(ネタ)Fate/Grand Order 鉄血のマシュ 作:ハナネット
「ああもう!アンタ!早く死になさいよ、なんで死なないのよ!」
「何なのよアンタ!私を倒すために来た癖になんでそんなどうでもいいような目で私をみるのよ!?私を、私をそんな無関心な目で見るなーーーーーー!!」
マシュ
「どうでもいいから、邪魔」
以上、第一特異点人理修復完了。
第一特異点のフランスを現地のサーヴァントたちとの協力によって無事修復に成功したカルデア一行(藤丸立花、マシュ、セイバー:アルトリア、帰還後にバーサーカー:清姫召喚)。次に彼らが向かったのは第二特異点の古代ローマ、薔薇の皇帝ネロ・クラウディウスが治めるローマ帝国時代に起こった異変の修復であった。
ドラゴンなど幻想種との戦闘が中心であったフランスとは違い、次の特異点では本来存在しない連合ローマ帝国とこの時代の正統ローマ帝国の戦いは人同士のものであった。藤丸立花はある事情で荒事には慣れてはいたものの、それでも凄惨なそれにショックを受ける場面が多かったが、一方でマシュは見た目だけなら平然と向かってくる相手を撃退していた。
幾多の戦闘を越えて、連合ローマ帝国首都への進軍中のある夜、野営地の焚火の前で座っているマシュに立花は今まで聞くに聞けなかった質問をマシュに投げかけた。
「大丈夫なのか?ドクターからずっと施設暮らしだったって聞いてるんだけどよ、今まで相手はただの人間相手だったが・・・怖くは、ねえのか?死なせちまったり、するとか」
その質問に対するマシュの答えは非常に淡白なものだった。
「別に。向こうから向かってきてるんだからこっちには関係ないことでしょ?立花から手加減しろって言われてるから殺したりはしてないよ。まあ、
そう言ったマシュの無感動な有様に立花はゾクリと寒気を覚えた。これまでの特異点での戦闘で感じていた彼女の戦闘の仕方の違和感。マシュは、あまりに周りに対する関心が薄かった。反面、オルガマリーや立花など直接的に関わり影響を与えてきた存在に対しての過剰な献身は病的なほど振り切れている。必要か不必要か、白黒で定まった単純で残酷な姿に、立花はロマンが忠告していたマシュの危うさを再度認識させられた。
『マシュはどこまでも純粋で幼い。詳しくは話せないけど、彼女は長らく閉鎖的な環境のみの生活を余儀無くさせられていたせいもあって、一般的な道徳観念が育つ機会はなかった。そのせいで君から見れば残酷なことも平然とやっているようにも見えるかもしれない。けど、育っていないだけで何も感じていないわけではないんだ。彼女が自分のやってきたことの意味を正しく認識した時、積み重なってきた記憶に対するストレスはいつか彼女を苦しめるはずだ。僕にはそれがつらい。難しいかもしれないけど、あまりマシュに無茶をさせないようにしてあげてくれないかい?これはマスターでありマシュが信頼を置いている君にしか頼めないことだ』
ロマンの言葉を頭の中で反芻した立花は、今しがたの寒気を誤魔化すようにマシュの頭をクシャクシャと撫でて言った。
「・・・とにかく、少しは休めよ。英霊の力を抑えている間は、回復も早いんだろ?進軍はまだ続いているんだからもう少し英気を養っておけ」
「ん、分かった。じゃあ、ここで少し休むよ」
「え、ちょっここでっておま!?」
マシュはそう言うと立花の膝の上に頭を乗せ横になると、すぐに眠り込んでしまった。それに落ち着かないのは立花の方だ。普段は鉄面皮が張り付いた可愛げのない少女であるが、黙っていればまず自分に縁のない美少女である。多感な年代の彼にとって普段見せないあどけない表情の彼女の膝枕を続けるのはかなりの苦行であった。
