ごパン戦争[完結]+番外編[連載中]   作:Anacletus

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第222話「主神魔王様爆誕」

 

「魔王の祟りじゃあああああ!!? 魔王の祟りに世界が滅ぼされるのじゃぁああぁああ!!?」

 

 外灯の下。

 

 絶叫する猫耳老婆が魔王脅威論を唱えている合間にも横合いで平積みされていた【続・魔王と邪悪な仲間達】とやらがチラホラと売れていた。

 

 現在時刻、8時3分。

 前日から十数時間以上の時間が過ぎている。

 驚異的なのは肉体を構成する細胞か。

 

 ぶっちゃけ、普通に歩けるくらいに回復しているのを見れば、こちらが未だ重傷者だと分かる者はいまい。

 

 世界は暗黒に包まれており、絶えず朝日が昇るはずだった昇華の地は薄暗い影域と同じような明度に保たれ、世界各地では異常気象で竜巻、嵐、雷雲等々が世界は破局の淵に立っていますと言わんばかりの頻度で発生。

 

 唯一救いと言えるのは月猫や月亀、月兎に襲撃を掛けていた月竜が部隊を撤退させていったという事くらいだろう。

 

 霧の町と呼ばれていた頃のロンドンを彷彿とさせるような薄暗さと湿った風が吹き抜ける都市圏の路上は今日も忙しく人が行き交っている。

 

 世界が滅ぶとか滅ばないとか。

 それ以前の問題として未だ商業の中心地は衰えず。

 それどころか。

 

 特別輸送業務と題して、悪天候で物流が寸断された地域に割高で商品を運び始める始末である。

 

 その物流相場に乗っかった輸送業者達が引っ切り無しにメシだの雑貨だのを買うものだから、お前ら数日前混乱のドン底だったんじゃないの?と思うような盛況ぶりで人々の活況は絶えない。

 

 月竜襲撃からの立ち直り方は正しく商人の国だからか。

 

 ガッツがあるというか。

 金にガメツイというか。

 

 魔王のばら撒いた資金がガンガン物流業者に注ぎ込まれているおかげで各種の関連企業は軒並み債権がストップ高。

 

 証券市場も絶好調。

 もう呆れるしかない。

 

「カツサンド一つ」

 

「あいよ!! 魔王印のアツアツだ!! 秘伝のソースが売りぃだよ~~~!!」

 

 こっちに来て気軽に抓めるB級グルメ系の屋台とか雑にヒルコへ既存の業務形態で店を運営していた連中に規模拡大ついででやらせていたのだが、現在何処も軒並み好調なようだ。

 

 金貨1枚という値段にも関わらず。

 飛ぶように売れている。

 

 屋台の背後には牛肉の布で巻かれた現物が大きな鉄製の柱に吊るされており、使われた後の布がもう三体分は風に靡いていた。

 

 月猫で出ている旅装束風の外套の下は寝間着なので微妙に寒い。

 

「……まぁまぁ、か?」

 

 何の葉か分からない酒精の匂いがする抗菌済みの包みを解いて、雑穀で作ったパンに牛肉の薄切りを重ね衣を付けて揚げたソレを挟む懐かしい一品を齧る。

 

 ソースが薄いので労働者向けに味を濃くするよう伝える事を決め、都市の現状を見て回るべく、適当に魔術を使って建物の上空へと跳び上がった。

 

 3階建てのアパートらしい場所の屋根に着地して、周囲を見渡す。

 

 未だ艦隊の到着までは時間がある。

 しかし、現状の肉体は全快まで程遠い。

 六時間前にようやく普通の人間レベルまで五体が再生した。

 

 垢が出まくって風呂に入って、その後は細胞が安定するまで三時間程仮眠。

 

 その後、とにかく食事と高濃度の栄養剤を連続投与。

 ようやく身体能力も常人並みには戻ったものの。

 肉体の違和感はまだ拭えず。

 

 つくづくチートに頼り切りだった事を痛感しつつ、外の現状を見る為、外に出たわけだ。

 

 まだ安静にしていろという周囲には再生した五体を見せて強がったのでしばらくは大丈夫だろう。

 

 指示を出した結果は逐一新しく新調したコンタクトに随時流れてきている。

 

 この段になっては小細工くらいしかやる事が無いので魔術で一時的に分身して各地で色々とやっているが、それも直に終わる。

 

「後は結果を御覧じろってところか」

 

 屋上の煙突の淵に腰掛けて包みからサンドを抓んで数分。

 

 その味で恋しくなるのは胸のふくよかな料理人であるメイドさんだった。

 

『見付けた……こんな所にいたのか』

 

 上を見上げるとどうやらお迎えが来たらしく。

 数人の男女が地表へと降下してくる。

 

