ポケットモンスター let's goリーリエ! 作:アニポケ大好き主
今後の展開が気になりるところです。
それではどうぞ!
翌朝、カノン主催によるポケモンバトル大会が開催されることになった。朝食を終えたリーリエはカノンとサトルがスミレを迎えに行っいる間にある人物に連絡を取っていた。
「アローラ!って、そちらはもう夜でしたね!」
「アローラ、リーリエ!そっちは朝か。こうも時差があると連絡があまり取りづらいけど、久しぶりに話せて嬉しいよ!シロンも元気そうでよかった!」
リーリエに続いてシロンもその連絡相手に大きく返事を返した。その人物はアローラ地方にあるアイナ食堂の看板娘でもあるリーリエの友達の一人、マオだった。
「他のみなさんは元気ですか?」
「元気だよ!卒業してもみんなで集まったりしてるからね。それよりも、お母さんのことはククイ博士に聞いたよ。よかったねリーリエ」
「はい。ですが、まだどうなるか分かりませせんが…」
「ダメだよリーリエ!そんなマイナス思考で考えちゃ!リーリエが信じてあげなくてどうるの?」
「そうですよね。そのためにお母様に強くなったわたしくしを見てもらうために、こうして旅に出たのですから」
「そうそう!落ち込んでいるよりもいつも元気でいるのがリーリエの取柄なんだから!」
久しぶりにマオと話せたリーリエは旅のことやマオから聞いたアローラのことなどをたくさん話した。時間はあっという間に過ぎてしまい、スミレを連れてカノンとサトルがポケモンセンターへと帰ってきた。
「それじゃあ、また連絡しますね。マオ!」
「うん!そっちに行ったとき、私にもリーリエの友達を紹介してよね!」
「はい!……って…紹介ですか?」
「時期に分かるよ!それじゃあ」
マオと連絡を終えたリーリエはマオが最後に言った言葉を不思議に思いながらも、カノン達が待つバトルフィールドへ向かった。
〜〜〜〜〜
「ただいまより!カノンちゃん主催によるポケモンバトル大会を開催しまっす‼︎それでは、第一試合両者前へ!」
先ほどカノンが用意したくじ引きにより、対戦相手が決定した。最初はリーリエとスミレによるバトルだ。
最初は体力的にスミレを参加させても大丈夫なのかと思ったが、スミレは少しなら大丈夫だと言うことなので様子を見ながら参加してもらうことにした。
「スミレさん!よろしくお願いしますね!」
「こちらこそよろしく!リーリエちゃん!」
お互いに挨拶を交わしたところでスミレはポケモンをバトルフィールドへ向かわせた。
スミレのポケモンはもちろんキモリだ。
キモリを見て自分も前へと行こうとしたシロンだがリーリエに手を前に出され止められてしまう。
「ごめんなさいシロン。今日はコンビネーションを高めるためにも、ムックルで行こうと思っているのです。シロンはまた今度ね!」
不満そうであるシロンだったが、渋々リーリエに承諾した。
「それでは!ムックル出て来て下さい!」
リーリエはモンスターボールを取り出すと勢いよくバトルフィールドに投げた。ボールの中から元気よくムックルが飛び出してきた。
「ムックル!これがわたくしと貴方との初めてのバトルです。頑張りましょう!」
リーリエの言葉にムックルも自慢の羽を広げて大きく鳴いた。
「飛行タイプか。相性は悪いけど頑張って行こうキモリ!」
スミレの掛け声にキモリも自分の闘志を燃やした。お互いのポケモンが出揃ったところでいよいよポケモンバトル開始だ。
「では、始め!!!」
カノンによる勝負開始の合図と共にキモリとムックルは戦闘態勢を取り始めた。睨み合う両者。先に攻撃を仕掛けたのはムックルだった。
「ムックル!【つつく】‼︎」
「キモリ!躱して【はたく】‼︎」
嘴にエネルギーを蓄えたムックルはキモリに向かって突進する。迫り来るムックルをギリギリまで惹きつけたキモリはそのまま右へと躱す。ムックルの後ろを取ったキモリは大きな尻尾を使って、後ろから攻撃にかかる。キモリの技が決まると思った瞬間…。
「ムックル!【かげぶんしん】です‼︎」
