ポケットモンスター let's goリーリエ!   作:アニポケ大好き主

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 お待たせしました。
 ここからリーリエのロコンは「シロン」として
話を書いていきます!


第八話 昔と今

「どうやら、ここまでのようね。博士」

 

 ロトムを失ったいま、フシギダネ一体で二体のポケモンを相手に戦っているオーキド博士だったが、このままだとフシギダネの体力が尽きるのは時間の問題だ。

 ケンジ達が向こうでの戦いを終え、こちらに加勢してくることを願っていたがこちらに向かってくる気配はない。

 しかしここで自分が負けてしまうと、次に狙われてしまうのはリーリエ達。負けは許されない緊張感がオーキド博士に焦りを感じさせる。

 

「さぁ、止めと行こうか。カポエラー【まわしげり】だ‼︎」

 

 コサブロウの指示のもと、カポエラーは空中に飛び上がり攻撃の体勢に入る。足を横に腰を回しながら繰り出す蹴りは、フシギダネに向かって蹴り出された。オーキド博士は急いでフシギダネに回避の指示を出そうとしたその時、勢いよく放たれた氷の塊がカポエラーの足に向かって命中したのである。

 

「なんだ⁉︎ カポエラー。一旦下がれ!」

 

 予測不能な攻撃に驚いたコサブロウはすぐにカポエラーを自分の元へ戻らせた。カポエラーの技が決まる前に一瞬でダメージを与えた氷の塊による攻撃。

 

「今のは...【こおりのつぶて】?」

 

 【こおりのつぶて】相手の素早さに関係なく氷の塊を素早く相手に放つ氷タイプの先制技。だがその技はもちろん、フシギダネが放った技ではない。その技はオーキド博士の後ろから放たれたものであった。すぐにオーキド博士はその技を放った方角に目をやると、そこには戦う決意の目をしたリーリエとそのパートナーシロンの姿がそこにあった。

 

「大丈夫ですか?博士!」

 

「リーリエちゃん‼︎」

 

 安否の確認を取ったリーリエはすぐにオーキド博士の元へと向かった。

 

「間に合ってよかったです!」

 

「あぁ…。しかし、リーリエちゃん。なぜここに…」

 

「皆さんとここのポケモン達を護るためです‼︎」

 

 そう言い放ったリーリエの目からは静かな闘志が感じられた。オーキド博士は不思議とリーリエをとどめようとはしなかった。

 

「あらら、お嬢さん。もしかして私たちと戦うつもりでいるのかしら?」

 

「はい。戦うつもりでいます」

 

「そうか。なら新人トレーナーとして旅立つ前に、お兄さん達が社会の厳しさについて教えてやろう」

 

 デルビルとカポエラーは攻撃体勢をとり、二人からの指示を待つ。シロンもフシギダネの隣に立ち、相手二匹に身構える。

 リーリエは考えた。タイプの相性はこちらが不利であり、自身のバトルの経験も浅い。サトルに言われた通り、無計画に突っ込んでいくのは命取りだ。シロンと比べてフシギダネの方はサトシのポケモンであってバトルも多く経験もしているはず。ここはフシギダネが戦いやすい場を作ることが最優先であるとリーリエは判断した。

 

「いきます。シロン!【こごえるかぜ】です‼︎】

 

 シロンは大きく息を吸うと、一気に冷気を放射した。それは相手二匹を同時に包み込めるほど範囲がとても広い攻撃だ。【こごえるかぜ】はダメージを与えるだけでなく、相手の素早さを下げる効果もある。まずは相手を鈍足状態にさせて、相手二匹の行動を鈍らせることがリーリエの狙いだ。しかし、その技の効果はヤマトとコサブロウも知ってのことだ。

 

「あまいな。カポエラー!【ワイドガード】‼︎」

 

 カポエラーは仲間のデルビルも護れるほどの大きなバリアーを展開した。【ワイドガード】は味方全体に当たる攻撃を防ぐ技。シロンの攻撃はそのままバリアーによって防がれてしまった。

 

「狙いはよかったがそんなことも知らない我々、ロケット団ではない」

 

「その通り。デルビル!ロコンに【かえんほうしゃ】‼︎」

 

 すぐさまデルビルはシロンに向かって攻撃を仕掛けた。デルビルが放った炎は真面に喰らえば一気に戦闘不能へと持っていかれてしまうほどの威力であった。

 

「フシギダネ!【つるのムチ】で助けるんじゃ!」

 

 すぐにフシギダネは一本のつるをシロンの身体に巻きつけ、自分の方へと引っ張った。間一髪のところでシロンは相手の攻撃から逃れることができた。

 

「ありがとうございます。博士!フシギダネ!」

 

