(ネタ)Fate/Grand Order 鉄血のマシュ 作:ハナネット
骸骨兵の集団を撃退後、ドクターロマンとの通信による指示に従いレイラインのあるポイントまで進むことにしたマシュと立花。その道中、自分たち同様骸骨兵たちに襲われているオルガマリー・アニムスフィア所長を発見し、マシュが先行してこれらを撃退。所長と合流することができた。
「それで、その格好はどういうことなの?マシュ、どうして今まで成功しなかった英霊の憑依を成功させているわけ?」
「いきなりオレの中のにいたオッサンが現れて力をやるって言うから貰った。そしたら立花が骸骨に襲われてたから助けようと思ったらこの姿に変わってた」
「なんか嫌な表現ねそれ・・・つまり英霊から力を貸し与えられてデミサーヴァントとして覚醒して、そこにいる私が会場から追い出したマスター候補と契約して力を奮ってるってことね。あと、オレって言葉は使わないようにって言ってるでしょう!女の子なんだからもう少し慎みを持ちなさい!」
「やだよ、面倒臭い。慎みに関してはオルガだって人のこと言えないじゃないか。ドクターから飲酒はほどほどにって言われてたのにベロベロに酔ってこの前オレの部屋で人を抱き枕にして寝てたし」
「その話は忘れなさいと言ったわよね、私!しかも人前で言うなんてあなたって子はああもう!」
「・・・ずいぶんと所長と仲がいいんですね、マシュ」
『最初はある事情で所長の方が避けてたんだけど、マシュの方があまりに気にしていない素振りばかり見せるものだから所長の方が根負けしてね。今ではあんまりにも無防備なマシュのことを見ていられなくなってああやってマシュのことを手のかかる妹みたいに扱うようになったんだ。所長にとっても日々のストレスの発散になってるから医者としてこの関係は喜ばしいことではあるけどね』
始まったマシュと所長のじゃれ合いをロマンは微笑ましそうに見つめていた。立花も知っているピリピリと神経質そうな所長の別の一面に和むのであった。
その後、所長先導による冬木の探索を開始した一行はシャドウサーヴァントとの連戦に遭遇。窮地に陥るもそこに現地のサーヴァントであるキャスター、クーフーリンの援護を受けこれを撃退。この地の聖杯戦争を終わらせることを目的とした彼と共同戦線を張ることとなった。
そしてこの聖杯戦争の中枢部に居座っている元凶のサーヴァント、セイバーを倒す為円蔵山の洞窟へと向かった一行。キャスターは門番のシャドウサーヴァント、アーチャーを受け持ち、残った一行は洞窟の奥に鎮座する大聖杯の前で待ち構えていたセイバーと対峙する。
「ほお、面白い宝具を持っているな、小娘。随分とお前にはそぐわないではないか。」
「正直持ちづらい。オレとしては柄とかもう少し長い持ち手が欲しい。アンタを殴るには使いづらいよ」
「当然であろう。あの者にとってその宝具は戦う為ではなく守る為に奮われるものであるのだからな。故に、あなたではそれを十全に使うことは出来ない」
「まあ、気に入ってることもあるよ。デカいし端から出てる飾りの出っ張りとか結構尖ってるから。アンタに向かって叩きつければ必ずどこかには当てられるからね!」
セイバー、アーサー王との戦闘を開始したマシュ。騎士王の圧倒的力により追い詰められエクスカリバーの極光に消し炭にされようとするも、マスターの立花の支えと令呪によるサポートにより不完全ながら宝具の解放を成功させる。そして立花の機転の策として第二の令呪が発動。極光を盾によって割り裂きながらセイバー向かって特攻、宝具の光の中から現れたマシュを宝具発動の硬直で動けないセイバーはシールドバッシュによって吹き飛ばされ倒れ、マシュが容赦なく盾の出っ張りを突き刺し薙ぎ霊核を破壊したことでセイバーは消滅、戦闘は終了した。
キャスターとの別離を経て、立花たちはついにこの特異点の原因らしい結晶体、聖杯を確認。それを確保しようとしたその時、死んだと思われていたレフ・ライノール教授が禍々しい圧力を纏い現れた。彼はカルデアにとって驚愕の事実を突きつける。時代の焼却はすでに終わりカルデア以外の人類は絶滅した。人類史は無価値なものに成り下がった。そして、オルガマリーがすでに死んでおり、魂だけが特異点で再現された存在であることを。その現実を受け入れられず半狂乱になるオルガマリーを嘲るように見たレフはさらに聖杯の力でカルデアスを出現させ、加虐的愉悦を楽しむかのように彼女を弄びカルデアスへと接触させようとする。カルデアスは灼熱の太陽の如き地獄の窯そのもの。触れれば、二度と戻っては来られない。
「いや、いやーーーー!!?こんな死に方いやよ!誰も認めてくれてないのに、こんな、こんなところで、誰も見返してもいないのに!だって、まだ誰にも褒められてないのに!!」
「おい・・・」
その背後に、いつの間にか黒い影が近寄っていたことにオルガマリーの反応を愉しむのに夢中になっていたレフ・ライノールはようやく気づいた。
「ん?・・・があ!」
大楯のフルスイングを顔面から受け吹き飛ばされるレフ。サーヴァントの加減無しの一撃を食らって原型を留めている異常、彼がまともな人間ではないのは確かなようだ。
そこには、目のハイライトが消え普段以上に絶対零度の無表情を見せながら相手を睨むマシュの姿があった。
レフによる力が消えたためか空中を浮いていたオルガマリーは落下するが、それを逃さずマシュが受け止める。
「オレの友達に何してるの?ねえ?」
「マ、マシュ~」
(マシュの奴いつの間にあんなところまで行きやがった!?いやそれは問題じゃねえ、それよりもあの明らかに格の違うやつにケンカ売れる状況じゃねえだろ!)