結局、さすがに明日のことを考えるとまずいと思いマシュを起こさないよう静かにお姫様抱っこしてテントへ寝かしたが、その間ネロ(「うむ、やはり美少女の寝顔は美しい!普段からもう少しそのようなあどけない顔を余にも見せてほしいぞ」)やブーディカ(「そうそう、寝てる子には優しくね。頑張れ、男の子!」)やローマの兵士たちの生温かい視線に曝されたのだった。
ついでにその後ろの物陰にいた、マシュを安珍の生まれ変わりだと思い込んでいるバーサーカー、清姫(「マシュ様に触るな安珍様に触るな旦那様に触るなマシュ様に触るな・・・」)の物理的圧力の籠った嫉妬の視線にも耐え続けた。
連合ローマ帝国の首都に突入し、現地協力者である皇帝ネロとローマ帝国神祖、ロムルスを撃破した立花たちであったが、遂にこの特異点の黒幕であったレフ・ライノールが彼らの前に姿を現した。
マシュは激情を秘めながらも指示を待ち、立花は努めて冷静であろうと自分を抑えながら問いかけていたロマンに続いてレフへと言葉を投げかけた。
「ようやく会えたな、レフ・ライノール。思ってたよりもあんたに会うのが長くかからなくて安心したよ。これでようやく決着をつけられそうだな」
「決着?それはこちらのセリフだよ。貴様たちが生き残っていたおかげで神殿にも帰れず、挙句このような後始末に駆り出されている。あのときは多少温情をかけて放置しあの特異点で死んでもらう予定だったものがここまでくるとは、全くどうしてそう無駄な足掻きというやつを続けられるものだね、君たちは!」
「ああ、色んな人のおかげであんたの思惑通りことが進まなくて助かったよ。始める前に一つあんたに聞きたい。あのカルデアの爆破テロ。あれは本当にあんた自身の意思で起こしたことなのか?冬木で言ってた王様ってやつに唆されてやらされてたってことはないのか?」
「唆された?ふっははは、ハハハハハハハハ!!そこまで白痴な頭でよくまここまでこれたものだ。言うまでもなく、あの所業は
「そうかよ、所長があれだけ信頼していたあんただったら万が一ってことも考えていたが・・・要件はそれだけだ」
「立花、まだ?」
待てを命じられながらも早く食らいつきたいと急かす狼。ロマンからの忠告が頭を過ったが、無視した。マシュにとっても、自分にとっても此処で躊躇する選択はない。今は、必要な無茶だ。
「ああ、無駄な時間だった。やれ・・・マシュ!!」
立花の言葉を聞いた次の瞬間、マシュは弓から放たれた矢の如く瞬時に間合いを詰め、レフ・ライノールを大盾で押しつぶしにかかる。
「!待ちなさい、マシュ!!今彼に近づくのはダメだ!!」
直感にてレフの異変を察知したアルトリアが止めようとするも間に合わない。自分を押し潰そうとする鉄塊を前にレフは驚きもせず邪悪に笑う。次の瞬間。レフを中心に衝撃波が発生、城の広間全てに留まらず上層部分がそれによって吹き飛ばされる。直近にいたマシュはアルトリアの叫びに反応し僅差で盾の防御が間に合い、吹き飛ばされ瓦礫にぶつかりなんとかその場に踏みとどまる。立花達はアルトリアの風王結界による風の盾によってなんとか衝撃波をやり過ごした。巻き上がる粉塵が晴れる。その中から・・・
無数の眼をこちらへと向ける巨大で醜悪な肉の柱が顕現していた。
『馬鹿め、それなりに戦いをこなしてきたようだが、それだけで私を倒せると思い上がったのか?何を積み重ねようが全て無駄、無意味、無能だ!なぜなら・・・』
『我が名はソロモンの72の悪魔が一柱、魔神フラウロスである!その思い上がり、我が力の前に後悔しながら死ぬがいい!』