「うむっ。じゃが、まだ終わっとらんぞ。フシギダネ!今度は向こうに【つるのムチ】じゃ‼︎」

 

「「躱せっ!!!」」

 

 フシギダネの攻撃をデルビルとカポエラーはジャンプして躱した。躱した方角に向かってリーリエは次の指示をシロンに命じた。

 

「【こなゆき】‼︎」

 

「【かえんほうしゃ】‼︎」

 

 シロンの冷気とデルビルの火炎がぶつかり合う。しかしレベルの差がついてしまったのか、シロンの攻撃はデルビルの攻撃に押し負けてしまった。シロンの冷気をかっ消した火炎がシロンとフシギダネに襲いかかる。

 そんな時フシギダネはシロンを護るために自らシロンより前に立って、その攻撃を受けに行ったのだ。草タイプに炎タイプの攻撃は効果は抜群。フシギダネは大ダメージを負ってしまった。

 

「大丈夫か!フシギダネ‼︎」

 

 心配するオーキド博士にフシギダネは根性で返事を返した。シロンの無事を確認したフシギダネは自分は大丈夫だと優しくシロンにうなづいた。

 やはりサトシみたいにはいかないものなのかと自分のせいで傷つけてしまったフシギダネを見てリーリエは少々落ち込んでしまった。

 

「大丈夫じゃ。それより少しお願いがあるのじゃが、聞いてくれぬか?」

 

 そんなリーリエを励ますかのようにオーキド博士はあることを提案した。落ち込んでいる暇はない。リーリエはすぐに切り替えてはオーキド博士の指示を聞いた。

 

「分かりました。シロン!もう一度【こなゆき】です‼︎」

 

 指示の元、シロンの冷気は再びデルビルとカポエラーに襲いかかる。シロンもリーリエの想いに応えるかのように、さっきの【こなゆき】よりもパワーのある攻撃を繰り出していた。

 

「なんどやろうと同じこと!カポエラー!【ワイドガード】‼︎」

 

「シロン!そのまま【こなゆき】を続けて下さい!」

 

 さっきと同じように防がられてしまったがシロンが攻撃を止めることはなかった。その威力を保ちながら冷気を放射し続けている。

 相手の二匹もガードしているとはいえ、止むことがない攻撃に視界も遮られてしまっているため次の一手を繰り出せないでいた。そんな相手の攻撃にヤマトとコサブロウも不思議に思った。ダメージも負わせていない。このまま攻撃を続ける意味もない。ただ、自分たちのポケモンの足止めにしかなっていないと…

     

        足止め!!!

 

 そう脳裏を過ぎった二人はフシギダネの方を確認した。フシギダネは自分の象徴ともいえる背中にある大きな種に太陽のエネルギーを貯め込んでいた。エネルギーが蓄積された種は徐々に光始めていた。それを見たヤマトとコサブロウはすぐに行動を移した。

 

「くそっ‼︎本当に足止めだったとは」

 

「もういいわ!すぐに攻撃に切り替えるわよコサンジ。あの技を食らったところでたいしたダメージにならない」

 

「だから!コサブロウだって… えぇい、そんなこと言ってる場合じゃないか。カポエラー!【ワイドガード】を解除しろ」

 

「デルビル!もう一度ロコンに【かえんほうしゃ】‼︎」

 

 カポエラーはバリアーを解除したのち、すぐにデルビルは攻撃を仕掛けた。

 

「躱して下さい。シロン!」

 

 躱すと同時にシロンの攻撃は止んだ。そして、まるで主人の考えがわかっているかのようにすぐにカポエラーはフシギダネに向かって走り出していた。

 しかし、すでにフシギダネは蓄積したエネルギーを解き放つ準備は完了していた。

 

「フシギダネ!【ソーラービーム】‼︎」

 

 フシギダネは貯めた太陽のエネルギーを一気にカポエラー目掛けて放射した。しかし、そのエネルギーはカポエラーの右に大きく外れてしまい、鮮やかな七色の光を咲かせながら上空へと消えてしまった。技が外れてしまったのだ。

 失敗…。その二文字がリーリエの頭を過ぎった。さらに追い討ちをかけるかのようにヤマトとコサブロウは高笑いをあげていた。

 

「あっははは!どうやら絶好のチャンスを逃してしまったようね」

 

 フシギダネの大技が外れたいま、次の作戦の意向が思い当たらない。もう奇跡が起きない限りどうしようもないこの状況。もうダメかと思ったその時…

 突然、上空からロケット団に目掛けて二種類の風の刃に見立てたエネルギー波が飛んできた。上空を見上げてみるとそこには、ケンホロウとファイアローの二体の鳥ポケモンがいた。おそらくさっきのはこの二体が繰り出した技だったのであろう。