『ケーマル殿がお待ちだ。さっさと付いて来てもらおう。助けはいるか?』

 

 何やら馴れ馴れしい金髪の凛々しい美人が部下達らしい男女に指示を出して、周囲を警戒させつつ訊ねて来る。

 

「助けは要らないが、ケーマルには物資の掘り出しと集積を頼んだはずだ。そっちはどうなってる? 魔術で連絡が無かったから順調だと思ってたが……」

 

「そちらは順調だそうだ。病院前に次々に箱を積み上げておられる」

 

「じゃあ、何の用だ? 細かいところは全部ヒルコに任せてるのに何か手違いでもあったか?」

 

「行けば分かる……」

 

 促されるままに魔術を発動。

 

 空気に肉体の表皮を結合、吊らせて移動しつつ、数km先の2階立てな総合病院前を見れば、言われた通り。

 

 近場の大使館前から物資を運ぶ業者達が次々に木箱を下ろしてはあちこちに散らばっていく様子が見えた。

 

 病院前に着地すると。

 

 それを待っていたかのように金銀中心分けのケーマルがユニと護衛達を連れて待っていた。

 

「おはようございます。閣下」

「何か問題が?」

 

「……我が国の議会が今、急転直下で二転三転しまくった会議漬けの日々で倒れる議員が続出しているというのは……まぁ、普段から鍛え方が足りないというだけで済ませられるのですが、一つ結論が出ました」

 

 ケーマルが僅かに眼鏡を抑えて、片手に持っていた白い用紙を持ち上げて視線を通す。

 

 それは事前に理解されているのだろうが、内容はどうやら何度も確認したいものらしい。

 

「結論、ね。何のだ?」

 

「こちらで仕入れた情報を軍事、経済、政治、全ての分野の重鎮と最上級層の半数以上が知るところとなり、取り敢えずご老人方は泡を吹くのが3分の1程、中堅の将来を担う方は半ば想像の外側の出来事にポカンとしていましたが……商機だと思われる方が大勢いらっしゃいまして……」

 

「商機?」

 

「はい。ええ。まぁ。その……そちらから卸された現状戦う必要がある相手の正確な情報を知ってしまったので……丸投げだそうです」

 

「丸投げ、ね……」

 

 ケーマルが何処か申し訳なさそうな、我が国ながら遺憾だと言い始めそうな溜息を一つ。

 

「我が国の国家予算の軍事費は他の先進国と比べても高いのですが、如何せん技術と現場の軍に殆ど実戦経験と諸々の覚悟が無い」

 

「………」

 

「軍事費を国家予算の3割まで増額。そして、増額分丸々で閣下を雇いたいと」

 

「……本当は馬鹿だろ。お前の国の重鎮」

 

 こっちの呆れた声にケーマルがその罵倒も致し方ないという感じに片目を瞑った。

 

「本当の差し迫った危機を前にしては金を積んでも意味が無い。そうするなら、最初からしているべき、投資しておくのが常道。ですが、それを怠っていた我が国の兵は装備があっても弱兵の謗りは免れない。それが良く分かっているからこその無理筋だとご理解願いたい」

 

「つまり、今の内にオレを安く買って、今後の安全保障上の商売相手にした時の交渉材料にしたいと」

 

「これが他国の事なら、笑って馬鹿な奴だで済ませられるのですが、軍事に明るい者は渋ったものの多数決が我が国の議決方法でして……閣下の情報から無理やりにでも金だけは渡して来いとのお達しです」

 

「それでオレがしょうがなく動いてくれるのを待つと」

「……誠に遺憾ながら」

 

「どうしようもないものをどうにかしようとしたってフリだけはしておくわけか」

 

「……そうとしか言いようはありませんね」

 

「まぁいい。匙を半分投げたのは感心出来ないが、オレに投資した事実は少しだけまともな状況判断だ。国内にどれくらいなら融通が利く?」

 

 ケーマルが顔を上げて答える。

 

「我が国が破綻しないまでなら。タカ派の方々もそれは同意しています。想像力がある方はもう逃げ出した方がいいような気もすると事の大きさに投げやりでしたよ」

 

「逃げ場はない……まぁ、状況は分かった。じゃあ、艦隊が来るまでにその予算とやらを全部決済してくれ。用途は途上国と先進国の選挙関連費用だ」

 

「選挙?」

 

「自前で全部用意してる最中なんだが、色々とガルンだけじゃ手の回らないところが出て来ててな。今から月猫が抱えてる情報網と物流網に乗せて、ちょっとやって欲しい事がある。百万の銃を揃えるより効果的なハッタリだ。色々と細工に協力してくれ……ヒルコに月猫が用意出来る手札を全部晒して、今やってる事を手伝って欲しい。これが短時間でオレが用意出来る最後のカードになる」