姿が消えたと同時に、ムックルは無数の自分の分身を展開させキモリの周りを取り囲む。
「えっと…この場合どうしたら…」
今回がバトルするのが初めてのスミレはこの状況をどう打破するか悩んでいた。その感情がキモリにも伝わったのか、キモリはすぐに複数のムックルに向かって【タネマシンガン】を放った。無数に放たれた種はムックルの分身を次々と消していき、一瞬にしてムックルの分身は消えてしまった。
「キモリ……。ありがとう!」
キモリはすぐにスミレの方を向くと軽く頷いて返事を返した。そんな二人のバトルをカノンはワクワクさせながら見ていた。
『いい勝負しているロト!』
「えぇ、リーリエもだけどスミレもやるじゃん!ねぇ、サトル!」
「……………。」
「サトル?」
「えっ!……あぁ…そうだね」
サトルは何か考えていた様子であった。どうかしたのかカノンはサトルに聞いてみようと思ったが、二人のバトルの熱気にそれはかき消されてしまった。
「ムックル!もう一度【つつく】です‼︎」
「躱して!キモリ‼︎」
再び迫り来るムックルの攻撃を今度はキモリは【あなをほる】で躱した。地中に潜ったキモリを見つけるためリーリエはムックルに急速上昇するよう指示をだす。リーリエとムックルは注意して周りを見渡していると、ムックルのすぐ後ろからキモリが地中から飛び出した。すぐにスミレは指示を出す。
「キモリ!【タネマシンガン】‼︎」
キモリの攻撃がムックルに迫り来る。
「ムックル!【はがねのつばさ】で振り払って下さい‼︎」
翼を硬化させたムックルは自分の体を回転させながら、無数に撃ちだされた【タネマシンガン】を次々と弾き返した。全弾、弾き返したムックルはそのまま攻撃に入る。
「【はたく】で迎え撃って‼︎」
迫ってくるムックルにキモリは大きな尻尾を振り払った。二匹の攻撃はぶつかり合ったことで小さな衝撃波が生まれた。その反動で二匹は後ろへと後ずさりした。技の威力は互角のようだ。
「やるね!リーリエちゃんのムックル‼︎」
「スミレさんの方こそ!キモリもすごく強いです‼︎」
「でも負けないよ!【でんこつせっか】‼︎」
「こちらは【つつく】です‼︎」
二人の指示で攻撃を仕掛けようとした二匹の前に、何処からともなく【ヘドロばくだん】による攻撃が飛んできた。
『これは一体、何が起きたロトか?』
爆風によって巻き起こった砂煙の中から二人の人物が立っていた。その人物は以前にオーキド研究所を襲撃しに来たあの二人組だった。
「なんロトか?と聞かれたら」
「答えないのが普通だが」
「「まあ 特別に答えてやろう」」
その二人が名乗りをあげようとした時、カノンはすぐに大きな声でその二人の名前を叫んだ。
「あんたたちはオーキド研究所を襲った奴らね!たしか…ヤマトとコサンジ!」
「違ぁぁぁう!!コサブロウだ!!!」
「それより、何でまたここに?」
「何って!ここトキワシティに訪れようとしたトレーナーに片っ端からバトルを挑んでくる強いキモリがいるって情報を聞いたから、そいつを捕まえに来ただけよ!」
「それでキモリを発見したところに偶々、お前達が居たってだけだ」
ロケット団の目的がキモリだと知ったスミレは急いでキモリを自分の元へ戻らせた。
「あの、あなた達が言っているそのキモリはたぶんわたしのポケモンなんですが…」
「そうみたいね!でも、そのキモリが野生ではないからと言って引き下がる我々ロケット団ではないわ」
「その通りだ。野生でないならそのキモリを奪うまでだ」
トレーナーのポケモンだったからと言って引き下がるような奴らではない。ロケット団の二人はすぐに自分達のモンスターボールを取り出した。
「出てきな!ヤミラミ‼︎」
「出てこい!グラエナ‼︎」
研究所で繰り出したポケモンとはまた違うポケモンを繰り出したヤマトとコサブロウ。その二体はジリジリとスミレとキモリに迫って行く。初めて悪の組織を前にして恐怖に震えているスミレの元にキモリを渡してはならないと、リーリエがロケット団の前へと立ち上がった。