 

「おおっ!以外にもこんなに速く駆けつけに来てくれるとは。助かったわい」

 

 オーキド博士は上空にいる二体のポケモンを見ては大きく手を振っていた。

 どうやら、先ほどの【ソーラービーム】は攻撃をするためのものではなく仲間を呼ぶために放ったものであったようだ。さらに、助けに来てくれたのはあの二体だけではなかった。

 前方からはものすごいスピードで向かってくる二つの影が見え、近づいてくるにつれその正体がはっきりとした。現れたのは頭に炎を宿したポケモンのゴウカザルと腕に生えた大きな葉っぱの刀を持ったポケモンのジュカインだった。さらに後方からは大きな顎を持つポケモンのワルビアルと鋭い牙を持ったポケモンのフカマルが地中から姿を現した。

 その四体はヤマトとコサブロウを取り囲むかのようにして戦闘体勢に入った。この状況にヤマトとコサブロウは流石にお手上げのようで、デルビルとカポエラーをモンスターボールへと戻した。

 

「止むえない。退却だ!出てこいツボツボ【すなあらし】‼︎」

 

 コサブロウはモンスターボールからツボツボを繰り出すと、自分たちを包み込むかのようにして砂嵐を発生させた。砂嵐がはれるとそこには二人の姿はなかった。

 

 ロケット団を追い払うことができたリーリエは肩の荷がおりたのか、シロンを抱きかかえながらその場に座り込んでしまった。

 

「ありがとうリーリエちゃん。君とポケモンのおかげでロケット団を追い払うことができた」

 

「いえ、やっぱり私は博士の足を引っ張っていただけだったのでは...」

 

「そんなことはない!君が助けに来てくれなかったら、いまごろどうなっていたか…。君の勇気が研究所のポケモン達を救ってくれたのじゃよ」

 

 すると、援軍に駆けつけてくれたゴウカザルを始めとしたポケモン達はリーリエの元へ近寄ると嬉しそうに鳴いていた。それはまるでありがとうと言っているようでリーリエも笑顔で返事を返した。

 

「リーリエ!!!!!」

 

 カノンは涙を流しながら、後ろから勢いよくリーリエに抱きついた。

 

「よかったよ!!!リーリエ!!!心配したんだから‼︎」

 

「もう、カノンさん!苦しいですよ」

 

 慰めるようにリーリエはカノンの頭を優しく撫でた。サトルも慌ててリーリエの元へと駆け寄ってきた。

 

「リーリエさん!無事でよかったよ。本当に」

 

「はい。ご心配をお掛けしました」

 

 リーリエの笑顔をみたサトルも安心しきったのか、その場に崩れ落ちてしまった。

 こうしてロケット団の手から研究所のポケモン達を護ることができた。学外での始めてのポケモンバトルは、やり遂げることが出来た達成感と同時に自分の不甲斐なさを改めて実感する結果となった。

 もっと強くならなくてはならない。リーリエはバトルの疲れで膝の上で眠っているシロンを撫でながらそう思うのであった。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 ロケット団が立ち去った後、すぐにジュンサーさんによる現場検証が始まった。

 研究所のポケモン達は爆発が起きた直後、サトシのポケモン達が中心となってオーキド博士が指定した避難所へ誘導してくれたおかげで全員無事だったようだ。ロケット団と戦ったリーリエは事情聴取を聴かされ、それは夜まで続いた。

 

「お疲れ様です。お嬢様! この度はわたくしが付いていながらもお嬢様を大変、危険な目に合わせてしまいまして誠に申し訳ありません」

 

「謝ることはありませんわジェームズ。おかげで研究所のポケモン達を護ることができましたもの。それにシロンも一緒でしたし」

 

「左様でございますか。すっかりお嬢様も立派になられましたな。お疲れでしょう。夕食の準備が終えるまで、お休みになられて下さい」

 

 そう言いつつジェームズはキッチンへと向かった。リーリエはリビングのソファーに腰を置き、今日の戦いで汚れてしまったシロンの手入れを始めた。

 

「シロン。今日はありがとうございました。

無茶なことをさせてしまいましたが、これから多くのトレーナーやポケモン達と出会いながら一緒に頑張っていきましょう」

 

 シロンもリーリエの言葉に返事をするように小さく吠えた。シロンの返事を聞いたリーリエはつい嬉しくなり、シロンを優しく抱きしめた。

 

「あっ、事情聴取終わったんだリーリエ」

 

 声が聞こえた方へ目をやると、手を小振りに振っているカノンがいた。リーリエを見つけたカノンはリーリエの隣に座り、シロンの頭を優しく撫でた。

 