 

「分かりました。その話お引き受けします」

 

「頼んだ。それとユニは現状の情報をヒルコから色々と貰って予測班行きだ。月猫、月亀、月兎の三カ国の使える連中に戦況予測と今後の国家の動きを予測させてる。そっちで色々頑張ってくれ。通信は魔術以外で繋げてあるから傍受の心配も無いしな。何かヤバい事になりそうだったら、ヒルコとオレに直接連絡するように」

 

「はーい!!」

 

「此処の現場はクノセが取り仕切ってる。仲良くしてやってくれ。各国の利害抜きで生存を最優先に。後の事は考えなくていい。その時が来たら、全部魔術頼みでどうにかする。出来なかったら……まぁ、その時考えよう」

 

 ユニの頭をポンポンすると。

 ニコリとされた。

 

「今、ろくわりになったー♪」

「さよか」

 

 何の話かと聞く事もせず。

 

 すぐにユニを連れてケーマルが近くの馬車に乗って、自分の戦場へと赴いていく。

 

 遺されたのは見知らぬ女とその部下達のみ。

 振り向けば、今までの話を何事もなく聞いていたらしい。

 その顔には動揺一つ見受けられなかった。

 

「なぁ、さっきから気になってたんだが、お前オレと何処で会った? 記憶に無いんだが……」

 

 それにようやく女が反応する。

 

 それも微妙にこちらを痛ましそうなものを見る目になって。

 

「やはり、あの姿の後遺症はあったか……ふ、こちらの名を使って悪用してやると息巻いていた相手にそんな顔をされるとは……」

 

「―――オイ。ちょっと、待て……お前の名前はもしかして……いや、うん……言わなくてもいい。というか、思い出した……お前ら、眠りからいち早く目覚めてた神官の連中か」

 

『おお!? 我らが魔王閣下の記憶が!!?』

 

 何故か記憶喪失扱いにされていたらしい。

 女の部下達が妙に嬉しそうな顔となる。

 

「……アウル」

「何だ?」

 

 その当然のような返しに眩暈にも似たものを感じたが、息を落ち着ける。

 

 次々の後ろでは馬車から運び込まれた木箱が積み上がっていた。

 

「本当はオレが人を集めてやるはずだったんだが、お前が此処にいるなら、お前に任せよう」

 

「また、悪だくみか?」

 

「……アウル・フォウンタイン・フィッシュ。今からお前を神殿長に任ずる」

 

「何?」

「出て来い」

 

 フワリと四柱。

 

 タミエル、マスティマ、アザゼル、アラキバ。

 

 神格の親玉から切り離された全員が己の仕事を終え、その場で顕現する。

 

 今まで各地の月竜への対応に駆り出していたのだが、ほんの数分前に殆どの残務処理を終えたとの連絡があって、月猫に戻ってきたのだ。

 

「まさか!? あなた様方は……」

 

 アウルがすぐにその場で片膝を付いて畏まる。

 

「大光矢《だいこうし》タミエル様。大賢神《だいけんじん》マスティマ様。大天翼《だいてんよく》アザゼル様。大機神《だいきじん》アラキバ様……我が主から神殿長を拝命致しました。アウル・フォウンタイン・フィッシュと申します」

 

 他の男女も慌てた様子で片膝を付いて頭を垂れた。

 

「お前らの元々信奉してた神様とやらの事だが、ぶっちゃけ……お前らを見捨てるとか見捨てないとか以前の問題として、恐らくもうお前らの神としては接触して来ない。理由は単純にオレに与したからだ。そして、オレはその神とやらが仕える唯一神ユークリッドに対して現在は微妙な関係にある。だから、まだ信仰があるって言うなら好きにしろ。此処で抜けるのに文句は言わない。だが、此処から先に付き合う気があるなら、お前らはその時点でこいつらの下で働いてもらう」

 

『まさか、また高名な神々の下、神官として働く日が来ようとは……』

 

 神官達の一人がそう零した。

 それからの十秒近く。

 誰一人動く者は無かった。

 

「……どうやら異論は無いようだな。なら、お前らにはこの地で起こす神殿の幹部として運営を任せる。無論、戦いの矢面にも出て貰うが、最も大きな違いは人を動かしてもらうって事だ。後ろを見ろ」

 

 全員が背後の木箱の山を眼中にして僅かに何かあるのだろうかという顔になり……その後にゾロゾロと姿も其々な老若男女が次々病院の広場へ集まって来るのを目撃するだろう。

 

「彼らは……」

 

 アウルがこちらに向き直る。

 