魔神フラウロスの力に圧倒されつつもネロ率いる現地サーヴァント達の力を借りて辛くも撃退することに成功する立花たち。しかし魔神柱への変態を解き人間の姿に戻ったレフは聖杯の力によって新たなサーヴァントを召喚する。その名はローマ帝国を滅ぼすことになるフンヌの大王アッティラ大王こと、セイバー:アルテラ。
彼女の召喚に勝利を確信したレフはしかし、その油断を突かれ彼女によって切り殺され、持っていた聖杯は吸収されてしまった。
獲物を横取りされたマシュは激昂し突撃するも、その前にアルテラの宝具が発動、射線上に立花達味方がいることを直感したマシュは咄嗟に宝具を緊急展開させることで事なきを得たが、アルテラがローマへと進軍しているとの連絡がロマンから入った。
ロムルスからフラウロスと連戦が続き、疲弊したネロ達現地のサーヴァント達を残し、余力のあるカルデアのサーヴァント、セイバー・アルトリア、バーサーカー・清姫を引き連れ、ローマへと向かったアルテラを追う立花たち。徒歩での進軍もあってすぐに彼女に追いついた彼らだが、アルテラの軍神の剣による破壊の奔流に苦しめられる。マシュの大楯でなんとか攻撃を凌ぐがアルテラはその隙を逃さず、マスターである立花を狙った一撃を繰り出す。動物的直感で察知したマシュはそれを許さず立花の前に出てそれを防ぐが・・・
唐竹割りのアルテラの軍神の剣の一閃が、見事にマシュの大楯を中心から二つに分けた。
「あ、割れちゃった」
『なにーーーーーーーー!?』
自分の大楯のキレイに真っ二つになった有り様にマシュはあっさりとした様子で呟いた。
『な、なんてことだ!?切り札の宝具がない以上、今のマシュにマトモな戦闘手段はないぞ!撤退させるんだ立花君!マシュが殺されるぞ!」
「まだだ、ここで引いたらそれこそローマに被害が「大丈夫だよ、立花。この方が調度いい」ってマシュ、何をする気だ!?」
慌てるロマンと立花の言葉を無視し、無手となった状況で正面から迫るアルテラの斬撃に対してマシュは・・・今しがた分割された盾の片方をトンファーのように右手で構え反らした。そして反対の左のもう半分の盾を同様に構え叩き付けようとするが、アルテラはそれを察知しのけ反り回避、距離をとり仕切り直した。
マシュが盾を破壊された後に行った対応は非常にシンプルなものだった。どういった方法か宝具の形状を変化させ、割れた盾の片方づつを両手に装備したのだ。一回り小さくはなったがそれでも比較対象の大楯よりというだけで両腕のシルエットを覆ってしまうほどの盾であり、元の盾よりも取り回しやすい形へと変形していた。
「貴様、破壊された盾で戦おうというのか、この私と」
「助かったよ。これデカいのはいいけど手が両方塞がっちゃうからさ。これなら片方づつで戦える」
闘志を再び燃やし、アルテラと相対するマシュ。
『あれぇ!?なんでマシュの宝具は破壊されていながら消滅していないんだ!?宝具は英霊のシンボルそのものなんだよ!?自身の象徴である宝具が破壊されれば形を保てるはずがないのに何で・・・』
「んなことはどうだっていい!マシュがまだ戦えるって言ってるんだ。さっさと分析を続けてくれ、ドクター!!」
『わ、分かった!今アルテラの情報をまとめたものをそちらに送る!いくらマシュでもいきなりの戦闘スタイルの変更でいつまでも相手の意表はつけないはずだ。速攻で決めてくれ、立花君!』
突然の事態に慌てるロマンであったが、立花からの怒声に我を取り戻し分析結果を転送する。それを確認した立花はすぐさまここでの自分のやるべき指示を実行に移した。