「リーリエはやっぱりすごいよ。ロケット団相手にあそこまで戦えるなんてね」

 

「そんなことはありません。博士が付いていたからこそ何とかなっただけですし、もっと自分一人で戦える力を身につけなくてはならないと思いしらされただけです」

 

 そんなことを話していると、サトルもリーリエとカノンの前に現れた。しかし目線はリーリエ達を見ようとせず、ただ下を向いていた。

 

「どうしたんですか?サトルくん」

 

 サトルの様子が少しおかしいと感じたリーリエは心配そうに聞いてみた。サトルは重たそうな口を開いてリーリエ達の方へ目をやった。

 

「二人に謝りたくてね」

 

 突然、二人に謝罪の言葉をならべたいと言ったサトルにリーリエとカノンは驚いた。そんなサトルにカノンは思わず口を開いた。

 

「どうしたのよサトル。急に謝りたいなんて、私達に何かした?」

 

「......。ロケット団に二人が戦いに行こうとした時、僕は二人を止めただろ。僕もあの時は誰かが手助けしてやらないといけないことぐらい分かってたんだけど、まだ戦い慣れていない僕らがロケット団なんかに敵うわけがないと勝手に決めつけていたんだ。現実ばかりを見て、研究所を護りたいと言った二人の意思と助かる可能性を僕は否定してしまった。リーリエさんがオーキド博士を助けに行かなかったら今頃、研究所のポケモンも僕たちのポケモンもロケット団に奪われていたのかもしれないのに二人を止めた後、どうするかも考えてなかった。論理的なことをばっかり言ってた自分が情けない。無計画に突っ込んでいたのは僕のほうだった。本当にごめん」

 

 サトルは自分の無知さを痛感させていた。これから旅立つトレーナーとして大切なこと

が自分には欠けていたのだと。足元へまた視線を逸らしてしまったサトルにリーリエは口を開いた。

 

「気に病むことではありませんよ。サトルくんは私達のことを心配してくれて言って下さったことは分かっています」

 

 そう言うと、リーリエはカノンとサトルに自分がトレーナーズスクールに通っていた時の思い出を話し始めた。

 

「私もサトルくんと一緒でした」

 

「えっ…僕と?」

 

「私はスクールに通っていたときは、ポケモンバトルおろかポケモンに触れることすら出来なかったのです」

 

「えっ!そうだったの」

 

「はい。なのでポケモンに触れなくても学校の授業や本に書いてあることが全て正しいと思っていまして、ここに記されたことの筋が通っていれば法則性に基づいて理屈が通っているものだと思っていたのです」

 

 リーリエは少しシロンに目線を落としてからさらに話を続けた。

 

「ですが、サトシに出会ってスクールのみんなと一緒に授業を受けたりフィールドワークをしていくうちに、本には書いていない、新たな発見を見つけることができたのです。シロンを初め他のポケモン達にも触れるようになってからも分かったこともたくさんありました。この時、私の考えが如何に一方的なものであったか。私は感情的に考えることも必要だと知ることができたのです。昔の私でしたら、ロケット団と戦おうなんて思ってもなかったと思います」

 

 そんなリーリエの話を聞いたサトルは思った。まだ自分が知らないこともある。スクールで教わったことがすべてじゃない。その言葉はサトルに強い印象を与えたようで少し笑顔が戻った。

 

「サトル。私のほうこそポケモン達がどうなってもいいんだとか言ったりしてごめん」

 

 カノンもサトルに続いて謝った。お互いに謝ってばかりのこの状況がおかしくなったのか、三人はお互いに笑い合った。

 

「なんか謝ってばかりで調子狂っちゃうよね。よし!もうこの話はこれでおしまい!おしまい!」

 

「そうですね。カノンさんの言う通りです!」

 

 元気よく言い放つリーリエにカノンは何か不満そうであった。

 

「カノン!」

 

「えっ?」

 

「リーリエはトレーナーズスクールの友達にも“さん”付けなのかな?それだとまだ私達と壁を置いているみたいで、なんか嫌だな〜」

 

 意地悪そうに言うカノンにリーリエは改めて彼らの名前を呼んだ。

 

「はい! これから友達としてもライバルとしてもよろしくお願いします。カノン!サトル!」

 

 故郷であるアローラを旅立ち、マオ達とも暫く離れることになったリーリエ。少し寂しい気持ちはあったが、いま同じ目標を志す新たな仲間と出会うことができた。これから始まる冒険もリーリエにどんな出会いが待ち受けているのだろうか。さぁ、明日はいよいよ旅立ちの時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 さあ、次回はいよいよ冒険の始まりです!
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