「元々、こいつら神殿はあっても、個人の信仰者が対象で集団規模での組織は持って無かったんだよ。だが、この恒久界中に信徒はいた。そして、オレが集めた……その第一陣だ。まずは四柱の神々の名の下に神殿の結成と信徒を束ねる役割を期待させてもらう。来られない連中もいるが、そちらはそちらでオレが色々とやらせてもらった。まずは活動開始の為の拠点を作ろうか。アラキバ!!」

 

 巨大スパナを持ったラテン親父が集まりつつある人々の前に進み出る。

 

「我がアラキバの名において主神セニカの下、神殿を我が信徒に下賜する!!!」

 

 その声と共に事前に病人を移送して空となった病院が紅の燐光を噴き上げ始める。

 

 オオッと人々がどよめきに包まれた。

 木箱の山より高く。

 

 凡そ30m程もあるだろう小山のような神殿が地の奥底からせり上がって来るかのように人々の前で生えて来たのだ。

 

 その僅かな振動で木箱の山の一部が崩れ、内部に入っていたものが顕わになる。

 

 それは一式の黄昏色のローブと正七角形状の漆黒のメダル。

 人々の慄くような声と共に平伏す者多数。

 

 その光景をアパートメントの大半から見ていた周辺住民も何事かと目を見開いて窓にへばり付いていたが、神が降臨したというのは分かったようで室内で頭を下げる輩も多数。

 

「神殿に下す命は二つ。これから来る破滅に備える為、各地に散っている信徒達と共にその時その時下される仕事に従事する事。そして、もう一つは生き残る事だ。そのローブとメダルには幾らかの仕掛けが仕込んである。魔術の使用は監視されるという前提で無制限。悪事に使えば、即座に使用停止と同時に使用者そのものも凍結される。ローブは魔術の無力化を行う仕掛けを施した。お前らを少なくとも魔術的に傷つける事は普通の人間には不可能になるだろう。此処に集った信徒総勢4万にこれを与える。神殿長アウル・フォウンタイン・フィッシュ……全てはお前次第だ……」

 

 こちらの言葉にアウルが木箱から零れたローブを風にはためかせながら羽織り、メダルを首から下げる。

 

「その下命、我が身命に掛けて果たしましょう。魔王閣下」

 

「それとウチの神様はこいつらと一応、その上にオレがいるという事になってる。だが、神として崇める必要は無い。適当に祭り上げておいてくれ。教義はそっちに一任するが、信仰の為の祈りは控えめに。まずは自分で行動するのが基本だ。それで無理な事があるなら、神殿から人員と適宜物資も送る。それで頑張ってどうにもならなくなったら神頼みでメダルに祈るって形を取ってくれ。四柱への直通での通信として届く仕組みだ」

 

「分かりました……」

 

「オレはこれから食事に入る。神殿は好きに使え。ヒルコからの指示で具体的な命令が届く。頼んだぞ」

 

 頷いたアウルを背にして神様連中に宙へ浮かせてもらい。

 そのまま昇天したように虚空へと光学迷彩で消える。

 

 同時に数百m移動してから、病院前で上がる歓声を背にして待っていた馬車に乗り込んだ。

 

 六人乗りの馬車にはサカマツが既に乗り込んでおり、入って来るのを見てから、呆れた様子となった。

 

 新しい神殿前で神の名を叫ぶ者達や涙混じりに歓喜の声を上げる人々の映像が魔術で映し出されている。

 

「ペテンも此処まで極まれば、人類にとって有意義なのかもしれないな。我が主を前にして言うのも何だが……」

 

 馬車が走り出した。

 

「人は信じたいものを信じて、見たいものを見る。オレはこの状況下で世界中に埋もれてる人材の有効活用をしてるだけだ。そいつらのやる気と仕事へ向かう理由や意欲を持てるようにしてやっただけに過ぎない。神が偉大なんじゃない。神に付き従おうとする人間の行動力と精神性が、その欲望と原動力が、人々に偉大だと思わせるだけの何かを世界に顕すんだ」

 

「その物言いで難民が今や地域を護らんとする兵や民になった。中々にして今歴史を見ている気分だ」

 

「後世の話なんぞは生き残ってからしたらいい。オレが知る限り、此処から先は全部一瞬で何もかも決まる。意思決定速度と純粋な対応力だけが物を言う。備えだけは欠かすなよ?」

 

「誰に言っている。オレは準備を欠かさないと評判の男に勝手に付いて行くと決めた男だ」

 

 思わず互いに苦笑が零れた。

 馬車の行く先は月兎大使館だ。

 

 これから肉体を完全とは言わないまでも限りなく全快に近くまで戻す為の苦行が始まる。

 

 能力が戻らぬ今。

 

 自在に動く肉体だけは手に入れておきたいというのが本音だ。

 

 もう嵐はすぐそこまで迫っていた。


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