「よし!・・・清姫!宝具でマシュとアルテラの周囲を囲んでくれ。あいつをここで仕留める。マシュにアイツとのケリをつけらせろ!」
「マシュ様の為だというなら仕方ありませんね。この清姫、全霊をもって期待に応えてみせましょう、ええか・の・じょの為に!」
「ああ、そうしてくれ。(ボソッ)ついでにテメエも張り切りすぎて燃え尽きろ」
「何か言いまして、ヒモ男?」
「黙ってリング会場に徹してろサイコ女」
そう言って悪態を吐き合いながらも動きに無駄はなく、清姫は竜に変化しマシュとアルテラの周囲を炎の壁で囲み即席のコロシアムを形成、アルテラを逃さない檻を生み出した。それに対しアルトリアはいの一番に抗議した。
「リッカ!マシュだけにアルテラの相手をさせるわけにはいきません!私も参戦させ・・・「令呪をもって命じる。『アルトリア・ペンドラゴン、この戦いが終わるまで手出し無用だ』」な!?っくっ、どういうつもりです!この局面で二つ目の令呪を使うとは!」
「悪いな、あんたは頑固そうだからこっちも本腰入れて邪魔をする!・・・すみません、説明は全部後でまとめて説明します。今は黙ってアイツに全部任させて下さい、この通りです」
「・・・いいでしょう。どういう思惑かはわかりませんが、今はそれに従いましょう。ですが、このようなやり方が続くようであれば私にも考えがあります。これが終わったら覚悟をしておいて下さい」
怒りを押さえ込んだ表情のアルトリアに申し訳なく思うが、気持ちを切り替えを立花はマシュのマスターとしての役割に戻った。
アルテラとマシュの戦闘は次第に加速していく。初めは盾で逸らしてはいるものの防ぎきれずに生傷を受けていたマシュであったが、次第に剣を逸らすやり方が最適化されつつあった。元の英霊の知識や経験を無意識に訓練をこなすなかで取り込んできただけではない。マシュは相手の戦い方さえ自分のスタイルに合いさえすれば覚え吸収する得難い柔軟な思考と素養をもっていた。即ち、今まで相対してきたサーヴァント、さらに戦っているアルテラの戦い方さえ自分に取り込みマシュはなんとか彼女との戦闘に食らいついているのだ。
だが、それでも相手は大英雄アッティラ。ジリ貧な状況に決着をつける為、彼女はマシュを蹴り飛ばし距離を開けると軍神の剣を構えた。連合ローマ首都を灰塵に還した宝具が、再び開帳される。
「終わりだ。盾を断たれ本来の形を失った貴様にもはや防ぐ手立てはない。この先にローマ共々、我が剣によって破壊されるがいい」
アルテラの剣が七色の光を伴って回転を始める。膨大な魔力の奔流が収束し、そして・・・
『その文明を破壊する、
七色の破壊の極光が、突撃してきた。
防ぐ方法はない。本来の宝具の展開に必要な形を失ったマシュの今の盾ではあれを防ぐことは出来ない。マシュはあの極光に消える。それが当たり前の結末。
マシュは迫る極光に驚く様子もなくただ割れた盾を元の形の通りに合わせ光の衝突に備える。無駄なことだなんて彼女は考えていない。実際のところ先ほどの戦闘でアルテラと打ち合う為に通常よりも魔力を注ぎ込んでいた為体に残されている魔力も枯渇しかけている。それがどうしたと彼女は考えている。なぜなら、自分は今一人で戦っているわけではない。同じく失った誰かを思い、同じく失わせた誰かを共に叩き潰すと誓い合った大切な人がいる。彼ならば、必ず絶好のタイミングで切り札を出してくれる。故にその心に恐怖はなく、マスターへの信頼によって前に立つ。今はただ、自分たちが叩き潰すはずだったクソ野郎をかっさらったコミュ障大王を全霊をもって倒す!