「あっ!あんたはあの時のジャリガールね」
「丁度いい。その白いロコンもこっちでは珍しいポケモンだ。キモリとまとめて頂いてやる」
二人の合図とともにヤミラミとグラエナは威嚇を始めた。カノンとサトルもリーリエとスミレの元へ急いで駆け出した。
「サトルはスミレを安全なとこまで連れてって!リーリエ、私も一緒に戦うね!行くよヒコザル‼︎」
カノンはリーリエと一緒にロケット団に立ち向かい、サトルはスミレの車椅子を引いて安全な場所へと連れて行った。
「子供だからって手加減はしないよ!ヤミラミ!【パワージェム】‼︎」
「グラエナ!【シャドーボール】‼︎」
「シロン!【こなゆき】‼︎」
「ヒコザル!【ひのこ】‼︎」
四体の攻撃はぶつかり合い、中央で大きな爆発が生まれた。
「グラエナ!【かみつく】攻撃だ‼︎」
「シロン!【こおりのつぶて】‼︎」
シロンよりも先に攻撃を仕掛けたグラエナだが、シロンの先制技によりグラエナはそのままダメージを負った。
「ヤミラミ!【シャドークロー】‼︎」
「ヒコザル!躱して【ひのこ】‼︎」
ヤミラミの攻撃を躱したヒコザルはそのままヤミラミに火の玉を浴びさせた。攻撃を食らった二体は蹌踉めきながらも直ぐに体勢を立て直すと次の指示がでるまで身構えた。
旅の中で多くの戦闘経験を積んできたリーリエ達。そんな彼女達の成長にヤマトとコサブロウは少しばかり驚いているようだ。
「よし、ここなら安全だと思うよ」
「ありがとうサトルくん!」
スミレを安全な場所へと置いたサトルは自分のモンスターボールを取り出すと二人の加勢に向かおうとしていた。
だがその時、突然自分達の方向に先ほどと同じく【ヘドロばくだん】が撃ち出された。その方向を向くと、奴らのポケモンであるツボツボがサトルとスミレの前に現れたのだ。
「くっ!僕だってやるぞ‼︎頼むヒトカゲ‼︎」
サトルもヒトカゲを繰り出し、バトルを始めた。
「ヒトカゲ!【ひのこ】‼︎」
無数に飛び散る火の玉がツボツボに向かって放たれるが、それをツボツボは自分の殻に篭ってガードした。さらにサトルはヒトカゲに【ひっかく】攻撃を指示するも、再びガードされてしまった。
ツボツボは全ポケモンの中でも防御力が優れており、虫と岩の両方のタイプを持つポケモンだ。ヒトカゲの攻撃はどれもツボツボには大したダメージを与えられないでいた。
「くっ!ヒコザル‼︎」
カノンはサトルを助けに行こうとしたが、ヤミラミがサトルの元へ行かせないようにその場に立ち塞がる。
「悪いけど、助けに行こうなんて思わないことね!」
「まずはあのジャリボーイから片付けてやるか!やれツボツボ!【ヘドロばくだん】‼︎」
ツボツボの【ヘドロばくだん】はヒトカゲに命中してしまった。攻撃を受けたヒトカゲは追加効果で毒状態になってしまい徐々に体力が奪われていく。戦闘不能寸前のヒトカゲに追い打ちをかけるようにツボツボは再び【ヘドロばくだん】を撃つ構えを取った。
万事休すかと思ったその時、地中から飛び出したキモリがツボツボに一撃を食らわせた。
「キモリ!……よし、そのままツボツボを【はたく】で吹き飛ばして‼︎」
【あなをほる】が決まったツボツボに今度は【はたく】でロケット団がいる方向にツボツボを弾き飛ばした。
ツボツボはそのまま飛ばされた先にいるグラエナの口にがっしりとはまってしまい、二体はもはや戦闘出来る様子ではなくなってしまった。
「なんだと‼︎」
あまりにも突然なことにヤマトとコサブロウは呆気に取られてしまった。
「今ですシロン!グラエナとツボツボに向かって【こなゆき】です‼︎」
シロンの冷気がグラエナとツボツボの二体を包み込み、二体は一瞬にして氷漬けになってしまった。
「なぁ!グラエナ!ツボツボ!」
「何やってるのよ!ヤミラミ!【シャドークロー】‼︎」
「ヒコザル!【かえんぐるま】‼︎」
ヒコザルは火炎を纏ってヤミラミに突進する。ヤミラミも影を纏った爪でヒコザルに切りかかろとするが、とっさにヒコザルはヤミラミの攻撃を躱してそのままヤミラミに【かえんぐるま】を決めた。
