジか・・・」
となると今日中にもここを引き払おう。そうだ軽井沢の別荘辺りに逃げるか
「なんにせよ、気を付けてね。気の合う飲み仲間がいなくなるのはさびしいから」
「きひひひひ、このくらいの難じゃ死なん。それに、あの祭りを起こさずに死ねるかよ」
《雨埼、正門にお客さんだ。どうもただの人間じゃなさそうだ》
「はぁ?」
窓を覗いてみると一人の女性がキンジともめてる
「わかった、行ってみる」
「今日、来客があるなんて聞いてないです。申し訳ありませんが日を改めて・・・」
キンジがシスターのような法衣を身にまとった女性を前に言う
「・・・そうですか、じゃ、プランB」
「はい?ちょっ!?」
その人が法衣をたくし上げる
「な、なにを!?」
「主よ、この者にどうか貴方様の寛大なるご慈悲を与えたまえ、エェイメン」
たくし上げた法衣から取り出したのはスタームルガー製スーパーレッドホークだ
全体のフォルムは銀色でグリップは魔除けの
「寝ててください」
パァァン!と空砲のような音が響きとっさに身体をずらしたキンジの首に正確に麻酔針が刺さる
「キンジ!」
「エェイメン」
駆け付けた雨埼にも麻酔弾をお見舞いする
「極威一刀流【アイアス】!」
小太刀で麻酔を撃ち落とす
「誰だ!お前は!?」
「うふふふ。私はグレース・コーネリア。極東地域において化け物退治をしている者です」
化け物、と聞いて雨埼は真っ先にこの館の主、ヴラドを思い出す
「ここにヴラド、いいえ小夜鳴とかいうゴミクズがいるはずです。そのゴミクズは七つの大罪を犯した重罪人です。ただちに身柄を引き渡してください」
「七つの大罪?」
ちなみに2008年にローマ法王庁は新たな七つの大罪を発表しておりヴラドこと小夜鳴はこのうちの一つ遺伝子改造、および人体実験のどちらかが触れたものだと思われる
「悪いがこちらも仕事だ。不審者を敷地に入れるわけにはいかん」
「そうですか・・・なら」
コーネリアが今あるスーパーレッドホークを仕舞い懐から新たなリボルバーS&W M29を取り出す
こちらは全面が真っ黒で銃身には赤字で【教えを外れた者には死を】と書かれてる
「貴方にはかなり痛い方法で眠ってもらいます」
「そうかよ。ところで、別々の二か所から二丁の腕利き武偵が狙撃銃であんたの眉間を狙ってるって言ったら、どうする?」
「お仲間さんなら忙しいそうですよ?」
《すまん雨埼、よくわからん武装集団のせいで【月光】が死んだ。しばらくは戦えない》
《雨埼、キンジ!襲撃よ!早く戻ってきなさい!》
《雨埼くん、屋敷が襲撃を受けてるよ。雨埼く・・・》
「雪原?雪原!?」
「末期の連絡は済みましたか?」
コーネリアが銃を構える
「・・・上等!」
眠りこけてるキンジを遠くに蹴り飛ばし刀を抜く
「主よ。我に刃向うあのものに、裁きの鉄槌をくださん・・・」
戦いが、始まった
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