「お前が全てをを破壊するっていうんなら・・・・」
”じゃあ、私がこの宝具に名前を付けてあげるわ。ふふん、あなたにピッタリなはずよ”
「オルガが名付けてくれたコイツは・・・・」
”今からそれは・・・・。
「
『
正面から迫る破壊の奔流、アルテラ自身が絶対の信頼を傾ける軍神の剣の突撃は眼前の全てを塵に還した、還したはずだった。
「な、んだと・・・!!?」
軍神の剣の突撃は、破壊されたはずの大楯によって押し留められていた。
「なぜだ!?」
「やれば、出来た、それだけだ!!」
残り少ない魔力を宝具に注ぎ込み、ジリジリと向かってくる衝撃に耐えるマシュ。このままなら宝具の魔力が尽き彼女が破壊の奔流に巻き込まれるのは時間の問題だろう。故に、アルテラの剣が盾に接触したタイミングで、マシュを信じ続けた立花もまた最後の切り札を切った
『そいつをカチ上げろ!マシュ!!!』
最後の令呪が発動し、三画目が輝きながら消失。
「ぁぁああああああああああアアアアアア!!!!」
令呪による魔力ブーストと気合いで今なお突き進もうとする剣を大楯で打ち上げるマシュ。剣の加速による慣性が抜けきらないアルテラは、一瞬、完全に無防備な胴体を曝してしまった。
「あ・・・」
その瞬間、マシュは盾を手放し肩から相手を押し倒し馬乗りになり、今まで使用する機会のなかった腰の剣を逆手に構える。無防備な胸部、アルテラの心臓の位置にある霊核。
「こいつの使い方、ようやく分かったよ」
立花からの攻撃力強化の魔術、体に残された魔力を注ぎ込んだ迷いのない剣の一撃が、アルテラの
こうして、スタート地点にさえ立てていなかった二人の復讐の旅に一先ず終止符が打たれた。
「それで、あの采配はどういうつもりだったのですか、リッカ?あの局面での判断は明らかに普段冷静なあなたらしくないものでした。はっきり説明していただかないと私も納得できない」
第二特異点修復後、カルデアへと帰還した立花たち。各々がバイタルチェックを終えて帰る中、最後にメディカルルームから出て来た立花の前ににアルトリアが彼を追及するために待ち構えていた。
「・・・すみませんでした、アルトリアさん。ぶっちゃけちまえば、俺もマシュも完全にブチ切れてて冷静じゃあなかったって話です。アルテラ、あいつは俺たちが決着を着けるはずだったレフの野郎を横からかっさらって殺しやがった。その時点であいつは俺たちに喧嘩を売りやがったんだ。なら、俺たちが誰の手も借りずにアイツを追っかけて倒さなきゃいけない。そんな風に理性が吹き飛んじまってたんです」
アルトリアはようやく彼らがらしくもなく感情的に突っ走っていた理由に合点が付いた。何もかも奪い去っていった下手人のレフ・ライノール。彼へと落とし前をつけさせる為に走り続けてきた彼らにとって、やっと辿り着いた仇だったのだ。それが、偶然とはいえあっさりとアルテラに殺され、溜まりにたまった感情が爆発して、欲しかった玩具を横取りされた子供のような幼い怒りを覚えたのだろう。それに任せて彼はマシュをけしかけ、自分の動きも封じたのだろう。彼からそんな彼女が生前頭を悩ませてきた合理性を理解しない感情任せな人間らしさが見て取れ、このままではいけないと彼女は忠告を口にした。
「それは、子供の理屈だ。復讐する相手を殺されたからその相手を殺すなど暴論が過ぎます。そんなことに意味などありません」
そのアルトリアの忠言に、立花は頭を垂れて呟いた。
「意味ならありましたよ。あなたの言う通りあれはガキの癇癪でした。納得できないから相手に不満をぶつけてるに過ぎない。だけど、それでもオルガマリー所長の死をただ過ぎ去るものとして済ましたくはありませんでした。俺とマシュはそれを望んだです。だから俺はアイツの思いが正面切ってぶつけられる場所に連れていくだけでした。それでやっと俺たちはこの人理修復ってやつと向き合える。ただ、そう思ってたんですよ、アルトリアさん。消化不十分ではありましたが、やっとマシュも、俺も失っちまったものに目を向けられる気がします」