立花が実力差のある相手を刺激し状況が更に悪化したことに冷汗を流す、一方レフは怒り猛るでもなく驚愕の表情でマシュを見つめていた。まるで彼女がこんな行動に出るのが信じられないとでも思っていたかのように。
「マシュ・キリエライト・・・なぜ彼女をかばう?君の生い立ちはそもそもそこで泣き喚くアニムスフィアの愚行によって引き起こされた悲劇だったはずだ。彼女たちさえ存在しなければ、君もその運命に縛られることもなかった。なぜ元凶である彼女を助けようとする?」
レフの言った言葉に心当たりがあるのかオルガマリーはビクリと体を震わせ、たまらずマシュにしがみつく。マシュはそれを拒むことなく優しく抱えると、自分を見据えるレフに対し思いのまま答えた。
「レフ・・・なんでアンタがオレのやらされてたことを気にしてオルガやオルガの親に対して怒っているかよく分からない。でもそっちの事情は正直どうでもいい。目の前でオレに気まぐれでも気に掛けてくれたオルガがオレには凄く大事だから。オレはオルガがいなくなると悲しい、だからお前の言っていることなんか知らない。それだけだ」
「たったそれだけの為に、醜い所業を行ってきた彼女を君は許すというのか。・・・まあいい、どちらにせよ既に肉体を持たない彼女に未来はない。君の行動は無意味に終わった。君が美しいと思ったものもこの特異点と共に無慈悲に消え去る。さらばだ、カルデアの愚かな人間たち。崩れ去るこの空間共々ここで消えるがいい」
そう言い残すとレフ・ライノールは姿を消し、同時に洞窟の崩壊、いや特異点の崩壊が地鳴りと共に始まった。
「・・・ドクター、所長は本当にどうしようないのかよ」
『・・・体がない以上、ただの人間の魂を留めて置ける技術はカルデアにはない。何かを依り代に繋ぎとめようにもそんな高度なアーティファクトをすぐに用意できる時間もない。僕たちには、手の施しようがないんだ』
「何よ、結局カルデアスに突っ込まれなくても結果は同じだったわけじゃない。死ぬ、死んじゃう・・・私がやってきた全てが無意味に消えちゃう・・・っヒック・・ヒック」
「・・・・・・」
「?マシュ、なんで抱えるのよ?同情?やめてよね、今更安い慰めなんて・・・」
「いや、洞窟が崩れてきたから降ってくる岩から守ろうと思って。ほら、立花もフォウも早く盾の中に入りなよ。潰されるよ」
「!そういやそういう状況だった!フォウ、行くぞ!」
「フォウ!」
慌ててマシュの盾の傘に入り込む立花とフォウ。だがその反応にオルガマリーは理解できない面持ちでマシュに捲し立てた。
「な、なんでよ、なんでそんないつも通りなのよ!どうして・・・意味なんてないのに・・・私を守ってくれるのよ・・・」
「もしかしたら運よくオルガもカルデアに戻れるかもしれない。もしかしたら運悪くオレたち全員特異点と一緒に消えるかもしれない。結果がどちらに転ぼうと関係ないよ。オレは今もっと長くオルガと一緒にいたいから守る。今オレがやりたいことはこれだから、そうしたいってだけだよ、オルガ」
いつもと変わらぬ仏頂面にわずかな柔らかさが見えた。それで救いがあるわけではない。オルガマリー・アニムスフィアの消滅する運命は変わらない。それでも、マシュ・キリエライトは今そこにいる彼女を守り続けると言った。今そこにいるオルガマリーが大事だから、例えその先に続くものがなくとも、今そこにいる事実をただ尊びたいと彼女は言った。彼女は、オルガマリーを大切に思ってくれていた。
「・・・ホント、あなたって単細胞よね。こっちが今まさに消えようとして怖くて仕方ないのに、そんなの関係なく守ろうとして・・・。でも・・・ありがとう、マシュ。死にたくなんてないけど、傍にいてくれて・・・ありがとう・・・」
オルガマリーは泣きながら、彼女が出来る精一杯のぎこちない笑顔をマシュに向けた。
「オルガ・・・。大丈夫、オレはずっとオルガを守るから。だから・・・」
その先は、続かなかった。特異点崩壊の影響で視界が白く染まり、その眩しさにマシュが瞬きしたその時、
オルガマリーは、初めから存在していなかったかのように抱えた腕の中から姿を消した。
あまりに呆気ない幕切れ、今までの彼女の姿に似合わない霞のように溶け消えた別離。特異点の崩壊や立花が自分を守ろうと抱きしめたことにも気づかずに、マシュは意識が消失するまで呆然とただオルガマリーを抱えていた手を見つめ続けた。