技を食らったヤミラミは氷漬けになったグラエナとツボツボぶつかり、そのまま三体はヤマトとコサブロウに目掛けて吹き飛ばされた。飛んできた三体の下敷きになるヤマトとコサブロウはもはや次の指示を出す余裕がなくなってしまった。
「行きますよシロン!」
リーリエの指示のもとシロンは全身を光らせ始めた。その光は旅立つ前にみた太陽のような眩い光ではなく、月のようなとても神秘的な光だった。その光は一つの大きなエネルギーの塊となり一気に放たれる。その技の名は…
「【ムーンフォース】‼︎」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
放たれた月のエネルギー砲はそのままロケット団を吹き飛ばした。
「くっ〜!次会ったら覚えておきなさい!」
「俺達ロケット団の恐ろしさはこれからだ!」
「「やな気持ち!!!!!」」
キラッ‼︎
ロケット団はそのままロケットが月に向かうような速さで空の彼方へと消えて行った。
ロケット団との戦いを終えたリーリエとカノンは急いでサトルとスミレの方へ向かった。二人とも無事のようで、ヒトカゲもサトルが持っていたモモンの実のおかげで毒状態から解放された。
「ヒトカゲごめんよ。僕がちゃんと指示を出していたらこんなことに…」
うまくバトルをすることが出来なくて落ち込むサトルにヒトカゲは自分は大丈夫だと元気よく飛びついた。
「ヒトカゲも元気そうだし大丈夫だよ!それにトレーナーがそんな顔をしてると自分のために戦ってくれたポケモンに申し訳ないんじゃなかったの〜?」
「…そうだね。ありがとうカノン!」
自分が言われたことをそのまま返して励まそうとしたカノンにお礼を言ったサトルはヒトカゲの頭を優しく撫でた。
「ありがとうねキモリ。貴方を守らなくちゃ行けなかったのに逆に貴方に守られちゃったね」
「それよりもなんでロケット団はスミレのキモリのことを知ってたんだろう?野生のポケモンでもないのにね」
「その事なんだけど…」
不思議そうに頭を傾けながら言うカノンを見たサトルはカノンの疑問に応えてあげるように説明をし出した。
「ロケット団の二人はトレーナーに勝負を挑むキモリの情報を耳にしたって言ってたから、おそらくその情報はキモリと戦ったトレーナーから広まったんだと思うよ」
「トレーナーから?じゃあスミレのキモリはそんなに多くのトレーナーと勝負をしたってこと?」
「僕はそうだと思う。リーリエとスミレさんのバトルを思い返せばね、その根拠もあったし」
そう、サトルはリーリエとポケモンバトルをしているスミレのキモリを見てはいくつか不自然な点を発見していた。スミレの指示とは別に【タネマシンガン】を放ったり、回避の指示をすると【あなをほる】で躱したりと、まるでスミレにいま自分が使える技を見せてあげているような戦い方をしていた。そんなキモリの行動をサトルは気になっていたのだ。
その点を含めてサトルは一つの結論をスミレに聞いてみた。
「スミレさん。もしかしてキモリが【タネマシンガン】や【あなをほる】を使えたこと知らなかったんじゃないかな?」
「えっと…うん。そんな技キモリが覚えていたなんて今日初めて知ったよ」
「それがなんなのサトル?」
「今言った二つの技はどれもキモリが自然に覚える技ではなく、練習しないと所得できない技なんだ。昨日スミレさんにキモリと戦ったことを話たらキモリと一緒にバトルをした事がないと言っていた。それなのに何故、一緒にバトルをしたことがないポケモンが独学でこの二つの技を身につけようとしたのか?」
サトルの疑問を理解したのかリーリエが口を開く。
「キモリはスミレさんに内緒でトキワシティに訪れるトレーナーの方々との勝負を受けていたということですね」
「内緒で?」
「特にマサラタウンから旅立った新人トレーナーの多くは、一番近い街であるトキワシティに向かいます。それを知ったキモリは街に入るトレーナーを待ち伏せていたのではないかと思います」