間違いを犯した。しかし、選択を後悔してはいない。その迷いのない言葉にアルトリアは嘆息を洩らした。
「・・・本当に呆れた子達ですね、あなた達は。ですがリッカ、そのような判断は今後は許されません。また同じことが続くようであるのなら、あなたの命令には今後従わない。分かりましたか?」
「分かりました。肝に銘じておきます」
「私からの話は以上です。では、今日はもう部屋でゆっくりと長旅の疲れを癒しておきなさい、リッカ」
謝る立花に納得がいったのか踵を返すアルトリア。その前に、彼女は一言だけ付け加えた。
「ああそれと、先程のことも含めてあなたには文句が山ほどあります。あのようなことがないよう、明日はシミュレータで今回の特異点での反省点を生かして戦闘方法の修正をしていきますよ。覚悟しておいて下さいね、マスター」
ニヤリと獰猛な笑顔を見せるアルトリアに嫌な予感が止まらない立花であった。
一方、カルデアス鎮座する広間でマシュは瓦礫に座り込んでカルデアスを見上げながらドライフルーツをかじっていた。彼女の隣にいくつかのドライフルーツが置かれている。オルガマリーが好きだった種類のものが置かれていた。
「・・・終わったよ、オルガ。アイツを倒したからって何か解決したわけでもないけど、オレは少し気が晴れた。オルガ、最後ずっと泣いてたし、泣いてるオルガは見たくなかった。オレ・・・もっと笑ってるオルガを見ていたかったな」
ドライフルーツをかじり続けるマシュの隣に、立花も静かに並んだ。ただその衣装はいつものカルデア制服ではなく、黒いスーツ姿に変わっていたが。
「・・・俺にもそれくれ」
ドライフルーツを催促する立花にマシュは手渡した。あまり好みではなかったらしく立花は渋い顔をするがそれでも食べるのを止めようとはしなかった。
「立花、その服どうしたの?」
「レオナルドさんが新しく渡してくれた魔術礼装だ。元々は封印指定狩りの魔術師が使っていたものらしくって制服よりも物理魔術両方の面で防御性が高いんだとよ。制服もそろそろボロボロになってきてたからな。新調することにした」
「ふーん、そう」
「・・・これで終わりでいいのか、マシュ?」
「アイツのことはもういいよ、死んだし。でも、やっと出来たからそれはありがたいかな」
「何がだよ?」
「・・・オルガに謝れたから。『一緒にいてあげられなくてごめん』ってさ」
無愛想な表情は変わらず、マシュの光がまだ宿っている左目だけに静かな涙が見えた。立花はただしばらくその隣で佇んでいた。
オルガマリー・アニムスフィア。あなたの積み上げたものを無意味なものになどさせはしない。人理修復を完遂させる。それをもってあなたの意味を証明し続ける。それだけが、オレたちがあなたに対して捧げられる手向けだ。だから、今はさよなら。
後日、アルトリアによって強制的にマイルームから引き摺り出された立花は戦闘シミュレーションルームへ連れていかれ、文字通り死ぬほど絞られた。その後、疲労困煤で倒れこみ身動きの取れなくなった彼を次にシミュレータを使用する番で入ってきたマシュは発見するのであった。
「オレが訓練出来ないから、とりあえず退いてくれる?」
「・・・せめて控え室まで連れていってくれ」
マシュに米俵よろしく背負われ外に放り出された。
・おまけ
「んん、これは・・・ははは、さすがの天才の私でもこんな頭の悪い結論は想像したくなかったね、全く」
立花たちのカルデアへの帰還後、管制室にてロマンはマシュの宝具の変化の件でダ・ヴィンチに相談を持ち掛け、彼女よりその理由を説明された。
「マシュはね、ロマニ、
その答えにロマンは溜息を吐いた。
「君にしては凄く頭の悪い脳筋な解釈だなぁ、レオナルド。だけどよく分かったよ。理屈で考えないマシュはあの宝具の在り方も難しく考えてなんていないんだろうね。だから宝具の解釈を弄り回して形状を変えようとも、根底の逸話自体への矛盾を矛盾とも思っていないからあの状態でもあの子にとって元の大楯と大差ないのか・・・盾の英霊は泣いてるだろうなあ」