冬木から帰還し、自室で意識を取り戻したマシュと立花は、その足で管制室へとすぐさま向かい、今のカルデアの現状とこれから成すべき目的をロマンから告げられる。一つの目的のもと活動を開始したカルデアの生き残った局員たち。その話の最後に、最後まで動かなかったマシュはロマンに最も聞きたかった事実を確認した。
「ロマン、所長は・・・」
「管制室から特異点消失の少し前に彼女の反応の消失を観測した。オルガマリー・アニムスフィア所長は・・・亡くなられたよ」
「そっか・・・・オレ、あんなことを言っておいて結局守れなかった。オルガともっと一緒にいたいと思ってたのに、カルデアにも連れていけなかった。オレは、何も出来なかったんだよな?」
「僕はそうは思わないよ、マシュ。彼女の命を救うことは、君にも他の誰かにも出来なかった。その中で君は確かに彼女を救えていたんだと僕は思う。君はオルガマリー・アニムスフィアという存在に確かに意味を残せたんだ。彼女を知る君が生き続けたという結果を残したんだから。君が話してくれた通り所長が最後の瞬間に笑えたのは、君が最後まで彼女の味方でいてくれたからなんじゃないかな?、想像でしかないけど僕にはそう思えるよ」
「それでも、オレはここにオルガがいないことが嫌だ。今もなんだか、胸の真ん中がズンと重い感じが消えないんだ。すごく、気持ち悪いんだ・・・」
そういってマシュは右手を握り胸を抑え込んだ。泣き叫ぶでもなく、不快そうに顔を僅かにしかめるその姿は、自身に湧き上がる感情がよく消化出来ず持て余し戸惑っている子供のように立花には見えた。
「マシュ・・・」
「・・・ロマン、レフは次にどこに行ったか分かる?」
次に顔を上げた時、マシュから戸惑いの感情は消え、いつもの仏頂面へと戻ったように見えた。しかしよく見てみるとその目は飢えた狼のようにぎらついた輝きをチラつかせていた。その姿に危うさを感じながらも、ロマンは彼女の質問に答えた。
「彼は独自の手段を用いてあの特異点を脱出した。恐らく彼が持つ聖杯の力なんだろうね。現時点でその行方を追跡するのは不可能だ。だけど、この人理焼却をもたらした七つの特異点の修復を続けていけば、彼の方も僕たちを無視することはできないはず。その先に彼は必ず待ち構えているはずだ」
「なら、行こう、立花。特異点の攻略を始めよう。何も出来なかったオレたちだから、これはオレたちがやらなきゃいけない」
そう言って自分を見つめる目を見て立花は悟った。マシュは、オルガマリーの死に納得なんてしていない。彼女が本当の意味でそれを受け入れるには、その原因となったクソ野郎を文字通り叩き潰した時なのだろう。彼女は特異点も人理焼却も見えていない。ただシンプルに一つの感情で動き出そうとしている。マシュと知り合って日の浅い立花にも分かる、苛烈な感情がそこにはあった。
「マシュ・・・ああその通りだ。あの野郎に俺たちは何一つ落とし前をつけさせちゃいねえ。カルデアをぼろぼろにされて他のマスター連中も重体、なにより、あいつはオルガマリー所長を殺しやがった。このまま奪われたままじゃあ我慢ならねえよな?」
「うん、だから、やるなら徹底的だ。アイツが用意した全てをぶち壊して、巣穴からアイツを這い出させる。そしてオレが倒す、絶対に」
人類を救うなんて見も知らない誰かの為の理由は大きすぎてよくわからない。だがマシュにとって人が強い抱く感情という動機がまず目的として先立った。すなわち「復讐」。もっともシンプルで強い動機から人理修復の旅はその一歩目を踏み出した。
●次回予告風ナレーション(ジャンヌオルタ)
くははは、みなさいよジル!あの大司教様の焼かれもだえ苦しむ様を!まるで鉄板の上で焼かれた芋虫そっくりじゃない!ああ楽しい!私が味わった苦しみをやり返すのが楽しい!私を苦しめたフランスを滅茶苦茶にするのが楽しい!もっと、もっと伝えなきゃ。私がどれだけ苦しんだのかを、この国そのものに!それはそれとしてジル?旗の柄はこれで合ってる?カッコいいかしら?
次回Fate/Grand Order 鉄血のマシュ 第5話 「救国の聖女」
レフ・ライノール絶対殺すマシーン、マシュ誕生。こんな殺伐とした鉄血時空じゃあフォウさんも覚醒しちゃいそうだなあと思いながら書いてました。最終特異点ではどうなることやら・・・