「キモリと私達が初めて会ったの偶然じゃなくて、キモリが私達がここに来るのを待っていたってことなの?」
「そうだと思うね。それに戦う相手がほとんど新人トレーナーだったらオーキド博士から貰っているポケモンとは多くバトルを積んできたはずだよ。だったらフシギダネはともかく、ヒトカゲ対策に【あなをほる】をゼニガメ対策に【タネマシンガン】を所得したというならキモリがその二つの技を覚えた理由と辻褄が合うね」
説明し終わるとキモリは大きく頷いていた。その様子からサトルの推理は正しかったのだと四人は納得した。
「そうだったんだね。キモリ」
キモリの行動を知ったスミレはキモリを呼ぶと自分の膝に乗せ優しく微笑みかけた。
「キモリはホウエンにいた時からずっと私のそばに居てくれたから病院生活の中でも退屈する日はなかったんだ。だけど、時々思うことがあるの」
「思うこと?」
「……私のせいでキモリが本当にやりたいことが出来ないでいるんじゃないかなってね……。キモリと毎日いる日は楽しいよ。でも、やっぱり私は……キモリにはここだけではなくてもっと広いところを冒険させてあげたい。そう思うようになったんだよね」
車椅子をぐるりと回転させたスミレはリーリエ達の前に立つ。リーリエ達もスミレの方に目をやるとスミレの目は何かを覚悟したようにキリッとした目をしていたが、それと同時にその瞳の奥には寂しげな感情も伝わってきた。
「みんなにお願いがあるんだけどいいかな?」
スミレは重々しい口を開いてリーリエ達にあるお願いをした。その内容はスミレの口から出て来るとは考えもしなかった内容であった。突然のことに困惑するリーリエ達。しかしスミレの真っ直ぐな目からはそれは冗談ではないことだと伝わった。スミレがリーリエ達にお願いしたいことそれは……
「キモリを一緒に連れてってあげてくれない?」
突然のことにリーリエはスミレに問いかける
「どうしてですか?スミレさん!!!だってスミレさんはキモリと一緒に旅をすることが夢だったのでは……」
「それは私の願望だよ。その夢がいつか叶うかも分からない根拠もないものだよ。そんなものにキモリをいつまで待たせる気なんて出来ないよ」
キモリを旅に出させる。それはスミレとキモリが離れ離れになることを意味するものでもある。戸惑うリーリエ達とキモリにさらにスミレは話を続けた。
「それに私にはもう一つどうしても叶えたい願いがあるんだよね」
「願い…ですか?」
「うん!それはね。キモリが心優しいトレーナーとこの広い世界を旅をして、新しい仲間と出会ったり、そしていつかはキモリがポケモンリーグで戦っている姿を見てみたい!それが私のもう一つの願いなんだ!他のポケモンと同じような経験をさせてあげたい!ここに閉じこもっているよりもキモリには私の分までこの広い世界を見て欲しいんだ!だから!……だから………キモリのこと……お願いしても……いいかな?」
スミレは寂しい気持ちを我慢するようにキモリのモンスターボールをリーリエ達の前に差し出そうとした。その時……
ガッ‼︎
「キモリ!!!!」
スミレの手から無理矢理に奪い取ったモンスターボールを手にキモリは、そのままリーリエ達に離れて行った。スミレと離れたくない、そんな思いがキモリから伝わってくるような感じがした。
「いま、キモリがスミレさんに内緒で多くのポケモントレーナーの方々とバトルをしていた理由がなんとなくわかりました。」
「理由?」
「スミレさんが安心して旅に出られるようにキモリはスミレさんを護れるぐらいに強くなろうとしていたんですよ。ポケモンバトルをしていた時もキモリはスミレさんの様子を見ながらバトルをしていましたし、少しでもスミレさんの身体に負担がかからないように自分の判断で動ける力を身につけようとしていたのですよ。そうですよねキモリ」
優しく語りかけてくれるリーリエにキモリは大きく頷いた。スミレと同じようにキモリにも叶えたい夢と実現したい願いがあった。二人のそれぞれの願いの真意を知ったリーリエはゆっくりとキモリの元へ歩み寄る。