マシュの単純な思考が凄いのか、それともそんなマシュのイメージに応えてくれる宝具が凄いのか。ロマンとダ・ヴィンチはただただその出鱈目な様に苦笑いを交わし合うのであった。
●召喚サーヴァント(第二特異点まで。特異点攻略ごとに一騎追加)
・セイバー:アルトリア・ペンドラゴン(メリビットさんポジション)
冬木特異点の後にカルデアに召喚されたサーヴァント。いつも自身の思惑から外れた行動ばかり起こす立花とマシュに頭を痛める精神年齢三十路の苦労多き女性。生徒会長気質なことからここのカルデアでは立花たちのブレーキ役に徹する場面が多い。(止められるとは限らない)
・バーサーカー:清姫(ハッシュポジション)
第一特異点修復後に召喚されたサーヴァント。裏表のないマシュを勝手に安珍の生まれ変わりと信じ込み疑わない。気づかないうちにマシュの周囲におり、弁当の用意からタオルを自然と差し出すなど場所を問わず神出鬼没なありさまだが、マシュは「便利な子だな」程度にしか思っていない。
本能的に立花が平素から嘘を吐くことに躊躇いの無い人間であることを察知しており、尚且つ意中のマシュが信頼しているとあって嫉妬の思いを隠すことなくぶつける。立花とは基本険悪な関係(マシュが関わる案件に限り異常なコンビネーションの良さを発揮する)。立花も勝手な妄想をマシュに押し付ける清姫を嫌い、顔を合わせる度に罵詈雑言が二人の間では飛び交っている。
・ランサー:エリザベート・バートリー(イオク様ポジション)
第二特異点修復後に召喚。殺伐としがちなパーティのムードメーカー的ポジション兼厄介ごとをさらに掻き回すトラブルメーカー。基本マシュ&清姫と立花&エリザの構図で口喧嘩することが多い。(マシュはただ巻き込まれているだけだが)
●マシュステータス(第二特異点修復時点)(第一霊基状態:原作マシュの第三霊基状態)
・サーヴァント:シールダー/後に■■■■のダブルクラス要素あり
・真名:マシュ・キリエライト/■■■■■■/■■■■■
・宝具:
・パラメータ:筋力B、耐久B、敏捷B、魔力C、幸運D、宝具?
・コマンドカード:A×2 Q×1、B×2
・コマンドモーション
A→大楯振り切りモーション(元マシュと同じ)
Q→盾を分割させ、両腕に装備してのラッシュ(ルーラーマルタのラッシュイメージ)
B→上空へと飛び上がり大楯による押しつぶし(元マシュと同じ)
EXTRA→分割した大楯のコンビネーション攻撃の後に合体させ大楯でシールドバッシュした後、相手の上空に飛び上がり大楯で押しつぶす。最後に盾を傍に突き立て腰に差した剣を抜き倒れた相手を地面に刺し貫く。
・スキル
鉄血の絆C:効果:自身にガッツ付与。バスター性能を一ターンのみアップ、自身の弱体耐性アップ。自身に強く影響を与えた人物に対する絶対的信頼。STRの上昇、精神汚染に対する耐性が付与される。対象に対する親密度が高いほどランクが上昇する。また、対象となる人物が自身の期待に反する行動が続く程ランクが低下する。
直感C:効果:スターを大量獲得する。戦闘時、常に自身にとって最適な展開を感じ取る能力。マシュの場合、なんとなくそうした方がいいといった曖昧な感覚として効果が現れている。
■■■■■
●次回予告風ナレーション(黒髭)
む、来た?ついに吾輩の出番が来ちゃったでござるか?うっひょー!!BBAやエウリュアレたんより先んじて吾輩に出番が来てしまうとは、人気者はつらいですな。えっ違う?予定ではドレイク船長が来るはずだったけど嵐に巻き込まれて来れなくなったから仕方なく代役で呼んだ?・・・BBAざまあwww(ちゃんと呼べよコラア!!!)
次回Fate/GrandOrder 鉄血のマシュ 「太陽を落とした女」
これでミカっぽくなってるか不安ですが、こんな感じのが出来ました。基本メインストーリー沿いで、戦力も戦力過多なカルデアではなく爆破の影響で特異点修復ごとに一サーヴァント追加の形式で増やしていく形でバランスとっているつもりです。戦闘BGM(第一期)流しながらやって拙いながらやっとこさ戦闘シーン書いてる下手くそですが、見てくださりありがとうございます。