「スミレさんは叶う根拠のない未来を追い続ける願いではなくキモリには今を歩き出すことが出来る新しい願いを持って欲しいと思っているのです。ですがそれをどう受け止めるかは貴方自身が決めることです。無理矢理連れて行こうとは思っていませんので、そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。キモリがスミレさんのことが大好きな気持ちは私達も知っていますから!」
リーリエの暖かい感情が伝わったのか、キモリは徐々に冷静さを取り戻した。そしてキモリはスミレの方を向くとこれまで過ごしてきたスミレとの思い出が回想となって頭の中に流れ込んできた。
自分が野生だった頃、その日は雨が降っていた。止むを得ず近くの木の下で雨宿りしていると、近くの家の窓から中に入るようにと呼びかけられた。その呼びかけた人物こそスミレだった。初めて人の優しさに触れたキモリはいつしか頻繁に彼女の元を訪れるようになり、やがて彼女のパートナーとなった。あの時、一緒にポケモンリーグの中継をテレビで観ながらいつしか一緒にあの舞台に立つ約束を交わしたことも今でも覚えている。忘れるわけがない。その約束を果たすためにキモリは強くなろうとしたのだから……
その想いはスミレも同じだった。だけど、それは必ず叶うか分からないのも事実。だからこそスミレは自分の分までキモリには、広い世界を見て回って欲しいと思うようになったのだ。スミレのためにと行動してきたキモリ。なら、今スミレのためにしてあげることを自分が成せばいいのではと、スミレの今の想いを感じ取ったキモリは次第にそう考えるようになった。それが彼女の願いがあの時の願いに繋がるのなら……
キモリは一歩一歩前に進む。進む先は違うが目線はスミレの方を見ていた。キモリは覚悟した表情でスミレに軽く頷いた。それに対してスミレは笑顔で大きく頷いた。彼女を見て安堵したキモリは自分が持っているモンスターボールをある人物に差し出した。一人のトレーナーの想いと一体のポケモンの覚悟を悟ったその人物は差し出されたモンスターボールをキモリの手と一緒に優しく握りしめた。スミレとキモリの想いを覚悟を、そして願いを受け止めるかのように……
「それじゃ、スミレ!私達もう行くね!」
「身体には気をつけて」
「うん!みんなも気をつけてね」
リーリエ達は次の街であるニビシティへ出発しようとしていた。その中にキモリもいた。キモリはもう一度スミレの手を握りお互いにゆっくりと抱き合った。寂しさはあるがキモリの主人がスミレであることは変わらない。離れていても二人の想いはずっと一緒である。その気持ちをしっかりと再確認した。そして新たにキモリと一緒に旅をしてくれるトレーナーに目を向けた。
「キモリのことよろしくね!リーリエ!」
「はい!任せて下さい!そして必ずスミレとキモリの夢を必ず叶えてみせます!」
「うん!キモリもしっかりね!」
リーリエとスミレはお互いに握手を交わした。そんな二人にカノンとサトルは次のことを話し始めた。
「だけど、リーグ前にはまた会えるよリーリエ!スミレ!」
「え?そうなんですかカノン」
「実はここトキワシティにもポケモンジムがあるんだけど、そのジムはカントー最強と言われていていまの僕達のレベルじゃ太刀打ちできないジムなんだ」
「私達はトレーナーズスクールで聞いたことがあったから分かっていたんだけどリーリエに伝えてなかったなぁと、今さっき思い出したんだ。ごめん♪ごめん♪」
「そうだったんですね。それでしたらまたここを訪れることになりますから、また会えますよ!スミレ!」
「うん!また会おうね!!! 」
こうして、お互いに再開を約束しリーリエ達は次の街であるニビシティへ旅立った。
スミレの想いを胸に旅立ったキモリをスミレは手を振り続け、キモリも自分の背中を押してくれたスミレに手を振り続けた。それはお互いの姿が見えなくなるまで続いたのであった。
本編とは違いますが、シロンはたまご技でムーンフォースを覚えている設定にしました。